原神IF -知っているようで、知らない世界- 作:白い花吹雪。
いざ遺跡に入場すると、まずは2メートルほどの通路があり、その先には広大な発掘現場があった。
すでに15人くらいの発掘員がおり、みなつるはしやハンマー、ブラシを手に作業に勤しんでいる。
そしてその様子を、通路に一定の間隔で立つ人たちが見ている。
アリアによると彼らは騎士団メンバーの監視員で、発掘員が遺跡を傷つけたり、発掘した財物を持ち去ったりしないように監視しているのだという。
何気に、遺跡発掘の現場というのをじっくり見たことがなかった気がする……地下の遺跡となると、なおさら。
「それにしても、ずいぶん明かりをたくさん置いてるんだね」
「何か出たときに見逃さないようにするのと、作業員の安全確保のためだよ。今はいくらかマシになったけど、もともとデコボコが多くて、転ぶ人がいたから」
ああ、そういうことか。それなら、通路にランプが定期的に置かれているのもわかる。
外と変わりないくらいまで明るくする必要はあるのか?とは思うが、層岩巨淵のようになるよりはマシだろう。
あそこは暗いし、地形が入り組んでいて探索どころか移動も大変だった記憶がある。
その点この遺跡はやたらと明るいし、発掘現場の地面はわりと平坦で歩きやすい。
何ならその発掘現場に行く道も、入り口から伸びる通路を降りていくだけでいいので、アクセスも楽だ。
いざ発掘現場に降りると、途端に地面が硬くなった。
それもそのはずで、この発掘現場には丸々1つの都市が埋まっており、それを掘り出している最中だという。
つまり、私が今踏んだのは遺跡の一部であるかもしれないのだ。
「ってことは、もしかしたら……埋まってるお宝を、気づかずに踏むかもしれないのか!」
「まあ、あり得なくはないけど……宝物は大抵建物の中にあるし、まずは建物自体を掘り出さなきゃないから、宝物を踏むなんてことはあまりないと思う」
「そうなのか?なら安心して発掘できるな!」
パイモンは乗り気だが、残念ながら道具がない……と思いきや、なんとモナが監視員から道具を借りてきており、これでやりましょうと言われた。
私たちの分もあったのでパイモンは喜んでいたが、私は何か違うものを感じた。
「モナ……もしかして、本当にここで働こうとしてる?」
「まだ決めたわけではありません。私には別途でちゃんと仕事がありますし」
とは言いつつも、「しかしながら、こうした遺跡の発掘作業はなかなか面白そうです……」などと言っていた。
アリアに「モナは意外とできるかもよ?」と言われ、ますます真剣にここの発掘員になることを考えているようだった。
肝心の発掘作業だが、土をスコップで掘り、硬いものに当たったらブラシに切り替え、それで土を落とす。そして周囲の土も慎重に掘っていく……という地道なもの。
パイモンを除く3人で土を掘り、それらしきものが出てきたらブラシに持ち替えて土を落としていく。
その際はパイモンも含め、4人で掘る。
パイモンにスコップを持たせないのは嫌がらせではなく、スコップを持って土を掘れるだけの力がないからだ。サイズも合わないし。
今回当たったものは意外と大きく、4人がかりで掘ってもなかなかその全容を現さない。
毎度の如くパイモンが最初に音を上げ、「まだ出てこないのかよ……!」とわめき始めたが、それでもめげずに掘り続けるアリアを見て、「おまえ、大変な仕事してるんだな……」と労いの言葉をかけていた。
一方モナは元からやる気があったが、途中でアリアから「この仕事は時給2000モラ」と聞かされたことでさらにそれが加速したようで、誰よりも真剣にブラシを動かしていた。
「ここ、副業の第1候補です!」と真顔で言うのを見て、アリアは苦笑いしていた。
もっともモナは、占星術や魔法の研究に稼ぎの大半を使ってしまい、生活費を後回しにする癖があるそうなので、まずはそっちを改善しなければならないだろうが。
ちなみに、この世界でも彼女はフォンテーヌの雑誌の占いの記事を書いているそうだ。
何というか……ここまでに出会ってきた人物の中では前の世界との差が少ない人物である気がする。
彼女だけでなく、ベネットやガイアなどもそうだが。