双子に愛されている男 作:主義
十師族と呼ばれる一族は、一条、二木、三矢、四葉、五輪、六塚、七草、八代、九島、十文字。表立って権力は持っていないものの、裏では絶大の影響力を持っているものたちだ。
そして一族には当主と呼ばれる代表者が存在している。
それぞれの代表者が集って話し合われる『師族会議』と呼ばれる。
だけど、今日は僕も来ていた。その理由は実に簡単で師族会議を行った後に親睦会という名のパーティが行われることになっている。それにそれぞれの次期当主から親戚などを含めて様々な人が参加する。
なので、僕こと二木久遠も参加している。
すると、聞き覚えのある声がどこからともなく聞こえて来る。
「あら、久遠くん~」
「お久し振りですね。七草さん」
七草真由美さん。七草家の長女で第一高校の生徒会長を勤め上げている。実力も確かなもの。敵に回してはいけない人間の一人。
「本当に久し振りよね。論文コンペの時に会って以来だし」
「そうですね」
九校戦において、第一高校は強い。毎年優勝候補に挙げられる程の人材を抱えていて、僕の世代には七草さんを始め、十文字家の次期当主がいたりと本当に人材に恵まれ過ぎていると言っても良いかな。
「本当はね、冬にでも会いに行こうと思ったのよ」
「会いに行こうとは?」
「第四高校さんに会いに行こうかなって」
「何を考えているんですか?」
「いいじゃない~学校同士の交流だって必要です。その足掛けとして第一高校と第四高校で色々と交流しても問題はないと私は思いますよ」
「いや…さすがにそれは急すぎませんか?」
「ここには第一高校の生徒会長と第四高校の生徒会長が揃っているんです。ここで話し合われて決められたことは学校の意思と言っても問題ないと思いませんか?」
「思いませんよ。学校側に何の確認もしていない段階でそんなことを決められるわけないじゃないですか」
「後で確認を取ればいいじゃないですか!」
なぜか七草さんはかなり乗り気なようで僕との距離をどんどん詰めようとして来る。僕は距離が詰まらないように後ずさりをしていく。
「なんで久遠くんは私から逃げようとするのかな?」
「いや、急に距離を詰めてきたら逃げるという選択肢を取るしかないですよ」
そして後ずさっていくが最終的に壁にまで追いつめられた。もうどこにも逃げられそうにないと思っていると…七草さんの行動を止めてくれる人物が現れた。
「七草、二木が怖がっているぞ」
「も~十文字くんは久遠くんの肩を持つの~?」
「そういうわけではないが、話し合いをするのだろう。それならしっかりと話し合うべきだ。相手を精神的に追い詰めるようなことをするべきではない」
「む~」
七草さんはとても不安そうだが、僕としては克人くんが止めに入ってくれて本当に感謝だ。もし止めに入ってくれなかったら僕は七草さんに押されてたであろう。
「止めに入ってくれてありがとう、克人くん」
「別に礼を言われるようなことではない。俺としても第一高校と第四高校で交流することに反対する気はないが、このままだと七草が一人で話を進めていってしまう気がしてな」
「も~このまま押せば久遠くんが首を縦に振ってくれそうだったのに…」
確信犯だったのか…。
「七草、久遠には久遠の理由があるんだ。さすがにここで全ての決定を迫るのは無理だ」
「それは分かってるけど…」
七草さんは明らかに不満そうだ。
「僕も別に第一高校との交流自体に反対ではないですよ。もちろん、第一高校と交流できるのであれば第四高校としても有難いです」
第四高校は第一高校と比べれば九校戦の成績などを含めても少し低い。第四高校は技術的に意義の高く、工程の多い魔法を重視していることもあって戦闘向きの魔法はそんなに得意ではない。別に戦闘向きの魔法を覚えることが必要なわけではなくて、自分たちと違う学校の生徒と接することでまた違う発見があるかもしれない。
「久遠くんも賛成なようなので話をどんどん進めて行こう!」
「進めていくと言ってもどんな風に進めていくつもりなんだ?」
確かに克人くんが言うように交流と言ってもどんな風に進めていくつもりなんだろう。第一高校は東京都八王子市、第四高校は静岡県浜松市ぐらいに位置している。かなり地理的に遠いというのが正直なところ。
「そのことについては少しずつ決めていけばいいでしょう」
正直、七草さんはもっと具体的なことまで決めているのかと思っていた。でも、どうやらそんな感じではないようだ。
それから僕と七草さんに十文字くんは具体的なことについて話し合った。
感想があればお願いします