キングエンジン(魔改造)でキヴォトス闊歩   作:匿名ゴボウ

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君はヒーローになれる

 

 

 ミレニアムサイエンススクール。

 

 科学技術に関する分野に於いて最先端を行く学園であり、『千年難題』と呼ばれる七つの現在の科学技術では解析不可能な難題に立ち向かう者を始めとし、それぞれの研究過程で分かれた他の研究をしていたらいつのまにかなんでも研究学園のようになった狂人の巣窟。

 

 キヴォトスの最先端や最新鋭と名の付くものは殆どこの学園で作られており、その技術力も相まってキヴォトスの日常に携わる学園として、トリニティとゲヘナの巨大な二大古参校に加えられ、キヴォトス三大学園の一角を担っている。

 

 なんともSFチックな光景に少し興奮する。あれもこれも興味を示されるが、私は今ここに観光しにきているんだ、見てみたい場所を回ってからでも遅くはない。幸い暫くは依頼が来ないとボスも言っていたしな。

 

「さて、これがマップかな」

 

 ………。

 

 ……。

 

 …。

 

 少し複雑過ぎないか? このマップ。

 

 電光掲示板に映されたこのマップ。恐らく割と有名な場所や重要な場所を記しているのだろうが、いかんせん文字が重なり過ぎて読めたもんじゃない。いや文字が重なるマップってなんだよ、せめてもうちょっと取捨選択できなかったのか?

 

 なんとか読もうと手に顎を当てながらじっと文字を追い続ける。側から見たら恐らくマップの見方が分からないおじさんのような感じなのだろうな。実際そうだけども。

 

 えっと、最早ほぼ読み取れないが位置的にこれがミレニアムタワーだろ? でこれが…。

 

「どうかしたんですか?」

 

 眉間に皺を寄せてマップを眺めていると、横から声を掛けられる。

 

 顔を向けると、そこには背中に大きな武器を背負った少女がいた。

 

 天童アリス___パヴァーヌ編に於ける最重要人物。

 

 それを認識した私はすぐに表情を取り繕い、いつもの笑みで対応する。

 

「HAHA! マップの見方が分からなくて困っていてね、つい睨めっこしてしまっていたのさ」

 

「そうなんですか? それは大変ですね! 私が教えましょうか?」

 

「良いのかい?」

 

「はい! これも勇者になる為のクエストの一環です!」

 

 天童アリスこと天童少女は、勇者になることに憧れを持つ。

 

 だからこうして人助けの行為をクエストと称し、困っている人がいれば率先して助けに行く。正しくヒーロー向けな性格をしている。

 

「あ、自己紹介を忘れてました! ミレニアムサイエンススクール、ゲーム開発部所属の天童アリスです! よろしくお願いします!」

 

「おっと、こちらこそ申し遅れたね。私は単独傭兵『オールライト』。普段はブラックマーケットの治安維持活動をしているヒーローさ」

 

「ヒーロー…つまり正義の味方ですね! アリスと同じです!」

 

「HAHA! そうだな!」

 

 さて、本題に戻るとしよう。

 

「ミレニアムタワーを見てみたいんだが、この通り文字で道が分からないんだ。どうすれば良いのか分からない」

 

「それなら私が案内しましょうか?」

 

「良いのかい? 授業とかがあるのでは?」

 

「アリスは大丈夫ですよ! それに、ミレニアムでは授業があまりありません! あるとしても各々好き勝手に好きな分野を勉強するので、あまり授業という概念はないんです」

 

「ほお、ゲヘナとは違ったフリーダムさだな。私も見習いたいものだ」

 

「ではこっちです! 少し入り組んでいますが、近道を知っていますので!」

 

 そうして私は天童少女についていく。

 

 歩く間に雑談していたのだが、そこで今の物語の状況が理解できた。

 

 今現在、先生サイドはゲーム開発部のゲーム制作に熱を入れているらしい。少し前に最高のゲームの作り方とやらが載っているソフトを見つけ出して起動したらしいのだが、書いてあったのは『ゲームを愛しなさい』とだけ。

 

 最初は仲間含め絶望していたものの、先生が元気付けやる気を出し、なんとか今期のミレニアムプライスに間に合わせなければならない…といった所だ。

 

 つまりこの後にC&Cの強襲があり、戦闘が起こる。正確にはミレニアムプライスの応募期間ギリギリのタイミングだな。

 

「しかし、しつこいようだが仲間のところには行かなくても良いのか?」

 

「はい! アリスはテストプレイヤーなのでゲームの試作が出来るまでは何もすることがないので、この時間を使って勇者になる為のクエストを熟すのです!」

 

「なるほど、それは殊勝な心がけだな」

 

「はい! …ですが、最近思うところがあります」

 

「ふむ?」

 

「アリスのやっている行為は本当に勇者になれるようなものなのでしょうか。その疑問が頭から離れません。どれだけクエストを達成しても、勇者に近付いているという感覚がありません」

 

 なるほど…。

 

「つまり、自分のやっている事に意味はあるのか、という事かい?」

 

「はい、恐らくそうだと思います」

 

「Hmm…一概に間違っていないとも言えない。元より人助けというのは己の善意によるものだからな。天童少女、君は何故勇者になる為に、人助けを始めたんだい?」

 

 そう問いかけると、天童少女は立ち止まる。

 

 目を伏せて考えているようだ。

 

「…アリスは、ゲームで色々なものを学びました。やりこむ事の大切さ、仲間の管理をする大切さ、人との付き合いを大切にする大切さ、何が何でも守り抜く事の大切さ…そして、それらを超えた先にある、達成感。恐らくアリスは、その達成感が欲しいのかもしれません」

 

「では、君は今までの人助けに達成感を感じていなかったのか?」

 

「…いえ、ゲームをクリアした時とは違う達成感はありました。しかしそれはクリアの達成感とは違い、とても小さなものでした。…達成感とは、EXPのようなものなのでしょうか。では、効率よくEXPを得る為に、小さな困り事ではなく、とても困っている人を優先的に助けるべきなのでしょうか」

 

 概ね理解した気がする。

 

 良くも悪くも、天童少女は純粋なゲーム脳なんだ。

 

 現実のどれもをゲームに例え、何かを行えばそれ相応のステータスやボーナスが貰えると思っている。しかし現実ではそれは無く、手に入れられるのはただ人助けをした果ての達成感だけ。

 

 目に見えないそれを手に入れた感覚はあるものの、今まで手に入れてきたそれとは程遠い小さな達成感に、段々と価値を見出せなくなってきている。

 

 …。

 

「天童少女」

 

「…はい」

 

「君は___」

 

 と、言い掛けた所で私はすぐさまキングエンジンを蒸した。

 

 常時50%に上げた瞬間、上がる悲鳴。背後で暴走したロボットが生徒に危害を加えようとしている。

 

 私は反転してロボットに接近しようとした瞬間___。

 

「___光よ!」

 

 私が地を蹴るよりも早く発射されたレールガンの一撃がロボットを撃ち抜いた。

 

 吹き飛ばされた先で爆発したロボットの爆風での被害は無し、被害者も怪我がない様子。私はすぐに被害者の元へ駆けつけ無事を確認したが、特に問題がないようだ。

 

 被害者の生徒を離れさせ、爆発したロボットに目を向ければ、既に回収用のロボットに回収されたようで、爆発によって損傷した地面を別のロボットが修復している所だった。

 

 一瞬とも言える一連の出来事が過ぎ去ったのを確認した私は、天童少女の元へと戻る。

 

 そして、

 

「NICEだったぜ天童少女! お手柄じゃないか!」

 

 と私は天童少女の肩を軽く叩きながら言った。

 

 ぶっちゃけ50%の私よりも早く攻撃できるとは思わなかった為、急に真横を通り過ぎた光線には驚いた。てかなんなら服が掠ったんだけどな?

 

 ともかく、今の一連に対する天童少女の対応を褒めちぎったのだが、何故か天童少女は浮かない顔の様子。

 

「どうかしたのかい?」

 

「アリス、機体の不具合でしょうか。先程攻撃を受けそうになった人を見て…()()()()()()()()()()()。今までこんなケースは無かったのですが」

 

 天童少女が不安そうに私を見る。

 

 しかし私はその言葉を聞いて、更に笑みを浮かべた。

 

「素晴らしい! それでこそ勇者だ!」

 

「え…?」

 

「私は今まで沢山の英雄や勇者を見てきた。その中に私が憧れたヒーローもいる。そして彼らは若き頃から逸話を残してきた! その武勇伝を語る彼らの多くが話をこう結ぶ!」

 

「『考えるより先に身体が動いていた』と!」

 

「___!」

 

「そう言った彼らと君と何が違う? いいや何も違わない! 困っている人を見ると身体が動いてしまう心優しき君こそ! 勇者という名に相応しい人物であると私が保証しよう! それで悩みは晴れるかい? 天童少女」

 

「___はい! ありがとうございます!」

 

 よし、出会った頃と同じような笑顔になったな。

 

「オーケイ! では早速道案内の続きといこうか! 助けてくれ天童少女!」

 

「はい! アリスにお任せください!」

 

 

 






 ▶︎アリスちゃんがエンカウント&ブレインファイヤー(軽傷)しました。

 はい、どうも。思ったより筆が乗っちゃったゴボウです。
 今回はアリスちゃんとのエンカウントですね。さぁ早速解説に参りましょう(ぶっちゃけ解説いるか? と思ってるけど意外と見てくれる人がいるのでその人たちの為に書きます。あとメモ用)

 アリスちゃんは勇者に憧れたゲーム脳です。かわいいね。
 人助けの事をクエストと呼び、クエストを達成した時の達成感をEXPと称してレベル上げをしているかのような行動をしています。実際にはただの達成感なんですけど、純粋無垢なアリスちゃんは勇者としての成長に為に何かを得る感覚を得なければ満足しないんで達成感という感情を経験値として認識しています。
 ただその達成感っつーのはなんでも良くて、ゲームを全クリした場合でもコンプした場合でも経験値は発生します。でも勇者として人も助けないといけないから経験値が少なかろうと人助けをするんですね。でも義務感からの人助けより楽しくやるゲームでの経験値の方が多いからゲームをやりたい、でも人助けを疎かにしたら自分の思い描く勇者ではない…というジレンマに陥ってるんです。かわいそうに。
 だがしかし! 流石はオールライト! 見事漫画の台詞をうろ覚えながらも吐き出してアリスちゃんの脳を焼いたァ! オーマイグッネス!
 多分アリスちゃんそのセリフ聞いた瞬間心臓ドクンってしてまっせ?
 正直台詞の導入が無理矢理っぽさがあって否めないけど私は書けて満足なんですわ。やっぱりアタイったら最強ね! 自己満足の小説書いてて楽しいかこの野郎(豹変)。

 アリスちゃんは光属性の可愛い勇者なんだよひれ伏せ(唐突)。

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 ※日間漁ってたら35位になってたのを見ました。ありがとうございます(靴舐めます)(舐め回します)(舐め溶かします)
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