原神IF -知っているようで、知らない世界- 作:白い花吹雪。
「ふう……」
リィルと共にコアを撃破したリサは、こちらを見てきた。
「あなたたち、ケガはなかった?」
「私は大丈夫。彼らは……」
そう言いながら3人のほうを見たが、みんな腰を抜かしたように座り込んでいるものの、ケガをしている様子はなく、パイモンも「オイラが見た限り、こいつらもみんな大丈夫そうだぞ!」と言ってきた。
「それなら良かった。でも、念のため……」
リサはリィルの顔を見る。
リィルは頷き、手に緑の球体を浮かべた後にそれをゆっくりと浮上させ、破裂させた。
その際に「生ある者へ!」と詠唱していたこと、さっき使っていた技がおそらく元素スキルで、今のと違うことから、今のは元素爆発だと直感した。
そして、これによって私たちみんなの傷が回復した。
まあ、大した傷はなかったのだが、それでも痛みも瞬時に消えたので、どちらにせよ助かった。
「ありがとう。助かったよ、2人とも」
「お礼なんていいのよ。私たちは、たまたま通りかかっただけですもの」
「皆さんに大したケガがなくて……私の元素爆発が効いて、良かったです」
その言い方に引っかかりを感じたのか、パイモンが「ん?おまえの元素爆発って、回復するやつじゃないのか?」と尋ねた。
「ええ、そうなんですが……あまり使ったことがなくて。元素爆発で複数人を一気に回復するのは、バーバラさんのほうが得意ですし」
聞いたところ、リィルの爆発は「草元素ダメージを広範囲に与えつつ味方を回復し、その後しばらく持続回復を行う」というものらしい。
何というか、バーバラの爆発を草元素にして、その瞬間の回復量が落ちる代わりに攻撃もできるようにした……というような感じだ。
また、リィルの使う武器はバーバラと同じく法器で、遠距離攻撃ができるが、威力はさほど高くないらしい……ますますバーバラに似ている気がする。
ただ、リィルはあくまで爆発でしか回復ができず、スキルはさっきのように草元素攻撃をするだけのようだ。
「……それで?あなたたちは、なぜ狂風のコアに襲われていたの?」
リサが、襲われていた3人のほうを見る。
それぞれは銀髪の短髪、黒髪の短髪、茶髪に眼鏡をかけた男だった。
「あ、あのコアは……」
そう語る眼鏡の男に、黒髪の男が待ったをかけた。
「あー、違う違う!いや、あの……その、だな。俺たち、ちょっとわけがあって、風元素の液体?を運んでたんだ」
元素の液体、という言葉に私は反応した。
「それ、どういうやつ?見せてもらえる?」
「え……?まあ、見せるくらいならいいか。な、そうだよな……?」
黒髪の男は、他の2人の顔色をうかがいつつ、それを取り出した。
「ほら、こういうやつだよ」
それはガラス瓶に入れられた、透き通ったきれいな緑色の液体。
なんだか、かつて使っていた「オイル」を思い出す。
「これを持っていたから、狂風のコアに襲われたの?」
「たぶんそうだと思うんだ。今までもあの魔物を見かけたことはあったが、こいつを手にした途端、襲ってくるようになったんだ。いや、襲ってくるというか……まるで、遠くからつられて来てるような……」
すると、銀髪の男が彼を横目で睨みつけ、彼はそれに気づいて言葉を切り、口元を手で押さえた。
この男たち……怪しい。
まず間違いなく、何かを隠している。
「そ、そうだ!例の依頼、受けてくれたんだろ?」
「依頼?」
「ああ!ほら、あのスライムの上質なピュレを集めてくれ……ってやつ!あれ、引き受けてモノを持ってきてくれたんだろ?」
そこで、私は「ふーん?」と一声唸った。
「そんなこと、一言も言ってないんだけど?」
すると、男たちは「しまった」という顔をした。
と、突然リィルが「あっ!」と声を上げた。
「この人たちの顔、見たことあります!1週間くらい前に、ドーンマンポートで盗みを働いて逃げた宝盗団のメンバーです!」
「……えっ!?本当か!?」
パイモンが驚いている間に、眼鏡の男は舌打ちをした。
「なんだ、知ってたのか嬢ちゃん……そんなら仕方ないな」
男はどこからともなくナイフを取り出し、残りの2人もクロスボウを取り出した。
その姿は、まさしくかつて遭遇した宝盗団の団員のそれだ。
前の世界では、モンドではほとんど見かけることはなかった人間勢力だが、今回は普通にいるのかもしれない。
「バレちまっちゃあしゃーねえ。悪いが、みんなしてここで消えてもらうぜ!」
その声といい口調といい、典型的な宝盗団の下っ端だ。
見た目からしても、恐るるに足りない相手だとは思うが、油断は禁物だ。
「仕方ないね……リサさん、リィル、また協力をお願い!」
「ええ、もちろんよ」
「前は逃げられましたが、今度はそうは行きません!必ず、捕まえます!」
リサとリィルが構え、パイモンが後ろに下がり、この世界で初めての宝盗団との戦闘が始まった。