原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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23.帰らない2人

 15時まであと2時間を切った13時過ぎ、妙に慌てた様子で走っていくバーバラを見かけた。

声をかけたところ、奔狼領に行ったはずのベネットとモナがもう3時間も帰ってきておらず、心配なので見に行こうとしていた、とのことだった。

 

ベネットはわかるけど、モナも?と一瞬思ったが、前も2人は一緒にいたし、不思議ではない。

というか、もしかしたらモナはベネットのお目付け役をやっているのか?

 

そう思って聞いたら、正解だった。

 

「ベネットは、1人だとどこで何があるかわからないからね……!町の外に出る時は、できるだけ神の目を持つ他の人と一緒に行動してもらうことになってるの!」

 

 まあ、賢明な判断だろう。

特に奔狼領と来れば、真っ先に獣域ウルブズが思いつく。

そんな危険地帯に、ベネットが1人で行けばどうなるかは、考えてみるまでもない。

 

しかし、前の時といい今回といい、なぜモナと?

彼女は……いや、別に弱くはないが、ベネットと一緒に戦っている光景はちょっと想像がつかない。

そして、ベネットにしろモナにしろ、純粋なパワーは決して高くはない。

 

ひょっとして、ベネットのスキルや爆発のあとにモナが攻撃して、蒸発を起こす……なんて戦略があるのだろうか?もしくは、モナの爆発で敵を拘束して、逃げる時間を稼いでいるとか……。

 

 いずれにせよ、バーバラはこれからそんな2人が今どうなっているか見に行くらしい。

そして、そこにさらなる援軍も登場した。

 

「騒がしいわね……あら、君たちは」

 

その声の主は、ロサリア。

バーバラと同じく、モンドのシスターだ。

まあ、風神を信仰しているわけではないし、飲酒も喫煙も普通にしているし、シスターと呼ぶにはちょっと俗っぽい気はするが。

 

「おお、ロサリアか!あ、おまえはこいつに会うのは初めてかもな」

 

 パイモンにそう言われて、この世界に来てからロサリアの顔を見ていなかったことを思い出した。

肝心のロサリアは、私とは(一応)初対面だというのに、なんだか馴れ馴れしかった。

……いや、それが彼女という人なのだが。

 

「ちょうど良かった、ロサリアさんも来てくれない?ベネットとモナが、奔狼領に行ったきり3時間も帰ってこないの!それで今、探しに行こうと……!」

 

バーバラが説明するも、ロサリアは冷たい反応を見せた。

 

「あの子たちが?はあ、困ったものね。でも、そのうち帰ってくるんじゃない?いくらなんでも迷うはずないし」

 

「そうじゃなくて!奔狼領だよ?2人がどんな危険な目に遭うか、わからないじゃない!あの辺りには、アビスの魔物もいるって言うし!」

 

 それは獣域ウルブズのことか、 それともアビスの魔術師のことか……どちらにせよ、危険な魔物だというのは間違いない。

 

モンドでアビスの魔術師と言うと、図書館の本を巡ってちょっときた騒ぎを起こし、最後はリサを怒らせ、感電死させられた個体のことを思い出す。

まあ、前の世界のことだし、ずっと昔の話だが。

 

「そういやそんな話もあったわね。でも、モナが一緒なら何とかなるんじゃない?」

 

「それはどうだろう。モナもベネットも、敵を倒すことに長けているわけじゃない。何かに襲われていたら、私たちが援護しないと」

 

 私は思わずそう口走った。

しつこいようだが、2人とも決して弱いわけではない。しかし、単独で敵をなぎ倒せるかと言われると否だ。

蒸発を起こせれば多少は削れるだろうが、それでも2人だけでは心もとないことに変わりはない。

 

「それなら、君たちが行けばいいわ。私は面倒ごとは嫌だからね」

 

冷たいな……と思ったが、その直後にロサリアはこう言った。

 

「でも、ベネットにしろモナにしろ、モンドではそれなりに重要視されてる人間だからね。ベネットはともかく、モナに怪我でもされれば目覚めが悪いし……仕方ないわね」

 

 ベネットはいいのか……?と思ったが、思えば彼は怪我など日常茶飯時で、それをバーバラが治す……という展開がモンドの1つの日常になっているという。

今のロサリアの発言は、そういう意味でのものなのだろう。

 

「えっと……とりあえずロサリアも来てくれるんだな?」

 

パイモンが確認すると、ロサリアは頷いた。

 

「やった!ロサリアさんが来てくれるなら、心強いわ!」

 

 バーバラはそう言うが、彼女とロサリアは、戦闘面においてはあまり相性が良くなかった気がする。

ロサリアの爆発は範囲内に氷元素をばら撒くが、バーバラは元素スキルで自分に水元素を付着させるから、簡単に凍結を起こしてしまっていたような記憶がある。

 

とはいえ、モナや私の方で敵をうまく引きつけられればごまかせるだろうし、何よりバーバラは戦闘というより回復が主な仕事だ。

ロサリアの爆発の領域内に入らないようにしてくれれば、問題はないはず。

 

「奔狼領となると、ちょっと遠いね」

 

「そうね。湖を渡っていければ、一直線なんだけど」

 

 風の翼で飛び越えていくのは無理があるし、それなら氷の元素スキルや爆発で湖を凍らせて……と言いたいところだが、あいにくロサリアではそんな海渡りみたいなことはできない。

せめて、ガイアか綾華がいてくれれば別だったのだが。残念だ。

 

「そんなことしたら、岸にたどり着く前に溺れちゃう。おとなしく、橋をわたって回り道していこう」

 

バーバラにそう言われて納得したが、前の世界ならワープポイントを使ってひとっ飛びだったのに……そう思ってしまった。

いや、この世界の奔狼領にもワープポイントがあるとは限らないのだが。

 

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