キングエンジン(魔改造)でキヴォトス闊歩 作:匿名ゴボウ
「では、全員席に着いた様なので、これより議題『学校の負債をどの様に返済するか』の具体的な議論を始めます」
奥空少女の号令で、全員が一礼する。
しかし表情に緊張感というものはない。どうやら何回もこの流れを繰り返している様だ。小鳥遊少女なんて議論が始まって速攻眠っている。
しかし借金返済…確か億単位での負債があったという話だったな。
砂だらけの自治区に囲まれた学校が数億の借金を負っているとは、世の中は中々に腐っている。
一体何処のどいつが子供に借金を作らせているのやら。会ったら一発ぶん殴って見たいものだ。
で、具体的な借金返済の方法か。一番手っ取り早いのは借金の大元をぶっ潰す方法だが…これは先生が良しとしないだろう。
より安全で、より明瞭で、より健全で罪にならない完全真っ白な方法での返済が望ましい。
安牌を取るならば普通にバイトをして働くのが手だが、それだと何百年掛かるか分からない。それに子供ができるバイトなんて高々日給数千円が限界だ。とてもじゃないが無理だな。
賭けに出るなら、現在所持している金全てを宝くじに使う。確かキヴォトスに存在する宝くじで一番高額なのは43億だった気がする。宝くじで一等という何回かの人生に一回引けるかどうかの確率だ。シンプルに無理だろう。
…前提条件を無視するならば、やはり身体を売るか臓器提供…しかしこの学校には生徒が少ない。子供の臓器は売れると言われているが、それでも数千万が関の山だろう。
それに獣やロボットの市民がキヴォトスの住民の殆どを占めている中で、人間の売春というのは中々に価値が低い。一時期「そういえばブラックマーケットで風俗とか全然見ないな」と思って考察した結果だ。よってこれも無しだ。
次に挙げるとすれば、観光…名物と言っていいのかは分からないが、アビドスには砂がある。広大な砂漠、というのは人生で中々お目に掛かれない代物な為、普通に観光しに来る人はいるのではないだろうか。
「オールライトさんは何かありますでしょうか…!?」
「wow、どうしたんだ奥空少女。かなり怒りが感じられるぞ?」
「えぇ、同級生や先輩方がまともな案を出してくれないので…!」
「Hmm…借金の返済、要は金策だ。皆は自らが動く事で金を稼ぐ手段を出しているが、私の案はそうだな…準備さえできれば勝手に金が入ってくる案だ」
「ん。詳しく」
「近いのは十六夜少女の案だな。私の考えは、アビドスにある砂、砂、砂。とにかく多くあり、広大な砂漠を作り上げている砂を観光名物にするという案だ。普通砂漠なんて、普通に人生を送っていればお目に掛かれないものだ。だからこそ、観光名物としての砂漠は少なからず価値がある。客に安全と安心をお届けしつつ、楽しんで砂漠の景色を堪能してもらう。こんなのはどうかね?」
「オールライトさん…! 良いです! 良いですよそれ! そういう案を求めていたんです!」
「ん〜、普段見慣れていたからこそ価値のない物だと思っていたけど、そっか、他の人にとってはそんな感じじゃないんだ。うへぇ、もっと早く考えつけばよかったなぁ」
「“アイドルも良かったんだけどなぁ”」
「ん。銀行強盗も捨て難い。考え直してアヤネ」
「ブレスレット…どうしよう」
「よしよし、見た目だけは綺麗なので私が一つ貰いますよセリカちゃん♪」
おや、なんか急にワチャワチャし出したぞ?
おやおや? 先生もなんかわちゃわちゃに混ざり始めたぞ?
おやおやおや? 奥空少女のようすが…?
「い、いい良い加減にしてくださいッッッ!!!」
アビドス高校のとある一室で、机が舞った。
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「…why?」
「だから! アイツらは私の働いてる店で食い逃げしたのよ!」
「だからそんなに怒っているのか。黒見少女」
「当たり前でしょ! あんなにお世話になった大将の面目を潰すような真似、絶対に許さないんだから!」
まぁ確かに、特盛にしてもらった上に食い逃げされるなんて、その上その翌日に傭兵の集団引き連れて自分の学校に襲撃してくるとか印象最悪というかマイナスの域に達するよな。
でも便利屋が食い逃げする時なんてあったか? 確か五、六百円以下の店を見つけたからそこで食事を摂ったという描写があった気がするんだが。もっと別のシーンだったか?
関係無いな。私の仕事はシャーレの先生の護衛及び、先生の生徒を守る事。後者は学校に着いた後に付け加えられた依頼だが、私としても断る理由はないので快諾したまで。
「好戦的なのはよろしいが、ここは私に任せてくれないか?」
「えっ、な、なんで!」
「そうだよ。なんで関係無い貴方が戦うのさ」
後ろから小鳥遊少女が言う。
「私の仕事は先生の護衛と、先生の生徒を守る事。守るべき者を戦わせる訳にはいかないのが私のポリシーでね。なぁに、私が苦戦していたら迷わず助けてくれたまえ。まぁ、そんな事は起きないだろうがね。良いだろう? 先生」
「“はい。お願いします、オールライト”」
「任された!」
私はキングエンジンを始動させた。
___ドッドッドッド…!
「な、何の音だ?」
「ひぃ!? こ、こここの音は!?」
「ま、まさかオールライトがいんのか!?」
「や、やべえって! 早く逃げなきゃやられちまうぞ!?」
___ドッドッドッドッ…!
「な、なに? 何が起きてるの?」
「社長! 構えて! 多分…ヒナクラスの強敵がいるよ!」
「な、なんですってー!?」
「あ、アル様の敵…こ、殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ!」
「あ、あはは…あ、あのお兄さんかぁ…仕方ないかぁ」
___ドッドッドッドッドッドッドッド!!!
「私が___」
校門から出た私は遠くに見える傭兵集団目掛けて跳躍する。
地面が爆ぜ、私の身体が勢いよく超スピードで敵へと突っ込んでいく。
集団のど真ん中…敵陣の中心目掛けて着弾した。
「来たァ!!!」
衝撃で砂の波が広がった事もあり、今ので数十人は持って行った筈だ。
次はいつも通り速度全振りで一人ずつ腹パンして…っと!
「ふん!」
「嘘!?」
背後からの殺気を感じた私は身を屈めて銃弾を避け、そのままの体勢で前方に走る。
砂煙の中でとにかく見えたヤツから順に腹パンをかましていき、一撃でノックダウンさせる。
一秒で四、五人は持って行った為、土煙が晴れるまでの約十八秒で便利屋以外の傭兵全員片付けただろう。
土煙が晴れた後、私は立ち止まって辺りを見渡す。
少し離れた場所に驚いた表情を見せる便利屋の面々。それ以外の傭兵団は一人残らず全て倒れ伏している。
「私に数は通用しないぜヴィラン共! 後ろでふんぞり返ったまま勝てると思ったら大間違いだ!」
「___ふ、ふん! 数だけの傭兵なんて最初から当てにしていないわ! ハルカ!」
「は、はい! し、し、死んでください!!!」
「随分と物騒なプロポーズだな!しかし甘い!」
「えっ___きゃぁ!?」
私はトルクを一秒だけ上げて身体能力を加算し、更にスピードを上げた状態で伊草少女の背後へ。
そのままSGを持つ腕ごと背後から抱きしめた私は、伊草少女を持ち上げ…そのまま海老反りになって伊草少女を叩きつけた。
「ぎゅっふ!?」
「ソーリー! もっと体重を増やしたほうがいいぜ…っと!」
「乙女に対してデリカシーのない発言は控えたほうがいいよ」
「単なるアドバイスなんだが…ね!」
「っく!」
犬神家となった伊草少女を助けるべく私に牽制の銃弾を放つ鬼方少女。
しかし簡単に避けられ逆に距離を詰められ、私に腹パンされ掛けるも銃床で防ぎ地から足を離した事で、私の力を利用し距離を離されてしまった。
「隙あり!」
「私に隙は無いぞ浅黄少女!ぬん!」
「わぁ!?___アルちゃん!」
「喰らいなさい!」
死角から迫ってきた浅黄少女の攻撃を防ぎ、反撃。
しかし少し遠めの場所から狙撃してきた陸八魔少女の狙撃によって攻撃が弾かれてしまった。
そうして出来た隙に浅黄少女がほくそ笑む。
「言ったじゃん、隙ありって♪」
ポケットの中から出したボタンを親指で弾くように押した。
瞬間。いつの間にか私の足元にあった黒い鞄が、閃光を放った。
「いつの間___」
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「いっつつ…」
ど、どれだけ爆薬を使ったのよムツキ…? 爆風がもろにこっちまで来たんだけど…?
砂だらけになったコートとシャツを叩き、愛銃を持って立ち上がり周囲を見渡す。
爆心地である場所は土煙でよく見えないけれど、それ以外の場所で社員の全員の無事を確認した。
ハルカだけまだ上半身が埋まったままだけれど、脚がジタバタしているから無事ね。多分。
でも…傭兵は全部倒されて、私達もあの少ない時間だったのに疲労が溜まってる。あの男の人がどれだけ強かったのか、身に沁みて理解した。
まだ晴れない土煙を睨むカヨコ、引っ張り出そうとしているムツキとまだ埋まったままのハルカを連れて、今のうちに引き上げるしか無い。
そう思って息を吸い込んだ時だった。
___ドッドッドッド!
「げっほ!?」
嘘でしょ!? あれを喰らってまだ意識があるの?!
見ればムツキも唖然として固まっている。それもそう、何せ今まであの量の爆薬を使って倒せなかった敵はいなかったんだから。
漸く首まで抜け出したハルカも、睨みつけたまま動かないカヨコもこの音を聞いて固まっている。
土煙が晴れ、あの男が姿を現した。
「HAHAHA! 少し驚いたが、あまり効かないぜ!? 私を倒したいならビルを丸ごと投げつける事だな!」
そんな事できる訳ないでしょ!?
そんな心の中のツッコミはさて置いて、今までで一番効いたであろうムツキの爆薬はもうない。
私の銃も社員達の攻撃もあの威力が出せるわけでもないから、実質詰み。
…逃げるしか無いわね!
「貴方達! 逃げるわよ!」
「でも社長! こいつから逃げれると思えないよ!?」
「…私が殿をする! 貴方達は私を置いて逃げなさい!」
「できるわけないじゃん! そんな事!」
「ぐぐ…ぷはっ! わ、私もアル様を置いて行けません!」
「あ、貴方達…!」
なんて良い子なの…じゃなくて! 早く逃げなきゃあの男に!
と思っていたら、今まで動かずに私達の話を聞いていた男が口を開いた。
「あー…別に逃げると言うのならば私は構わないぞ?」
「え?」
「私の仕事は先生の護衛だ。敵の殲滅じゃない。さっきまでは攻撃の意思ありと見て私から攻めたが、こちらに危害を加えないのなら私からすることは何もないさ」
「え、じゃあ…?」
「私は今から何も見ない、って事だ。君達を見逃しても、問題ないと判断した」
ら、ラッキー! なんか知らないけど、男の人が良い人で良かったわ!
「聞いていたわね! 貴方達! 今のうちに逃げるわよ!」
「うん、急ごう。アイツの気が変わらないうちに」
「じゃあねーお兄さん! ヒーローのお仕事頑張ってね!」
そうして私達は踵を返して走り…走り…あ、あの、ハルカ? なんで着いてこないの?
「…ない」
「は、ハルカ?」
「ちょっとハルカちゃん! 急いで!」
「待って、まさか…」
「アル様を舐めた…? ゆ、許さない許さない許さない許さない許さない…許さない!」
「oh!? 私は見逃すと言ったんだが!?」
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!」
「オーケイ! そっちがその気なら…全力で相手をしてやるぞ! 陸八魔少女ォ!!!」
な、な、な…。
「なんですってー!!!!????」
碌な案を出さない同級生と先輩(それと悪ノリする先生)に憤慨するアヤネちゃんが一条の希みを賭けてオールライトに一か八かの質問をする場面と、まともな案を出したオールライトに感動するアヤネちゃんと、でもやっぱり最後にはバチギレするアヤネちゃんが書きたかった。
とりあえずハルカはバックドロップさせたかったね。
んでラストを飾るは「殺してやるぞ陸八魔アル!」のオールライトバージョンってことね。よく出来てるわ(他人事)
君達を見逃す=見逃せる程弱く思われてる=アル様が舐められてる=ゆ“る”さ“ん”!!!
因みに食い逃げ云々はアルちゃんが六百円と少々が入った財布落としちゃって、本来ならそれを拾うのはムツキちゃんだったけど別のこと考えてて見落としちゃってそのまま店に入っちゃったっていうね。可哀想だね(笑)
あ、ムツキちゃんがオールライト知ってる理由? 前話の冒頭に書いてるよ。
※ゲーム内の通貨とかアニメでの紙幣とかwikiとかの情報がごっちゃになる為、ゲーム内通貨は先生のクレジットとして、生徒達は一部を除いて現実と同じ紙幣と硬貨を使っている設定にしています。しょうがないね、私が見る限り何処のサイトでも公言してないんだもん。