原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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40.原型はどこから

 依頼を完了させた後、それとなく町中を見て回っていたら、妙に存在感を放つ人物が歩いているのを見かけた。

身なりはこの前会ったメニィと似ているが、あちらと違って髪が赤く、背が私より低い。

何より、背負っている本もとい法器は明らかにメニィが持っていたものとは違う。

 

その人物は冒険者協会の窓口に行き、キャサリンと何か話した後に何かを受け取った。

遠目にでも、それがつい先ほど私が集めてきたヴァルベリーであるとわかった。

 

「あ!あれって……」

 

「彼女が、今回の依頼人だったみたいだね」

 

「そうみたいだな……な、ちょっと話を聞いてみないか?」

 

 それはいいかもしれない。

よく見ると髪留めに炎の神の目をつけているし、明らかに普通の人ではない。

最近よく出会っている、「前の世界にいなかった人」の1人に違いない。

 

それに前の世界での経験上、神の目の所有者とは遅かれ早かれ接点を持つことになるし、今のうちに面識を持っておいたほうが良いだろう。

 

 

 

 というわけで、彼女がキャサリンとの話を終えて歩き始めたタイミングで声をかけた。

その顔は、以前会ったモナやメニィとは似ていなくもないが、明らかに別人だった。

 

「あなた達は……冒険者?」

 

「そう。私は蛍、こっちはパイモン」

 

「へえ……ペットか何か?」

 

「ちがーう!オイラはこいつのガイドだ!ペットじゃないぞ!」

 

もはや聞き慣れた質問に、見慣れた反応をしてくれるパイモンには、ある種の安心感さえ覚える。

 

「ガイド、なのね。あ、もしかして私の依頼を引き受けてくれたのって」

 

「そうだぞ!おまえが持ってるヴァルベリーは、さっきオイラたちが苦労して集めてきたやつだ!」

 

 感謝しろよな、と続けて言いたそうだったがやめさせた。

正直そんなに苦労する依頼でもなかったし、こっちはそれに見合わないくらいの報酬を受け取っているのだ。

 

「ありがとうね。おかげで母さんにフルーツジュースを作ってあげられる」

 

この女性はアリアと言い、こう見えて17歳らしい。

現在は母と2人暮らしをしているが、その母が病気になってしまい、元気づけるためにググプラムとヴァルベリーのフルーツジュースを作ろうと考えたのだそうだ。

 

ちなみにググプラムはヴァルベリーと同じく20個集めたそうで、そんなにたくさん必要とする理由は「自分も飲みたいから」らしい……まあ、別にいいとは思うが。

 

「ところで、1つ聞いてもいいかな?」

 

「もちろん」

 

「今度の依頼の報酬は、あなたが用意してくれたんだよね。その中に、片手剣の原型なんてのがあったんだけど……あれはどこで?」

 

 今回の報酬は3000モラと水晶の塊3個、それに北陸片手剣の原型。

前の2つは特に言うことはないが、最後の1つだけ明らかに浮いている。

前の世界では私も入手に苦労したし、この世界でも一般人がたやすく入手できるものではないだろう。

 

「あ、あれは採掘で掘り出したものだよ」

 

「え……!?」

 

パイモンと同時に声が出た。

 

「私、こう見えて遺跡の発掘員をやっててね。たびたび武器の原型が発掘されるんだけど、その一部をもらってきてるから、うちにいくつかストックがあるの」

 

 そんな遺跡があった……いや、あるのか。

機会があれば、ぜひ私も行ってみたいものだ。

 

「それ、どこにあるの?」

 

「ドーンマンポートの地下。『ブネの遺跡』っていうんだけど、知らない?」

 

「ごめん、知らない。私、モンドには来たばかりで……」

 

半分本当、半分ウソの言葉だ。

「この世界の」モンドに来たばかり、というのはウソではない。

 

「そっか。それに、別に知らなくても不思議じゃないよ。つい最近見つかったばかりの遺跡だし、知らない人はそれなりにいるから」

 

「まあ、そうだろうな。だって、オイラも聞いたことないぜ!」

 

「私だって、ついこの前まで聞いたことなかったよ。ただ、母さんが向こうの人と知り合いで、発掘の手伝いを頼まれたから、私にもその話が回ってきたって感じ」

 

 なんか意外だ。彼女は見た感じ、体力系には見えないのだが……いや、こんなことを言うのは失礼か。

とにかく、母と一緒に最近見つかった地下遺跡の発掘員をしていて、その過程で見つかる原型をもらってきているのか。

 

「ただ、正直ほとんどの原型を持て余してるんだよね……私も母さんも自分の武器があるから」

 

「だから、こういう時に報酬として出してるんだね」

 

「そういうこと。それに、原型から作られる武器はどうも……私たちには合わない。最近は魔鉱を使って、既存の武器に特別な強化を施す技術、なんてのも確立されたらしいけどね」

 

前者については賛同できる部分がある。

例えば海淵のフィナーレなどは、原型があれば作れるが私に使いこなすことはかなり難しい武器だった。

一方で後者については、まったく知らない情報だ。

 

「魔鉱で武器を強化できるの?」

 

「そうらしいよ。詳しいことは知らないけど、鍛冶屋に行けばわかると思う」

 

 鍛冶屋か。

この世界でもいずれお世話になる場所だとは思うが、今のところは用はない……と言いたいところだが、アリアの話が本当なら行ってみる価値はあるかもしれない。

 

あわよくば、それで斬岩・試作を強化してもらえればと思ってしまう。

あれは性能は微妙だが、見た目は本当に好きな武器だった。

 

「わかった。いろいろありがとう」

 

「こちらこそ、依頼を引き受けてくれてありがとう」

 

 

 そうして、アリアは去っていった。

そして私は、鍛冶屋に向かう……前にちょっと外に出て、鉱石類を一通り集めてくることにした。

なかなか大変な作業だとは思うが、鍛冶屋に行くなら最低限の素材は集めておいた方が良い。

モンドの鍛冶屋の店主は口が悪いから、尚更だ。




『アリア』
ひっそりと暮らす魔法使いの少女。
母親想いで、優しくも芯の強い性格。
旅人の記憶にはない人物だが……?


『果たされし復讐』星5法器
攻撃力555 会心ダメージ50%
スキル使用後の10秒間重撃と通常攻撃のダメージ20%アップ、会心発生時に装備者と同じ元素の追加ダメージを与える(会心率20%、会心ダメージ150%固定)。また、体力が20%以下になると体力を80%回復(CT30秒)。
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