原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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29.雨と霧氷花

 強敵を倒して一段落、と言いたいところだがそうも行かない。

何故なら、今回の目的は別にある……ベネットとモナを見つけなければならない。

 

「しかしまああの2人、どこまで行ったのかしら。こんなに手間をかけさせるなんて」

 

ロサリアが呆れと不満が半々というような様子で言うが、まあ仕方ないだろう。

モナはまだしも、ベネットがいるというだけで、多少面倒なことが増えてもおかしくはないな、と納得できてしまう。

 

とはいえ、さすがにそろそろ見つけないとまずい。

さっきのあのハウンドに遭遇して、傷を負ってどこかに隠れている……なんてことになっていないといいが。

 

 

 

 

 しばらく彷徨っていると、ついに2人を見つけた。

……しかし、にわかに不思議な状況になっていた。

 

というのは、ベネットはなんと物言わぬ氷像となって立っており、その横でモナが頭を抱えている、という状況になっていたのだ。

 

「え……何あれ?」

 

「あれ、ベネット……だよな?なんで凍ってるんだ?」

 

 すぐにはその謎がわからなかったが、目を凝らして見て、数秒後に理解した。

凍りついているベネットのすぐ横には、霧氷花があったのだ。

 

「あっ……!そうか、凍結を起こしたんだ!」

 

「えっ!?あ、そういうことか!」

 

おそらく霧氷花を取ろうとしたが、花が放っている冷気と雨に濡れた体が反応を起こして凍結してしまったのだろう。

彼に限らず、ありそうな事態だ。

 

 こういう時は、どうすべきか。

攻撃して氷砕きを起こす手もあるが、それだとベネットに手痛いダメージを与えてしまう。

ならば、アンバーを呼んで溶解を起こさせる?いやいや、それこそバカにならない威力の攻撃と同じになる。

 

「ヤバいぞ……すぐ助けないと!」

 

「いや、それはわかるけど……どうしよう!」

 

喚いていると、モナが気づいたようでこちらを見て助けを求めてきた。

たまたま霧氷花を見つけたので、炎元素のスキルを当てて取ってほしいと頼んだところ、近づいてスキルを発動する前に花の冷気に触れ、凍結を起こしてしまったという。

 

 モナは氷砕きを起こそうと考えたが、彼女は水元素の法器使い。下手に手を出せば、氷を砕くどころかむしろ凍結時間を長引かせてしまう。

 

しかも雨が降り続いているので、モナが何もせずとも常に水元素が供給され続ける状況になっており、ベネットはずっと凍結を起こしたままになっている。

 

もはやモナだけではどうにもならない状況だが、この場を離れるわけにもいかない……というわけで、ここから動けずにいたようだ。

 

「私が、彼に霧氷花の採取を頼んだばかりに……お願いします、旅人さん!どうか彼を助けてください!」

 

 言われるまでもない……けど、どうしたものか。

凍結を解除する方法は、時間経過か氷砕きか溶解の元素反応を起こすことだったと思うが、霧氷花と雨という条件が揃っている以上、時間経過での解除は見込めない。

 

しかし、氷砕きや溶解は対象に高いダメージを与える。

敵ならまだしも、味方と言える人物にそれをやるのは……。

 

「えーっと……これは、どうすればいいんだ?なあ、旅人!おまえなら、何とかできるだろ!?頼むぜ!」

 

 パイモンにも喚かれたが、急かされても画期的なアイデアが思いつくわけではない。

一応バーバラがいるし、ダメージを受けても回復はできるから、剣で攻撃して氷砕きを起こすか……。

 

そう考えていると、アンバーたちがやってきた。

彼女たちも、ベネットが凍結していることに驚きの声を上げた。

 

 しかし、アンバーの姿を見て私は閃いた。

 

「……アンバー、ちょっと手を貸して!」

 

 

 

 

 

 そうして、私の考えた方法は実行された。

といっても、別に大したものではない。

 

まずは、アンバーに弓を引いてもらう。

この時、矢を撃たずにチャージしたままにしておいてもらう。

そして、その状態で番えている矢の先端を霧氷花に当ててもらう。

 

そうすると、霧氷花の纏う冷気が消える。

これによって氷元素の供給がなくなり、ベネットの凍結は数秒後に自然解除された。

 

「冷たっ……!って、え?なんでみんないるんだ?」

 

 凍結している間、ベネットは記憶も意識もなかったらしい。

前の世界では、私は凍結している間も意識があったのだが、この世界では違うのだろうか。

 

「はあ……あなた、ずいぶんいいご身分ね」

 

ロサリアに睨まれて、ベネットは急にかしこまる。

だが、彼女は別に怒ってはいない……というか、むしろ呆れているようだった。

 

「まあ、無事だったんだからよかったじゃない!でも……旅人、よくあんな方法思いついたね」

 

 バーバラが、私を感嘆の目で見てきた。

 

「アンバーの重撃……弓を引き絞って放つ矢が、炎元素を帯びていることを思い出したの。それで、矢を撃たずに引いたままの状態であてがえば、ダメージを与えずに氷を溶かせるんじゃないかと思って」

 

アンバーに限らず、弓使いは矢を番えてチャージすると矢に元素を纏い、それを発射すれば反応が起きる。

ならば、発射せずにあてがっても反応は起きるのではないか。

 

そんな発想に基づいた行動だったが、うまくいった。

もしこれがダメだったら、最後の手段として氷砕きを起こすつもりだった……それはそれでちょっと苦労していただろうが。

 

 ところで、モナの攻撃だかスキルだか爆発だか忘れたが、前の世界では「凍結の効果時間を伸ばせる」という話を聞いたことがあるが、実際にはそんなことはなかった。

この世界では、どうなのだろうか?

 

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