ありふれた凡人の少年は異世界で無敵となる 作:究極の闇に焼かれた男
序章:始まりの日
薄暗い洞窟の中に肉を切り裂く音と獣の様な断末魔の叫びが響き渡る。 噎せ返る様な血の匂いが充満する洞窟内には刀身を血で赤く染められた一振の長剣を手にした少年がいた。
「──足りない、こんなんじゃ迷宮から脱出するなんて不可能だ。 もっと強くならないと生きて"元の世界"に帰るなんて遠い夢のまた夢か・・・・・・はぁ〜」
そう言うと少年は深い溜息を零しながら、全100階層から成る「オルクス大迷宮」を見回す。
「奈落の底に落とされてから早くも数日・・・ある程度の魔物は軽く殺せる様になった。 が、それでも一向に脱出できる兆しが見つからないけど、その代わり"厄介者"が居ない分には楽出来てるから良いか」
嬉しくもあり面倒でも有るといった微妙な表情を浮かべながら少年こと「霧嶋晋司」は、どうして自分が"真のオルクス大迷宮"に来る事になってしまったのかを思い出しはじめる。
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晋司side
自分こと霧嶋晋司は少し前まで特に才能も無ければ、お世辞にもイケメンとは程遠い容姿をした極々普通の17歳の高校生だった。 兄弟姉妹は居らず、父は極々普通のサラリーマンで、母は大学の講師を務めている仲の良い3人家族である。
そんな俺にとって家族と過ごす時間は何よりも大切だが、逆に学校での生活は苦でしかなかった。
自分の正しさを信じて疑わないどころか、他人を虐めている輩を擁護する様な発言をする似非カリスマな男子や、図体がデカイ筋肉馬鹿、何故か頼んでもいないのに世話を焼こうとしてくるクラスのマドンナ的な存在である女子に毎日の如く絡まれる日々に、俺は心の奥底では辟易していた。
そんな学校生活に辟易していた俺だが、数日ほど前に起きた出来事を切っ掛けに運命が大きく動き出す事となった。
時は数日前の月曜日。 一週間の内で最も憂鬱な気分に多くの者が溜息を吐き、前日までの天国とも言える二日間に想いを馳せるであろう日の朝。
俺はいつもと変わらぬ時間帯に家を出て、憂鬱とした気持ちを抱きながらも学校へと真っ直ぐ登校した。
いつものように始業を告げるチャイムが鳴るギリギリに登校した俺は教室に入ると、既に登校していた多くの生徒が視線を向けてくる。 その大半があからさまな嫉妬や侮蔑を含んでおり、俺は思わず溜息を零しそうになるのを堪えながら自分の席に着こうとすると嫉妬の視線を向けてくる男子の一部がちょっかいを掛けてくるのが聞こえてきた。
「よぉ、キモオタ! また徹夜でゲームでもしてたのか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ〜。 エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん〜」
そんな風にちょっかいを掛けてくる男子達、「檜山大介」と「斎藤良樹」、「近藤礼一」、「中野信治」の4人は指を指しながらゲラゲラと笑い出すのを尻目に席に着くと、反応も返さず鞄から筆記用具等を取り出し始める俺を見て軽く舌打ちするのが聞こえてくる。
(何が面白いのかは知らないけど、そういうおお前らは昨日あたりアダルトショップに入るの見てたんだが・・・・・・まあ、言わぬが仏だな)
内心そう思いながら筆記用具を取り出していると、そこに俺が苦手とする女子生徒が声を掛けて来た。
「霧嶋くん、おはよう! 今日もギリギリだね。 もっと早く来ようよ」
そう言いながら話し掛けてきたのは不服ながらクラスメイトである「白崎香織」と言う、学校では二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇るクラスメイトの女子である。
整っている容姿も相まって、多くの生徒から好意的な印象を抱かれている彼女が構ってくるのが原因で俺が望む平穏無事な学校生活は遠のき、男子生徒から嫉妬の視線を、女子生徒からは侮蔑と軽蔑の込められた視線を向けられている。
(こいつとは特に関わりなんて無かった筈だが、どうして俺に毎日飽きもせずに話し掛けて来るのだろうか? 俺としては鬱陶しいから何処かに行って欲しいんだがな・・・・・・)
そんな事を思いながら成る可く相手を不快な気持ちにさせない様に気を付けながら挨拶を返す事にした。
「おはよう白崎さん。 そろそろ朝のHRが始まるし、すまないけど話をするなら後にしてくれないかな」
自分の中で相手を不快にさせないであろうと思う言葉を選びながら答えると、彼女に対する俺の態度が気に食わなかったのか周囲から殺気を向けられるのを感じ取る。
(はぁ〜・・・無視すれば殺気を向けられ、返事を返しても殺気を向けられる・・・・・・こうなったら本気で転校でもしようかな)
そんな思いを抱きながら、この状況から抜け出す方法を模索していると其処へ追い打ちをかける様にして新たに3人の男女が近付い来る。
「霧嶋くん、おはよう。 毎日大変ね」
「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにぁあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
そう言いながら挨拶をして来たの名は「八重樫雫」と言い、実家が"八重樫流"と呼ばれる古流武術である剣術道場を開いている少女と、キザな台詞を吐きながら妙な事を抜かしてくるのは「天之河光輝」と言う、いかにもな名前をした男子と、投げやり気味な言動をした大柄で筋肉質な体格をした「坂上龍太郎」と呼ばれる3人のクラスメイトが話し掛けて来た。
(おいおい勘弁してくれ、頼むから何処かに行ってくれ…)
八重樫を覗いた俺にとって厄介極まりない3人の生徒が集結した事に頭を抱えそうになる。
「おはよう、言いたい事は分かるが説教だけはやめてくれ」
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。 香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」
(うわ〜、こいつ平然と嘘吐いてやがる。 本当は"白崎が俺と話してるのが個人的に嫌"なだけなのによ・・・・・・)
天之河の発言に内心そう思いながら若干引いていると、そこへ火に油を注ぐかの如く白崎が口を開いた。
「? 光輝くん、何言ってるの? 私は、私が霧嶋くんと話したいから話してるだけだよ?」
「え? ・・・・・・ああ、ホント、香織は優しいな」
そんな白崎と天之河のやり取りに嫌気が差すのを感じながら俺は視線を逸らすと、申し訳なさそうな表情をした八重樫が視線を向けてくると小さな声で謝罪してきた。
「ごめんなさいね? 2人共悪気はないのだけど・・・・・・」
「別に八重樫さんが気にする事じゃないよ・・・(本当にそう思っているなら何とかしてくれ)」
俺は八重樫に対して本音を隠しながらそう返しながら、俺は隣の席へと視線を向ける。
隣の席に視線を向けると、そこには机の上に乗せた腕を枕にして眠る1人の少女がいた。
「はぁー・・・眠っているところ悪いが、そろそろHRが始まる時間だぞ」
そう言いながら声を掛けると、眠っていた少女は顔を上げてこちらへと視線を向けてくる。
「・・・・・・おはよう、晋司」
「ああ、おはよう"ハジメ"」
そう言いながら色素の薄い白い肌の少女、「南雲ハジメ」は気怠げな表情をしながら挨拶をするのだった。
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「──晋司、何してるの?」
「うおっ!? 何だ、ハジメか・・・・・・驚かすなよ」
突然背後から声を掛けられた事に晋司は驚きつつも背後に振り返ると、そこには色素の薄い肌と銀髪にも見える白髪、宝石のように紅い瞳をした少女、「南雲ハジメ」が気怠げな表情で立っていた。
「? よく分からないけど、こっちは準備が出来たから早く先に進もう」
「そうか? ならば先に進むとするか」
「うん」
そう言うと、晋司はハジメの手を優しく引きながら先に進むべく歩き出すのだった。
これから語られるのは特に秀でた才能を持たなかった1人の少年と、ありふれた職業である幼馴染の少女、そして2人と出会う事となる吸血鬼の少女が紡ぐ物語である。
to be continued‥?
キャラクタプロフィール
主人公
名前:霧嶋晋司(きりしましんじ)
性別:男性
年齢:17歳
趣味&特技:ゲーム・ムエタイ
好きな物:紅茶とチーズケーキ
親しい友人:南雲ハジメ
苦手な人:天之河(生理的に無理)・坂上(面倒くさい)・白崎(何かにつけて世話を焼こうとする癖に、こちらの迷惑を考慮に入れてないから)
ヒロイン
名前:南雲ハジメ
性別:女性
年齢:17歳
趣味&特技:読書・ゲーム・物作り・昼寝・射的
親しい友人:霧嶋晋司(それ以外の人に興味無し)
嫌いな人:天之河(生理的に無理だし近付いて来ないで欲しいと思っているから)・坂上(性格的な相性が悪いから)・小悪党四人組(いつか必ず殺してやりたいと思っている)
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