ティエラの地より 〜転生少年、深淵に挑む〜   作:エアロダイナミクス

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 今日は休日だし、もう1話いこーかなーとか思ってたら、評価欄色ついてるー!? 評価してくださった方々、本当にありがとうございました!
 あと、PVやたら伸びてると思ったらオリジナル日間10位! 見てくださった方も本当にありがとうございますm(_ _)m
 これからがある意味本番ですので、これからもどうかよろしくお願いします!


45、深奥の拠点

 

 

 

 

 

 

 

「はあ〜〜っ……マジ鬱だわ……」 

 

 

 恒例になっている悪夢から覚めた俺は、鬱鬱とした気分を溜息と共に吐き出した。今回はループと気づいてから10回目ぐらいまで。初回で無惨に喰われて死んで、再び飛行機内で気がついた時は、当然パニックを起こした。その無様な様子は、周囲の人々を大いに困惑させただろう。何故なら、()()()()()()()()()()()()から。そして、機外へ出て行こうとする周りを必死にパニクりながら止めようとする俺。結局同じように悲劇が起きる。1人で隠れていた俺も喰われる。そんな事が何回も繰り返された。

 

 

 よく発狂しなかったもんだ。いや、発狂しかけてたか。ループを理解して抵抗しようと必死だったからなんとか保っていただけだ。

 

 

 そんな半精神崩壊しかけてたループ10回目に、「奴」が転機を齎した──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気持ちは分かるが、俺はオマエを止めなきゃなぁ」

 

 

 そうひとりごち、ベッドからのそりと起き上がる。案の定、結界の周りは敵だ。しかし、光の結界は俺までその牙を通さない。

 

「部屋自体が口の中。そのパターンはよく知ってる」

 

 木造のゴシックハウスは、いつの間にか赤黒い肉の塊へと変わり、そこらじゅうから鋭い棘を生やして結界ごと咀嚼しようと形を変える。

 まぁ、あるあるだ。こうなると分かってても休息を優先したが、ちょっとだけ後悔する。それでも深淵よかだいぶマシなんだが。

 

 とりあえず脱出しよう。光結界も触れる側から肉塊と棘を溶かしてるが、随分小さくなってるからな。大剣とライトブリンガー取り出して、気合いを入れる。

 

 

「よーし、いっくぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【吹き荒ぶ暴風、渦巻く黒雲、轟く豪雷よ、我より来たりて総ての敵を滅すべし!】

 

 

 ゴオオォォ!!!

 

 

 薄暗い異臭のする路地裏の全域に、激しい雷と嵐が吹き荒れる。3属性混合の上級魔術であり、その威力は凄まじい。ついでに消費も重いが、そこはしょうがない。

 俺を取り囲んでいた気色の悪い怪物達(蟲と獣と人面を足して肉肉しくした容貌)は、その嵐に肉を斬られ、穿たれ、焦がされる。

 だが、この程度で行動停止するほどコイツらは甘くはない。これは足止めだ。現に、嵐を打ち消したり、対抗するかの様な現象で反撃したりしてくる。これは奴等の魔術。このクラスになるとこちらの様に魔術を使ってくるのが面白い。これがコイツらの厄介な所だ。単なる物理も強いが、魔術によって、厄介度は爆上がりする。攻撃パターンが豊富で、次の攻撃が読みにくい。更には、種族?特有の攻撃(例えば溶解液とか)があるから尚更ヤバい。

 

 

 ──だが、俺の敵ではない。

 

 

 奴等が俺の魔術に対抗している間、俺が奴等を斬り刻む。魔術はほどほどの効果だが、光を帯びたそれぞれの剣は効果覿面だ。まるでバターの様に斬り刻まれていく。巨大人面蜘蛛っぽい奴を真っ二つにして、手だけが異様に大きい双頭の猿を輪切りにし、デカい鹿とナメクジを合体させたような謎生物を斜め切りにする。ありとあらゆる悪意の詰まったような見た目だが、あっけなく斬り刻まれていく怪物達を尻目に、俺は汚物と血に染まる夜の街の時計塔に着地した。

 俺の魔術によってボロボロに崩壊した建物が、まるで時が戻るように修復され、更にその姿を変形させてゆく。より禍々しく、より醜悪に。不気味な街の建物の様相から、怪物達の寝床に相応しく捻れ、尖り、拉げ、伸びる。巨大過ぎる月は今や蕩けて深紅に染まり、空は血の色で染まっている。まるでたちの悪い悪夢のようだ。全く深奥はバリエーションが豊富だな。ただただ昏い深淵とは大違いだ。そう考えると退屈はしないが。精神衛生上どちらがマシかと言えば悩ましいところだ。

 

 

 そして、あらかた片付けた怪物達の後方から更におかわりが押し寄せてくる気配がする。こんな所に長居は出来ないな。サッサとずらかろう。

 

 

 ……と思ったら、俺が殺した死体どもが宙へと浮き、ある方向へと飛んでゆく。迫り来る気配ごと。

 

 

 

「げえっ! テメェ、ここまで来んのかよ!!」

 

 

 怪物達の絶叫と共に凄まじい勢いで圧縮される怪物達とその死体。血の色に染まる宵闇からゴウンゴウンと巨大な音を立て、凄まじい瘴気の圧と共にソイツが姿を現した。顔面が巨大な髑髏。その後ろには機械化した魚のシルエット。紛れもない、ヤツだ。圧縮されてキューブ状になった怪物どもは、その髑髏の機械ボディへと吸い込まれ、ミキサーの様に砕かれて吸収された。そして、ヤツの瘴気が僅かに増量する。なるほど、コイツは深淵からの()()か。コイツも深淵だとそこまで強くない部類だろうから、こうしてココで雑魚狩りして鍛えてると。全く、いい迷惑だ。子供たちの遊ぶ公園に来てイキってる大人のようなモンだ。この場合の子供たちは全員餌だからよりたちが悪い。やはり深淵級と深奥級では格が違いすぎるからな…。んで、俺にも目を付けやがったな。さっきから念動力みたいなのを俺に掛けてるが、効かないから困惑してるようだ。げっ、ヤツの砲台がこっち向いた。

 

 

「チッ……やるしかねぇか…!」

 

 

 瞬間、ヤツの姿が掻き消え、至近距離まで瞬間移動した! 俺はとっさに近くの尖塔まで飛び移るが、今までいた時計塔は凄まじい爆発により、瞬時に蒸発した。クソっ。相変わらずヤベぇヤツだ。だが、コイツを倒したときのリターンはデカい! アイテムフル活用でぶっ殺してやらぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その戦闘は約3時間という長丁場で、辛うじて俺が勝った。何故そんなに長引いたかというと、シンプルにヤツの攻撃方法が尋常じゃ無く強すぎたため。あかんて。通常攻撃が100メートル規模で破壊をもたらすとか。ひたすらに逃げ回るしか無いじゃん。攻撃も途切れないし、ホントクソ。深奥級と深淵級の大きな違いは、単純に力の差が大きすぎること。攻撃は効かないわ、ヤツの攻撃は痛すぎるわ。どうやって攻略すんだよって。で、更に深淵級は特殊能力っぽいヤツもかなり搭載しているからマジヤベぇ。瞬間移動とか時間操作とか重力変化とか念動力とかもうやりたい放題。俺には効かないが、クソみたいな呪いとかまでやってくるから本当にコイツらはアカン。

 

 話を戻すと、とにかく逃げ回ってちまちま攻撃を当て続けて、ヤツがじれて超至近距離に瞬間移動した時を狙ってマシンガンを浴びせ、それでも死なないから徹底的に剣で斬り刻みまくった。んで、火炎放射でなぎ払われそうになる瞬間に、光バリアに使う鉱石をその眼窩に叩き込み、更にそれに光を極限まで注ぎこみ、オーバーロードさせる事で擬似光爆弾として奴の顔面破裂させてやっと勝利した。ホントギリギリだった。

 

 つくづく、以前勝ったヤツはまだ幼体だったんだなって。ただ、コイツに勝ったのは大きい。ほとんどの武器はおシャカになってたけど、火炎放射器、マシンガン、ロケットランチャーそれぞれ一台は確保したぜ! やったね。特に火炎放射器とロケラン! 待ってた! これでこの逃避行も捗るってモンよ。

 

 

 ところで、俺達の戦闘痕で、街の様相は見る影も無くなってしまったが、それでも少しずつ回復しつつある。特に光爆弾の影響がでかいのか、もうただの瓦礫だ。ここだけ瘴気が中層並みになってる。ただ、周りが圧倒的に瘴気が濃いのでじわじわと元通りになりつつもある。そのうちココもより気持ち悪く変化するんだろうな。まぁ、どうでもいい。先に進もう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中世の街並み(の廃墟)を抜けたら、巨大な結晶が交錯する広大な結晶地帯、そこも抜けたら今度は滅びたっぽい異星人系のビル街、H.R.ギーガー系の。そこも頑張って抜けたら、今度は広大な曠野が広がった。もうね。深奥ってスケールが一々ヤバいのよ。人間が蟻にも思えて、見上げても見下ろしても果てしないスケールのデカさは、本能的な恐怖を感じさせる。まるで蟻にでもなったかの様な気分だ。今回は薄暗い曠野。所々意味不明なキモい菌類植物や天を突く様なビルっぽい廃墟が立ち並ぶ場所。乾燥しているからか、あんまり臭くは無い。なんだろう、相変わらず生理的に受け付けないが、ネチョネチョ系とかと違って滅びを感じさせるような場所。これはこれでやな感じ。

 

 ただ、先程よりも気持ち瘴気が薄い気がする。

 

 

「まぁ…いるよね」

 

 

 地面から反応有り。巨大な甲殻を持つムカデみたいなヤツが出てきた。大きめのジャンプで飛び下がるが、落下地点からも反応が。あーヒュドラタイプか、と出てきたもう一体のムカデを迎え撃つ。開かれた口に光の霊力をビーム状にして放ち、その顎から逃れる。その間に複数のムカデが地面から出てくるが、複数体に見えてコイツは単体だ。本体は地面の下で核を守っている。深奥級ってのはどいつもこいつも厄介だ。だが、その程度では俺は殺せないな。

 

 複数に交差する顎を躱し、マシンガンを取りだして、手当たり次第にぶち込む。すると目に見えて苦しむ様子が見て取れた。トドメにライトブリンガーでその首を一つ一つ断ち切ってやると、流石に不利を悟ったか、他の首が引っ込み始めた。一旦撤退して再生して作戦を練ろうってか? 甘いんだよ。

 

 一つの首にしがみつき、砂の地面に同時に引きずり込まれる俺。ヤツもそれを悟ったか、俺をふりほどこうとするためにメチャクチャ砂の中を動き回るが、そんなんで放すか。むしろじわじわと首の根本まで手探りで辿り、根本の本体に迫る……と思ったら、地中から解放され、俺は真っ逆さまに落下した。地下空洞だ。どうやら本体は地下空間に寝床があったらしい。というか、よく見りゃクソデカい植物みてーな感じで地下空間に根を張ってる。そこから天上に触手を突き刺して獲物を探ってるってとこか……。んで、幹の中央に物凄いデカさの顔が着いてる。辺りはコイツのムカデに見えてた触手だらけときた。まぁ、普通は詰みだよね。しかし、俺を引き込んだのが運の尽きだったな!

 

 四方八方から更に襲い来る触手を剣でぶった切り、ムカデ触手の背中を走りながら本体へと近づく。本体の顔から瘴気の塊が集まり、土の弾丸へと変化して飛んできたり、超高圧水レーザーが飛んでくるが、今更そんなのに当たるわけ無い。大剣で防いだり、飛んだり躱したりしながら顔面近くまで接近しつつ、火炎放射をスタンバイ、顔面の手前10メートルぐらいまで接近した瞬間にファイアー!

 

 

「ぐぎゃああああああああぁあぁぁぁぁぁ!!!」

 

「悲鳴はいっちょ前だな! テメェはよく燃えるなオイ! やっぱ木材ヤローにはこれが一番だぜ!!」

 

 

 継続して触手は俺を襲ってくるが、俺は適当に避けつつ火炎をばらまく。やっぱこれよこれ! 火炎放射器ちゃん愛してる!

 

 で、ある程度燃やしたら、そのぎざぎざの空いた口の中にダイブ! そこにいるのは分かってんだよ! 核ちゃんよぉ! 中は溶解液とかでデロデロに溶けた肉片やら骨やら。それを落下しながら火炎放射で再び燃やし、更にその下へ。どくんどくんと蠕動する心臓に纏わり付く瘴気の塊。一体型か。スタンダードなタイプだ。それを躊躇無くライトブリンガーで斬り刻むと、凄まじい絶叫と共に大きな震動が起きて、その後完全に沈黙した。

 

 

 

「ふぅ…意外とデカかった。深奥級にしちゃなかなかやるじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木材は貴重だ。骨素材とかは割とあるんだけど、木材とかは入手が難しい。それに気付いたのはレオナルドの部屋を出た後だった。ま、今の魔物のほうが素材としては上だろうから結果オーライよね。

 

 それよりも何よりも、遂に! 遂に拠点ゲットですよ! 長かったわ~。大木君(さっき倒した魔物)の部屋なんだが、広大な地下空間でヤツが丸ごと入ってたんだけど、それがいなくなった今(本体は斬り刻んで浄化して収納)! 相当広い空間が誕生した。

 

 コイツ、多分この辺の魔物のボスだったんだろうな。深奥にしちゃ魔物の分布が少なかったから。この無駄に広い空間を自由に使えるのはいいね! まぁ、現状は真っ暗だし瘴気濃いし、住める環境じゃないんだけどね…でもね、そんなのは些細な問題なわけですよ! 暗けりゃ明かりをともせばいいじゃない! 瘴気は祓えばいいじゃない! これより! 俺はこの空間を、劇的ビフォーアフターする作業に入る!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずは、明かりだ。魔物の骨で杖状になってるやつに、光の霊力を込めた鉱石をはめ込み、簡易的なランプにする。ちなみにこの鉱石、元は深淵層とか深奥の結晶部屋に死ぬほど落ちてた石ころの中の一部ね。浄化したら綺麗な黄色い鉱石に変化したから、拾っといて良かったよ。貧乏性もこういうときに役に立つ。

 で、これなんだけどとにかく便利。使い方は光の霊力込めるだけ。過剰に込めたらオーバーロードして光爆弾になるし、薄く込めたらこうして光源にも成る。つか、今気付いたんだけどこれって【アーク】の原材料じゃね? 太陽石とかいうアレ。俺もう数千個拾ってるから帰れたらしばらく困らんな! 

 話がそれたが、このランプというか、ランタンというか、めっちゃ光る。どれぐらい光るかっていうと、一個で20メートル四方光る。当然瘴気除去作用付き。やべぇ。おかげでこのランタン5個で完全に明るい部屋となりました。この部屋100平方メートルぐらいあるからね…。高さは20メートルぐらいだけど。瘴気もこれで完全に消えました。は~癒される……ひっさしぶりの瘴気のない空間だわ…。霊力がガリガリ回復して行くぅ! 今まで俺、何とか霊力を節約してやりくりしてたからね…。そんで気色悪い景色もない! 最高だわ…!

 

 あ、そうそう、この空間なんだけど、ただの岩壁かと思ったらなんか遺跡っぽい。壁に古代文字とか象形文字みたいなのあるし。んで、下にちょろちょろ水も流れてる。アイツ、いいとこ住んでやがったんだな。扉もあったけど瓦礫で崩れてるね。完璧に閉じられた空間ってわけだが、水が流れてる所を見ると、隙間が少し空いてる。人間の通れるような隙間じゃないけどね。ま、この空間がどんな場所かは興味ないけど、水もあるならありがたい。もう魔物の体液は勘弁だからな。他にも、魔物の骨とか甲殻とか落ちてるけど、これも素材としてはありがたいね。とりま、ここをキャンプ地としよう!

 

 

 さっきの魔物の身体を利用して簡易的なログハウスを建てる。ゲームじゃねぇから時間は掛かるんだが、俺の身体能力、武器及び素材の切れ味、そして素材本体の良さが天元突破してるからそれ程苦労しないで加工できた。大黒柱になる柱含め、いくつかの支柱を用意する。その後板材を何枚も用意して間にはめ込む。木材の接合なんて知らんので、魔物素材で強引にくっつける。スライムっぽいヤツの素材が最適。ふんだんに魔物素材を活用して、強引に家っぽいのができた。ここまで丸2日。んで、次は家具。ベッドとテーブルと椅子! つくづくレオナルドの部屋から持ってくりゃ良かったとか、あの暗黒ウンコ街から持ってくりゃ良かったと思ったが、しゃーない。記憶を元に再現する。もっとも、そんなに苦労せずに出来たから良かった。

 

 漸く人らしい生活できる…!

 

 

 一休みしたら次は水場。台所作り。台所はまぁ、外の水を引き込んで垂れ流しのやつができた。一応水の出口に砂とか砂利詰めて浄化出来るようにしたけど、まぁ俺は腹壊さないだろうしこんなもんで。キッチンは洞窟の壁を適当に切って作った。ドニさんの大剣、大活躍。木材どころか岩もバターみたいに切れるんだけど。ヤバくない? もはや伝説の武器じゃない? で、かまどっぽいヤツと、オーブンみたいなのができた。表面は鮫肌っぽい魔物の皮で削ってつるつるにしたよ。大理石みたいな感じになった。

 

 

 さて…一息ついたところで、魔物素材を活用した布団と毛布を作った。ひっさしぶりに安眠できそう。お休み~。

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