原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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16.狩りと戦わない選択

 モンドに戻り、合成台でスライムの下位素材を複数個使ってピュレを合成し、その中に上質と言えそうなものがないか調べてみた。その結果、1個だけだが確かにそれらしいものができた。

従って、合成台を併用して集めるのも有効だとわかった。

 

それからは町の外に出て、しばらくあちこちでスライムを倒し、素材を集め続けた。

何気に、こうしてスライムを狩るのはすごく久しぶりだ。前の世界でこんなことを最後にやったのは、いつだったか……もはや覚えていない。

 

 一方で覚えている……というかわかるのは、なぜスライムを狩るということを長い間しなかったのか、という疑問に対する答えだ。

 

探索をしていると、ヒルチャールやトリックフラワーといったスライム以外の敵も少なからず出てくる。

これらも倒すと、結果的に副産物のような形で大量の別の素材が取れることになる。

 

 つまり……前の世界では、こうして不特定多数の種類の敵をたくさん倒す、ということを日常的に行っていたおかげで、スライムだけを狙って狩るということが少なかったのだ。

 

おまけにこれらの敵は、倒すとモラを落とす。

1体辺りの額はわずかだが、かき集めればバカにならない額になる。

……「精鋭狩り」という言葉が頭に浮かんでくるのは、何故だろうか。

 

 

 途中でファデュイの先遣隊も見かけたが、こちらは可能な限りスルーした。

彼らはやたら種類が多く、しかも大半がシールドを張ったり回復したりと厄介なことをしてくるため、今の私1人では勝てない……というか、厳しいからだ。

 

ふと思い出したが、ナタには異様なまでに強いファデュイの先遣隊もいた。感覚的に、フィールドをうろついている敵としては最強レベルだったと思う。

 

 似たような強敵とはフォンテーヌの辺りから戦う機会があったが、そんな中でも特に印象強いのがあの3人組だ。

なんなら、そこらの執行官より強いかもしれない……と思うほど苦戦した記憶がある。

 

この世界にも、彼らのような強敵がいるのだろうか。

まあ、前と同じなら早くてもフォンテーヌか、璃月の沈玉の谷まで行かないと出てこないはずだから、今は安心していいだろうが。

 

 

 

 

「ん?何か、気配がしないか?」

 

 パイモンにそう言われて辺りを見回すが、何もいない。

あるのは、豊かな草原と岩、木、そして崖ばかり。

 

もしかして……と思い元素視覚を使うと、案の定私のすぐ後ろに妙な反応があった。

一見すると普通の草だが、わずかに動いている。

 

「……いるね」

 

 私はその方向に手をかざし、元素スキルを使う。

すると、地面から緑のスライムが出てくる。

 

「うわ!?……そうか、草スライムだったのか!」

 

「擬態してたんだよ。……上手に隠れるよね」

 

言いながら剣を振るい、スライムをバラバラにする。

その素材の中にはピュレがあり、さらにその中に上質なものは……あった。

 

「よし、これで2つ目。あと3つだ」

 

 前の世界の時からそうなのだが、草スライムには地味に手を焼かされる。

擬態して隠れて、こちらが気づかないうちに近づいてきて、小突いてくるのが実にうざったい。

 

大きいものは花に擬態していて、慣れればわりとわかりやすいからまだいい。

小さいものは草に擬態しているので、慣れていてもわかりづらいことがある。

 

 擬態している状態では大半の攻撃が通らないし、見ているとなかなか出てこない。

なので燃焼反応を起こしたり、風で無理やり吸い上げたりして引っ張り出すか、わざと背中を向けて向こうから出てくるように仕向けなければならない。

 

このせいで、草スライムはスライムの中でも厄介な敵だという印象が私の中にある。

簡単に壊せる装甲を纏う岩スライムのほうが、まだましだ。

 

 

 

 その少し後、空中を飛ぶ緑色の球体……狂風のコアを見かけた。

幸い、気づかれる前に距離を取ることができた。

 

狂風のコア。忘れるはずもない、モンドに来てほぼ初めて苦戦させられた敵だ。

始めのうちは、こいつと遺跡守衛はなるべく避けるようにしていた。

 

 まず、基本的に高いところを浮遊しているので、攻撃を当てにくい。

降りてくることはあるが、その前にはある種の吸引攻撃をしてきた上で落下してくるので、近づくだけでも一苦労だ。

 

次に、風の元素生命なので風元素の攻撃が一切通らない。

これはスライムなどと同じだが、スライムよりタフな分削るのに時間がかかる。

 

風元素しか使えない今は、実質的に剣だけで戦うことを強制される状態になるのだ。

それも、大半の時間がが上空のコアを見ながら攻撃から逃げ惑うことになる。

 

 そして、こいつのドロップは何もない。

一応モラは落とすが、それ目的なら別の敵を倒したほうがまだ旨味がある。

 

しまいには、こいつはモンドのあちこちで出てくる。

まだ仲間が少なかった頃は、任務の途中に出てきたりされると嫌になったものだ。

 

 あまりに露骨に避け、嫌な顔をしたせいか、パイモンに「もしかして、あいつが怖いのか?」と心配された。

無論、そんなわけはない……いや、ある意味トラウマだが。

 

「あれは風の元素生命、風の元素力ではダメージを与えられない。今は、戦わないほうがいい」

 

私がそう言うと、パイモンは納得したようだった。

 

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