ありふれた凡人の少年は異世界で無敵となる   作:究極の闇に焼かれた男

5 / 14
第4話:兆し

 

 

 

 

天之河を筆頭に戦争への参加を余儀なくされた晋司は、現在イシュタルの連れられる形で聖教教会本山がある「神山」の麓にある「ハイリヒ王国」の王宮へと来ていた。

 

王宮に辿り着いてからの事と言うと、ハイリヒ王国の国王と王妃、そして国王の子息と息女との謁見。 その後に開かれた晩餐会等と様々な事があった。

 

そんな中、晋司というとハジメと共に何処か居心地悪い気分を覚えながら時が流れるのを静かに待ち続けていた。 途中、白崎に絡まれそうになるも、咄嗟に晋司は「いきなり異世界に召喚されて不安だろうから、白崎の傍にいてやってくれ」と天之河に押し付ける事で回避する事に成功したのだった。

 

晩餐が終わり解散する頃には、イシュタルや国王の図らいにより各自に一室ずつ与えられた部屋に案内された。 その日の夜、晋司は流される様に参加する羽目になった戦争について考えていた。

 

(戦争か………最近まで極々普通の学生をしてたのに、こうもあっさりと戦争に参加させられるなんてな。 こんなの、まるで"よく出来たデキレース"を走らされてる感じがするな。 そもそもの話だが、どうしてエヒトとかいう神は俺達みたいな戦争においては素人の集団を選んだんだ? 俺達に何かしら戦争に関する才能があったから? いや、天之河を筆頭に俺達のクラスは中途半端な覚悟しか持たない連中ばかりで、魔人族とかいう奴等と殺り合うにしても足りない物が多すぎる。 本気で人間族を救うつもりなら、それこそ軍人やプロの殺し屋を雇った方が効率的だ。 そうなるとエヒトが俺達を選んだ理由は……もしかして、何かしらの"ゲームの駒"として選んだのか? それだったら色々と合点が行く。 そのゲームでは人間族と魔人族で何かしらの優劣を決して、尚且つ優秀な種族を残して劣っている種族を根絶やしにする。 その後、残しておいた優秀な種族を使って何かに利用する。 ────いや、流石に考え過ぎか。 まあ仮にどんな目的が有るにせよ、俺のやる事は変わらない。 ハジメと一緒に元の世界に帰還する、それが俺の今後の活動方針だ)

 

「とりあえず今日は遅いし、早く寝るかな・・・・・・」

 

 

そう呟くと晋司は与えられた自室のベッドで眠るのだった。

 

 

 

 

余談だが途中、余りにも寝心地が悪いと感じた晋司は自室を飛び出して暇潰しに王宮内に散策するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、晋司達は早速訓練と座学に参加する事となった。

 

まず最初に、集まった生徒達に12センチ×7センチ位の銀色のプレートが配られた。 渡されたプレートに生徒達は不思議そうに見ていると、生徒達に訓練の手解きを行うハイリヒ王国騎士団長「メルド・ロギンス」が説明を行い始めた。

 

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは"ステータスプレート"と呼ばれている。 文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれる物だ。 最も信頼のある身分証明書でもある。これが有れば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 

非常に気楽な喋り方で説明するメルドに、晋司は「豪放磊落な性格してるな〜」等と他人事のように呟いていると、そんな晋司にハジメは話し掛けた。

 

 

「ねえ、晋司?」

 

「どうしたハジメ?」

 

「やっぱり異世界物の定番はステータスプレートなんだね」

 

「何を言い出すのかと思えば、そんな異世界=ステータスプレートがセットみたいな言い方はやめてやれ。 他の異世界にもステータスプレートが有るとは限らないからな?」

 

 

そんな、いつもと変わらない何気ない会話を2人が繰り広げている中、メルドの説明が続いていた。

 

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう? そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所有者が登録されて"ステータスオープン" と言えば表に自分のステータスが表示される筈だ。 ああ原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。 何せ"神代"のアーティファクトの類だからな」

 

「アーティファクト?」

 

 

メルドの言ったアーティファクトという単語に聞き覚えのない様子をみせる天之河が質問する。

 

その質問に対してのメルドの解答を要約すると、まだ神の眷属達がいたとされる神代に創られた魔法道具の事で、現代では再現する事が不可能とされるほど強力な力を秘めている物の総称である。 ステータスプレートもその一種で、複製するアーティファクトと共に、古くからこの世界に普及している簡易版の身分証明書である。

 

その説明にハジメが「アーティファクトが身分証明書、異世界物の常識だね」、とボソッと呟くと晋司は「だから異世界=って考え方はやめてやれ」とツッコミを入れつつ、晋司達を含む生徒達はステータスプレートに血を垂らし始める。

 

 

 

霧嶋晋司 17歳 男 レベル1

天職:???

筋力:50

体力:50

耐性:50

敏捷:50

魔力:50

魔耐:50

技能:剣術・格闘術・言語理解

 

 

 

南雲ハジメ 17歳 女 レベル1

天職:錬成師

筋力:30

体力:30

耐性:40

敏捷:40

魔力:60

魔耐:60

技能:錬成・言語理解

 

 

 

「これが…俺のステータスなのか」

 

 

ステータスプレートに表示された数値に晋司は思わずそう呟き、隣にいたハジメも想像より少し高い自身のステータスに目を見開いていた。

 

全員がステータスプレートに表示された自身の数値をマジマジと注目していると、メルドからステータスについての説明がなされた。

 

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず最初に、"レベル"があるだろ? それは各ステータスの上昇と共に上がる。 上限は100で、それがその人間の限界を示す。 つまりレベルは、"その人間が到達できる領域の現在値"を示していると思ってくれ。 レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地というところだからな。 そんな奴はそうそういない」

 

((分かり易くって良いな))

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇される事も出来る。 また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。 詳しいことは分かっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。 それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。 救国の勇者御一行だからな。 国の宝物庫大解放だぞ!」

 

((ここもRPG形式なのか、それにしても太っ腹だな〜))

 

 

メルドの説明を聞く晋司とハジメは内心そう思っていると、次に説明される内容に耳を傾ける。

 

 

「次に"天職"ってのがあるだろ? それは言うなれば"才能"だ。 末尾にある"技能"と連動していて、その天職の領分においては部類の才能を発揮する。 天職持ちは少ない。 戦闘系天職と非戦闘系天職に分類されるんだが、戦争系は1000人に1人、物によっちゃあ万人に1人の割合だ。 非戦系も少ないと言えば少ないが……100人に1人はいるな。 10人に1人という珍しくないものも結構ある。 生産職は持っている奴が多いいな」

 

 

その言葉に晋司は改めて自身の天職に目を向けると、そこには???と表示されていた。

 

 

(表示されていない? 故障……では無さそうだな。 ステータスは普通に表示されているし、これは何か面白そうな感じがするな)

 

 

???と表示されている自身のステータスに晋司は内心笑みを浮かべていると、メルドの説明が再開する。

 

 

「後は……各ステータスは見たママだ。 大体レベル1の平均は10くらいだな。 まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。 訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

 

その言葉に晋司は思わず顔を顰めた。

 

 

(俺の天職が???なのは普通に考えて可笑しい。 そうなるとメルド団長も疑問を覚える筈、ここは何とかして誤魔化さないとならないな)

 

 

晋司がそう思った直後だったら。 手にしたステータスプレートが一瞬だけ薄らとした光を帯びると、???と表示されていた天職の欄が変わっていた。

 

 

 

霧嶋晋司 17歳 男 レベル1

天職:剣士

筋力:50

体力:50

耐性:50

敏捷:50

魔力:50

魔耐:50

技能:剣術・格闘術・言語理解

 

 

 

(っ!? 天職が表示された!?)

 

 

突然天職が表示された事に晋司が困惑している中、生徒達は次々とメルドにステータスプレートの内容を報告していた。

 

天之河は勇者という事もあり全てのステータスが100、技能も沢山あった事から注目を浴びていた。 それに続く様に白崎と八重樫、坂上等といった生徒達が高い数値が示されたステータスを手渡していると、ハジメの番になった瞬間にメルドの表情が変わった。 その表情は、まるで何かの見間違いでは?と言いたげな様子だったが、ハジメの手渡したステータスプレートに表示された天職に間違いがない事を確認すると、乾いた笑みを浮かべながら口にする。

 

 

「ああ、その、なんだ。 "錬成師"というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。 鍛冶する時に便利だとか・・・・・・」

 

 

そう語るメルドだが、その表情から察するに(何でだ? 他の奴等が希少な天職なのに、どうしてこいつだけ"ありふれた天職"なんだ?)と、言いたげな顔をしていた。

 

そんなメルドの様子を察したのか、ハジメは気にした素振りを見せずに言った。

 

 

「別に気にしなくても大丈夫です。 天職がありふれていたとしても、わたしのステータスは文字通り平均よりも高いですし、天職とステータスを上手く活用すれば良いだけのこと」

 

「そ、そうか・・・? そんな風に言えるなんて凄いな」

 

 

ハジメの言葉にメルドは一瞬驚くも、直ぐにいつもの調子を取り戻しながら笑みを浮かべる。

 

その後、晋司もステータスプレートの内容を報告すると「期待してるぞ」と言われるも、晋司は素直に喜べずにいた。

 

何故なら、メルドにステータスプレートの内容を報告した後に再度ステータスプレートを確認すると、天職が???の表示に戻っていたからだった。

 

 

(俺が誤魔化したいと思った時にステータスプレートの表示が変わった。 もしかして、天職その物が???表示なのと何か関係があるのか?)

 

 

自身の天職に表示された『???』を目にしながら、晋司は様々な仮説を組み立てる事にするのだった。

 

 

 

to be continued‥




いつか執筆する予定の幕間で誰を絡ませるか悩み中、個人的にはリリアーナと絡ませるか雫と絡ませるか考えてます。

それと、物語の展開次第ではR-18の話も書こうかとも考えています。 その場合は裏話と称してR-18に別個で投稿する予定です。

R-18の話を呼んでみたい?

  • YES
  • NO
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。