原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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11.橋の上の違和感

 私はモンドの町の入り口に来ていた。

パイモンと並んで、入り口の左右に並ぶベンチに腰掛けている。

 

橋の上には、何羽もの鳩がいる。

……のだが、この光景を見ていると、何だか無性にイライラする。

 

昔、この橋ですごく嫌な子供に会ったことがある。

見た目はともかく、性格と口は最悪だった。

モンドを離れ、遥か遠くのナド・クライに行っても思い出す程度には不快だった。

 

確か、鳩が好きでいつも橋の上で餌をやってる子だったと思う。

今は、橋の上にはいない……というか、そもそもこの世界にいるのかどうかもわからないが、正直いなくていい。

私に言わせれば、あの子とツァレーヴィチ……スネージナヤから来たという商人は、このモンドで最低レベルの人間だ。

 

 どちらも別に悪人などではないのだが、とにかく態度と口が悪い。

特にツァレーヴィチは、私がファデュイ関連を抜きにしても「スネージナヤ人」そのものに悪い印象を感じた要因の一つなまである。

 

今回の冒険では、あの2人のような人間に合わないことを祈りたいが、まあ無理だろう。

どんな世界にも、いろいろな人がいるものだ……今回のリサたちのように。

 

 

 

 

「あれ?なんか見たことあるやつがいるな」

 

 パイモンが反応したのは、橋を渡ってきたアンバー。

そして、その隣に立つ2人の若い女の子だ。

その2人は、どちらもどこかで見たことがあるような顔だったのだが、なぜか思い出せない。

 

「あ、旅人!」

 

アンバーは、いつも通り明るく声をかけてきた。

 

「こんにちは、アンバー。その2人は?」

 

 すると、右の女性は「え?」という顔をした。

 

「私を覚えてないんですか?この前、教会の前でお話ししましたのに」

 

そう言われて、思い出した。

この人は……私の「前の世界」の記憶になかった人だ。

 

「そうだ、リィル!あなたは、リィルって言ったよね!」

 

「ええ、そうです。……ああ、よかった。覚えててくれたんですね」

 

 リィル……茶髪の三つ編みに茶色の瞳をした、モンド教会のシスター。

モンドでは珍しい、草の神の目を持つ人物。

私と同じく、どこか別の国からやってきたという……。

 

「栄誉騎士さん、リィルさんをご存知なんですか?」

 

隣に立つ女性がそう言った。

 

「うん。あなたは?」

 

 そう言って、彼女の姿にもまた既視感を覚えた。

金髪で透き通った目の、槍を背負った若い女の子……どこかで、見たことがあるような気がする。

何だろう……正直印象は薄いけど、うっすら覚えているような。

 

 

「私はミカと言います!西風騎士団の一員です!」

 

 

 その言葉を聞いて、目を疑った。

確かにそう言われれば、ミカと同じような顔をしている……が、なんか違う。

私の知っているミカは、あどけない顔の青年……つまり、男だった。

 

しかし、目の前にいるミカは女。

これは……つまり、この世界の彼、いや彼女は女の子だということか?

いや、それならそれでも不思議はないのだが。

 

「栄誉騎士さん、あなたのご活躍は聞いていました!お会いできて、光栄です!」

 

 ミカは、そう言って頭を下げた。

その礼儀正しさと、背中の槍、そしてクロスボウは、確かにかつて見たミカのそれと同じだ。

 

「えっと……アンバー?この子がミカ、なの……?」

 

「そうだよ!わたしよりずっと、射撃が上手いんだ。クロスボウ一つで、空飛ぶ狂風のコアだって撃墜できるし、遺跡守衛の目だって簡単に打ち抜けるんだよ!」

 

その言葉にも、私は驚いた。

後者はともかく、前者は私でも難しい。

というか、この時点での私は風元素しか使えないし、仲間もほとんどいなかったから、前の世界では狂風のコアには最初すごく苦戦した記憶がある。

まあ、それは遺跡守衛もなのだが……。

 

「それで、あなたたちは何をしてたの?」

 

「リィルさんが、望風海角に行きたいって言ったからね。その護衛をしてたのよ!」

 

「え、望風海角に?」

 

「そうなの!なんか、モンドに来た時から好きらしくて。でも、1人で行くのは危ないから、わたしたちが護衛することになったの!」

 

 リィルは申し訳なさそうに、「ごめんなさい、私のために……」と言う。

しかし、アンバーは「これも西風騎士の仕事だから!」と笑った。

 

その横に立つミカも、「その通りです」と頷く。

そして、2人はこのままリィルを町中まで護衛する……と言って、町の門をくぐっていった。

その際チラッと見たが、やはりミカの神の目は氷元素のようだ。

 

 

 

 

 ミカ……か。

前回の冒険では、正直あまり交流する機会がなかったし、印象もそこまで強くなかったが、今回は違う。

何しろ、この世界で初めての……「記憶と違う」どころか、「性別が違う」人物なのだから。

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