キングエンジン(魔改造)でキヴォトス闊歩 作:匿名ゴボウ
「こっちが作品を展示するエリアで、あっちが〜〜〜」
私が見たい場所の観光が終わり、今度は天童少女が案内したいという場所を案内されている。
場所はミレニアムサイエンススクールの校舎内。私が入っても良いのか疑問だったが、基本的にミレニアムの校舎では誰でも出入りが自由であり、申請などが必要な場所はミレニアムタワーくらいしかないらしい。
なんともセキュリティの甘さが一番最初に思い浮かぶが、天童少女曰く何か問題が起こればそこらにいる警備ロボットの全機が敵対して制圧しに掛かるのだという。マインでクラフトなゾンビ豚のような習性だな。
「そしてここが! アリスの所属する『ゲーム開発部』です!」
そして最後に紹介したいと言っていたゲーム開発部部室。
外見の雰囲気を感じることすら出来ない速度で天童少女により中へと招かれた私は、それはもうゲーム開発部でしか味わえない熱烈な歓迎を受けることとなった。
___何故ゲーム機が顔面に飛んでくる?
「Ouch!?」
「あ!? ちょ、お姉ちゃん!? 負けそうになったからって本体投げないでよ!」
「シャラーップ! 私は負けてない! ただゲーム機を投げたくなる衝動に駆られただけなんだー!」
___それはゲーマーとして致命的な衝動ではないか?
顔面にゲーム機が勢いよく衝突したシチュエーションに対してあまり思考が働かず、目の前のコントに対するツッコミにしか反応できない。
隣にいる天童少女はなんかニュートラルな表情で二人を見つめているだけだし、早くこの状況をなんとかして欲しいのだが。
「というかそういえば後ろで知らない声が聞こえた気がしたんだけど………あ」
「…? どうしたのミドリ。………あ」
ようやく私に気が付いたようで、目の前の二人は私を見つめて、そして次に私の手元にあるゲーム機と私の赤くなった額を交互に見ては顔を青くさせた。
…これ私何か言った方が良い感じ?
「えー……元気があって大変よろしい」
「「す、すいませんでした…」」
多分無理矢理作った笑顔だから顔引き攣ってるなぁ…。
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「“お仕事手伝わせてごめんね、ユウカ”」
「いえ、当番外と言えど、私もシャーレ所属ですから。先生のお手伝いをするのは当然の事です」
「“あんな事してしまった手前、申し訳ない…”」
私がそう言うと、ユウカは少し思案するような顔をして、しばらくして口を開いた。
「では先生。お詫びとして…良ければなのですが、私のプライベートに付き合って頂けませんか? 先生の暇な時でいいので」
「“…もしかして、デートのお誘い的な?”」
「なっ、違います! その日はお買い物の予定なので! 荷物持ちとして誘っただけです!」
私の冗談で顔を真っ赤にして怒るユウカ。ちょっと揶揄っただけなのに…。
内心ちょっとしょんぼりしながら、目的地であるゲーム開発部部室へと向かう。
私は進捗を確認しに、ユウカはゲーム開発部の様子を伺いに。
普段のあの子達に対する態度から公私を混同せずに厳格に接しているように見えるけれど、やはりユウカは後輩思いの良い子だ。
さて、この角を曲がればゲーム開発部の部室だ。
札が掛けられてあるだけの質素な扉をノックして、開ける。経験上返事が来た事は一回もないからだ。
ミレニアムプライスまで残り僅か。あの子達も大詰めに入っている頃だろうな…と、慌ただしくゲームを制作しているあの子らの姿を想像しながら中へと入った。
「“やぁ、順調か___」
「あ、ちょっ…アァーッ!?」
「へっへーん! そのキャラ復帰弱いから崖下にぶつければ確殺なんだよねー!」
「あ、お姉ちゃんそこ危ない」
「え? あっ、ちょアリスーッ!?」
「ジ・エンドです!」
「「Nooooooooooo!!!?」」
「お姉ちゃんと『オールライト』さんがほぼ全快の状態から一気に全部削られてる…やっぱそのキャラバグ過ぎるでしょ」
「___えぇ?“」
You win! と渋い声で讃えられたアリスのキャラと、悔しがっているモーションをしているモモイとオールライトのキャラ。
当人であるアリスは普通にガッツポーズ、モモイとオールライトは作画が崩壊したような絶叫顔で固まっていて、私は戸惑いを隠せません。
何故オールライトがいるのか、何故ゲームをしているのか、プライスに向けたゲーム作りは? 作業スペースは何処へ? なんか背後から凄い威圧感感じるんですけど?
そして私が宇宙猫かましている間にオールライトが私に気が付いたようで。
「む? おぉ先生! お久しぶりだな! 元気して、た…かい…」
尻すぼみになる気持ちも分かるよ、オールライト。私に至っては言葉すら発せない。
早く、早く気付くんだ三人とも。というか四人とも。私の背後の威圧感に早く気付くんだ。あ、ちょロッカーの内側から鍵を掛けるんじゃない。
「何やってんのよアンタ達はァァァッ!!!」
「「「にょわぁああ!!?/わぁぁああ!!?/ひぃぃいい!!?」」」
「___(ガタッガタ!)」
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「というかさー先生ってオールライトと知り合いなの? 挨拶してたけど」
頭に
才羽少女妹も天童少女も、それと早瀬少女もその質問に頷いた。あとロッカーもついでに便乗するようにガタリと揺れる。
正直ロッカーが気になって仕方がないが、先生ですら気にしないということはここの関係者で間違いないのだろう。
さて、先生が質問に答えるようだ。
「”彼とは親友だよ。以前の仕事で彼を雇ったことがあって、そこで仲良くなったんだ“」
「雇う? ボディガードのようなものですか?」
「”少し違うかな、彼は傭兵なんだ。そうだね…後はオールライトから聞いた方が早いかもね”」
「…あ、じゃあ、私から良いですか?」
「良いぞ、才羽少女妹」
「えっと、傭兵してるって話でしたよね。でもオールライトさん、ヘイローがないように見えるんですけど」
「あぁ、確かに私にはヘイローがないな。だから今のこの状態だと普通に銃弾で撃たれれば致命傷になり得る。まぁそう簡単にはやられないがね」
「はいはい! 今興味深いこと言った! この状態ってことは変身とかするの!?」
「変身ではないな。しかし、身体に変化が起きるのは確かだ。このようにね」
静かに私は、キングエンジンを始動させる。
___ドッ…ドッ…ドッ…
「あ、この音…」
「えっ? この音何?」
「アリスちゃん、何か知ってるの?」
「いえ、たださっき聞いたので、オールライトから鳴ってると思います」
「もしかして…心臓の音、ですか?」
「正解だ、早瀬少女」
私の言葉に先生を除いた全員が驚いた表情を見せる。なんか先生はしたり顔でうんうんと頷いている。
「私の異能、キングエンジンはシンプルな力だ。心臓の鼓動をトルクとし、トルクを上げれば上げるほど身体能力、そして体温が上昇する。今は出力5%だが、約50%に上げればビル一つは拳で粉砕出来るほどの身体能力が出せる」
「ナニソレ!? めっちゃカッコいい!」
「普段はこの力を使ってブラックマーケットで治安維持を努めている。まぁ無いだろうが、万が一ブラックマーケットに来る時は私を尋ねるといい」
「…あ、思い出した」
「ミドリ? 何をですか?」
「ほら、前に皆でネタ集めで新聞とかネット記事読み漁ってた時に、丁度ブラックマーケットの記事があって、そこに確かオールライトさんの名前と…あと、なんだっけ、『平和の象徴』? って書いてたような気がして」
「平和の象徴!? それもめっちゃカッコいいじゃん! ってことはオールライトってヒーローみたいなやつなの!?」
「モモイ、ヒーローみたいなやつじゃないです! 私に勇者としての道を示してくれた、先代勇者です!」
「そっちはそっちで何があったのさ!?」
「”ブラックマーケットの犯罪抑止率90%オーバー。『存在そのものが抑止力』『スーパーヒーロー』『平和の象徴』といった二つ名で呼ばれているね。ブラックマーケットでは彼が現れる前のそこは『シルバーエイジ』と呼ばれていて、彼が現れた後では『ゴールデンエイジ』と呼ばれているんだ。彼の存在はブラックマーケットの一つの時代の区切りとされているよ。最近だとブラックマーケット以外にもファンが増えてきたようで、少なくともアビドス、ゲヘナ、少数だけどトリニティにもファンクラブがあって、それらはブラックマーケットを中心にオールライトのファンクラブ活動を行っているらしい。本人非公認のグッズとかを秘密裏に販売してるらしく、私もそれを全種類三個位は買っているよ。因みに私はシルバーエイジのオールライトが一番カッコいいと思ってる。今もカッコいいけど”」
「なんか喋り出したと思ったら物凄い勢いで物凄い情報を息継ぎ無しで羅列していってるんだけど!?」
「先生…?」
…っは! いきなり先生から発せられた巨大な情報量に脳が追いついていなかった。
私そんな呼び方されてんの? というかほぼ憧れのヒーローと同じ呼ばれ方してないか? 気のせいか? シルバーエイジだとかゴールデンエイジだとかまるっきり聞き覚えしかないぞ?
というか私のファンクラブあるってマジ!? そんな気配一ミリも感じなかったが!?
いやでも最近やけに過去に捕まえて改心させた生徒やオートマタからファンサを求められることがあるな。もしかしてあの子らも…というかグッズって言ってたな今! あるのか!? 秘密裏に売られるよりも表で堂々と売られていた方が落ち着けるんだが!? それよりも先生がブラックマーケットで私のグッズを購入しているという事実の方が問題なんだがね!?
もしかして先生、私のファンだったり…あぁいや、自惚れは良くないな。いやでもヒーローとなると多少の自惚れは大事か…?
「はぇー、オールライトって凄い人なんだね」
「流石は先代勇者です! アリスも見習わなければ!」
「うんまぁほぼ私も初耳の情報が傾れ込んできたけど概ね理解してもらえたのなら良かったようん」
「“…さて、じゃあモモイ達はそろそろゲーム制作の続きをやった方がいいんじゃないかな。締切まであと僅かって話だけど“」
「え? あっ!? そういやそうじゃん!? オールライトボコボコにしてたから忘れてた!」
「”文面だとすんごい光景だねそれ“」
「物凄く語弊がありますね」
「あっ、私もそろそろセミナーに戻らなきゃ…では先生、オールライトさん。失礼します」
「”うん。気を付けて戻ってね“」
「あぁ、お仕事頑張りたまえ。応援してるぜ」
「ありがとうございます。では」
さて、才羽姉妹は慌ただしく動き出し、天童少女はその場のノリでわちゃわちゃし出した。ロッカーの揺れが激しくなりつつあるのを必死で意識外に持っていき、私は先生と一旦外で話し合う事に。
「さて、改めて久しぶりだな先生。あれ以来アビドスの調子はどうだ?」
「”うん、久しぶり。ホシノ達は以前までの悪質な利子率が減少したから、今じゃ余裕を持って借金を返済できてるみたい。たまに様子を見に行くけど、襲撃も減って憂いなく楽しそうに学校生活を送っていたよ“」
「それは良かった」
「”ホシノ達はオールライトに感謝してた。偶にで良いからアビドスに顔を出して欲しいとも言っていたよ“」
「本当か? なら近いうちにアビドスに行くのも良いな。久しぶりに柴関ラーメンを食べたいと思っていたしな」
「”その時はご一緒しても良いかな?“」
「勿論良いとも。一人で食べる飯よりは美味しく食べられるからな」
顔を出して欲しいか…HAHA! 随分と好かれたものだ。大した事はしたつもりもないのだがね。
「“そういえば、前の会議でオールライトが言ってた金策、あれを採用したみたいだよ。結構名所とかその辺を決めたり、安全なルートを決めたり作ったりって、かなり本格的にやってるみたい”」
「あぁ、あの案か。という事はアビドスで観光ができる日も遠くないな」
「“まだ計画は練ってる最中らしいけどね。なんでもオールライトが一面をガラス化させた場所とか、カイザーPMCの跡地をオールライトが関わった聖地として扱うって話らしいし。私も全面的に協力しているよ”」
「待て待て待て待て! 急に爆弾をぶっ込むんじゃない!」
いきなりとんでもない発言をするなさっきから!
「ふぅ…まぁ、楽しそうで何よりだ。アビドスへ行く際は一応先生にも連絡を入れておく」
「“ありがとう。楽しみに待ってるよ“」
今日はなんとも情報量の多い一日だったな…。
はいゴボウです。親指が腱鞘炎になり熱湯に晒され包帯の上から炎に包まれた世界一運の悪い根菜類です。
Q.開幕ゲーム機が顔面に飛んでくる部室ってなーんだ。
A.ゲーム開発部。
って事でね、今回はゲーム開発部との邂逅、そして先生との再会、ゲーム開発部へのオールマイトの紹介という三本建て(詐欺)です。
概ね掲示板の予告通りに進んでるんじゃないかなーって思ってます。後書きで次回予告みたいなの出したの気にしないでーって言いましたけど、書いた手前書かないのはクソキモいんで書きます。ごめん。
あと先生を緑谷少年のように限界オタクかさせたことをここにお詫び申し上げます。なんかこうした方が面白いかなって天啓が降りてきちゃったんです。あ、あと例のファンクラブは最初は先生関与してないけど大人の力でファンクラブの会長になってます。きったねーおとなだぜ。
そしてオールライトをボコボコにするモモイちゃん(笑)。スマブラとかわかんねーけど崖下にぶち当てたりしたら復帰が難しいってのは知ってるぜゲヘヘ。やられたからな(下手)。
※日間83位確認。ありがとうごぜえやす。
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