ティエラの地より 〜転生少年、深淵に挑む〜 作:エアロダイナミクス
「で、例の少年についてはどうなってる?」
領主館の会議室。中央の豪華で巨大なテーブルにはそれぞれ街の主要な組合の長が座る。発言しているのはレオノール=デ=マドリー。豪華な意匠の礼服を着た、四十絡みの総髪の男。名前から分かる通り、この街の領主であり、実質の支配者。つまり、この場はこの街の動向を左右する最高決定機関である。
それぞれの組合長は比較的年配が多い。その中にいる彼は若手とも言えるが、侮られるなどという事は一切ない。むしろ尊敬を集めている。それは彼の発する空気感や雰囲気、そしてその政務能力から領主としての手腕に一目置かれているからだ。不正は一切許さぬ実直さと、それでも硬軟併せ持ち、一定の理解は示す柔軟さや度量もあるため、住民からの評価も高い。
眼光鋭く、一国の王に足る覇気を持つ男。この男がいる限り、この街の陥落は無いと思わせてくれる。そんな男がレオノールである。
「あぁ。アイツは本当にびっくり箱だな。まさか待望の〝光〟が出てくるとは思わなかったぜ。現在は魔人の件で謹慎中だ。しばらくは大人しくしてるだろ。問題は魔人の方だ。そっちもそっちで頭が痛ぇぜ。恐らく次の襲撃にも絡んで来るかもしれねぇからな。そっちはどうすんだ? 領主サマよぅ」
そんな領主に向かってビトはぞんざいな口調で答える。本来は無礼に当たるが、長年街の守護と発展に貢献してきたダイバー組合の長であるビトであるからこそであるし、レオノールを若年の頃から支え続けてきた彼だからこそ許されることである。しかし、それを是としない者もいる。
「おい! レオノール様に向かってその口の利き方は止めろと何度言えば分かるんだ!」
「よい。ビトならいつものことだ。オレも気にしてない」
「しかしレオノール様……」
「無駄に口調を堅くしては本質を見失う。それにビトは知らぬ仲ではないだろう? 卿ももう少し柔軟に構えろ」
「……かしこまりました」
近衛長のアーロンである。彼は最近近衛長になったエリートで、かなり若手でもある。だからこそまだまだ固い部分もある。そんな彼を諫めながらレオノールは続けて尋ねる。
「魔人の件はその対策の時に話そう。で、ビトよ。お前は彼をどうしていくつもりだ?」
「……基本的には奴はダイバーだ。ダイバー稼業を続けて貰う。奴が〝本質〟を掴むまでは慎重に、とつくがな。あれだけの戦力を内に留めて腐らせるのは惜しい。ダイバー組合が責任持って育てるさ。さすれば奴は白金級のダイバーにだってすぐになれるだろう」
「そうか。確かに隻腕とは言え『あの』ガブリエラを歯牙にも掛けぬ力が手に入れば相当心強い。しかし、他の組合も彼を欲しがっているようだが?」
その言葉に反応して一斉に様々な長が主張を始める。
「おい! ビト! いくら何でもアレを独り占めはズルいぞい! 貴重な〝光〟属性は人類の希望だ。ウチによこせばその力の源を解析してより人類の発展につなげられる。
「は? なにを言っているのです。彼は人類の救世主。まさに地上に降りた天使。危険なダイバーを続けて無駄に散らせたり、実験動物扱いにして消費するなんて愚の骨頂。『教会』は彼を保護させてもらいます」
「それこそ、そのハゲが言ってた様に無駄が過ぎるというもの。だからといって危険な外には出せぬ。よって最適解は街の守護たるマドリー守備隊だ。兵士はいつでも人材不足だ。彼も街の守護や浄化には最適だろう。なに、待遇は保証されているから彼も納得するだろう」
「馬鹿野郎どもめ、そんな事で貴重な希望をみすみす腐らせるのは悪手だってんだろ。特に教会! 大体本人の意志を無視してやがるのはどういう了見だ! アイツがダイバーを望んでんだぞ!」
混沌としていく会議室。喧々諤々の議論と言う名の言葉の殴り合いが始まろうとしていたその時、領主からの待てが入り、一同は静まりかえる。
「卿らの意見は分かった。それでは裁定を行う。ナギという少年の処遇はダイバー組合在籍のままで育成は一任することとする」
えぇ~という声がどこからかあがるが、他の組合長も不満たらたらな視線を領主に向けている。しかし、領主の言葉は続く。
「それに伴い、他の組合にも彼は協力するという義務を負わせる。無論、必要があれば、という注意点はあるがな。必要があればこのオレに申請書を出せ。納得いくものであればそれをダイバー組合への特殊依頼として卸す。それでいいか?」
この裁定には一定の理解が得られたらしく、組合長達もそこである程度は納得して頷いた。そして次の議題へと入る。
「次に、いよいよ近づいてきた〝朔〟だが、正確な日程は──」
◇
あれから一週間経つ。現在、オレは謹慎期間中である。そのためできることと言ったら鍛錬しか無い。新しい鎧ももうちょっと時間が掛かる。となれば、少しでも地力を上げるために訓練することは必定である。仲間達と共に走り込みを始めとする基礎的な訓練や筋トレをはじめ、素振りや模擬戦などの実践的な訓練も行う。霊力訓練については事象変化、つまり光の属性を中心に訓練をしているが、なかなか上手くいかない。いまいち〝光〟と言う属性への理解が進まないせいでもある。それでも霊力を光へと変換することだけは地道な維持訓練となるため続けている。
あと、変化と言えば3日前にダイバー組合に呼び出され、特殊依頼とやらの説明を受けた。なにやら様々な組合へと顔を出して、その協力をして欲しいとのことだった。謹慎中なのにいいのかと聞いたが、【暗黒領域】へと行かないもので、しかも強制依頼とのことなので了承した。依頼料は出るらしいし。
そして今日が初依頼だ。今日は霊力開発研究組合とかいう所に呼び出されている。略称〝霊開研〟。ここはアーティファクトを含む様々な霊力に関わる物を利用したり解析したりするところでもある。以前調査を受けたときに所長の目が若干モルモットを見るような目をしていたので不安が残るが、強制依頼なので仕方ない。解剖されないことを祈ろう。
「久しぶりじゃのぉ。ナギ君」
「お久しぶりです。所長」
相対するのは、霊開研の所長(ここでは所長らしい)、エンリケ=バルデス。見た目はビト組合長より年上の70代に見える老人だ。しかし、それを感じさせない強引さによって年齢を感じさせないパワフルさがある。一歩間違えばマッドな雰囲気を感じるが、その推察は間違ってないだろう。
「キキキキキ。今日は色々な実験を手伝って貰おうと思ってのぉ。一番に呼んで貰うようにしたのだよ。さて、試したいことは沢山ある。早速来て貰おうか」
……不安になってきた。オレは今日無事に帰れるだろうか。
◇
「ふむ……以前も試したが、浄化率が通常の霊力より289%ほど高い。比較にもならん! しかもこれは出力に関係ないものだ。やはり〝光〟は特別な霊力……!」
「この数字は驚異的です! まさに別格と言えます! 所長」
「いいデータが取れたな。ブレが無いように継続して試していこう」
所長自らと助手数名による浄化実験。なにやら継続して行うといった不穏な言動が聞こえたが、聞かなかったことにする。
浄化実験が終わったら次はいよいよアーティファクトに関する実験らしい。これはオレも気になっていたので実はワクワクしている。どんな物が出てくるかな?
浄化実験は狭い部屋で行っていたが、お次は建物の中庭のような場所へ出る。中庭と言うよりは運動場のようだ。離れた場所に木で作られた的がいくつか見える。
「さて、まずは兵器からだ。君が以前拾ってきた『銃』だ。これを浄化して改造を施した物で実験していこう」
そう言うと、所長はおもむろに懐から以前見た銃器を取り出す。そんなところから出していいの? てか、どこにそんなのしまってたのさ。収納袋か?
オレは前世(?)でも銃とは無縁の暮らしをしていたため、これがどんなタイプの銃かは分からないが、どうも連射式の銃のようだ。昔ドキュメンタリーとかで見た軍隊が使っているような奴と言えば伝わるだろうか。どうやらこの銃は浄化を経てアーティファクトへと変化したらしく、恐らくオリジナルより威力が向上したそうな。しかし、この街は火薬や弾などを量産できる状態では無い。そこで、この霊開研が色々と弄ったらしく、霊力を弾丸として発射できるように他のアーティファクトを組み込んだり、改造したりして現在の形に落とし込んだとのこと。詳しい説明はまるで呪文のようで右から左へと流れたが、やってることは頭がおかしい程のオーバーテクノロジーじゃないか? これ。しかもオレがこれを持ち込んでから10日もたってないけど……。
ふと見たら、何人かの助手の顔が青白く、そして眼が爛々と輝いている。恐い。おそらくデスマーチだったんだろうなぁ。しかもそれを望んでやってる節があるし……。助手さん達の方を見ないようにして所長に話しかけよう。
「これ、どうやって使うんです?」
「今から説明する。よく聞いておくがよい」
使い方を聞くと意外にシンプルだった。なにやら霊力を込めて引き金を引けば銃身から霊力の塊が飛び出すらしい。手に持ってみる。……ちょっと興奮してきた。こういうのって憧れるよね。
まずは普通の霊力で試すらしい。霊力を込めて…的に照準を合わせて……スイッチオン!
ズガガガガガ!!!
あっぶね!!! 銃身が跳ねまくった! そして、肝心の的には一切当たっていない。これを予見していたのか助手さん含め所長も避難していた。ちょっと凹む。
「下手くそめ。反動があるからしっかり持つが良い。まぁ、威力に関してはデータが取れたからよい。次は〝光〟で試してみろ」
それならそうと先に言ってよ! まぁいいや。つぎは〝光〟ね。よーし、反動のことを考えて、しっかり持って……スイッチオン!
……あれ? なにも起きない……? 銃身を覗こうとしたその時
「馬鹿者!! そのまま持っていろ!!!」
ビックリして落としそうになった。とりあえずそのまま持つ。すると、銃身から光の線がうっすらと現れる。? これは……? と思っていたら徐々にその線が太くなり、徐々にその線が輝きを増していく! 同時に異質な音、表現するならキュイイインとかチュイイインみたいな音が出て、当たったところを凄い勢いで破壊、と言うか溶かしている! やべ、後ろまで貫通してる! 止めなきゃ! 危うく研究施設の壁を貫通しそうになってその破壊は止まった。よく見ると『銃』の銃身が変色していて煙が出ている。
「なるほど。〝光〟だとこうなるか! 素晴らしい威力だ!! そして、耐久性に問題があるか……やはりここは別の素材を使わねばならんようだな。よくやった。また改良したときには試射をお願いしよう」
結果的に貴重な銃をおシャカにしちゃったけど、所長他助手さん達まで満足そうだ。弁償を請求されると思ったが良かった。そして、また来るのは確定なのか……。嫌とは言えない雰囲気だしなぁ。こうなったら開き直るしか無い、か。
「さて、次はこれだ」
そうして見せてくれたのは、一見何も変哲の無い20㎝ほどの棒の様な金属であり、スイッチのような物が着いている。見た感じただの棒だが素材は一級品の様だ。ただの鉄とかそう言う金属にはない雰囲気を感じる。これはドニさんの鎧に近い物かな?
「これはな、正式名称EE-011改といって、霊力を刃に変えるという霊力兵器の一種だ。儂が昔戯れに開発してみたはいいものの見事に失敗してお蔵入りしたモノだ。だが、君ならば使えるかも知れん。少し試してみてくれんか」
「いや、いいんですけど……その前に、何が失敗だったんです?」
「あぁ、それか。高威力の刃が出るには出たが、消費が半端なかったのだよ。燃費が悪い、の一言に尽きる。それならば普通に属性や霊力を刃に変換して使う方が効率が良い。だが、儂も諦めきれんでな。試してみてくれんか?」
そう言われると、ちょっと興味があるにはある。確かに霊力の熟練になれば刃ほどの切れ味を出せるようにもなるし、ガブリエラさんや【一刀両断】のパーティーの様に属性で鋭い刃を形作ることは可能だ。だからこそこの「霊力兵器」はお蔵入りしたのだろう。それが光となればどうなるか……楽しみだ。
所長からソレを受け取って、霊力を光に変換し、スイッチを入れる。すると
ブオン
眩い光が棒の先端から出てきて真っ直ぐ伸びる。50㎝ほど刀身が伸びてそこで止まる。これは……!
「!! これは……! 素晴らしい! ナギ君! 君はやはり最高だ!! そしてやはり儂は天才じゃったか! カカカカカカカ!!!」
爺さん、壊れる。いや、馬鹿笑いしてないで解説はよ。意外に消費少ない、というかほとんど無いからいいけど。
「おっと、すまんすまん。どうじゃ? 消費の負担はないか? ……なに!? それはより素晴らしい! これも漸く霊力兵器として陽の目を見ることができたか! で、威力はどうじゃ? この鉄の棒で試してみるが良い」
どこからか取り出した鉄の棒を土に突き立てる所長。いいのかな? これ。……頷いてるから遠慮無くいくか。えいっ!
スパッ
まるで豆腐を切ったかのような手応え。というか、切った事さえ分からないぐらいだ。すさまじい威力……! これは…これは凄い! 最初はまたか、みたいな顔をしていた助手一同も、この威力に目を見張っている。
「ホッホ~ゥ! 威力も相当な物じゃのぉ! そして〝光〟に限って燃費がいい……! 素晴らしい! 素晴らしいぞ! ナギ君! 君限定となるが、新たな『霊力兵器』が誕生した! これを記念してこれに名前を付けよう! 光の剣、じゃから…ライトセー「ちょっと待った!」」
「ん? なんじゃ?」
あまりに危険な名前が出そうだったので思わず止めてしまった。それは不味い。何故か分からないが不味い気がする。
「これ、今のところオレ専用なんでしょ? じゃあオレが付けてもいいですか?」
「うん? まぁよいが……いい案でもあるのか?」
「え、ええ…そ、そうですねぇ」
「なんじゃ、歯切れの悪い。ま、別に名称なぞなんでもよいのじゃが、あるなら早う言え」
「え~っと……あ、ライト、ブリンガー、ってのはどうです?」
苦し紛れの言葉が漸く出た。これもなんとなく危ない気がするが、まだマシだろう。
「ふむ……『光を齎すもの』な。良いじゃろう。これからその兵器の名称は『ライトブリンガー』で決定じゃ!」
おぉぉ~!! と歓声の上がる声。うん。良かった。あんまり良くないかも知れないが、最初の案よりはいいはず。まぁ、とりあえずヨシとしよう。
で、コレ、どうするんだろう?
「それはもうデータも取ってあるから君に進呈しよう。君の出力を計測もできておるから、他の属性でもできぬか試す価値はできた。その代わり、ちょくちょくここに通ってチェックさせてもらえれば調整や修理も請け負うぞ?」
マジで!? くれるのコレ! やったぜ! って思ったけど、これ、着実に霊開研に取り込まれてるような気がしないでもないな……ま、いっか。これ、凄く有能な武器っぽいし。以前の大規模襲撃の時もこの人達の兵器によって街が救われたって面もあるから、仲良くなっておくに越したことはないしね。
半ば無理矢理自分を納得させ、ありがたくライトブリンガーをしまうオレ。
その様子を見て唇を歪めて笑う所長。うん。見なかったことにしよう。
そして、その後様々な実験を経て、最後に所長は研究所の地下に案内された。ここは様々なアーティファクトを研究、開発している場所らしい。
「これで最後じゃ。時に、君はアラン平原の隠し研究所のその後については聞いているかね?」
うん? そう言えば、調査隊を送ったって話は聞いていたけど……進展は聞いてないな。どうなったんだろ? 素直にそう答えると
「あの場所はな……
「……は?」
「疑問に思うのも無理は無いがな。低層とは言えあんな瘴気のど真ん中でありえんことじゃが…あの場所にはもう瘴気が入り込めんようになっておるらしい」
「それは……」
「そう。君の〝光〟の霊力によってじゃ。一種の聖域と化しておる。暗黒嘯が起きれば分からんが、どうやら魔物の侵入すら防いでいるようじゃな」
それは……凄くないか!? それって、まさか……
「フフ……どうやら気付いたようじゃの。君の特異性に。そう。もしこれが範囲を拡大できるものだとすれば……人類の生存領域を広げる事に繋がる」
「!!!」
それは、人類の夢の一つじゃないか! だけど、オレ個人の霊力にも限界がある。さすがに世界中はともかく、街規模ですら到底無理だぞ?
「まず、君はどうしてこの街が無事かは知っておるか?」
「え? ええ……たしか大地の龍脈にあたる部分が街の中心にあるから、ですよね?」
「半分当たりで半分外れ。正解は、街の中枢部に存在する龍脈のエネルギーを増幅して固定するアーティファクトで補っているから、じゃな」
「な、なるほど」
「ま、知らずとも問題は無い。じゃが、お主にはコレは知って貰う必要がある。陥落した街にはそれぞれ似たようなアーティファクトが眠っておる。君らダイバーの大目標の一つにコレを起動させるというものがある。難易度が高すぎて実行できた者はおらんがな。だが、ここにお主の〝光〟。これを増幅し、固定して結界のように張れるとしたら……どうなる?」
それは……まず、そのミッションの難易度が高い原因は、何よりも瘴気と魔物、これに尽きる。削れ続ける霊力に襲いかかる魔物。更にはいつ来るか分からない暗黒嘯がある。だからこそ仮にグラナドを見付けたとしても、その復興も難しいのだ。だが、所長の言うように簡易的な浄化された部分が増えていけば……
「復興も、夢じゃない?」
所長はその言葉を聞いて、ニヤリと笑って言った。
「その通り。人類は、
なにやら凄い話が出てきた。しかし、そんな計画をオレ任せにして大丈夫か?
「問題ない。君はこの装置の起動実験に協力してくれれば良いのだ」
そうすると、所長はまたもや懐から謎の装置を取り出した。どうでもいいけどそこから出すの好きですね。その装置とやらは、一見正方形のキューブである。しかし、異様な〝力〟を感じる。なんかこう……存在感といえばよいか……。よく見れば所々なにやら機械的な文様が見て取れる。
「これが、そのアーティファクト。EM-002A5。通称『アーク』。稀少な鉱石である太陽石を核として、それを原料に様々な技術の粋を結集して作成されている。これは街の中枢にあるものの小型版だ」
「これに〝光〟を注ぎ込めばいいのですか?」
「察しが良くて助かる。霊力での起動実験は試したのだがね。持続性に欠けるのだ。本来のスペックであればこのサイズでも少なくともこの建物の範囲を1ヶ月は持たせられるはずなのだが……どうもうまくいかなくての」
なるほど。では、早速やってみよう。所長から「アーク」を受け取り、光を込め……ん?
カッ!!
「うわーっ! 眼がー! 眼がぁーーっ!!」
あまりにも眩い光が装置から放たれ、オレも所長もあまりのまぶしさに眼をやられた。二人して有名アニメの敵役のマネをするハメになったが、ほかの助手さん達もかなり不意打ちで喰らってて同じリアクションをしていたらしい。太〇拳直撃したみたいな感じを想像して欲しい。
しばらくして漸く眼が落ち着いてくると、眩しすぎて落とした筈の「アーク」が無い。どこいった?
「所長! アレを!!」
「な……! なんじゃと……!!」
「アーク」は宙に浮いていた。マジで? これ、アレじゃん。名前は言えないけど有名アニメのアレじゃん。滅びの呪文でも唱えたか?
眩い光を放ち緩やかに回転しながら静かに浮く「アーク」。これはどうなんだろう。成功、か?
「所長! 計測エネルギーが通常の霊力の100倍以上を計測しました!! まだまだ上がっています!!!」
「こ、これは……フ、フハハハハ!!! 成功じゃ!! 大成功じゃ!!! すぐに正確なエネルギー値を算出せよ! 持続性も期待できるぞ! 交代で連続起動時間の計測じゃ! 瘴気を祓う力がどの程度か浅層に持ち込むのも良いな……!!」
「エンリケ所長! 領主に報告して例の計画の発動を!」
「おお! そうじゃったそうじゃった! お主、報告は頼むぞ! 儂は一通り実験をしなければならんからな。カカカカカ! これで、例の『レコンキスタ計画』が現実となる……!!」
どうやら成功したらしい。良かった。計画のコードネームは「レコンキスタ計画」と言うらしい。再征服、と言う意味だ。まぁ、ふさわしいと言えるだろうが、どことなく厨二病的なエッセンスを感じる。これも所長のネーミングだろうか?
ともあれ、これでオレの夢も一歩前進したようだ。しかし、流石にオレもちょっと疲れた。この人達のテンションは高すぎる。確かに目標が前進するのは嬉しいけど、彼らとずっと付き合うのは厳しい。ほどほどのお付き合いで済ませられるように気を付けていこう。
そう心に誓った。