原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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25.雨空の足止め

「くそっ……!雨は、嫌いだ……!」

 

 炎銃はたちまちシールドが立ち消え、膝をついてうなだれる。

雷ハンマーが駆け寄るが、そこにロサリアの元素スキルが飛び、雷シールドが消滅する。

 

そこでロサリアが元素爆発を使うと、2人はたちまち凍結した。

ラッキー!と思いきや、氷銃が飛びかかって間に入ってきたせいでそのまま攻撃はできなかった。

 

「おまえたちも、凍ってしまえ」

 

 氷銃の氷元素放射は、食らえば氷付着が起きる。

そうなれば、今は雨が降っているから、あの2人と同じように凍結を起こされる。

 

正直、雨の日にこいつと戦うのは避けたいのだが……仕方ない。

私は氷銃の後ろに回り、元素スキルを使った。

 

「……風刃!」

 

 今回は拡散を起こしたいので、いつものように風を掌に握りしめてすぐ放つのではなく、可能な限り掌に留めてチャージした。

こうすると放った時の威力が上がるだけでなく、溜めている間は軽い敵を引き寄せ、連続で拡散を起こすことができる。

 

前の世界でも、こいつらや雷蛍術師のように冒険の序盤で出てきて、元素シールドを張る相手には拡散がよく効いた。何なら、効きづらいのは風の先遣隊くらいなものだった。

風スライムや狂風のコアは元素生命なので、もともと風元素は効かないし。

 

 ……なんてことを考えていたら、氷銃が振り返って冷気を私にも当ててきて、凍結を起こされてしまった。

ハメられる……と思いきや、ロサリアが槍で薙ぎ払いつつ蹴り飛ばして氷砕きを起こし、凍結を解除してくれた。

わずかにダメージを受けたが、あのまま凍結ハメされるよりはマシだ。

 

私の風元素スキルは、拡散をたくさん起こそうとすると長時間その場に留まるため、隙が大きくなる。

今回は、その点を見事に突かれてしまった。

かといって、スキルを使いながらの移動はバランスを崩す恐れがあり、できない。

これは、前の世界でもかねがね思っていた私の弱点……というか問題点の1つだ。

 

「大丈夫?」

 

 バーバラが回復してくれたが、正直元素スキルは使わないでほしかった……いや、どうせ雨降りだから同じことだけど。

 

幸いにも氷銃の攻撃は冷気放射とジャンプくらいしかなく、避けるのは容易い。しかし、こちらからシールドを

削るのがとにかく難しい。

拡散を起こせば削れる。でもそれを私がやるには、奴に接近して長時間スキルを使い続けなければならない。

その間に動かれたり、凍結を起こされれば終わりだ。

 

 厳しい状況だけど、頑張るしかないな……。

そう思っていた矢先、思わぬ助けが現れた。

 

氷銃の目の前に、突如として奇妙な人形が転がってきたのだ。

その人形は、私にはすぐにわかった──アンバーの人形だ。

 

「んん?なんだ、こいつは?」

 

 氷銃がそれに注目している間に、私は距離を取った。爆発に巻き込まれないためだ。

 

人形はキョロキョロとかわいらしく動き、氷銃の目線を釘付けにする。

そしてその数秒後、盛大に爆発した。

 

「ぐわっ……!」

 

 爆発の火は周囲に引火したりはしなかったが、中途半端に残っていた氷銃のシールドを削りきるには十分だった。

さらに、氷銃が座り込んだところに、聞き覚えのある声と炎の矢の雨が降ってきた。

 

「雨のような……矢を!」

 

それにより、氷銃は致命的なダメージを受けたようで、「温度が……高い……」と呟いて倒れた。

それを確認して、木の上からアンバーが降りてきた。

 

「アンバー!おまえ、いたのか!」

 

パイモンの明るい声に、アンバーは「たまたま来てたんだよ」と答えつつ、背負っていたカゴを下ろした。

そのカゴには、何十個ものググプラムが入っていた……アンバーは嫌いだと思ったのだが、もしかして誰かに頼まれたのだろうか。

 

 ちなみに、炎銃と雷ハンマーはバーバラとロサリアの攻撃で削られており、そこに私が参戦して雷ハンマーに元素スキルを使い、残りわずかなシールドを拡散で削りきった。

 

そして、そこからは楽だった。

雨とバーバラの攻撃、ロサリアの爆発とスキルのコンボで絶え間なく凍結を起こし続け、私とアンバーで削る。

何気にアンバーがかなりの火力を出してくれた。彼女が弓使いで、彼らの弱点である頭部を狙いやすいのが大きい理由だろうか。

 

結果として、ファデュイ先遣隊2人をほとんど凍結ハメ同然のやり方で倒すことができた。

無論、天気にも味方された結果ではあるが。

 

「アンバー、来てくれたんだ!」

 

 バーバラが喜ぶが、アンバーは頭をかく。

 

「うーん……別に、そういうわけじゃないんだけどね。ディオナに頼まれて、ググプラムを取りに来てただけだから」

 

「え、ディオナに?」

 

「そう。なんでも、新しいお酒のレシピを思いついて、それにググプラムが必要なんだって。……もしできても、わたしは絶対飲まないけどね!」

 

 ディオナということは、もしかしてお酒をまずくするテストをしているのだろうか。

そして、この世界のアンバーもググプラムは嫌いなのか……。

 

「理由はさておき、君のおかげで助かったわ。ありがとう」

 

ロサリアがそう言うと、アンバーはやけに面食らった。

 

「え、ええ……!?ロサリアさんにお礼を言われるなんて……!」

 

「あら、変かしら?」

 

「い、いや!別に変じゃないけど……何というか……」

 

 まあ、ロサリアの性格からすると確かにすんなりお礼を言われるのは珍しいと思うかもしれない。

アンバーやバーバラなら、尚更だろう。

 

「それで?例の問題児と占い師はどうなったのかしら?」

 

そう言われて思い出した──そうだ、ベネットとモナ。

私たちは、あの2人を探しに来たんだ。

 

「そう言えばそうだったぞ!アンバー、ベネットとモナを見てないか?」

 

「いや、見てないなあ。雨降ってきたし、帰ったんじゃない?」

 

「そうかな……?でも、帰ってこれるんならもうとっくに帰ってきてるんじゃないか!?だって、もう3時間も帰ってきてないんだぞ!」

 

 パイモンの言葉に、アンバーは驚いた。

 

「え!そうなの?うーん、モナ1人ならまだしも……ベネットがいるとなると、ちょっと心配ね。わかった、わたしも探すの手伝うよ!」

 

ベネットの不運さは、アンバーも承知だったようだ。

まあ、彼には……少なくとも前の世界では、想像もつかないような事情があったのだが。

 

「ありがとな!よーし……オイラたちで、早いとこあいつらを見つけてやろうぜ!」

 

 パイモンの明るいセリフと表情は、ある種のお約束のようにすら感じる。

会話イベントの最後にこれがあってこそ、テイワットの任務だ。

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