ありふれた凡人の少年は異世界で無敵となる   作:究極の闇に焼かれた男

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今回から本格的にハジメとの絡みがメインとなっていく予定となります。


第6話:月下の約束

 

 

 

 

オルクス大迷宮へと実践訓練へと赴く事となった日の翌日。

 

晋司たちは、メルド率いる騎士団複数名と共に、オルクス大迷宮へ挑戦する冒険者達の為の宿場街【ホルアド】へと到着していた。

 

メルド曰く、新兵訓練によく利用するらしく王国直営の宿屋があり、今日はそこで一泊して、明日になったらオルクス大迷宮へと挑むこととなった。

 

そうして晋司たちは各々に割り振られた部屋に、二人一組で泊まる事となったのだが、人数の問題で晋司はハジメと相部屋となった。 当然の事と言うべきなのか、それを聞いた白崎が慌てた様子で「私が霧嶋くんと相部屋になる」と言い出したが、晋司は前もってメルドに「部屋割りで男子と女子で、必ず両方とも1人は余るんで、その時は俺とハジメを相部屋にしてください。 俺とハジメは同じ部屋で寝た事が何度もあるので大丈夫ですので」と、しれっと凄いことを言ってきた晋司にメルドは思わず苦笑いを浮かべながらも了承していた事もあり、晋司とハジメの相部屋は決定事項となっていた事もあり事なきを得たのだった。

 

 

 

 

 

 

その日の夜、相部屋となった晋司とハジメはこっそり部屋を飛び出し、宿の外へ出ていた。

 

 

「昨日まで王宮内だったから分からなかったけど、この世界の月も綺麗だな」

 

「そうだね」

 

 

宿の外へ出た2人は、宿の近くにある中庭の芝生の上に腰を下ろしながら夜空に浮かび上がる満月を眺めていた。

 

 

「そういえば、こっちの世界に来てから今日で二週間以上も経つんだよね」

 

「言われてみれば、もうそんなに経つんだな」

 

「お父さんとお母さんは元気にしてるかな」

 

「・・・」

 

 

ハジメは元の世界に居るであろう両親の事を思い浮かべながら寂しげな声で呟くと、その言葉に晋司も元の世界で帰りを待っているであろう両親の姿を思い浮かべ、自然と掌を強く握り締めていた。

 

トータスに異世界召喚されてから二週間以上も経ったという事実は、それだけで家族を大切に想っている晋司とハジメの心は締め付けられ、家族と過ごせる数少ない時間を奪われたことにやるせない気持ちを抱かせるには十分だった。

 

 

「晋司、今だからこそ正直に言えるけど・・・・・・私、お父さんとお母さんの所に帰りたい」

 

 

そう言いながらハジメは、膝を抱えながら静かに涙を零していた。

 

 

「ハジメ・・・」

 

「ねぇ、何で・・・わたし達なの・・・・・・わたし達、普通の高校生なのに・・・・・・どうして、戦争なんかしなくちゃいけないの・・・こんなのって、あんまりだよ・・・・・・」

 

 

それは普段のハジメでは決して他人に見せようとしない普通の女の子としての姿だった。

 

学校での彼女の姿しか知らない者はハジメのことを昼寝ばかりしていて、話し掛けられても辛辣な態度で毒舌を吐く見た目が良いだけの不真面目な人物として捉えているが、幼い頃からハジメと付き合いのある晋司からすれば学校で昼寝ばかりしているのは両親の仕事を手伝って寝不足になっているのと、小学生の頃の経験から他人と深く関わろうとしないだけであると理解していた。

 

ハジメは小学生の頃は、人当たりもよく他人に対しても笑顔を向ける少女だったが、そんなハジメのことを気に食わないと思った同学年の女子からイジメの標的にされ、晋司以外の同級生にイジメられている所を助けてもらえなかったこともあって、ハジメは幼馴染である晋司と実の両親以外の人間に心を開かなくなり、いつしか笑顔を向ける事すらもし無くなっていた。

 

そんなハジメが弱音を見せる時は決まって晋司と2人きりの状況で、それ程までに精神的に追い詰められている証拠でもあった。

 

故に、晋司は膝を抱えて涙を零し続けるハジメの肩を優しく抱き寄せていた。

 

 

「安心しろ、ハジメ。 お前は絶対に死なない……いや、俺が絶対に死なせない。 この先に何が待ち受けていようと、俺が必ずハジメのことを守り抜く。 そして、2人で一緒に元の世界に帰ろう」

 

「晋司」

 

「だからハジメ、最後まで生きる事を諦めるな」

 

「うん・・・」

 

「よし、それじゃあ今夜はもう遅いから、部屋に戻って早く寝るぞ」

 

「うん・・・・・・晋司」

 

「どうした?」

 

「晋司も死なないよ…ううん、わたしが絶対に死なせない。 晋司がわたしの事を守ってくれるなら、わたしが晋司のことを守り抜く」

 

「ハジメ・・・」

 

「だから、晋司・・・・・・私を独りぼっちにしないでね?」

 

 

そう言いながらハジメは晋司の胸元に抱き着き背中に手を回すと、それを晋司は優しく抱き返しながら答えた。

 

 

「約束だ。 必ず2人揃って元の世界に帰っろう。 その時は、一緒にお疲れ様会も兼ねて何処かに出掛けよう」

 

「うん」

 

 

月明かりの下、晋司とハジメは約束を交わすのだった。

 

 

 

 

 

 

一方その頃・・・

 

 

 

 

 

 

「あれ? 霧嶋くんは何処!? それに、南雲ちゃんまで部屋に居ない!? 一体どういうことなの!?」

 

 

晋司に会いに人目を盗んで部屋を訪ねて来たにも関わらず、肝心の2人の姿が部屋になかった事に白崎は慌てふためいていたのだった。

 

 

 

to be continued‥




晋司とハジメに対して、早く結婚しろと思ったりした方はコメントの方をお願いします。

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