ティエラの地より 〜転生少年、深淵に挑む〜   作:エアロダイナミクス

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深淵とか、暗黒世界とか、瘴気とか大好きな人集まれ〜!
基本、毎日投稿を目指しますので、よろしければお楽しみください!


1、プロローグ

 

 

 

 

 

 

 ──昏い、昏い地をひたすらに歩く。周りが見えない訳では無いが、ここは何もかもが暗く、淀んでいる。太陽は翳り、赤と黒を混ぜた血の様な色で周囲を照らす。まるで世界が終わるかの様な退廃的な、黄昏の世界といった風情だ。

 

 

 今歩いている場所は、階層で言えば【深奥層】に当たる場所だ。別に地下にいるわけでは無い。海抜で言えば寧ろ高い方だろう。ただ、この()()の濃さによってそう分類されているだけだ。

 

 

 今現在の階層は人類の到達限界点に近い。ここまで瘴気が深ければ、景観も想像を絶するものとなる。今俺が歩いている場所は、天を衝くかの様な謎の建造物が乱立し、その周囲には強大な鎖が張り巡らされている。建物は一つ一つに訳の分からない文字がびっしりと刻まれ、長い年月放置されたかの様に蜘蛛の巣や埃に塗れ、風化している。何となくだが、この建物は墓だと思った。そのサイズ感を無視するのであれば。つまりは、ここでおねんねしてるかもしれない奴等が起きてくる可能性もあるってことだな。やべぇわ。出来るだけ慎重にいこ。マジで面倒臭いところだよホント。

 だが、チャンスでもある。この辺のモノは例外なくお宝に()()()()からだ。攻略に有益なアイテムが見つかるかもしれない。そういうのを集めてなんとか加工し、某狩ゲーみたいな感じで攻略を進めている。少しテンション上がる。しかし、いくら俺でも嫌なモノは嫌であるからプラマイでマイナス寄り。気を滅入らせながらも歩いていると、上空からゴウンゴウンと重厚な音を響かせて、巨大な頭蓋骨を頭部とした魚の様な飛行物体が姿を現した。まるで生物と機械が融合したかの様なグロテスクなフォルムをしたソイツは、目算で50メートル以上はある。【深淵級】だ。奴等の本来の巣は階級が一つ上の深部にあるはずだが、捕食しやすいこちらまで出てきて獲物を探しているといった所だろうか。見つかると厄介どころではないので、ひとまず姿を隠す。奴はしばらくこの近辺をウロウロと彷徨った後、別の方向に姿を消していった。

 

 

 ……あっぶね〜。さて、大丈夫そうかな。行くか。

 

 

 地面は乾いた赤黒い砂で、所々に奇妙な生物の骨が山積みになっている。この領域まで至ると、唐突に地面が断絶したり、景観がガラッと変わってしまう事がある為、油断は出来ない。延々と砂漠が続いたかと思えば、突然崖になったりする事はザラにある。

 今もそれに当たる現象が起こったらしい。地面が唐突に途切れてしまった。巨人墓地?地帯抜けたと思えばこれかよ。仕方なく付近を捜索していたら、石造りの橋が現れたのでそれを渡る事にする。

 橋の周りは深い暗黒で覆われており、底が見えない。踏み外せば深淵層まで一直線だろう。

 ……いや、下手したら()()()まで行ってしまうかもしれない。それはヤバい。【奴等】に見つかってしまうかもしれない。そうなったらいくら俺でもアウトだ。やっぱり慎重に行こう。

 

 

 人類はこのヤバい世界である【暗黒領域】に定期的に侵入してお宝を持ち帰って生活をよくしている。これを「ダイブ」という。だが、そもそも人類って瘴気の中を生きていられる性能してないんだ。辛うじて出来ても時間限定。そして、その時間が過ぎりゃ、この【暗黒領域】の仲間達と本格的に()()()になっちまうからな。え? 俺? 俺はアレだ。なんか特別にずっと長くいられるらしいよ。知らんけど。

 ともあれ、これだけの危険を冒して行う「ダイブ」だが、そのリターンは計り知れない。つまり俺が帰れたら英雄だ! まぁ、帰れたらだけどね。

 今の俺的にはお宝とか名声とか金よりも安全安心な暮らしが欲しい。つまり、今の俺の状況は絶賛迷子中ってやつだ。この【暗黒領域】の深部で! もういい加減平和な文化圏に戻りたい。

 

 

 しかし今回の収穫は非常に大きい。魔法銀(ミスリル)日緋色神金(オリハルコン)を始めとした稀少な鉱石類、そして、深奥級の魔物どもの爪や牙や革、そして、その他雑多な部位や、古代の遺物などである。コイツらをどう料理するか今から楽しみだぜ。早く安全地帯さがさねーと。俺はこれらを特別な収納袋に詰め込んでいる。コレは以前()()()()()に拉致され、そこから脱出したときに拾った物だ。瘴気がどう作用したかは分からないが、巨大な闘技場の10倍以上の広さで物品が詰め込めるという、超貴重な一品となっている。しかも、中の時間がかなり緩やかなため、保存も利く。収納袋はダイバーの必需品とも呼べる物だが、当然駆け出しには絶対に持つことの出来ないものだ。このアイテムボックスとも言うべき物は、浅い層でもたまに見つかることがある。しかし、性能はお察しだ。それでも恐ろしいほどの金額(一般の人間なら1年以上食べていける)が付くのだから、俺の持っているコレがいかに貴重か分かるだろう。

 

 

 さ〜て、先も見えないがいい加減進もう。これまでずーーーっと潜りっぱなしだが、待ってる奴等にも相当心配を掛けてるだろうし……死んでると思われても不思議じゃないか…。仲間達は今どうしてるかなぁ。早く会いたいな。特にこんな時はとある少女を思い出す。水色のショートボブで、不思議な、それでいて柔らかい雰囲気を纏った少女。こっちに来てから俺はずっとその娘に惹かれていたんだ。その想いは暗黒領域に来てから自覚し、より強くなった。失ってから初めて気付く。俺はいつもそうだ。だからこそ、戻ったら絶対に手放さないと誓っている。

 

 ん? 背後から強大な気配…巨大な蠅に似た蟲か。何となく人の顔の面影が残っているのが果てしなくキモいが、この辺では雑魚だ。しかし腐っても深奥級だ。その発する瘴気の量は、浅層に出てくる奴とは比べものにならない。当然だが、同じ素材でもレベルがあり、深層の怪物であればあるほど性能は跳ね上がる。俺は二振りの愛剣を腰と背中から取り出した。

 

 

「おら、仕事だぜ、相棒」

 

『……マスター、戦闘は極力避ける筈では?』

 

「やかましい! 見つかったモンはしゃーねーだろ! いーからチャキチャキ準備しな!」

 

『はぁ…。全く、仕方ないマスターですねぇ。ほら、大剣君も嘆いてますよ?』

 

「うるせーっての! コイツが喋れないからってテキトー言ってんじゃねーぞ。ホレホレ、始めるからな!」

 

『ハイハイ。分かりましたよ』

 

 

 全く口うるさい武器だこと。まぁコイツのおかげで物理的にも精神的にも救われてる所はあるからな。コイツには言わないが。さ、コントしてないでやるか。お相手もヤル気満々みたいだからな。

 

「よぉ、蠅公。食料にはなんないけど、お前等の羽根は貴重な素材になるからな。ありがたく頂いてくぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の名はナギ=シュトルバーン。実は本名じゃない。しかし、()()()()()()この名前だから、これで通してる。まぁ早い話、俺は転生者だ。いつの間にかこんなクソッタレな世界に放り込まれ、訳も分からず生きてきた。そして俺は「ダイバー」をやっている。いや、やってた。俺はどうやらこの「ダイバー」をやるにあたって、かなり適性があったらしい。それは前述した通りだし、他にも理由がいくつかあるが、そのおかげで今もこうしてどっこい生きてるってわけだ。

 

 さて、何となく想像が付くかもしれないが、この世界の人類はほぼ詰んでいる。【暗黒領域】は、非常に広大で、今のところ奥の様子が全く分からない。当然、奥に行けば行くほど瘴気も濃く、深くなり、魔物もより強力になっていく。瘴気はいまだに広がっていて、人類は何とか抵抗を続けているが、人類の生存圏は、【暗黒領域】に比べるとあまりにも狭い。最近ようやく瘴気を祓い、人類圏を確保する方法が確立されてきたが、焼け石に水だ。いつからそうなったのかは分からない。それを解明する程の余裕が無いからだ。

 

 それでも、人類はしぶとく生きている。中世並の文明基準で、魔物の襲撃に怯えながらも、何とか日々の暮らしを保っている。だが、それもいつまで保つか分からない。そんな素晴らしいクソッタレな世界に放り込まれた俺も、何とか楽しく生きて行こうとした矢先にこれですよ。ホント腹立つ。

 

 

 だが、希望もない訳ではない。前世(?)で培った常識などは通用しないほどの〝力〟をこちらの人類は編み出していた。具体的には、アスリートを軽く凌駕する様な身体能力をはじめ、何もないところから火を出したり、水を出したり、土を操ったりと、まるで魔法のような現象を起こすことが出来るのだ。それは人類に与えられた慈悲とも言えるだろう。俺も使えるようになったときはテンションが爆上がりした。そして、それは今現在手放せない相棒として、俺の中で生きている。

 

 

 そう、こんな詰みかけ世界でも、俺はそれを()()()()()()。イカれているかもしれないが、それが俺にとってのモチベーションなのだ。どんな時でも希望をもって生きる。俺のモットーだ。これからも俺はそれを胸に闘い続ける。そして、いずれ強くなって、この世界から瘴気を駆逐してみせる。

 

 

 まぁその前にとりあえず、人類生存圏に戻んなきゃな。

 

 

 

 ──クソ魔王。そして魔神め。いつかはテメーらもぶちのめしてやる。首を洗って待っとけよ。








深淵とか、暗黒世界とか、そんな成分が欲しくなり、禁断症状が出そうになったので投稿しました! オリジナルって難しい!
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