ありふれた凡人の少年は異世界で無敵となる   作:究極の闇に焼かれた男

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お待たせしました。


第11話:少女の後悔

 

 

 

 

ハジメside

 

 

──どうしてこんな事になってしまったのだろう。

 

 

そんな言葉が脳裏に過ぎるとともに、目の前に映る最悪の現実に強い吐き気と自分の弱さに怒りが募る。

 

トータスに誘拐紛いの形で召喚されたわたしと晋司を含めたクラスメイト達は、メルドさんの引率の元でオルクス大迷宮へと訪れた。 ちょっとしたアクシデントは有りつつも訓練は順調に進んで行き、あと少しで終わるかと思われた時、小悪党組の愚行により絶体絶命の危機に追いやられた末に、わたしは晋司と共に奈落の底へと落ちて行く事となった。

 

目が覚めた後、わたしは直ぐ近くに居た晋司と奈落の底から脱出する為に行動を開始したが、道中で奈落に棲息する蹴りウサギとの遭遇と爪熊による襲撃に遭った。 爪熊の圧倒的な強さの前に蹴りウサギは瞬く間に殺されたのを見たわたし達は下手に戦っては不味いと判断し、爪熊から逃れようと必死に走った。

 

けれど、爪熊の放った不可視の一撃からわたしを庇った事により晋司は右腕を奪われてしまった。

 

右腕を奪われた晋司は苦痛の叫びを上げながらも、怒りを顕にした表情を浮かべて、切断面から大量の血を流しながら爪熊に向かって駆け出し肉薄すふと、驚くことに凶敵だった筈の爪熊を一太刀の元に斬り殺したのだ。

 

その光景にわたしは思わず目を見開きながら呆然としている中、爪熊を殺したのを見届けた晋司が意識を失って倒れ、それを目にしたわたしは慌てて晋司の側に駆け寄ると、その場から離れるべく晋司を引き摺りながら近くの壁に近寄り錬成を使って穴を開けながら即席の洞窟を作ると、必死の思いで洞窟内へと逃げて行った。

 

 

 

 

 

洞窟内へと逃げ込んだわたしは、右腕を欠損し血を流し続ける晋司に応急手当てを施すべく大迷宮へと赴く前に念の為にと用意しポーチの中に入れておいた包帯を取り出すと、直ぐに処置を施した。

 

包帯を巻いて何とか止血する事に成功するも晋司の意識が戻ることは無く、わたしも逃げるのに沢山の体力を消費した事により強い眠気を覚えるとともに、静かに倒れ込み意識を手放すのだった。

 

 

 

 

 

次に目を覚ましたのは、頬に冷たい水滴のような物が当たり口の中に流れ込む感触に意識が覚醒した時だった。

 

 

「(…此処は……っ、そうだ!? わたし、晋司と一緒に奈落に落ちて、そこから確か……)っ、晋司!」

 

 

ぼんやりとだが意識を取り戻したわたしは、何が起こったのかを徐々に思い出すと、勢い良く飛び起きると慌てて周囲を見回しながら直ぐ隣に視線を向けると、意識を失ったままの晋司が辛うじて生きているのが分かり安堵の息を漏らした。

 

 

「良かった(それにしても、さっきの感触は一体・・・・・・)」

 

 

内心そう思ういながら先程感じた感触の正体を確かめるべく両手を使い周りを探っていると、ふと指先にヌルヌルとした感触が返ってきた。 最初は晋司が流した血が乾いておらず、まだ残っているのかと思ったが、血に混じって微かに漂ってくる別の匂いを感じ取り指先に触れた何かを口の中に含む。

 

何かを口に含んだ瞬間、少しだけであるが疲労した体に活力が戻った気がした。

 

 

「何、これ・・・?」

 

 

わたしは水滴に似た何かの正体を確かめるべく、両手を前に突き出しながら錬成を行使し奥へ進んだ。

 

岩の間から滲み出る液状の何かを飲むと活力だけでなく魔力も回復するらしく、いくら錬成しても魔力が尽きない事に気付き錬成を行いながら先に進み続けると、やがて謎の液状の水源へと辿り着いた。

 

 

「これって・・・・・・」

 

 

そこにはバスケットボール程の大きさを誇る青白く発行する鉱石が存在していた。

 

周りの石壁に同化する様に埋まっている鉱石は下方に向けて水滴を滴らせており、輝きはアクアマリンをもっと濃くして発光させたような色合いと光を放っていて、自然と神秘的で美しいと感じさせた。

 

 

「・・・っ、もしかしたら!」

 

 

その鉱石を目にしていると、脳裏に一つの考えが過ぎった。

 

 

(確証なんて無い……でも、もし思った通りなら)

 

 

脳裏に過ぎった可能性に架けたわたしは急いで来た道を引き返すと、やがて晋司の所に戻ったわたしは再び彼を引き摺りながら鉱石の場所まで運び出す。

 

晋司を何とか鉱石の元まで運び出す事に成功したわたしは、鉱石に顔を近付け直接口に水滴を含むと、一か八かわたしは晋司の口に自身の口を合わせながら水滴を流し込んだ。

 

すると口移しする形で鉱石から漏れていた水滴を体内に取り込ませた晋司の傷口が塞がっていき、呼吸も安定し始めた事にわたしは再び安堵の息を漏らした。

 

 

(やっぱり、思った通りだった!)

 

 

どうやらあの鉱石から漏れている水滴を体内に取り込むと、活力と魔力を回復するだけじゃなく傷口が塞がるなどの治癒効果が有るらしい。

 

 

「晋司、ごめんね・・・・・・」

 

 

けれど傷が治り死を免れたからと言って晋司の右腕が奪われた原因が自分にある事に変わりないことに、わたしは自然と口から晋司に向けて謝罪の言葉を漏らしていた。

 

この時のわたしは気付いていなかった。 わたしの心の中で、一つの感情が芽生え始めていることを。 その感情が後に"弱いわたし"から"強い私"へと変える引き金になることを。

 

運命の時は静かに迫っていた。

 

 

 

to be continued‥?




暫くハジメ視点となります。

それとコメントもお待ちしております。

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