原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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17.変わるものか、変えるものか

 その後しばらくスライムを狩り続け、ようやく必要な分だけの上質なジェルを集め終わった。

 

気づけば、もう夕方になっていた。

そろそろ、モンドの町に戻らないと。

もっとも、私たちにはワープポイントがあるので、その気になればすぐ戻れるのだが。

 

 その旨をパイモンに話したら、「ワープポイント、便利だよな」と言いつつ、小さな疑問を口にしていた。

 

「そういや、おまえはワープポイントのことを最初から知ってたよな。オイラが説明するまでもなく……まるで、前から知ってたみたいに」

 

「そう……だね」

 

そこで、パイモンは私をまじまじと見てきた。

 

「これ……いやまあ、気のせいかもしれないけどさ。前々から、おまえの会話に変な感じがしてたんだ。もしかして、おまえは昔……この世界に来たことがあるんじゃないか?」

 

 非常食にしては鋭い。

いや、前々から鋭いところはあったが、ここまで私のことをしっかり観察しているとは思わなかった。

 

まあ……パイモンになら、話してもいいだろう。

今回もまた、私の旅のガイドになるのだから。

 

「実はね……」

 

 

 

 

 

 事情を話すと、パイモンは「ふーん……」と言って腕を組んだ。

 

「同じような世界の記憶……か。不思議な話だけど、絶対にあり得ないとは言えないし、気のせいとか妄想だと決めつけるのも乱暴だな」

 

どうやら、信じてくれるようだ。

ここではないけど、ここに限りなくそっくりな世界に一度来たことがある、これから起きる運命を知っている……なんて話、信じない人のほうが多いと思う。

 

でも、パイモンは信じてくれるようだった。

しかも、「それならそれで、おまえのするべきことは明確だな」とも言った。

 

「どういうこと?」

 

「未来に起きることを知ってるんなら、未来を変えることだってできるんじゃないか?オイラたちは普段、何気ない行動で未来を変えることがあるけど……今のところの未来がわかってるというだけでも、違うと思うぜ?」

 

 それは、確かにそうかもしれない。

だがそうだとしても、私は別の点で不安がある。

 

「未来を変えて、その結果どんなことが起きるか……そんなことをあちこちでやってたら、いや、たった一度未来を変えただけでも、遠い先の未来が大きく変わるかもしれない。もしそれが、私や世界の運命を大きく揺るがすことになったりしたら……」

 

未来を変えるという行為は、相応のリスクを伴うものだ。それに私はあくまで、未来を予知する能力を持っているわけではないし、それに責任を持てるわけでもない。

 

自分の行為で起きる運命の改変がどんなものになるのかがわからず、またそれに責任を取り切れると断言できない以上、そう簡単に未来を変えていいのか疑問に思う。

 

「まあ、それはそうだな。でも、未来って……運命って、そんなものじゃないか?」

 

 パイモンの言葉に、私は彼女の目をまっすぐ見た。

 

「未来ってやつは、意外と簡単なことで変わったりするよな。ってことは、その結末も意外と簡単だったり、単純なものなんじゃないか?」

 

「……え?」

 

「そりゃ、すごく悪い方向に行くこともあるだろうさ。けど、逆にすごく良い方向に行くこともあるかもしれない。第一、未来が変わって、その結果どうなるかなんて、誰にもわからない」

 

ある意味合成台みたいなものかもな、とパイモンは続けた。

 

「例えば……そうだな、聖遺物巡廻ってやつ。あれも、満足いってない今の状況を変えるためにやることだろ?それを実践するのは簡単だけど、その結果がどうなるかはわからない。良くなるか悪くなるかなんて、誰にもわからないだろ?やってみるまでは」

 

そう言われると、確かにそんな気がする。

正直、あれは一種のギャンブルだったが……「自分の行為で、何がどうなるのかわからない」という意味では、同じものがあるかもしれない。

 

「……パイモンに、そんなことを言われるなんて」

 

「だろ?オイラだって、たまにはいいこと言いたいからな!ふふん!」

 

 それにしても、なぜパイモンは聖遺物巡廻のことを知っているのだろう。

少なくとも、この世界に来てからはまだやっていないのだが。

 

それを言ったら、「オイラにもよくわからない」という答えが返ってきた。

 

「変だと思うよな?……オイラだってそう思うぞ。でもな、何というか……勝手に頭に浮かんでくるんだ。おまえがいろんなアクセサリーを……聖遺物を集めて、合成台の前に立って、何個かそれを使って新しいやつを作る、聖遺物巡廻ってやつをやってる光景が……」

 

 それはまあ、なんとも不思議な話だ。

もしかしたら、パイモンにも何か秘密があるのかもしれない。

 

「そっか。まあ、とりあえずモンドの町に戻ろう。依頼人にこれを渡してから」

 

アカツキワイナリーの近くのワープポイントは、まだ解放していない。

つまり、一度は向こうまで足を運ばなければならない。

だが、現在地からすると、歩いて15分程度で着ける。

 

今は夕方といっても16時過ぎだし、依頼を出した本人はまだいるだろう。

どんな人なのか知らないが、今のうちに依頼のものを渡してきてしまったほうが良さそうだ。

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