原神IF -知っているようで、知らない世界- 作:白い花吹雪。
なんとか2人を助けられて、一休み……と思いきや、パイモンが時計を見て驚いた。
「あっ!ヤバい!もう15時になるぞ!」
その通りで、時計の針はもう15時をさそうとしていた。
「本当だ」
「本当だ、って……忘れたのか!?ほら、15時にモンドの入り口に集まるって、ジンたちと約束してただろ!?」
「忘れてないよ。今から行こう」
パイモンは忘れているのかもしれないが、私にはワープポイントがある。
モンド城前のワープポイントは、既に解放してあるのでばっちり使えるのだ。
ロサリアたちに事情を話すと、「何なら私たちもそれで送ってくれない?」と言ってきた。
まあ、別に秘密にしたいわけでもないし、それくらいいいだろうから承諾した。
ちなみにワープポイントのことを話したら、モナが妙に食いついてきた。
「他にもあるのか」「タダで使えるのか」「誰でも、いつでも使えるのか」と、やたら事細かく聞いてきた。
ワープポイントは大陸のあちこちにある、事前に解放さえしておけば使用にコストはかからない、 基本的にいつでも誰でも使える、とそれぞれに答えを返すと、「貴重な情報、ありがとうございます」と言われた。
もしかして、節約の技術に応用しようとしているのだろうか。
具体的にどうやるのかはわからないが。
さて、モンド城前にワープしてきた。
ロサリアたちと別れ、そのまま町の入り口へと向かう。
その途中で、リサと会った。
どうやら彼女もジンたちのところへ向かうらしい。
「どうしてリサさんが?」
「例の、宝盗団が持っていた液体の件で話したいことがあるからね。それに、私もこの件がどんな結末を迎えるのか気になるもの」
その気持ちは理解できる。だが、どうしても気になることがある。
その話は、一体誰から聞いたんだろうか。
「もちろん、ジンよ。あの人とは、もう長い付き合いだからね……こういうことも、包み隠さず話してくれるのよ」
まあ……そうだとは思った。
深夜に愛し合うくらいだから、そりゃお互いに信頼し合ってはいるだろうし、隠し事などせずに話し合えるのだろう。
「ジンか……あいつ、なんやかんやでおまえのこと信じてるしな。よし!せっかくだから、オイラたちと一緒に行こうぜ!」
パイモンは明るく言う。
2人の裏の関係を知らないで……と言いたいところだが、こればかりは知らない方がいい。
町の入り口に着くと、既にみんな待機していた。
ジンとディルック、そしてウェンティ。
リサの姿を見て、真っ先にジンが驚いた。
「ん?なぜあなたがここに?」
「昨日の液体元素の件で、話したいことがあって」
「それは、歩きながらでも問題ないか?」
「ええ、大丈夫よ」
「なら良かった。さっそく行こう」
ジンとディルックは別に何ともない様子だったが、ウェンティは一瞬だけ「え?君も来るの?」という目でリサを見ていた。
まあ、当然だろう。彼も2人の関係を知っているわけだし。
逆に、ディルックは何も知らないのだろうか。
仮に知っていたとしても、ウェンティほどあからさまには反応しないだろうけど。
風龍廃墟へと向かう途中、ちょっとした人助けをした。
清泉町の前あたりを通った時のこと。
何やら騒ぎ声がするなと思ったら、見覚えのある顔がいた。
その顔の主は、ミカ。
この世界でもいたが、なぜか性転換していた彼……ではなく彼女は、大型氷スライムの群れを前に悪戦苦闘していた。
「あっ、あなたたちは……!お願いです!助けてください!」
正直、どういう状況なのかは見ただけでわかる。
氷元素のミカでは、氷スライムに手も足も出ず、お手上げになってしまっているのだろう。
しかも、今回のスライムは大型。つまり氷元素の装甲を纏っており、これを剥がさないと攻撃が通りづらい。
言わずもがな炎元素が有効だが、これも氷元素では一切削ることができない。
つまり、ミカだけでは倒せないことはないが、ものすごく時間がかかる相手なのだ。
「どういう状況なんだ、これは?まあいい」
ディルックが前に出て、元素爆発を放つ。
大剣を大きく振るい、炎の鳥を打ち出す演出はなかなか格好いい。
今回に関しては、ちょうど相手の弱点をつける元素であり、初撃で装甲を粉砕し、そこからの炎を纏った通常攻撃でスライムをまとめて溶かして見せたので、見応えがすごい。
ちなみに、彼の武器はデザインからすると黒岩の斬刀。
個人的に、見た目の相性もなかなか悪くない。
ロサリア共々、どこでそんな武器を手に入れたのかという疑問は感じるが。
スライムたちが片付くと、ミカはすぐにディルックにお礼を言った。
「礼なんていいさ。ところで、君はなぜここに?」
「ちょっとマッシュルームを取りに……でも、町の入り口にスライムがいたので、町の人が危ないと思って」
その気持ちは立派だが、相手が少々悪かった。
せめて水か雷スライムなら、ミカでも十分戦えたのだろうが。
「心意気は立派だ。ただ、相手を間違えないようにすることだな」
「はい……」
「しかし、マッシュルームならモンドの町中にも生えていると思ったが?」
そう言えば確かにそうだ。軒先なんかに生えるあのキノコは、モンドの町中でも普通に見られるものだったはず。
「今は、モンドのほうはモナさんが取ることになってまして。私とモナさんは、モンドの町中と清泉町をそれぞれマッシュルームの狩場にして、定期的にそれを交代してるんです」
なんと、ここでもモナが出てきた。
やはりというか食用として採取しているらしいが、慕風のマッシュルームって食べられるのか……知らなかった。
一応聞いたら、ミカはあくまでも好きだから慕風のマッシュルームを取っているらしい。
ただ、以前町中で取っていたらモナに見つかって異様なほど怒られたことがあり、それから狩場を分けるようにしたという。
霧氷花といい、前の世界で食材ではなかったものを普通に食べているとは……いや、モナだけが特別なわけではない、と信じたいが。
「そうか……まあ、くれぐれも喧嘩になったり、怪我をしたりしないようにするんだな」
「もちろんです。モナさん、食べ物のことになるとやたら熱意があるし、怒ると怖いですから……」
いろんな意味で納得が行くセリフだ。
しかし、ミカがモナと縄張り争いみたいなのをしてたとは。
私も前の世界で、慕風のマッシュルームをたくさん集めるのに苦労した記憶があるから、気持ちはわからなくはないが、食べようと思ったことはなかった。
というか、美味しいのだろうか?
食材にしたいだけなら、普通にその辺に生えてるキノコを狩ったほうが効率がいいし、民家の壁を見て歩かなくてもいいと思うのだが。