ありふれた凡人の少年は異世界で無敵となる   作:究極の闇に焼かれた男

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今回は原作と余り変わりません。


第7話:オルクス大迷宮

 

 

 

 

ハジメと約束を交わした日の翌日、晋司たち一行はメルドと複数名の騎士団に率いられオルクス大迷宮の正面入口がある広場へと来ていた。

 

オルクス大迷宮の入口は博物館の入場ゲートのような造形となっており、入口には受付嬢と思しき制服を着た女性が1人立っていて、殆どの男子が邪な視線を女性に向けている中、ハジメの隣を歩いていた晋司は入口を見て不耳打ちする様な声で口を開いた。

 

 

「大迷宮の入口にしては警備がザルだな」

 

「それってどう言うこと?」

 

 

晋司が口にした言葉にハジメは思わず聞き返した。

 

 

「まず最初にだが、入口周辺に警備を担う騎士の姿が無い。 この時点でアウトだ。 冒険者の中に紛れているって訳でも無さそうだし、下手をしなくても受付を通さずに侵入しようと思えば簡単に出来る。 次に広場を軽く見た感じからして、沢山の出店が並んでいる。 仮に、何処かしらの出店でボヤ騒ぎやら乱闘騒ぎが起きた場合には受付も騒ぎの出処に注目し、注意力が低下する。 そうなった場合、俺なら視線が逸れている間に人目を盗んで侵入するな。 それに誰に姿を見られたとしても、騒ぎで意識が削がれてるから直ぐに忘れだろうし、以上の点を持ってして大迷宮の入口の警備がザルな上に、余りにも杜撰とさえ言える」

 

「へぇー、言われてみればそうかも?」

 

「俺の推測だが、大迷宮に潜るのは何も冒険者だけじゃないと思う。 大迷宮には何かしら凄い代物があるのが付き物だ。 もしかしたら、魔人族も俺が挙げた様なやり口で侵入してるかもしれない」

 

「魔人族・・・・・・もしも・・・もしもだけど、今の私たちが魔人族に遭遇したら生き残れるのかな?」

 

「・・・はっきり言うと、確実に全滅するだろうな」

 

「どうして? 認めるのは癪だけど、天之河は高いステータスや豊富なスキルを持ってるんだよ?」

 

「そんなの、本当の殺し合いの場では余り意味をなさない。 確かに天之河のステータスは現状かなり高い基準だと言えるだろう。 でも、アイツには"人を殺める覚悟"を持ち合わせていない」

 

「人を殺める覚悟?」

 

「簡単に言うと、いざ其の時が来たらアイツは確実に殺すのを躊躇う。 戦争において相手を殺すのを躊躇った場合に待つのは"死"だけだ。 それに口だけのヤツが誰も死なせずに勝利を掴み取るのは不可能だ。 その証拠に俺たちの世界の歴史が証明してるしな。 さてと、長話はここまでにして、そろそろ大迷宮に潜るみたいだぞ」

 

 

その言葉に促されるようにハジメはオルクス大迷宮の入口に視線を向けると、受付嬢とのやり取りを終えたメルドが此方に視線を向けていた。

 

 

「よし、それでは、これよりオルクス大迷宮での実践訓練を行う! 全員、気合いを入れろ!」

 

 

メルドから告げられた言葉に晋司とハジメは自然と身体に力が入るのだった。

 

 

 

 

 

 

オルクス大迷宮の中は外の賑やかさとは無縁の場所だった。

 

縦横5メートル以上ある通路は明かりが無いにも関わらず、ぼんやりとだが発光しており、松明や魔道具が無くともある程度の視認が可能性だった。 緑光石という特殊な鉱物が多数埋まっているらしく、大迷宮は巨大な緑光石を掘って出来ているとのことだった。

 

メルド率いる一行は隊列を組みながら何事もなく暫く進んでいると、天井まで7〜8メートル近くあるドーム状の広間へと出ていた。

 

一行は物珍しげに辺り一帯を見回していると、晋司は何かに気付いた様子で腰に下げていたロングソードの柄に手を添えていた。

 

 

「ハジメ、気を付けろ」

 

「晋司?」

 

 

晋司の言葉にハジメは疑問符を浮かべていると、広間の壁の隙間という隙間から灰色の体毛に赤黒い瞳を不気味に光らせる、二足歩行で上半身がムキムキとなっていて胸筋の辺りにだけ毛がない魔物「ラットマン」が姿を現れた。

 

ラットマンが現れたことに晋司とメルド率いる騎士団を除いた面々に緊張が走る中、メルドが指示を飛ばし始める。

 

 

「よし、光輝達が前に出ろ。 他は下がれ! 交代で前に出てもらうからな。 準備しておけ!」

 

 

メルドの指示に晋司たちは直ぐに行動すると、ラットマンは結構な速度で天之河達に向けて飛び掛ってきた。

 

正面に立つ天之河達──特に八重樫はラットマンの姿に嫌悪を滲ませており、刀を握る手に力が込められる。

 

間合いに入ったラットマンに、天之河・坂上・八重樫の3人は迎撃を行う。 その間に、白崎と特に親しい間柄である2人の女子「中村恵理」と「谷口鈴」が詠唱を始め、魔法を発動する準備に取り掛かる。

 

次々と襲い掛かるラットマンの群れを天之河は、純白に輝くバスターソードを手に視認するのも難しい程の速度で振るうと、ラットマンを複数体纏めて葬る。

 

坂上は"拳闘士"という天職であることから籠手と脛当を付けており、どっしりとした構えると拳撃と脚撃でラットマンの群れを後ろに通さない様に動く。

 

八重樫は天職の"剣士"らしく、刀とシャムシールの中間辺りと思われる剣を抜刀術の要領で抜き放ち、一瞬の交差とともに切り捨てる。 その洗練された太刀筋は騎士団をも驚かせる程の腕前だった。

 

天之河達の戦う姿に殆どの生徒達が見蕩れていると、そこに白崎達の詠唱が響き渡る。

 

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ──"螺炎"」」」

 

 

詠唱が響き渡ると同時に、白崎達が発動した螺旋状に渦巻く炎がラットマンの群れを吸い上げる様に巻き込み燃やし尽くしていく。 燃やし尽くされるラットマンの群れは断末魔の叫びを上げながら灰となって絶命していく。

 

気が付いた時には広間にいたラットマンの群れは全滅しており、他の生徒達の出番が無かった事にメルドは自身の想定が甘かった事に潔く気付くと、苦笑気味に口を開いた。

 

 

「ああ〜、うん、よくやったぞ! 次はお前らにもやってもらうからな、気を緩めるなよ! それとな……今回は訓練だから良いが、魔石の回収も念頭に置けよ。 明らかにオーバーキルだからな?」

 

 

メルドの言葉に白崎たち魔法支援組は、やり過ぎたと自覚し思わず頬を赤らめるのだった。

 

 

 

 

 

 

その後、一行は特に問題もなく交代と戦闘を繰り返しながら順調に下の階層へと降りて行き、そして一流の冒険者か否かを決めるとされる20階層に辿り着いた。

 

 

「よし、お前達。 ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。 今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの20階層で訓練して終了だ! 気合い入れろ!」

 

 

メルドの発した言葉に今まで以上の緊張が走る中、晋司は手を柄に添え続けていた。

 

 

(ここまでは順調だった・・・・・・。 だが、順調過ぎて嫌な予感がする。 こりゃ、直に特大級の面倒事になりそうだな)

 

 

順調に進み続けている事に、晋司はそう思いながら傍に立つハジメを気にかけながら警戒する。 晋司の隣に立つハジメは一本のナイフを握り締めながら、周囲を警戒する晋司の様子に心配げな表情を向けるのだった。

 

 

 

to be continued‥

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