ティエラの地より 〜転生少年、深淵に挑む〜 作:エアロダイナミクス
さぁ深淵! 脳の瞳が加速する…!
深淵層──
そこは、時間も空間も何もかもが歪む世界。ありとあらゆるモノが瘴気によって歪になる。例の
延々と続くキモい奴等が湧く壁を登り切ったら再び曠野。そして、まっさらに広がる曠野だと思って一歩踏み出したとたんに真っ暗闇になった。その理不尽さも深淵層ならでは、ということだろう。それ以上に重い魔王の領域は、もはや生物の存在が許されない領域だ。だからこそ、アレは【奈落】と呼称することにした。
まずは奈落から深淵へ。そして深奥、深層へと。そこまで行けば、例の羅針盤も機能する。それまでに、また過酷な闘いが待っているだろう。だが、それを踏みつぶしながら進む。
そうして、この人類未踏地帯で拾ったアイテムを彼らに還元することで、人類の力を盛り返す。これは決意だ。必ずこの世界を通常の状態に戻してみせる。それが、俺なりの責任の取り方なのだから。
◆
さて、深淵層に話を戻すが、ここは先ほども述べたように何もかもが狂っている。基本は昏い静謐な場所ではあるのだが、時折明かりが見えてその全貌が見渡せるときがある。それは、深淵級の魔物同士がぶつかり合いをするときだ。ものすごい爆風とともに、重力や空間もおかしくなり、どこを浮いているか分からない状態となる。一瞬見えた感じだと、超巨大な人面魚と、三つ首の髑髏ドラゴンがそれぞれの瘴気で戦っていた。……超巨大な遺跡の近くで。もう、なんかスケールがおかしい。自身が蟻になったかのような、そんなスケールである。
……駄目です。あんなのに勝てる気がしないです。先ほどかっこつけて決意したけど無理よ。見つかるだけでアウトじゃん。人面魚が今、髑髏に向かって超絶ビーム放ったけど、アレに掠るだけで自分、消滅します。髑髏ドラゴンが対抗して出した雷の嵐、アレに巻き込まれても確実にアウトだわ。
あのクソババアがアレより弱いとか考えられないし、奴にいったい何があったんだろう。あのクソ強いと思ってた敵の数々は、ほんとに弱ってたか雑魚だったんだね…。多分だけど、アレは
こりゃ先が思いやられる…とにかく見つからないように移動しなければ…。
◆
見つかりました…
必死に逃げる! 今見つかって追いかけられてるのは人面魚の機械仕掛け髑髏バージョン。機械交じりの音で、サーチライト照らしてきやがったせいで見つかってしまった。周囲に爆発が広がる。奴がロケラン的なものを撃ってきたからだ。その威力がおかしい。俺が避けられてるのは瘴気の攻撃を察知できてるからだが、それでも爆風がおかしいせいで避けたのにダメージが酷い。それに付与効果がモリモリ。そこは俺に通じないから良いものの…クソが。マジでどうすりゃいいんだ!
そう思ってたら、走ってる土中から超巨大な反応を検知! 即飛びのくと、そこから先端が人間の顔面付きの超巨大ナナフシが飛び出してきて、髑髏人面魚に襲い掛かった! チャンス! 勝手に殺し合え!
◆
ふう~…助かった。今俺は岩陰に隠れて、巨大怪獣大決戦を観戦中だ。迂闊に動いたら狙われそうだし。ナナフシがミサイルに着弾してその身を破裂させながらも、再生しながら奴に喰らい付いた。髑髏魚は脇に着いてる火炎放射でナナフシを焼き払おうとするも、ナナフシは無数にある手に見えない刃を纏って鱗や武装を引っぺがしはじめた。
髑髏魚は堪らず悲鳴をあげながら口からビームを放ち、複雑に巻き付いたナナフシの首が千切れた。しかし、ナナフシは再び再生し始め、その先端にある口を大きく開いて髑髏魚に齧り付く。髑髏魚は抵抗するも、派手に体液を撒き散らしながらのたうち回り、遂には動かなくなった。
それからナナフシは本格的に奴を補食し始めた。チャンスだ。とりあえずビームが俺の方向に来なくて助かった。魚から剥がれて近くに落ちてた武装や機械、鱗や肉などを回収して、そーっと後方へと下がる。ただでは転ばんよ。拾えるもんは拾う。
しばらく離れて、奴の捕捉感知外であろう所まで来て一息つく。
参ったね…これはアカン。なんか勝てる気が微塵もしないどころか、逃げ隠れで精一杯だわ。場所も昏い深海の様な景観が続くのみ。灯りが欲しいが、多分それ死亡フラグだろうし。ならば、慣れるしかない。少しでも見通せる様に、目に光の霊力を集中する……。うん。見えるようになった。なったけど…見なきゃ良かった。
俺が休んでるこの岩蔭、よく見りゃデカい顔面です。俺は丁度顔の頬にあたる部分に手をついてた。あ、目が開く……再びそーっとそーっと離れ……
目が合った。
奴が地面から出て来る前に全力疾走! うおおおおぉぉ!! 地面揺れてる! 走りにくい!! クソが!! なんなんだよここは!!! ふざけんな!!!
っと、身体が動かねぇ…! コレは…瘴気の檻!? クソ! そりゃ出来るよね! 更にソレが圧縮されていく…ぐ…苦しい…だが、舐めんな!
取り出したのは、ライトブリンガー。信じてるぜ、マッドジジイ!
カッ!!
眩い光が周囲に広がる。当然だ。闇のこんな濃い場所で放たれた光は、どんなに小さくても強烈に映るだろう。
圧が弱まった! そして、ライトブリンガーから凄まじい輝きを放つ光の柱が伸びていた。それを咄嗟に周囲に振り回すと、今まで俺を縛っていた瘴気の塊が切り裂かれ、俺が解放されて地面に着地出来た。しかし、脅威が完全に去ったわけではない。直後に巨大な腕が両側から伸びてきて、俺を捕まえようとしてくる。瘴気ではダメだと見て、実物できやがったか。
慌てて空中に飛び上がって躱すも、もう一対の手が伸びてきた。──仕方ない。ぶっつけでいけるかは分からないが、やるしか無い。
空中でライトブリンガーと大剣を逆手に持ち、腕を交差させる。そして、インパクトの直前に溜めを作り、身体を回転させる! 大剣には光を纏わせている。この大剣も浄化のおかげか霊力がかなり通りやすく、抜けにくくなっている。だからいけるはず。
それぞれ8本もある指を次々と切り裂き、手の攻撃は中断された。
思ったより通る!
直後、凄まじい叫び声が響く。それは音響兵器となり、鼓膜だけでなく全身を襲う。慌てて光を体内で練って耐性を高める事で、漸く動ける様になった。怒りやがったな。だが、俺も怒ってるぞ。
さっきの髑髏魚から剥がれたロケラン?を取り出す。このままじゃ使えないから即浄化! 散々やられたから何となく使い方は分かる。奴は瘴気を物質に変化させて使ってた。同じ事は出来るはず! ぶっつけもいいとこだが、出来なくは無いはず! 奴のうっすら見える顔面に狙いを定め…シュート!
ドゴン!
周囲に振動が来るほどの音をたてて、光のミサイルが発射された。弾はこの不思議機械が霊力で生成してくれた様だ。俺はと言えば、反動で後方に吹っ飛ばされたが今は都合がいい。弾は瘴気で減衰されたが、それでも狙い違わず奴の縦に付いている目の一つを穿ち、爆発を起こした。かなり効いた様で、遠目で何本の腕で顔を押さえながら絶叫する奴の姿が見えた。くっくっく。アレには光をたんまり込めたからな! こうして遠目で見れば、奴の姿は以前ドニさんが戦った深層の魔物に似ていた。上半身のみの仮面巨人だ。仮面は付けてないし、より巨大だし、腕の数はおかしいが。
ともあれ、奴の索敵範囲からこれでかなり離れた。ぶっつけだったが何とかなったな。何故それが分かるかというと、後方に飛んでる最中に、奴の絶叫と同時、奴の周囲広範囲に瘴気の炎の濁流が吹き上がったからだ。あっぶな。
掠っただけで消し飛びそうなエネルギーの奔流だった。俺はといえば、着地後それを確認して即ライトブリンガーとロケランを袋に収納して、そのままダッシュした。あれから追ってこないという事は、ダメージもかなりあったのだろう。
そこから考えるに、俺もここでまるで無力というわけではなさそうだ。敵の対処法も
さて、とにかく拠点が必要だ。敵から見つからず、体勢を整えられる拠点が。見渡す限りの曠野だが、必ずどこかにあるはずだ。まずはそれを探さなければ──
◆
あれから、拠点探しも兼ねてこの深淵を彷徨った。そこで感じた事は、とにかくここは人類の想像を絶する世界だという事だ。前世でも深海は未知の領域で、想像を絶する生物のオンパレードだったが、ここは輪をかけて酷い。
俺が遭遇した奴なんてまだ可愛い方だった。何故ならば、サイズが100メートル単位なのがデフォルトだから。下手すりゃキロメートル単位の奴もいる。
歩いてる地面が実は巨大な亀だったり、遥か上空に浮かぶ島の様なヒラメっぽい奴がいたり、岩壁かと思ったら真っ黒な超巨大ドラゴンの爪だったり、地面から超でかいワームが飛び出してきたり…etc
更に、奴等の攻撃も規格外だ。遠くで雷の乱舞が見えたかと思えば、超大量の濁流が突然発生して大津波になってたり(危うく巻き込まれかけた)、凄まじい火柱、というか火焔旋風みたいなのがところどころ吹き荒れる。天変地異かよ。あ、キノコ雲。逃げよ。
たまに小さい奴(深淵基準)がいたとしても、巨体で空中を高速で飛び回る人面クリオネとか、触手満載のヤドカリとか、キモい顔した多足の獣とか、クソデカミジンコとか、本当にバリエーションは豊かだ。
何が嫌かって、どいつもこいつもビジュアルがキモい。まるで人間の悪意を詰め込んだかの様な醜悪な見た目をしていらっしゃる。悪夢の世界に極小の小人として飛び込んだ感じだ。意味不明な人語を喋る蟲とかもいて嫌悪感はMAX。それでいて、小さいやつでも今の俺が全力でやって何とか撃退、超頑張って撃破出来るって…どんだけよ。
これでも俺、深奥級程度なら多分割といい勝負できるし、条件が合えば蹂躙できるんだけどな…。ドニさんの因縁の相手、多分伯爵級〜侯爵級だと思うけど、アレも余裕だったし。つまりまだ常識的な奴等ならいけるんよ。でも、ここの奴等は無理だ。ショ◯カーとか怪人なら仮面のライダーでも倒せるだろ? でも彼らでもゴジラは無理じゃん? そういう感じ。以前の地獄にもここまでの奴等は滅多に居なかった。
これも多分、
◆
拠点……無理でした…
大体、遺跡的な場所は大体深淵級の大群かデカブツの寝床だし。いい感じの建物見つけてもそれ自体が深淵級だったし。何度か飲み込まれかけて、一度は完全に飲み込まれた。マジで溶ける所だったが、何とか脱出した。ある時は意思を持つ工場みたいなのに捕まって、機械化されかけた。何とか逃げたけど、横目で見た時、人面魚君が捕まってるのが見えてビビった。
他にも、いい感じの花畑を見つけたが延々と蟲人間の出てくる地獄だったり(ついでに花畑自体が深淵級)、遺跡跡地っぽい所なのに、超巨大粘菌が大部分に擬態してたりと、散々でした。
今の所、8割が深淵級、残りが何らかの群れの巣って感じ。夢も希望もねぇな! この曠野にも偶に植物?が生えてるけど、例外なく凶悪だし。50メートル級のモウセンゴケの森とかね。人面が複数付いてるからアレを植物とか呼びたくないけど。
え? メシはどうしてるって? ……そりゃあ、アレよ。こんな所で食うものなんて限られるじゃん? だから生存闘争に負けて
ともかく、その体験から奴等が何故日常的に食い合いするのかが分かった。だって美味すぎるもん。そりゃ喰うわ。そして、浄化した時の薬効が半端ない。ゲームのエリクサーに各種ステータス底上げ効果が付いてるみたいな恐ろしい効き目。多分だけど、そいつが持つ莫大な力が残ってたんだろう。見た目さえ目を瞑れば、本当にグルメ天国かもしれない。
──その前に死ななければね。
ともあれ、今の俺はここでは腐肉漁りの様な存在だ。辛うじて底辺の魔物を撃破しても、即別の奴が来て横取りされる。つか、完全に食物連鎖の最底辺です。せめてもうちょいコイツらに対抗できる力が欲しいけど…ままならないもんだ。とにかく、深奥層まで何とか辿り着けないもんかね……。
◆
もう何日彷徨ってるか分からない。もしかしたら週単位経ってるかも…。でも、何とか生きてる。いや、俺は滅多に死なないけど、それでも死にそうになるのがここの恐ろしい所だ。
最近は腐肉漁り仲間相手には勝率が上がってきた。ダンゴムシとかミジンコとかね。比較的小さい奴等は大体腐肉漁りだからな。で、奴等を喰うとこちらの力も大幅に強化される。復元能力も爆上がりだし、霊力の総量も大幅に上昇した。脱出後ですら黒色レベルはあったのに、もうその5倍ぐらいありそう。恐らくもう不老不死ぐらいはいってるかもしれない。帰ったらどうしようとか一瞬悩んだが、どうでも良くなった。んなもん気にしてたら速攻で死ぬし。帰った時の事は帰った時に考えればいーわ。
で、肉は見つけたらなるべく確保して入れてるけど、それ以外にもよく切れる爪、牙、変な色を放つ鉱石の数々、よく分からない機械類、やたら硬い攻殻の一部など、とにかく手当たり次第に袋に詰め込んだ。基本落ちてるやつだけど、偶に撃破できるから丸ごと入れた。それが出来るのも、この袋の性能が半端ないからだ。入れても入れても入るし、明らかに口よりデカいのも吸い込んでしまう。破格の性能になってる。コレも深淵効果か。何なら今現在でも鍛えられてるからな。俺の身体には霊力を行き渡らせられるけど、装備品までは回らない時がある。緊急時とかな。すると速攻で瘴気に汚染されるから、その度に浄化するわけだ。光で浄化するから、しばらくは保つが、また元通りになる。その繰り返しでかなり鍛えられているのかもしれない。ライトブリンガーも、元が手作り機械にしちゃかなり頑丈になってるしな。
話しが逸れた。とりあえず俺は何とか生きてるって事が言いたかった。
しかし、まだまだ辿り着けない。何時になったら深奥層までいけるのだろうか…。
◆
聞いてくれ! 遂にやったぜ! 髑髏魚ソロ討伐達成! いや〜強敵でしたね! とにかく現代兵器っぽい攻撃のオンパレードだったけど、逆にそれしか無いから分かりやすかったぜ。予備動作が分かりやすいし、なんもないとこから即死級攻撃してこないし。
コイツは小さい個体(30メートル級)だったから、ぶっ殺してすぐ浄化、収納して退散。これでまるっと素材ゲットだぜ! 武装がより増えるし、喰えるところ沢山ありそう。
最近は気合い入れたらこれぐらいの大きさでも浄化できるようになった。ありがたい事だ。
他の奴? まだ無理に決まってんじゃん。
◆
いい加減、ここを抜け出したい…。流石の俺も厳しいものがあるよ…。もうかれこれ月単位彷徨ってる気がする。ほぼ不眠不休でだよ? もういいんじゃないかな…。
こんな時は、過去の凄惨な記憶が蘇る。俺は前世、日本という国にいた。妻と子もいるいい歳のオッサンだった。
偶々仕事が入り、海外に出張したんだ。そんな事は滅多になかったんだがな。それで、ようやく終わって帰りの飛行機。思えばなんでアレに乗っちまったんだろうな。少しでも早く帰れる様にって取ったんだ。船にしときゃ良かった。
その飛行機は、上空に着いた途端、乗客諸共
俺はと言えば、寝てた所を機内の緊急放送で起こされたさ。で、外を見りゃ何故か飛行機はタイヤも出さずに着陸してた。一面に広がる曠野のど真ん中で。もう乗客はパニックよ。乗客どころか乗務員もパニック。
で、なんやかんやのやり取りがあって、外に出たのが2時間後。見渡す限りの曠野。その時までは、俺含むみんなも楽観的だった。墜落じゃない。必ず待ってりゃ助けが来るって。
──でも、それが地獄の始まりだった。
◆
さて、そろそろ行こう。あまり落ち込んでても改善しない。必ず出口はある。またあの記憶は思い出す事になるだろうが、それでもいい。確かに自分はここにいて、そして足掻いている。それが全てだ。
……それと、延々と歩いていたけど、これ、もしかしてキリがないのかもしれない。例えば、奈落からここに来た時に壁を経たが、俺は単純に横移動で瘴気の階層が変わると思っていた。だが、瘴気にはある特徴がある。
ということはだ。
もしかしたら、遥か上空に瘴気の薄い層があるのではないか。これも根拠の無いガバガバ理論ではある。しかし、そう感じる以上は試してみたい。普通に考えたら有り得ない理屈だ。上空に別の層があるなんて。だが、俺はこれ以上停滞していたく無いのだ。ここは深淵層、何もかもが澱み狂い、沈む場所。だからこそ、案外この考えは間違っていないかもしれないから。
さて、そうと決まればその方法だ。どうやって、遥か上空に飛び立つか、それが問題だが、ある程度腹案はある。以前、砲台の反動で脱出した事があったが、その手法でいく。今、俺の収納袋に完全な状態の髑髏魚がいる。コイツは人面魚の亜種で、俺も捕まりかけた〝工場〟で機械化された奴だ。よって武装は兵器類が多いのだが、その中に火炎放射器がある。本体に付いてる時だと結構な噴射量で闇の火炎をばら撒いてきたが、これは少し改良すればジェットとしていけるのでは無いだろうか。
そうと決まれば早速やろう。今の所は周囲に敵は居ない。チャンスだ。まずは袋から該当の箇所を切り取り…っと。こんな時にライトブリンガー君はマジで有能。光にほんの少し風も足してやれば切れないものなどない、というぐらいの有能っぷりだ。まぁ、ここだとサイズ差がね…。13キロぐらい伸びればワンチャンかもしれないけど。
おっと、考えがそれた。しかしかなりデカいな…どうするか…うん。背負うのは却下。脚まで燃え尽きそう。だとしたら…上に乗るか? となるとアレだ。簡易的なコクピットが必要だな。後は細かい制御が出来るかだが…おっと、団体様のお出ましだ。多分地蟲の群れだな。早速コイツの性能を試してみよう。
◆
結論。行けそう。
何で今まで使わなかったんだろってぐらい有能。迫り来る巨大吸血ダニ(地蟲と呼称)を文字通り薙ぎ払う程の火力! 特に弱点属性だからか覿面に効いてる。触れた箇所から溶け出していき、最初の遭遇でかなりの数を削れた。まぁ、敵の数もとんでもないからいつものように撤退戦に移行したんだけど。それでも群れ相手に初手アドバンテージ取れるのはデカい。撤退もスムーズにいった。
かなり使えるぞコレは…反動がものすごくて、後方に吹っ飛ばされる程だけど、だからこそいい。制御レバーも付いていて、方向を自在に変えられるのもグッド! これならいけそうだ。チマチマとこれを元に作っていこう。
◆
や、やっと完成した…。あれからマジで苦労したが、何とか形になった。深淵素材を切り張りして、火炎放射器の上に簡易的な椅子を作れた。前世が機械いじりが趣味で良かった。集中して作ってる時に限って襲撃してきやがるからかなり危なかったし、時間もかかったが、とにかく出来たからヨシ! 早速試運転だ!
◆
むずい……。いや、飛ぶ所まではいったんだ。でもね、中々真っ直ぐ飛ばない(泣)
んで、練習して飛んでる最中に上空の超巨大な透明エイの腹にぶつかって追いかけられた。それを必死こいて躱す事で、操作は上手くなった。命かかってるから。でも、更に下から巨大人面蝶や腐れクソカラス、果てには巨大ブツブツウツボまで追いかけてきて、絶対絶命。
そこで泣く泣く火炎放射器をパージして自由落下。腐れクソカラスの背に飛び乗って脳髄に大剣を差し込み、暴れ回るカラスにしがみついて地面へと向かう。途中遠隔爆破をしてきた人面蝶に、光バリア(光の霊力を増幅させる鉱石を加工)しながらマシンガン(これも魚から切り取った)をぶっ放して穴だらけにし、クソカラスごと飲み込もうとしたウツボにカラスを犠牲にして飛び乗り、エイの尻尾攻撃を躱してウツボの背中にしがみついたが、エイの尻尾に毒があったらしく、ウツボが苦しみだし、また自由落下。その際、また尻尾で攻撃しようとしてきたエイに砲台を出してミサイルをぶっ放して撃退して、ウツボと一緒に地面に激突。ぶつかる瞬間にジャンプして脱出したけど、本気で死ぬかと思った。
ウツボ君は死んだが、ブツブツから案の定寄生蟲が飛び出して来たから頑張って殲滅。流石の俺も霊力が尽きかけた。むかついたので全部非常食にしてやった。
まぁ、そんなこんなで、脱出用ロケット1号はお亡くなりになった(泣)
だがまぁ、収穫が無かったわけではない。ジェットで問題なく飛べる。ここで問題点をいくつか挙げてみる。
・消費霊力
・制御問題
・敵の存在
……意外と無かったな! とりあえず消費についてはヨシ。敵に遭わなければ何とかなる。制御問題は…まぁ後半出来るようになったからいいだろう。最後の敵の問題がな…。どないしよ。とりあえず上空に何も居ないのを確認して飛ぶしか無い、か。行き当たりばったりもいいとこだが、しゃーない。
さて、ならば早速脱出用ロケット2号機の製作に入る! まだ火炎放射器はあるからな! と言っても後一個だが。それが終われば髑髏魚からまた取るしかなくなる。今度こそ慎重にやろう。
【tips】
【深淵層】
・深奥層の更に奥に存在する、極濃の瘴気が澱む場所の総称。40年前に、
しかし深淵は実在した。後年その事に気付いたマリアは、ダイバーとしての攻略を断念した。そのあまりの深さと果てしなさに絶望して。
実際に侵入すれば分かるが、深奥に比べて景観のバリエーションは落ち着いていて、一見昏いだけで平和にすら思える。しかし、それはただ表層をなぞっているに過ぎず、深奥とは一線を画す階層となっている。
深淵とは、何もかもが澱み、沈む場所である為に、その様相はある意味深海にも似る。
ここでは通常の生物など存在すら許されない。仮に人間のダイバーが足を踏み入れると、瘴気によって秒で圧死する。それに耐え切っても秒で侵食され、魔物化する。弱ければそこで深淵生物に秒で喰われる。これによって、公爵級魔人ですら容易には立ち入る事の出来ない禁域となっている。
つまり、人間はこの深淵に立ち入る事は不可能なのだ。
そこに棲まう深淵生物も非常識を極め、極限の瘴気に適応した者のみが生存を許される。また、本編にもあるように彼らは過酷な生存競争を行っており、耐えず極大の力の衝突が起きている。その観点から見ても、人間如きには束になったとしても太刀打ち出来る術は無い。
唯一、光の霊力だけは瘴気の圧を跳ね除けるが、この昏い深海でそんな光を発すればどうなるかは語るまでもないだろう。深淵とは、つまりそういう場所なのだ。
【奈落】
・深淵とは、文字通り淵である。更なる暗黒へと向かう為の中継地点、それが深淵なのだ。ならばその淵の先とは一体何なのか。
結論から言えば、深淵よりも更に濃厚な瘴気の漂う、「王」の棲まう階層である。
深淵生物すらもその場所は本能的に避ける程の強大な存在。それの根城である為、当然瘴気は特濃である。最早常識は通用しないし、一説では宇宙にも通じている可能性すらある。
暗黒の原点に至る階層、それは選ばれた者だけが至る事の出来る「神への道」。それが奈落である。