原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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24.奔狼領の先遣隊

 モンドの町を飛び出して奔狼領に行くまでの間、何もなければいいな……と思ったのだが、あいにくそうはいかなかった。

 

町を出てしばらく進み、もう少しで奔狼領に着くというところで、ファデュイの先遣隊が現れた。

 

突然背後から声をかけられたと思って振り向いたら、大柄な氷の重火器を担いだ男と炎の銃を持った男がいた。

また、その背後には見覚えのある青いテントがあった。

 

「誰だ?何のために来た?ここから先は立ち入り禁止だぞ」

 

「そうだ、立ち入り禁止だ。痛い思いをしたくなきゃ、黙って帰るんだな」

 

 2人の背後には、口こそ挟んで来ないもののこちらを見つめる雷ハンマーが立っている。

3人は格好や体型は違えど、元素力を扱う武器で武装し、仮面をつけていることは共通している……こちらの世界でも、ファデュイはみんな仮面を被っているのか。

 

「えぇ……!?どうしてよ!」

 

「そうだぞ!ここは、別におまえたちの土地でも何でもないだろ!」

 

バーバラとパイモンが文句を言うが、炎銃と氷銃は「この先は立ち入り禁止だから帰れ」という旨の発言を繰り返すばかりだ。

まあ、わかりきってはいることだが。

 

「しつこい奴らだな……いいか?これ以上ごねるんなら、怪我をしても知らないぞ!」

 

 炎銃がそう言ってきたが、誰もそれに怖気づいたりはしない。

むしろ、より強く反論した。

 

特にロサリアは、「あなたたちの上官は、これで私たちを止められると思ってるの?」などと、彼らの神経を逆撫でするような言動をした。

まあ、ロサリアの性格からすると妥当……というか自然な反応だが。

 

「なにい?おまえ、言ってくれるなあ?」

 

「へえ……?姉ちゃん、なかなか面白いこと言うじゃないか。その度胸だけは褒めてやる」

 

 2人は銃を抜き、全身からオーラのようなものを一瞬噴き出した。

おそらく、元素シールドを張ったのだろう。

 

そしてそれを見て、後ろにいた雷ハンマーもこちらに近づいてきた。

当然の如く、こちらも雷元素のシールドを張っている。

 

雷ハンマーは「速戦即決だ!」と言い、思い切り振り上げたハンマーを振り下ろしてくる。

氷銃は「凍ってしまえ」炎銃は「バーベキューの始まりだ!」と言って、銃から氷や炎を放ってきた。

 

何気に前の世界の彼らとは微妙に違うセリフだが、別に気にすることでもないだろう。

今のところ、攻撃自体は前とほぼ同じものだし。

 

「ロサリアは雷を狙って!バーバラは……私と一緒に、炎を!」

 

 彼女たちは、今までにファデュイの先遣隊と戦ったことはないらしい。そんな2人とこいつらを戦わせるのはちょっと申し訳ないが、仕方がない。

 

ちなみに、少なくともロサリアに関しては、元素スキルを連発することができるようだ。

槍に氷を纏わせ、突っ込んで薙ぎ払う……というお馴染みの動きを、発動後5秒どころか2秒もしないうちにまた発動していた。

 

ただ、さすがに元素爆発はそうは行かないらしい。

まあ、こちらはエネルギーを貯める必要があるし、いわゆる大技にあたるものだから仕方ないが。

 

 

 

 ところで、こいつらは地味に強い。

雷ハンマーは、ロサリアのスキルを5発連続で食らってもシールドが消えないし、炎銃もバーバラの攻撃を7発、私のスキルを2回当てても何食わぬ顔して火炎放射をしてくる。

もちろん、削れてはいるだろうが。

 

元からやや硬めの元素シールドを張ってくるやつらなのは知っていたが、今回は妙に硬い気がする。

いや、もともと今回の私たちの元素の組み合わせとは相性があまり良くないのだが。

 

 雷はロサリアの氷で削れるし、炎はバーバラの水で対処できる。ただ、彼女は何分スキルで自分に水元素を付着させるため、先遣隊とは相性が悪い。

実際、何度か凍結や蒸発、感電反応を起こされていた。

 

バーバラでなくとも、氷銃の攻撃の後に他の2人の攻撃が飛んでくると溶解や超電導反応を起こされる。

溶解はダメージが増えるし、超電導も防御力が下がるからどちらにせよなかなか痛い。

 

私は、前の世界のナタで戦った異常に強いファデュイを思い出した……ちょうど、こいつらと同じ炎・氷・雷の先遣隊の組み合わせで、私だけではとても倒せない相手だった。

まあ、あちらはシールドだけでなく、倒れた時に他の2人に異常なバフを配るのが厄介だったのだが。

 

 

 最も、まったく成すすべがないわけではない。

彼らのシールドには拡散が効くから、私の元素攻撃で削ることはできるし、氷は炎、雷は氷を拡散すればより削りやすくなる。

 

それに彼らはアビスの詠唱者などと違い、シールドを剥がせなくてもダメージは通る。

ナタの例の3人組のようにバフを配ったりするわけでもないだろうから、詰んではいない。

 

とはいえ、このままではどちらにしてもちょっと不利だ。

せめてジンがいたら、拡散しつつ回復もしてくれたのだが……。

 

 

 そんなことを考えていると、なんと雨が降ってきた。

これにより、喜んだ者と落胆した者がいた。

 

まず喜んだのはロサリア。

雨は水付着も行ってくれるため、その状態で氷元素を当てれば当然凍結が起きる。

これは、ロサリアからすればまさしく天の助けだろう。

 

ただ、それは向こうの氷銃も同じ。

雨が降ってきたということは、私たちみんなが常時水付着状態……つまりバーバラのスキル使用時と同じような状態になったとも言えるので、氷銃の攻撃には警戒しなければならない。

 

 一方で、相手の炎銃は逆だった。

雨は言わずもがな水元素を含んでおり、炎銃にとっては当たるだけでシールドが削られていく、まさしく天敵。

何なら、またシールドを張ってもすぐに消えるというおまけまでついてくる。

 

雷ハンマーに関しては、一応感電が起きるが……まあ、こちらはほぼシールドに影響がないので、あまり問題はない。

 

 総括すると、この雨は私たちにとっても向こうにとっても有利な状況を作り出した。

ここからどうやっていくか……技術だけでなく、頭も使っていく必要がありそうだ。

 

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