「──ってなことがあってさぁ」
聖「成る程な」
イワナボウズ『主の命により…貴様の命を頂戴しに来た』
聖(ヌエ…一体何を企んでいるのだろうか。そして…俺は果たして奴に勝てるのか…?)
クリスマスも目前に迫ったある日、大学の講堂を歩く最中、友人の話を聞くのもそこそこに、聖はヌエのことを考えていた。
そんな中、突如として聖を目眩が襲い、その身体は蹌踉めいてしまう。
聖「うっ…」
「あ、おい!聖、大丈夫かよ!?」
聖「ああ、ちょっと目眩がしただけ」
「本当に大丈夫かよ?最近なんか調子悪そうじゃん」
聖「…最近ハマっている本があってな。ついつい夜中まで読み耽ってしまうから、そのせいかもな」
「…んだよ、ちゃんと寝ろよなー」
聖「そうだな」(…この不調…神羅の力を使いすぎたせい…なのだろうか)
目眩の理由について友人には軽く誤魔化しつつ、聖は内心でその不調の原因が神羅にあるのではないかと考え始める。
⭐︎⭐︎⭐︎
清那「……」ソワソワ
澄香「清那ちゃん、そんなにソワソワしなくても…」
清那「う…だって、緊張してきちゃって」
澄香「大丈夫。きっと喜んでくれるよ」
清那「そう、かな…」
澄香「そうそう。…清那ちゃんが一生懸命考えて選んだ贈り物なんだから、白石君だって喜んでくれるはず」
清那「そ、そうだよね。うん」
澄香「まあ…初プレゼントがネックレスはちょっと重いかもしれないけど…」
清那「ええっ!?」
澄香「ま、まあ、きっと白石君ならそれ込みで受け止めてくれるよ」
清那「…そうだよね。白石なら…受け止めてくれるよね……」
クリスマス当日となり、清那は緊張感から落ち着かない様子であり、それを見た澄香は清那を励ます。
清那「あ、もうこんな時間。それじゃあ私、生徒会での年末の挨拶あるから行ってくるね」
澄香「うん、行ってらっしゃい。そのまま白石君とのクリスマスデートに行くんでしょ?」
清那「で、デートって…!……けどまあ、そうだね」
澄香「ふふ、じゃあ、また来年かな。良いお年を〜」
清那「…うん。良いお年を」
そうして澄香に手を振り別れて、清那は生徒会室へ向かっていく。
…そして、その陰から覗く者が一人。
ヌエ「…あれかぁ…朱井の娘は…!そんならまずは…フッ」
⭐︎⭐︎⭐︎
真黒「……」
澄香「あ、白石君。やっぱりここにいた」
真黒「黄坂さん」
澄香「清那ちゃんを待ってるんでしょ?」
真黒「まあ、そんな感じ」
屋上にて、澄香は清那を待つ真黒を見付ける。
澄香「…そっか。今日のデート、楽しんできてね!」
真黒「なんで黄坂さんが自慢げなのさ。…けどまあ、ありがとうね。君のお陰で…一歩踏み出す勇気を持てたわけだし」
澄香「…どういたしまして、で良いのかな」
真黒「うん。背中押してくれて、ありがとう」
澄香は真黒を軽く揶揄うが、真黒からは感謝の意を伝えられる。
真黒「そういえば、どうしてここに?」
澄香「あー、えっと…白石君、緊張してるかなって思って。折角のデートで緊張しっぱなしだと楽しめないかと思って」
真黒「成る程、それで」
澄香「けど、余計なお世話だったかな。あんまり緊張してなさそうだし」
真黒「!…そう見える?」
澄香「えっ?」
真黒「…なら良かった。これでも意外とさ、緊張してるんだ。だから屋上で頭冷やして心を落ち着かせようかなって」
澄香は真黒の様子を見に来たようだが、清那とは対照的な落ち着きぶりに、てっきり緊張していないものだと思っていたものの、どうやらそうではなかったらしい。
澄香「そうだったんだ…」
真黒「あーけど、なんか黄坂さんと話してたら緊張ほぐれたかも。ありがとね」
澄香「どういたしまして」
そんな会話を真黒と澄香が交わしていると、突如としてどこか嫌な気配を帯びた風が吹く。
真黒「…これは……」
澄香「なんか…嫌な感じ…」
ヌエ「よう」
真黒「!……モノノケ…!?」
澄香「!この見た目…白石君、あれってまさか…」
真黒「……お前、ヌエか」
ヌエ「フッ、よく知ってるじゃねえか坊主。そうさ、俺様がヌエ。…恐れ慄くといい」
闇の瘴気のようなものを纏って天から降りてきたのはヌエだった。真黒と澄香はその身体的特徴からその正体に勘付き、警戒体勢を取る。
真黒「何が目的だ…!」
ヌエ「朱井家の娘…その命さ」
澄香「清那ちゃんを…!?」
真黒「…お前達の目的は朱井さんだったってわけか」
ヌエ「そういうことだな。…ああ、きっと美味いぜ、朱井家の天才娘は!」
真黒「ふざけるなッ!」
ヌエは自身の目的が清那にあることを明かすが、そのことが真黒の逆鱗に触れ、真黒は怒りを露わにしながらブンプクブラストフォンを取り出し、一瞬だけ画面を操作した後にそのまま銃口をヌエへ向ける。
聖「ん…?これは…白石君のブンプクブラストフォンからの連絡…?」
真黒『お前達に…もう何も奪われてたまるか!!』
ヌエ『無駄なことを…』
聖「…!?」
真黒『この照羅巣高校の屋上から先へは…お前を一歩も通さない!朱井さんの元へは行かせるものか!』
ヌエ『バカめ。お前には無理な話…そしてそもそも、お前が奴を誘き出す餌となるんだよ!』
聖「…そういうことか!急がないと…!」
ブンプクブラストフォンで聖に連絡を入れる真黒の機転によって、聖はその状況をいち早く知ると、急いでツクモブースターに乗って照羅巣高校へと向かう。
《第一段階解放》
聖「…変身!」
《神格装着…ヘンゲ
System of Mythology.
神羅…Liberation.》
神羅「間に合ってくれ…!」
聖はツクモブースターを運転しながら神羅へと変身し、もう一段階速度を上げる。
⭐︎⭐︎⭐︎
真黒「はああああっ!!!」
ヌエ「なんだ?そんな豆鉄砲が俺様に通用すると思ったか!ふん!」
真黒「うぐあああっ!!」
澄香「白石君ッ!!」
真黒は果敢にブンプクブラストフォンによる連射でヌエを攻撃するが、ヌエには一切通用せず、軽い裏拳で吹き飛ばされ、フェンスに叩きつけられてしまう。
真黒「ゲホッ、黄坂さんは…早く逃げて…!」
澄香「白石君を置いて逃げられるわけないよ!」
真黒「アイツは僕が足止めするから…早く…!」
ヌエ「ほう?中々根性はありそうだな。さあ、どこまで持つか…見ものだな!」
真黒「ぐふっ…!?うああっ!」
澄香「白石君っ!一緒に逃げよう!」
真黒「ぐっ…うう…奴は空を飛べる。すぐに追いつかれて終わりだよ。だから…奴の興味が僕にあるうちに早く逃げるんだ」
澄香「白石君…」
頬の一部が切れて血を滲ませ、苦しそうに咳き込みつつも真黒は立ち上がり、なんとか澄香を逃がそうとするが、澄香は真黒と一緒に逃げようと言う。
その様を見たヌエは面白がり、蛇になっている自身の尾を伸ばして真黒を振るい、その腹部を思い切り打ち据える。
真黒「まだ…僕は倒れてないぞ…!はあああっ!!」
ヌエ「無意味なことだな。ふん」
真黒「なっ!?」
ヌエ「ほれ、どうした?もう無駄な足掻きは終わりか…?」
真黒「くっ…!うぐあああっ…離…せ…!」
澄香「っ…白石君……」
なんとか立ち上がり、ブンプクブラストフォンを連射する真黒だが、ヌエには通用せず、容易く接近され、ブンプクブラストフォンが握り壊される。そして、反撃する術を失った真黒は、首をそのまま掴まれ持ち上げられてしまい、もがき苦しむこととなる。
するとそこに、急いでドアが開け放たれる音と共にヌエの背後から妖力弾が放たれる。
清那「強い妖気を感じて来てみれば…今すぐその人から離れなさい!」
ヌエ「お、来たか…待ってたぜ?朱井の娘」
真黒「朱井さん…っ!?来ちゃ…ダメだ!コイツの、狙いは…朱井さんなんだ…!黄坂さん、を…連れて、逃げっ── うぐああああっ!」
ヌエ「余計なこと言わなくて良いんだよ」
駆け付けたのは清那だった。妖気弾が直撃したにも関わらず意にも介さない様子のヌエは、寧ろ目的の相手が現れたことに喜びを見せていた。
そして、そんなヌエから清那を逃がそうとする真黒だったが、言葉の途中でヌエが首を握る手に込める力を強め、真黒の首の骨は軋み出す。
清那「白石っ!!…よくも白石を…!朱井式浄化術・
ヌエ「ほう?」
真黒を痛めつけるヌエに対し怒り心頭となった清那は、妖気によって生み出した鎖でヌエを拘束する。…が、ヌエは容易くその鎖を引きちぎる。
ヌエ「ふんっ!!」
清那「…!?嘘…でしょ…!」
真黒「逃げて、くれ…!朱井さんっ…!!」
ヌエ「良い技だが…相手が悪かったな。この俺様には通用しない。もうお前は用済みだ、ふん」
真黒「うぐああっ!!」
清那「!白石──!?」
ヌエは用済みと言わんばかりに真黒を投げ飛ばしてフェンスに叩きつけ、それに清那が気を取られた一瞬の隙に接近する。
ヌエ「…さて、そろそろ頂こうか…ね!」
清那「っ!?」
真黒「朱井さん!!やめろ…!やめてくれえええ!!!」
澄香「清那ちゃんっ!!」
清那「うっ…うああああっ!!!」
ヌエは尾の蛇の口からドス黒い靄を吐き出すと、ソレは清那の身体を包み込んでいく。
そして、もはや身動きも取れずに這いつくばるしかない真黒は悲痛に叫ぶが、無情にも清那の身体はドス黒い靄の中へと消えていく。
真黒「やめろっ!やめてくれ…!やめてくれッッ!!」
神羅「白石君ッ!…!?朱井君…!!」
清那「せん…せ…白…石を…おねが…い……」
ヌエ「神羅かぁ?遅かったな。今、終わったところだ」
神羅「………貴様ァァァッ!!」
神羅も駆け付けるが、丁度その瞬間、最後に一言真黒のことを神羅へ託すと同時に清那の身体はドス黒い靄へと取り込まれ、蛇の口を通してヌエの中へと飲み込まれる。
そして、その様に激しい怒りを見せた神羅は怒りのままにヌエへと殴りかかる。
神羅「朱井君を返せッ!!」
ヌエ「ふん、そう言われて、素直に吐き出す奴がいるかよ。コイツは俺様の中で俺様が更なる力を得るための糧となる…それだけだ!」
神羅「ふざけるな!!」
怒りに燃える神羅はヌエと激しく激突する。
ヌエ「…ふ、成る程な。これは中々楽しめそうだ…!」
神羅「お前だけは許さない!」
《雷獣!》
ヌエ「お?そいつは…ライジュウの力か」
《Possession…雷獣》
神羅「はあああっ!!」
神羅は雷獣アヤダマを用いて神羅 雷獣憑身へと姿を変えると、帯電した爪でヌエを切り裂く。
ヌエ「はっ、成る程…ライジュウの持つ稲妻の力か……目の付け所は良いな。確かに強力だが……俺には通用しないな」
神羅「っ!?」
ヌエ「お返しだ…ウオオオオオッ!!」
神羅「くっ…!」
真黒「うっ…」
澄香「っ…!」
神羅の切り裂き攻撃と、それに付随する麻痺効果によって少しの時間その動きを止めるヌエだったが、すぐにそれを振り払うと、口から凄まじい咆哮を放ち、神羅を吹き飛ばす。
神羅「ぐっ…なんだこの靄…!!」
ヌエ「俺様の雄叫びをモロに受けた者は皆そうなる。呪われるのさ」
真黒「うっ…ぐあっ…!」
澄香「ううっ…」
神羅「っ!?白石君!黄坂君!…だったら!」
ヌエの瘴気を帯びた咆哮によって身体を蝕まれ苦しむ神羅だったが、真黒と澄香も蝕まれていることに気付くと、力を振り絞って犬神アヤダマを取り出す。
《犬神!》
神羅「呪いには呪いで対抗するまで…!」
《Possession…犬神》
ヌエ「…イヌガミの力か」
犬神アヤダマを神話ドライバーに装填し、その右腕がイヌガミのもの…即ち犬の頭部を模したものとなった神羅 犬神憑身へと姿を変え、呪いのエネルギー弾を自身に向け放つ。
神羅「ふんっ!!…これで動ける…!」
ヌエ「…!イヌガミの呪いの力で俺様の呪いを強引に打ち消したか…」
神羅「二人とも、今助ける!はあっ!」
真黒「うう…はあ、はぁ…」
澄香「楽に…なった…」
神羅は自身にかかった呪いの力をイヌガミの能力で打ち消し、真黒と澄香の二人も救出する。
ヌエ「なら…こういうのはどうだ?ふんっ!」
神羅「!増えただと…!」
ヌエが自身の腹を叩くと、その身体から溢れ出した瘴気が集まり、もう一体のヌエを形作る。
ヌエ2「……うおお!」
神羅「理性はないが…主人の命令で動く人形ってわけか…くっ!」
ヌエ2「ううう…!」
神羅「だったらこれで!はあああっ!!」
ヌエ2「ぐうあああっ!!」
ヌエ「ほう…」
ヌエ2の攻撃を受けつつ、神羅はその腹に右腕を押し付けると、呪いのエネルギー弾を至近距離から連射し、ヌエ2の動きを封じる。
《第二段階解放》
《Judgment.》
神羅「はあーっ!!」
ヌエ2「ぐっ…ぐうっ…うがあっ!!」
神羅は呪いのエネルギー弾を空中に向けて発射した後、大量に拡散させてヌエ2に連続攻撃を叩き込む。
神羅「トドメだ…!」
《第三段階解放》
神羅「ぐっ…ううっ……ふん!」
澄香「…?先生、何か苦しそう…」
真黒「…え?」
《Punishment.》
神羅「はあああっ!!!」
ヌエ2「うぐあああっ!!」
神羅は続けて必殺技を発動しようとするが、一瞬電撃が迸り、苦しそうな様子を見せ、真黒と澄香もそれに違和感を抱く。
しかし、それを振り払って神羅は強烈な呪いのエネルギーを極太のレーザービームの如く打ち出し、ヌエ2を貫いて撃破する。
神羅「はぁっ…はぁっ…ぐっ…!?イヌガミの力が…」
ヌエ「フッ、もうバテバテか?隙だらけだ…なっ!!」
神羅「くっ…!!」
ヌエ2を何とか倒した神羅だったが、次の瞬間、身体中に再び電撃が走り、憑身が解けて通常の神羅に戻ってしまう。
そして苦しそうにしている神羅に隙を見たヌエはその爪を振るうが、神羅は何とか闇夜月で受け止める。
ヌエ「降参すんなら今のうちだぜ?」
神羅「誰が…降参なんかするかっ!!」
ヌエ「しぶてえ野郎だな…」
苦しむ神羅に対して挑発するヌエ。そして神羅は怒りを燃やしてヌエに斬撃を叩き込む。
神羅「はああああっ!!!」
ヌエ「ふんっ!オラッ!」
神羅「うっ…ぐ…!」
澄香「先生!」
神羅は激しい斬撃を仕掛けるが、ヌエの爪による反撃を受けてそのまま吹き飛ばされてしまう。
ヌエ「ふっ、これで終わりだ」
神羅「くっ…!」
ヌエ「フンッ!…ぐっ…何っ…!?身体の…動きが…!そうか…あの娘かァ!邪魔な真似を!!」
神羅「…終わるのは…お前だ…!」
《第三段階解放》
ヌエ「!?」
《Punishment.》
神羅「はあああああッ!!!」
ヌエ「ぬぅ…ッ…ぐぬああああ!!」
神羅「ううっ…あぁ…!」
ヌエ「コイツ…ッ…人間の分際で…!」
清那の抵抗によってヌエに生じた隙を突いて神羅は弾丸の如き勢いで赤黒いオーラを纏った右脚による回転跳び蹴りを叩き込み、ヌエを吹き飛ばす。
しかし、神羅自身も激しい反動ダメージを受けて地面に転がる。
ヌエ「殺してやる…!」
「その辺にしておきたまえ」
ヌエ「っ!ヌラリヒョン様!?」
神羅「ヌラリヒョン…?」
真黒「…っ!」
想定外のダメージを負い、怒り心頭のヌエだったが、それを諫めるように現れたのはヌラリヒョンだった。
ヌエ「ヌラリヒョン様…何故…」
ヌラリヒョン「君はまだ、その力に馴染んでいない。今のまま戦い続けるのは無益だよ」
ヌエ「……承知しました」
ヌラリヒョン「ご機嫌よう、仮面ライダー神羅君。ウチの部下が世話をかけたね」
神羅「待てっ!」
真黒「…逃げ…られた…っ!」
神羅「クソッ!…うぅ…うあああっ!!」
澄香「っ!?先生!先生!」
真黒「先生…!」
ドス黒い靄の中に消えて行こうするヌエとヌラリヒョンを逃すまいと、神羅は手元にあった闇夜月を投擲するが、抵抗も虚しくヌエとヌラリヒョンは靄の中へと消えていく。
そして、それに対して強い苛立ちを見せた神羅の身体に激しい火花が散り、強制的に変身を解除されるのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
夜御哉「…どうやら神話ドライバーの副作用だな」
澄香「えっ!?藍羽先生は効かないんじゃないんですか!?」
夜御哉「だからといって限度がある。全てを無効化出来るというわけではない、ということだろう」
澄香「そんな…」
夜御哉「短期間に酷使しすぎたのも原因だな。寧ろ聖でなかったらとっくに死んでるよ」
澄香「そう…ですか…」
ベッドに横たわる聖。その原因が神話ドライバーにあると知り、澄香は顔を曇らせる。
真黒「…それで、先生は大丈夫なんですか?まさか死んだりなんて…」
夜御哉「取り敢えずは問題ない。流石に変身はさせられないが…暫くすれば体力も戻るだろう」
真黒「……なら良かったです」
夜御哉「それとな、真黒君」
真黒「…なんですか?」
夜御哉「清那君の件だが…君達が持ち帰ってきたヌエの皮膚片を調べてみたのだが…」
真黒「何か分かったんですか!?」
夜御哉「ああ」
夜御哉は神羅の攻撃に落ちたヌエの皮膚片を調べたことで分かったことがあるのだと真黒に伝える。
夜御哉「…どうもこの皮膚片、黒い靄のような物質が凝縮して生み出されているようでね」
真黒「黒い靄…そういえば奴の身体から放たれていました」
夜御哉「そしてどうやらこの黒い靄には時間の流れを異様に遅くする機能があるようなんだ」
真黒「は?」
夜御哉「つまり、この黒い靄の中に包まれたものは、非常にゆっくりとした時間流の中に閉じ込められる。そして、ヌエは自身の強化のための“パーツ”と清那君を表したのだろう?」
真黒「はい」
夜御哉「それらの事実から導き出せるのは…恐らく清那君はまだ死んではいないし、当分死にはしないだろう」
澄香「本当ですか!?」
真黒「…そう、なのか……なら、まだ…」
夜御哉「ああ。まだ希望はある。ヌエは自身の力を高めるために朱井家の有望株たる清那君を欲した。その力を取り込むことで自身のパワーアップに繋げたかったからだ。殺してしまっては当然その才能は扱えなくなる。そして…聖を助けるために彼女が内部から抵抗したのであろうことこそが、その何よりの証拠だ」
真黒「じゃあ…朱井さんを…助け出せる可能性はまだ残ってる…ってことか」
夜御哉「そうだ。…だから、その方法を探す手伝いをしてほしい。…頼めるだろうか」
澄香「勿論です!」
真黒「答えるまでもありません!…あ、けど黄坂さんは弥城市の大学に行くんだっけ?」
澄香「!そうですけど…大切なお友達のためならそんなこと…」
真黒「いや、ちゃんと行った方がいいよ。帰ってきた時、自分のせいで黄坂さんが進路を諦めてる方が辛いだろうからね。僕はこっちに残ってるし、黄坂さんは弥城から協力をお願い」
澄香「…分かった。けど、本当に大変な時とか、辛い時はちゃんと言ってね。……約束だよ」
真黒「…分かった。約束するよ」
清那は生きている。その可能性を信じ、ヌエから助け出すための算段を立てる真黒達。
そして、澄香は真黒とある約束を結ぶが…その約束は結局、果たされることはなかったのだった…。
真黒(朱井さん…必ず助け出してみせる。今度こそ…もう二度と僕の大切な人を失って堪るか…!)
⭐︎⭐︎⭐︎
季節は巡り…春。そして、運命の種もまた、巡り巡って…新たな世代へと根づこうとしているのだった…。
時雨「照羅巣高校…入るためには勉強頑張んないと…!」
「何してんだ時雨ー、置いてくぞー」
「そーだぞー」
時雨「あっ、ごめんごめん!今行くよ!」
聖「……もう春か。…おっといけない。感傷に浸ってる場合じゃないな。明日は初授業の日なのだから…気を引き締めないと」
照羅巣高校の看板を前に気合を入れ、共に歩いていた友達に呼ばれて駆けていったこの中学生こそが、新たなる物語の主人公に選ばれることになるのは…また後の話である。
ヌラリヒョン「…これを君に授けよう」
都黎「ありがたく頂戴いたします」
ヌラリヒョン「これからも励みたまえ…強くなれるよう、ね」
都黎「はい」
凪桜「……都黎…」
世模継学院高校にて、闇夜月をヌラリヒョンから受け取る都黎、そしてその様子を眺めるのは凪桜。
彼らもまた、次世代の物語を動かしていくことになるということを…今はまだ、誰も知らない。
真黒「……待っててくれ朱井さん。いつか必ず…君を救ってみせるから。この命を…懸けても…!」
そう呟くと、真黒はしまわれていた焚書ドライバーへ手を伸ばすのだった…。
ここまでご覧いただいた皆様、ありがとうございます!
今回をもって新羅のスピンオフは最終回となります!
物語の根幹をなしているわけではないにせよ、その始まりの物語ではあるので、こうしてスピンオフとして出すことができてよかったです!
そして、今回の話と連動するストーリーとして、真黒と清那の出会いについての物語も制作することを発表いたします!
枠としてはブルーレイの映像特典って感じです!
公開日などは詳細が決まり次第発表しますので、お楽しみに!