原神IF -知っているようで、知らない世界- 作:白い花吹雪。
集合時間まで適当に時間を潰そうと考え、何か依頼は来ていないかと冒険者協会を訪ねてみた。
すると、ちょうど依頼が来ていた。
今回の依頼は人探しではなく、魔物の素材集め。
スライムの上質なピュレを5つ集めてほしい、というものだ。
「それと、今回の依頼について……依頼人からこのように伝えられています。『報酬は直接渡すので、必要な素材が集まったら、アカツキワイナリーに来てほしい』と」
なるほど、依頼人はアカツキワイナリーの人か……そう思ったと同時に違和感も覚えた。
直接報酬を渡すのなら、なぜわざわざ冒険者協会に依頼を出したのだろう。
何か、協会を通じてだと都合が悪いのだろうか。
少なくとも前の世界では、ファデュイの者ですら冒険者協会に依頼を出して、報酬を掲示していた。
こちらでは、そんなこともできない……つまりファデュイより後ろめたいことをしている人間がいるのか?
それはパイモンも気にしていたようで、キャサリンになぜ協会から報酬をもらう形式ではないのか、と尋ねていた。
しかし、キャサリンはそこまではわからない、報酬の支払いは確実だと言われているので心配はいらないだろう、としか答えなかった。
まあ、別にいいと言えばいい。
私は、あくまでもこのカウンターに来ている依頼を引き受けて達成し、報酬をもらうだけだ……前の世界のように。
「ところで、スライムの上質なピュレって何なの?」
「スライムのピュレの中でも特に上質な一すくい……と聞いています。とても冷たいので、取れればすぐにわかるだろう……とのことです」
それはわかった……だが、果たしてそんなの取れるだろうか。
スライムのピュレなら前の世界でもよく集めたが、それなりに冷たかった。あれよりさらに冷たいとなると、氷スライムから取れるものだとか、そういうことか?と思ってしまう。
そう言えば、いつだったか高濃度の元素の液体か何かをこぼしたらスライムがいっぱい集まってきた……ということがあった。
確か、あの時もアカツキワイナリーでやった。
まあ、この時はディルックがいたが。
「スライムか……でも、あいつらのピュレってもともと冷たいよな?あれよりもっと冷たいってことか?」
「たぶん、氷スライムみたいにひんやりしてるんだよ。もしくは、ドラゴンスパインの前の川の水とか」
「えっ、そんなに冷たいのか!?そんなの……まともに触ったら霜焼けになるぞ!」
パイモンの言い方は、決して誇張ではないと思う。
あそこの水は、しばらく入っていると体力をあっという間に奪われてしまうほど冷たかった。
そもそもドラゴンスパイン自体、前の世界ではモンドに来て間もない頃、興味本位で踏み込んで痛い目を見た記憶がある。
文字通り凍てつく寒さ、移動も探索もしづらい地形、見たこともない氷元素を扱う敵……。
何気に初めて宝盗団に出会ったのはあそこだった。
まさかその後、ヒルチャールとファデュイばりにどこに行っても見かけることになろうとは思っていなかったが。
「まあ、とりあえず行こう」
モンドの町を出た私は、さっそくスライムを探した。
まずは、なんでもいいからスライムを倒したい。
前の世界のスライムは、どの元素の個体を倒しても素材は同じだった。この世界でも、たぶん同じだ。
だから、まずは適当なスライムを倒して、ピュレの素材を手に入れたい。
しばらく歩いていると、小型の炎スライムが3匹現れた。
やはりというか、烈焔花の近くに群がっていた。
近くに水辺があったので、うまく誘導してまとめて川に落とそうと考えた。
適当に離れれば追ってくるので、これを元素爆発でまとめて飛ばせば簡単にできる。
何気に、この爆発を使うのはこの世界に来てから初めてだ。
「風と共に去れ!」の詠唱、そこからまっすぐに飛んでいく竜巻。見慣れていると同時に、懐かしさを感じる。
昔は、これと岩の元素力にはいろいろお世話になったものだ。
結局、スライムたちはまとめて川に落ち、即死した。それを泳いで回収すれば、作戦は成功だ。
取った素材を調べてみたが、ピュレは1つしかなかった。
まあ、レア度の高い素材だから仕方ない。
どうせ、合成台を使えばすぐ作れるし……と思って、はっとした。
今回はただのピュレではなく、特に「上質」なスライムのピュレが必要だ。
だが、果たしてこれは合成台で作れるのだろうか。
作れるならいいが、もし作れないのなら……これは、地味に難しいかもしれない。
「ん?何か考えてるのか?」
「あ、いや……何でもないよ。ただ、合成台に持っていって作れないかなーって思っただけ」
すると、パイモンはわりと真剣に考え込んだ。
「うーん……どうだろうな。ピュレの中でも上質なもの、ってことなら、ピュレをいっぱい集めて、その中から質がいいやつをとればいいのかもな。いや、確証はないけどな!」
だが、私はその意見はわりとあり得るな、と思った。
たとえ合成台で作ったものであっても、もとはスライムの下位素材なのだから、性質は天然のそれと同じだ。ということは……。
「よし、とにかくスライムをたくさん倒そう!」
私は、今ので手に入ったスライム素材をまとめてバッグに入れ、走った。
どこにスライムがいるのかは明確にはわからないが、とりあえず川辺や燃えたり凍ったりしている花の周りを探せばいるはずだ。