TS美少女おじさんは気軽に愛されたいから有名配信者を目指す 作:沙羅
『雑魚乙〜。負け犬みたいに一杯吠えてて可愛い〜。あ、比喩じゃ無くて本物かぁ。ごめんね〜負け犬のザコワンちゃ〜ん。ワンッワン♡』
そう呟く声が配信に乗る。そして叩けば鳴る楽器の様にファン達がまた大騒ぎしている。
《コメ欄》
・キレキレだな
・これだよこれ
・一生煽ってて欲しい
・ご褒美過ぎる
・今日も良い煽りでご飯がうまい
【¥10000】純情なワンコ
『ナイス勝利!今日も良い煽り!!これからも応援してます』
『あはっ。負け犬の皆さ〜ん❤︎貴重なお小遣い崩してご苦労様〜!まぁ、応援はしなくても良いかな?配信して、お金だけくれれば私は困らないし』
《コメ欄》
・はい問題発言
・また燃えるぞ
・いつも燃えてんなこいつ
・高い位置(上から目線)いつも燃えてる……火山かな?
『あ、ゴメン!忘れてた。そうそう』
今にも消えそうな死体を前にして、思い出した様に膝をつき顔を合わせて。
『バイバイ負け犬さん♡』
耳元でそう囁き、その後何度か屈伸をして煽りその場を後にした。
《コメ欄》
・生きてて良かった
・いつも通りの光景で草
・相変わらず性格悪いなこの女
・Vtuberなんて今は夜空に広がる星よりも多いからな。個性や自我なんて出さなきゃ生きていけないからな。ましてや企業勢だからノルマとかもあるだろうし
伝説、そして元祖と言われた数人のVtuberが、活動をし始めてから数年が経った。今や彼女達の存在が大きく語られる事は無い。小さな掲示板とかで昔を懐かしむ人達にあーそう言えば"居たな"と過去を懐かしむためだけに掘り起こされる。
きっと私も数年後はそうなるんだろう。今は醜くも暗く足掻いて、悪目立ちして黒い脚光を浴びているけどこんな方法が長続きしないのは分かっている。今は人々の心の奥底にある黒い何とも言えない物を煽って惹きつけているだけ。やりたくないキャラ付けを事務所に押し付けられてそれでもお金の為に私は今日も人を否定し、煽って生きている。
あぁ、最低だ。我ながら、最低で最悪な人生を送っている。死ねるもんなら死んで転生してやり直したい。そしたら今度は絶対企業勢になんてならず、個人で細々と頑張るんだ。きっと今みたいに稼げないだろうけど、自分の好きを否定して他人を嘲笑って踏み台にして生きるよりはよっぽど良い。
何処かで
無理に決まってる。少なくとも自分から、動かない様な私なんかには幸福は訪れない。だから、今日も私は好きじゃない自分を纏いネットで大嫌いな自分になる。
アンチ諸君。牝アオリが一番嫌いで憎んでいるのは他ならない臓物である私だよ。彼女の一番の被害者は私だから。
《コメ欄》
・あ、後一人だ
・今回もドン勝確定だな
・全員雑魚で助かったー
・普通にアオリはゲームも上手いけどな
・分かる
『成程〜。じゃ、サクッとやってスパチャ読みして終わりにしようかな〜今回も蹂躙してメシウマかな』
元々ゲームが好きで腕がそこそこあるから並大抵の人間じゃ止められない。牝アオリは私が産んだ制御不能のモンスターである。
『さぁ、どんな煽りの言葉をぶつけようかワクワクするね!』
うるさい早く死ねとわたしは心の中でわたしは返事をした。出来るだけ残酷で惨めに死んで欲しい。
『A.Hello〜。ちょっとお話ししませんか〜めすあおりさん』
そんな中、わたしの耳に飛び込んできたのは美少女の声だった。