ティエラの地より 〜転生少年、深淵に挑む〜 作:エアロダイナミクス
深淵とか、暗黒世界とか、瘴気とか大好きな人集まれ〜!
基本、毎日投稿を目指しますので、よろしければお楽しみください!
──昏い、昏い地をひたすらに歩く。周りが見えない訳では無いが、ここは何もかもが暗く、淀んでいる。太陽は翳り、赤と黒を混ぜた血の様な色で周囲を照らす。まるで世界が終わるかの様な退廃的な、黄昏の世界といった風情だ。
今歩いている場所は、階層で言えば【深奥層】に当たる場所だ。別に地下にいるわけでは無い。海抜で言えば寧ろ高い方だろう。ただ、この
今現在の階層は人類の到達限界点に近い。ここまで瘴気が深ければ、景観も想像を絶するものとなる。今俺が歩いている場所は、天を衝くかの様な謎の建造物が乱立し、その周囲には強大な鎖が張り巡らされている。建物は一つ一つに訳の分からない文字がびっしりと刻まれ、長い年月放置されたかの様に蜘蛛の巣や埃に塗れ、風化している。何となくだが、この建物は墓だと思った。そのサイズ感を無視するのであれば。つまりは、ここでおねんねしてるかもしれない奴等が起きてくる可能性もあるってことだな。やべぇわ。出来るだけ慎重にいこ。マジで面倒臭いところだよホント。
だが、チャンスでもある。この辺のモノは例外なくお宝に
……あっぶね〜。さて、大丈夫そうかな。行くか。
地面は乾いた赤黒い砂で、所々に奇妙な生物の骨が山積みになっている。この領域まで至ると、唐突に地面が断絶したり、景観がガラッと変わってしまう事がある為、油断は出来ない。延々と砂漠が続いたかと思えば、突然崖になったりする事はザラにある。
今もそれに当たる現象が起こったらしい。地面が唐突に途切れてしまった。巨人墓地?地帯抜けたと思えばこれかよ。仕方なく付近を捜索していたら、石造りの橋が現れたのでそれを渡る事にする。
橋の周りは深い暗黒で覆われており、底が見えない。踏み外せば深淵層まで一直線だろう。
……いや、下手したら
人類はこのヤバい世界である【暗黒領域】に定期的に侵入してお宝を持ち帰って生活をよくしている。これを「ダイブ」という。だが、そもそも人類って瘴気の中を生きていられる性能してないんだ。辛うじて出来ても時間限定。そして、その時間が過ぎりゃ、この【暗黒領域】の仲間達と本格的に
ともあれ、これだけの危険を冒して行う「ダイブ」だが、そのリターンは計り知れない。つまり俺が帰れたら英雄だ! まぁ、帰れたらだけどね。
今の俺的にはお宝とか名声とか金よりも安全安心な暮らしが欲しい。つまり、今の俺の状況は絶賛迷子中ってやつだ。この【暗黒領域】の深部で! もういい加減平和な文化圏に戻りたい。
しかし今回の収穫は非常に大きい。
さ〜て、先も見えないがいい加減進もう。これまでずーーーっと潜りっぱなしだが、待ってる奴等にも相当心配を掛けてるだろうし……死んでると思われても不思議じゃないか…。仲間達は今どうしてるかなぁ。早く会いたいな。特にこんな時はとある少女を思い出す。水色のショートボブで、不思議な、それでいて柔らかい雰囲気を纏った少女。こっちに来てから俺はずっとその娘に惹かれていたんだ。その想いは暗黒領域に来てから自覚し、より強くなった。失ってから初めて気付く。俺はいつもそうだ。だからこそ、戻ったら絶対に手放さないと誓っている。
ん? 背後から強大な気配…巨大な蠅に似た蟲か。何となく人の顔の面影が残っているのが果てしなくキモいが、この辺では雑魚だ。しかし腐っても深奥級だ。その発する瘴気の量は、浅層に出てくる奴とは比べものにならない。当然だが、同じ素材でもレベルがあり、深層の怪物であればあるほど性能は跳ね上がる。俺は二振りの愛剣を腰と背中から取り出した。
「おら、仕事だぜ、相棒」
『……マスター、戦闘は極力避ける筈では?』
「やかましい! 見つかったモンはしゃーねーだろ! いーからチャキチャキ準備しな!」
『はぁ…。全く、仕方ないマスターですねぇ。ほら、大剣君も嘆いてますよ?』
「うるせーっての! コイツが喋れないからってテキトー言ってんじゃねーぞ。ホレホレ、始めるからな!」
『ハイハイ。分かりましたよ』
全く口うるさい武器だこと。まぁコイツのおかげで物理的にも精神的にも救われてる所はあるからな。コイツには言わないが。さ、コントしてないでやるか。お相手もヤル気満々みたいだからな。
「よぉ、蠅公。食料にはなんないけど、お前等の羽根は貴重な素材になるからな。ありがたく頂いてくぜ」
◆
俺の名はナギ=シュトルバーン。実は本名じゃない。しかし、
さて、何となく想像が付くかもしれないが、この世界の人類はほぼ詰んでいる。【暗黒領域】は、非常に広大で、今のところ奥の様子が全く分からない。当然、奥に行けば行くほど瘴気も濃く、深くなり、魔物もより強力になっていく。瘴気はいまだに広がっていて、人類は何とか抵抗を続けているが、人類の生存圏は、【暗黒領域】に比べるとあまりにも狭い。最近ようやく瘴気を祓い、人類圏を確保する方法が確立されてきたが、焼け石に水だ。いつからそうなったのかは分からない。それを解明する程の余裕が無いからだ。
それでも、人類はしぶとく生きている。中世並の文明基準で、魔物の襲撃に怯えながらも、何とか日々の暮らしを保っている。だが、それもいつまで保つか分からない。そんな素晴らしいクソッタレな世界に放り込まれた俺も、何とか楽しく生きて行こうとした矢先にこれですよ。ホント腹立つ。
だが、希望もない訳ではない。前世(?)で培った常識などは通用しないほどの〝力〟をこちらの人類は編み出していた。具体的には、アスリートを軽く凌駕する様な身体能力をはじめ、何もないところから火を出したり、水を出したり、土を操ったりと、まるで魔法のような現象を起こすことが出来るのだ。それは人類に与えられた慈悲とも言えるだろう。俺も使えるようになったときはテンションが爆上がりした。そして、それは今現在手放せない相棒として、俺の中で生きている。
そう、こんな詰みかけ世界でも、俺はそれを
まぁその前にとりあえず、人類生存圏に戻んなきゃな。
──クソ魔王。そして魔神め。いつかはテメーらもぶちのめしてやる。首を洗って待っとけよ。
深淵とか、暗黒世界とか、そんな成分が欲しくなり、禁断症状が出そうになったので投稿しました! オリジナルって難しい!