キングエンジン(魔改造)でキヴォトス闊歩   作:匿名ゴボウ

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 ちょっと短めです。


ガチファン達の恩返し

 

 

 

 

 端的に言おう、私のヒーローコスチュームが私の知らない間に出来ていた。しかも無料で。

 

「エェーッ!?」

 

「はっはっは! 凄く良い反応をありがとう。何日も徹夜して作った甲斐があったよ」

 

 目の前で気分を良くしている白石少女。驚愕している私の眼前にはマネキンに着用させている、青のところが黒く変わっただけのまんま原作スーツがあった。

 

「こ、これ…本当に私に?」

 

「そうとも。言っただろう? 私はオールライトのファンなんだ。ファンの一人がたまたまミレニアム屈指の『マイスター』で、そしてその『マイスター』のファンが好きなヒーローに、自分の技術をフルで使ってプレゼントを送るんだ。何も不思議なことじゃないだろう?」

 

「“そうだよ。それに、このスーツの制作には私も携わっているからね。主に資金面で”」

 

「どの環境下でも活動できるように、耐熱・防寒・防弾・耐衝撃・耐水・耐電性等のポピュラーな機能に加えて、特殊な素材をオーダーメイドして他学園に製作してもらい、その素材で編んだスーツは僅か数秒で洗濯から乾燥が可能になる時短性能もある。勿論素手でね」

 

「“あとこのスーツとは別に、シャーレ直通の連絡先、そして現連邦生徒会会長代理のリンちゃんに繋がる連絡先を登録したヒーロー活動専用の携帯端末を購入。あとシャーレのビルに小さいけれど小規模な冷却室が___”」

 

「ま、待て待て待て待て待て!? 待てぇい!」

 

 いや不思議そうな顔でこちらを見るな!?

 

「幾らなんでもこれはやり過ぎではないか!? 第一私は側から見ればただヒーローを自称しているだけのおじさんだぜ!? 一応のヒーローとしての功績はあるが、それもどこから見たって非公式なもの。そんな私が、君達のような特別な立場にある人間から大きな贈り物を貰うなんて」

 

「それは違う」「“それは違うよ”」

 

 二人同時に放たれた否定の言葉に、思わず口を閉じる。

 

「“確かに、オールライトは非公式。誰からも認められていないヒーローだ。しかしそれは法的な話であって、住民の方々それぞれからの印象ではない。現に、SNS上では君の事をヒーローだと認識している者が殆どだ“」

 

「何より、何度も言うが私達は君のファンなんだ。君のヒーローらしさに憧れを持った、ただの守られる側なんだ。しかし、ただ守られるべきでは駄目だと思った我々が、こうして君への恩に報いる為に立ち上がっただけだ」

 

「そ、れは…」

 

「助けてもらった恩、そしてヒーローに憧れさせてくれた恩、この二つの恩だけで、私達はこれらを作る事ができている。だから、後は君に貰ってくれるだけで、我々は報われる」

 

「“与えられる事で救われる、そんな事もあったって良いんだ”」

 

 救済とは、無償であるべきもの。

 

 私はこの世界でずっとそう思ってきた。

 

 それは同じ者を憧れる同志の言葉であり、同時に私を納得させられる言葉だった。

 

 助けるならば、最後までその者の利益となれ。その利益を、例え恩だとしても受け取っては行けない。それはただ許可を得ただけの、()()()()()()()()なのだから。

 

 しかし、この二人の言葉で気付かされた。

 

 受け取っても良い恩はある。受け取る事で救われる場合もある。

 

 私は傭兵稼業家。同志の言葉を思い出しながらも、私がヒーローを続けられるようにそれを見ないふりをしながら見返りを得て、後で後悔しながらも後に救う事ができる人々の為にその後悔に蓋をして…。

 

 しかし、今では押さえ込んでいた後悔が嘘のようになくなった気がする。

 

「そう…だな。私は、ずっと勘違いしていたのかもしれない。ヒーローとは、救済とは無償であるべき。私は心の中でずっとそう思っていた。しかし、受け取る事で救われる事もある…HAHA、なんたるザマだろうか」

 

「では…!」

 

「あぁ、有り難く受け取ろう。ありがとう、白石少女。この日は私に取って絶対に忘れない日となるだろうさ」

 

「やった…やったぞ、先生! 受け取ってもらえた!」

 

「“良かったね、ウタハ。私も頑張った甲斐があったよ”」

 

 その先生の言葉に私は指をビシッと向けた。

 

「いや、先生に関しては絶対にやり過ぎだとは思っているからな? 冷却室はまぁ有り難く譲り受けるにしても、幾らなんでも七神主席行政官の連絡先はやり過ぎだろ」

 

「“だ、大丈夫だよ! リンちゃんにはちゃんと許可取ってるし!”」

 

「表情は?」

 

「“こう…苦虫をすり潰しながらキレ散らかしてる感じだったかな…”」

 

「私近いうちに土下座しに行ってくる」

 

「“わ、私も行こうかな…最近の仕事の量が半端じゃなく増えてきたし、絶対怒ってるよリンちゃん”」

 

「やれやれ、本当に困った先生だな。私も一回会った事があるが、気難しい性格なだけで怒りやすい性格ではなかった気がするんだが。何かやらかしてるんじゃないのかい?」

 

「“その…まぁ…無断でセントラルネットワークを使用したり、シャーレの経費でちょっと私用のもの買ったり…”」

 

「「大分やらかしてるじゃないか!?」」

 

 前から思っていたが本当にぶっ飛んでるなこの教師は!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、じゃあ今からこのスーツをオールライトに譲る。その前に、だ」

 

 私は身構える。

 

「あぁいや、何もしないからそんな身構えなくても良い。というか私は君にそんな警戒されるような事をしたかな?」

 

「いや…風の噂で聞いた話なんだが、ミレニアムのエンジニア部は会話の途中途中に爆破を挟むボマー集団だから警戒は怠るなと聞いてね」

 

「噂の出所はどこか知っているかい?」

 

「お、落ち着くんだ白石少女! その椅子…椅子? を大人しくさせてくれ!」

 

「おっと、すまない。冷静さを欠いていた。…なに、簡単な事さ。これを」

 

「これは…」

 

 ペンと…色紙?

 

 予想していなかった二つに目を丸くしていると、目の前で白石少女が突然頭を下げた。

 

「サイン下さい」

 

「…おじさん身構えて損したよ。まぁ書くけれども、喜んで書かせていただきますけれども」

 

 やはりサインはオールマイトリスペクトで、目周りの簡単なデザインと英語でオールライト。

 

 ぱぱっと、そして丁寧に書いたそれを、白石少女に手渡した。

 

「やった…このサインは、エンジニア部のトロフィーや額縁を全部取っ払って飾るとしよう」

 

「待て待て、それは君達の功績の証明だろう? 私如きのサインで蔑ろにして良いものではないだろうに」

 

「何を言うんだい! 部長の私が言うんだから何も問題はない! あと遅れたがオールライトはおじさんではないぞ!」

 

「ツッコむとこソコ!? いやいやいや折角君達の頑張りが認められた証なんだから大事にしなさいって! あのーほら、私にできるファンサならなんでもしてあげるから!」

 

「なんでも、だと!?」

 

 あっ、これ失言した。

 

「な、なら先生の話に出てきた『Plus ultra』って叫びながらパンチを繰り出すシーンを我々の実験室で再現してくれないか!? 機材はどうなっても良いから被害とか気にせずに!」

 

「先生は何を一体どこまで話してるんだ!?」

 

 あの教師口が軽すぎやしないか!?

 

「そ、それとオールライトの決まり文句の『私が来た!』も録音させてくれ! 目覚ましだったり着信音だったり色々設定したい!」

 

「ま、ちょ」

 

「そういえばあのスーツを製作する途中ぱっと思いついたアイデアも片手間に作ってみたんだが試していってくれないかい!? 気に入ったのがあれば譲渡しよう!」

 

「ま…」

 

 ちょっと待ってくれェ!?






 ウィッス、ごぼうです。

 はい、と言う事でオールライトガチファン勢二人目の白石ウタハさんが登場しましたー。バリバリー(!?)
 とりあえずね、ふざけたクールキャラはガチファンにさせたらなんとかなるって地獄のペットの亀も言ってたんで、そうしました。
 ウタハちゃんがファンになった理由? そりゃおめェ…焼かれちまったんだよ、脳をな。
 だってあんなロマンを求めるやつが、正義のヒーローとかいうクソ強ロマンの塊を見て何も思わないはずがないっしょ?
 んでその脳を焼かれた奴が偶然ミレニアムのマイスターやってるってなったらおめェ、そりゃ作るだろ。コス。

 ウタハ「私が作った作品が推しを包んでるって事は私が推しを包んでいると言っても過言ではないのでは?」

 何言ってんだおめェ。

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 (流石にキャラ崩壊タグ付けますわ)

 ※日間67位ありがとうございます。
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