ホムラSide
森を出た俺はギルフォードと森に近い国、森林国家ディアヘルムへと訪れたが、この国は物凄く空気が澄んでいて気持ちいい。
「ディアヘルムの森は誰にも全容が掴めないほど広大な森でな、幻想種が生存する数少ない聖域らしく、時折密猟者が出るんだ。」
「そいつは物騒だな。」
「ま、そういうのは俺らが見張ってるから、最近は来ないがな。」
さっきの森でギルフォードの魔力を少し探ったけど、こいつはかなり強い。やり合ったら、多分怪我だけじゃ済まないだろうな。
まぁ襲い掛かるつもりもないけど。
しかしディアヘルムの街は木造の建物が多いな。グランレイドとは違うから新鮮な感じだ。
しばらく歩いていると、一軒の民家に到着し、中に案内されると1人の女の子が中で鍋をかき回していた。
「あ、ギルくんお帰りなさい!」
「……ただいまレベッカ。ホムラ紹介するぞ。彼女はレベッカ、俺の恋人で錬金術士だ。」
「レベッカです。宜しくね。」
「ホムラだ。宜しく……あの、この鍋は?」
ぐつぐつと音を立てている鍋を指さす。中には何か薬が作られているようだ。
「錬金釜だ。レベッカはこの街で一番の錬金術士で薬も造ってるんだ。」
「えへへっ、そんな一番だなんて、ギルくん止めてよぉ。私なんてまだまだだもん。」
恥ずかしそうに照れた様子で、顔を隠すレベッカさん。この人は嘘つけない人なんだなぁ。
というか、錬金術士ってかなり難しい仕事なんじゃないか?薬を作るのって頭良くないと出来ないと思うから、それだけレベッカさんが凄いと感じた。
「今日の薬は大変なのか?」
「うん。少し大変なんだけど、もうすぐ完成しそうだから大丈夫!そう言えば、ククルさんが仕事終わったら社に来てって言ってたよ。」
「ククルが?分かった。ホムラ、俺はこれから外に出るが、お前はゆっくり街でも見学してくれ。レベッカ、出かけてくる。」
そう言うとギルフォードは出かけてしまった。
「あ!ホムラくん、良かったらクッキー食べる?」
「え?あ、ありがとうございます。」
俺はレベッカさんにクッキーを出されて、美味しく食べるのと、その後、彼女と雑談を楽しんだ。
「ホムラくんって、龍人種なんだね?それにしては角とか無いんだね。それで何で旅をしてるの?」
「まぁ、世の中を知るために旅をしてる所です。気付いたら森の中にいたから。」
「へぇ、ギーくんと同じなんだね。」
「………ギーくん?」
ギーくんって誰だ?
「あ……えっと、あまり人に言わないでね?ギルフォードだからギーくん。分かりやすいでしょ?」
ギルフォードだからギーくんって、何か面白いが……これ本人に言ったら凍らされそうだな。けど、ギーくんか。
「(うん、言わないようにしよう。)」
すると、扉がノックされた。
「ギルくん帰ってきたのかな?はーい?」
レベッカさんが扉を開けると、そこにはギルフォードではなく、魔族の男がいた。
「あなたは……。」
「お久しぶりです。ローゼンクロイツ嬢、例の話は考えてくれましたか?」
「何度来られても、答えは同じです。」
「悪くない話だとは思いますが?先々代の最高錬金術士であるお祖母様を超える機会だと。」
「私は行かないと行ってます!大体、私にはその名前は……。」
「そんな事思う必要はない。私の側でその錬金術の才を活かせば。」
「おい。」
金髪の魔族の男と嫌がるレベッカさんの間に入ると、金髪の魔族の男を睨みつける。
「何かな?これは大切な仕事の話なんだが。」
「嫌がってるんだから、そこん所理解したら?」
「彼女の才は活かせる場所に来てこそだ。それをこんな所で潰すわけにはいかない。彼女の錬金術の腕は俺の造った魔導力に活かせる。だから」
駄目だ、こいつは自分の事しか考えてない。
てか、魔導力造ったからって何でも自分の思い通りにして良いわけではないだろ?
こいつはそう言うのが分かってない。
「とにかく嫌がってるんだから、帰れば?」
「邪魔をするなら怪我をすること「やれるか?」なに?」
「俺を子供だと思って舐めてると、痛い目見るぞ。」
龍闘気を僅かに漏らすと、男は顔を顰めて後ろに下がる。すると、今度は強い冷気を感じ、その方向を見ると、そこにはギルフォードとエルフの女の子がいた。
「お前、また来たのか?もう来るなと言ったはずだが?」
「っ!これはこれは、氷の剣士殿とディアヘルムの巫女殿ですか。」
「貴方にはこの国への立ち入りを禁じた筈です。これ以上は私達も許すことは出来ません。お帰り願います。」
「世界を良くするためにスカウトをしているだけなのに、そこまで言われるとは心外だな。彼女はかのローゼンクロイツ家の出だ。そこを「おい。」っ!?」
男がローゼンクロイツという家の名前を出した時、レベッカさんの表情が暗くなり、ギルフォードが男の襟首を掴み、鋭く男を睨みつける。
「これ以上レベッカを傷つけるな。いい加減にしないと痛い目を見るぞ。」
「……これは怖い。これ以上ここにいては殺されかねない。では失礼するよ。」
男は足早に去っていくのだった。
すると、レベッカさんがその場にへたり込んで座ってしまう。
「レベッカ!大丈夫か?」
「う、うん……ありがとう、ギーくん……。」
「ギルフォード、ローゼンクロイツって?」
「レベッカの家名だ。レベッカは有名な錬金術の家の出なんだ。」
「そうなのか。それを奴はどっかで?奴は誰だ?」
「テオフラッドとか言う学者らしいが、あんな奴信用できるかよ。レベッカ、部屋で休もう。」
「うん……。」
レベッカさんはギルフォードに連れられて、奥の部屋に連れて行かれたが、顔色はかなり悪そうだった。かなり無理したんだろうな。
だが、あのテオフラッドとかいうの、何か引っかかるんだよなぁ……。
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