原神IF -知っているようで、知らない世界- 作:白い花吹雪。
ハウンドはまず、私をまっすぐに見てきた……と思いきや、口から岩を吐き出してきた。
その弾速はかなり速く、見た目も相まってエンシェントビシャップを思い出した。
ただ、その直後には隙ができたので、そこをついて剣と元素スキルで攻撃した。
また、同時にアンバーの重撃の矢が向こうの頭を撃ち、バーバラの水球が顔に命中した。
それにより蒸発が起きたが、そこまで大きいダメージを与えられている様子はない……まあ、仕方ない。
バーバラの攻撃は、スキルと重ねがけして仲間を回復するという特殊な使い方をするもので、火力を出すものじゃない。
前の世界と同様、そこまで元素熟知が高いわけでもないだろうし。
獣域ハウンドは爪で引っ掻く攻撃もしてきたが、これにはやはりというか「蝕破」の効果がついていた。
攻撃自体の威力も強烈だが、それに輪をかけて体力を奪われるため、冗談抜きで一撃で瀕死になる。
蝕破やそれと似たような状態異常は、前の世界でも度々受けることがあった。でも、単体の相手から受けて、かつそれ自体が原因で瀕死に追い込まれる……なんてことはあまりなかった。覚えているのは、せいぜいナタにいたグーシィ・トースくらいだ。
その点では、バーバラがいてくれて助かった。
彼女がいなければ、私たちはあっさり倒されていただろう。
実際、今回は私とアンバーが爪の攻撃を受けて蝕破を付与され、危なくなったところでバーバラが元素爆発を使い、まとめて回復してくれた。
彼女はスキル後の攻撃でも回復ができるが、法器使いなので遠距離から攻撃でき、しかも正確に狙わなくても当たる=確実に回復してくれる、というのも利点だ。
ちなみにバーバラの攻撃が命中した後、背後に回ったロサリアが元素スキルで攻撃して凍結を起こしていた。
さらにその後元素爆発を使っていたが、どちらもハウンドは一瞬しか凍らなかった。
まあ、これについては仕方ない。凍結でまともに凍ってくれる敵は、ボスや地方伝説ではむしろ少数派だ……チェスのボスやハイジェードのように、むしろ凍結が必要な敵もいたにはいたが。
というか、この状況ではロサリアではなく私やアンバーが火力を出せるかもしれない。
今は雨が降っているから、当然場の全員が常時水付着状態になり、蒸発や拡散を狙いやすくなっている。
私は元より、アンバーもさほど熟知は高くないだろうから、過剰に高いダメージは望めない。それでも、元素反応でまともにダメージを稼げる分マシだろう。
「バーバラは下がって!後ろからスキルと攻撃で、回復をお願い!そして……アンバー!なるべく私たちで、ダメージを稼ごう!」
「え、本気で言ってるの!?あんなに強くて、おっきい魔物に……!?」
そうしている間にも、ハウンドは両手で地面を叩き、こちらの足元から岩を飛び出させるという攻撃をしてくる。
岩は円柱形で、さながら無相の岩のそれを思い出させる見た目だった。ただ、あちらと違ってすぐに砕け散り、その破片に当たるとダメージを受けた。
しかし、その砕けた岩の中の1つから奇妙な茶色い球体が出てきた。大きさは無相シリーズのコアに似ているが、明らかに違う。
とりあえず攻撃してみると、オレンジ色に変色してむくむくと膨らみ始め、数秒後にハウンドのほうに向かって飛んでいった。
それにより、ハウンドは大きく仰け反った。
これまでの私たちの攻撃では、ほとんど仰け反らなかったのに……もしかして。
そう思った直後、ハウンドは高く飛び上がって落下し、衝撃波を起こしてきた。
私はアンバーともども吹き飛ばされたが、パイモンがキャッチしてくれた。
このハウンド……普通の個体とは、明らかに攻撃パターンが違う。
いや、地方伝説なら半ば当たり前ではあるのだが、それにしても冒険を初めて早々こんなのに出くわすなんて。
隙を見て当てている私たちの攻撃は、今のところ無効化されたり軽減されている感じはない。しかし、私の元素爆発やアンバーの人形の爆風を食らっても怯まない。
やはり、さっきの岩のコアのようなものを使うしかないのか。
……いや、むしろあれこそがカギなのかもしれない。
前の世界でも、あのように「敵が設置する・攻撃の後に残るオブジェクトに何かをして反撃手段とする」という攻略は何度かあった。
実際今回も、攻撃したら膨らんで敵にダメージを与えたわけだから、ひょっとして……。
しかし、それだと反撃機会が敵の攻撃に依存することになってしまう。
それ自体が不満だが、こんな序盤にこんな強敵と出くわしてしまった以上、やむを得ないだろう。
だから私は、みんなに「攻撃はほどほどに、耐久を重視して」と言った。
攻撃をしっかり回避して、バーバラの回復が間に合っていれば、時間を稼ぐことはできる。
ちなみに先ほどの岩の攻撃はしっかり岩元素攻撃のようで、雨と反応して結晶反応を起こしていた。
当然、それを拾うとシールドを展開できる……のだが、敵の火力が高すぎて焼け石に水だし、そもそも蝕破はシールドを貫通してくるので、ほぼ意味がない。
巨体の敵の攻撃を避け続けるのはスタミナ的にきついが、避け損なえば命の保証はない。
反撃の隙は必ず訪れるはず。その時までは、何とか耐えなければ。