TS美少女おじさんは気軽に愛されたいから有名配信者を目指す 作:沙羅
『はいどーも尾路川カコじゃないです』
配信はしてないから今はただの自分を美少女だと思ってるやべーおじさんだ。たまに第三者視点で自分を見ると、よく捕まんねえなコイツと思うが、気にしない。
気にしてはいけないのだ。と言う事で、今日も日課のFPSでドン勝を目指す。ほぼ初見のあの配信から早数日。あの頃に比べたら、上手くなったとは思うが未だにドン勝は取れない。やはり、そう簡単に取れるものじゃないんだろうな。むしろその方が燃える。先が全く見えない程のノルマの仕事でも、死ぬ気でやれば案外上手く行ったし、それと同じだ。
飛ばされた兵士が着地し、武器を求め地を駆けずり回る。そしてやがて武器を手に取り、相手と一対一の銃撃戦を繰り広げる。それだけなのに、シンプルで楽しい。仕事と比べるのが申し訳ない程、楽しい。それにしてもゲームにハマるなんて外見通り、子供みたいだがやり過ぎても怒る人もいないから良いや。
『よし、冷静に。そうそこを狙ってよしよし』
一日中ずっとゲームをしてる訳では無く、少し外へ散歩したり。上手い人の動画を見たりもする。本当に上手い人はもう何だかよく分からない。凄いと言うだけは分かるが、自分に出来る気はしない。ここまで出来ないとドン勝は取れないのか?
『あ、痛い。ちょたんま。待って待って』
たんまって言ってんじゃん。
俺の心の声は画面を超えた性別不明のプレイヤーの耳には届かず、そのまま殺されてしまった。
『だぁあああ』
結構良いところまで行ってた気もするけど、駄目か。次行くかぁ。
『対戦宜しくお願いしますだっけ?お願いします』
視聴者さんに教えて貰った言葉を口にしながら、誰も見てはいないが一応画面に向かって一礼をしておく。もしかしたらFPSの神様がこの子良い子だからってちょっと肩を持ってくれるのに期待しながら、歩みを進める。
こう言う時だけ神頼みしたせいか、その後すぐに先程と同じ相手にやられてしまった。……にしても何でこの人はこんな元気なんだ?落ち着きが無いと言うか。
その後眠くなるまでずっとゲームをやり、飽きたら動画で学び。分からない事は視聴者にもアドバイスを貰いながらその日は過ごした。結局その日もカツ丼を食べる事は叶わなかったけれどこの調子で行けば食べられる日も案外遠く無いのかもしれないとも思う。きっと。
そして次の日。今日は何だかドン勝が取れそうな気がしたので配信をしてみる事にした。折角取っても皆が見てなかったら褒めてくれないからな。でも取れただけでも嬉しいだろうな。頑張ったからな。プロとかにも比べればちょっとだろうけど。