キングエンジン(魔改造)でキヴォトス闊歩   作:匿名ゴボウ

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やはり子供が責任を背負うのは間違っている。

 

 

 時は早く過ぎるもので、光陰矢の如しとはよく言った数日の経過。

 

 小鳥遊少女とのあの日の会話の効果はあまり効果がなかったらしく、以前より少し姿を消す事が多くなった。

 

 その事は先生も懸念している。そして今日、先生は小鳥遊少女を説得して一緒に行くようにした。

 

 その際に当然護衛として私もついて行った。

 

 そして今、我々三人は、小鳥遊少女を苦しめている大きな要因の一つ…『黒服』と対峙していた。

 

「お久しぶりですね、小鳥遊ホシノさん。そして、お初にお目に掛かります、シャーレの先生。及び単独傭兵『オールライト』さん。私の事は『黒服』とお呼びください」

 

「“初めまして。早速だけど”」

 

「まぁお待ちください。我々は貴方に敵対するつもりも、貴方を害する気持ちもありません。ここは一つ、我々の話を聞いていただけないでしょうか。勿論、貴方も一緒に」

 

 …なるほど、確かに小鳥遊少女の言う通り、胡散臭い人物だ。雰囲気的にはAll For Oneに似ている。

 

 しかし、我々と同じ『大人』でもある。

 

「さて、本題から参りましょうか。我々…私の目的はただ一つ、小鳥遊ホシノさんの身柄のみです。それを手に入れる為ならば、どんな対価でも支払うつもりですよ」

 

「“断る”」

 

「ほう…それは何故?」

 

「“ホシノは私の生徒だ。貴方のような大人には渡せない”」

 

「何故? 何故? しかし貴方の言う生徒は赤の他人ですよ? 家族でも、それ以外でもないただの他人。それの為に、貴方は何故そこまでするのですか? 何が貴方をそこまで駆り立てるのですか?」

 

「“先生が生徒の為に頑張るのは不思議な事?”」

 

「理解できません。何度も言いますが、貴方にとって小鳥遊ホシノは赤の他人です。なれば、そこに貴方に降り掛かる責任など何もないのですよ? 何故そこまで抗うのです?」

 

「“責任はある。彼女が子供で、私が大人である。その間には、先生として『導く』という絶対的な責任が存在する。だから私は先生として、貴方の手からホシノを遠ざけるんだ”」

 

「成程。貴方は『大人』を、『子供』の責任を負う立場であるとおっしゃるのですね。成程。成程。やはり、貴方と私は相入れない存在のようです。しかし、私としては小鳥遊ホシノを諦めきれない。ならば…強行策しかないでしょう」

 

 ___ズズ…!

 

「我々の組織、『ゲマトリア』は単一組織ながら、生徒達の扱う様々な兵器とは違う武力が御座います。その気になれば、今この時から数時間も経たずにキヴォトスを陥落させることも不可能ではありません。どうです? 貴方には、これに対抗できる策が___」

 

「“あるさ。それくらい”」

 

 黒服のセリフを遮る先生の啖呵と共に取り出した、一枚のカード。

 

 私の目から見ても異質な雰囲気を感じさせるそれは、黒服の動きを停止させるには充分な代物なようだ。

 

「___いけません、先生。それは、貴方の時間を代償とするものです。貴方には、貴方の生活があるはずです。食事をし、電車に乗り、極々普通な生活を送る為の時間。それらを、生徒の為に使うのですか?」

 

「“黒服”」

 

「“私は厭わないよ”」

 

「なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? 幾ら貴方が子供の責任を背負う大人だからといって、子供を導く先導者だとして、なぜ大切な命をそれほどまでに容易く投げ打つ事ができるのです? 一体何故___いえ、恐らくこれは私では理解できない問いですね。仕方がありません」

 

「“それで、一体どうすればホシノから手を引く?”」

 

「あぁ、本題が逸れていましたね。そうですね…その前に、もう一つ別の話題を持ち出してもよろしいでしょうか? 本題の質問に答えると、恐らく今からする質問は出来ないと思ったので」

 

「“手早くお願いするよ”」

 

「ありがとうございます。では…オールライトさん」

 

 …ん? あ、え私?

 

「なんだ」

 

「我々や先生と同じく、不可解な存在。本来ならば、貴方はキヴォトスにいる存在ではなかった。それは貴方も理解しているのではないですか?」

 

 まぁ、()()()

 

 アニメや漫画風に言えば、ワンピースの世界にトリコがいるようなもの。

 

 戦い方も異能も、そして存在すらも、私という存在はこの世界にとって異物他ならない。

 

「突然ブラックマーケットに現れた貴方は、その強大な力を使い、支配するわけでもなく守る事を選択した。それは一体何故なのです? 貴方はもしかすると、キヴォトスが総戦力を挙げても討ち倒せないような力を持つ強者なのですよ? 普通なら、その力に酔いしれ、自らに陶酔し、自身をより高く魅せる為に暴力で全てを支配する存在に成り果てる筈です。しかし貴方はそれを選ばない。何故ですか? 何が貴方の欲望を押さえつけているのです?」

 

「…」

 

「“オールライト?”」

 

 …ハッ、何を言うかと思えば、身構えて損したな。

 

「黒服。お前、憧れはあるか? それじゃなくても良い、何か…なりたい自分を想像した事はないか?」

 

「…生憎、そのような思考はした事がありません。今の質問と何の関連性が?」

 

「私にはある。全てを救い、全ての敵を打ち倒し、周囲から平和の象徴と謳われた一人のヒーローに、私は憧れたのだ」

 

 ___ドッドッドッドッ

 

「そう、憧れだ。黒服、私はな、何も高貴な精神や、何か使命を背負った訳でもない。ただ偶然強い力を持ったただの人間なのだよ」

 

「…では何故、人を救うと? 貴方は憧れただけであって、人を救いたい訳ではないのでしょう?」

 

「いいや? 憧れたからこそ、人を救うのさ」

 

 人を救う時、いつも脳裏に過ぎるのは私が憧れたあの男の背中だった。

 

「憧れが手に届くと思った時、憧れの隣に並び立てると思った時、()()()()()()()()()()()()()

 

 初めて人を助けた時、憧れと同じようにならなかった。悪は倒せたが、人は傷付き周りは壊れていた。

 

 次は人や建物に気を付けて戦っていたら、悪には逃げられ被害が大きくなった。

 

 それを繰り返して、遂に理想の解決をした時、私はそこで初めて被害者の方に感謝の言葉をもらった。

 

「そんな私を愚かだと嗤うか? 黒服よ」

 

 思わずの昂りで発動したキングエンジンを鎮め、そう問いかける。

 

「…いいえ、立派な思想だと思います。それを聞けただけでも、大きな収穫と言えるでしょう。…さて、今度こそ本題に戻りましょう。先生、我々に協力するつもりはありませんか?」

 

「“ない”」

 

「そうですか…まぁ、聞いてみただけです。分かりました、小鳥遊ホシノからは手を引きます。それと同時に、利害が一致していたからこそ協力していたカイザーへの協力から手を引きましょう。元々、そろそろ潮時だとは思っていましたので。ですが恐らく、そうなると多大な支援を受けていたカイザーは強引な手段に出るでしょう。例えば…アビドスに全戦力を差し向けるなど、ですかね」

 

 小鳥遊少女が息を呑む。

 

「“それは止められないのか?”」

 

「原因が私がカイザーへの支援を断つからですので、避けられない事態ですね。それに、このままでも恐らく同じ結果になったと思いますよ? 先生ならお分かりでしょう」

 

「“…唯一の正式なアビドス生徒会であるホシノがいなくなる事で、アビドスの実質的な自治区の統括権が消失する。だからカイザーの襲撃は、犯罪ではなくルールスレスレの範疇になる”」

 

 なるほど。今までカイザーが借金返済を通してでしか妨害をしなかったのは、正式な生徒会である小鳥遊少女の存在があったからか。そして、その存在がなくなったとすれば…。

 

「嘘…!?」

 

「その通りです。さて、そろそろ私は別の要件がありますので、これで失礼致します」

 

「“待って。それは本当になんとかならないものなの?”」

 

「えぇ。幾ら私が干渉しようと、カイザー理事は確実にアビドスへと攻め入ります。彼が短気なのか、それとも時間がないのか…それは私には分かり得ません。ただ一つ確かなのは、この問題は貴方方の手で解決しないといけないということ」

 

「先生、オールライト。ゲマトリアは、いつでも貴方達を見ておりますよ。クックック…!」

 

 そう言い残した黒服は姿を消し、そこに残ったのは膝を突いて呆然としている小鳥遊少女と、顎に手をあて思考している先生と、それを眺める私のみ。

 

 先生が本来の役目を放棄しているようなので、まずは私が動いた。

 

「小鳥遊少女」

 

「っ!」

 

 びくりと小鳥遊少女の肩が跳ねる。

 

 恐る恐る私を見る目には怯えがある。それは自らの身を犠牲にすれば解決するという簡単な考えをしようとした後悔故か、はたまた別の原因か。いや、それは関係ないか。

 

 私の声に思考を切り離した先生の視線を無視して、私は小鳥遊少女に歩み寄る。

 

「何故君が膝を突いている? 何故君は今、絶望しているんだ?」

 

「だって、私のせいでっ、私の行動で皆を傷付ける所だった! どこまでも馬鹿な私のせいで! またあの時みたいに誰かを殺してしまうかもしれなかった…!」

 

「“そんな事はないよ”」

 

「あるよ! 実際に私は、私のせいで死なせてしまった人がいるの! 優しかったのに、こんな私でさえも優しくしてくれたのに! その上後輩達まで…! こんな事になるなら、アビドスに来なければよかった…私なんて、産まれなければ___」

 

「小鳥遊少女!」

 

「“ホシノ!”」

 

「ッ___!」

 

「それ以上は言ってはいけない」

 

「“それ以上は思っちゃダメだ”」

 

「その言葉は、確実に君を殺す言葉となる」

 

「“その言葉は、絶対に君が背負うべきものじゃない“」

 

「君にはまだ残っている」

 

「”君にはまだ君の手で助けられるものがある“」

 

「安心しなさい。君に絶望は訪れない。何故なら___」

 

「”心配しないで。君が生きている世界には___」

 

 

「私が来たのだから!」

 

「“私がいる”」

 

 

「うぅ…ふぐぅぅうう…!!!」

 

「泣くな、小鳥遊少女。まだ何も終わっちゃいないぜ?」

 

「“さぁ…行こうか、二人とも。今度こそ、敗北でも敗走でもない、確実な勝利のハッピーエンドを掴み取ろう”」

 

「…うん!」

 

「了解だ! まずは急いで校舎に向かわなくてはな!」

 

 覚悟しておけ、カイザー理事よ。

 

 貴様は私の全力を以って、完膚なきまでの敗北を刻み込んでやる。

 

 

 

 





 さて、私の黒服への解像度の低さが垣間見える話でしたね。あとどれだけ私がストーリーを流し読みしていたかが良く分かると思います。
 今話での原作との大幅な乖離点を挙げましょうか。
 ・ホシおじが囚われていない。
 ・寧ろ先生と黒服の二人きりの対面♡だったのに、そこにキヴォトス最高峰の神秘と、同様に最高峰の暴力がログイン(恐らく黒服は心臓(あるか分からんけど)バックバクだったんじゃないでしょうか)。
 んで少し会話が長く続き、その中でアビドスが攻め入られる原因を話したせいでホシノのメンタルブレイク。そしてブルアカにおける禁句ワードを先生とオールライトさんの目の前で言った事で先生とオールライトからの怒涛の名台詞(当社比)。
 本当ならこの小説見切り発車な上にプロットも何も書いてないから、セリフのシーン全部最終章のプレ先のセリフに挿げ替えようとしてたんですけど、それだとなんか解釈違い過ぎて…あれって原作の先生よりプレ先が言うからこそ輝く名台詞じゃないですか? そう思いません?
 さて、次回はガッチガチのオールライト無双回が始まります。頑張ってオールライトさんのチート加減(キングエンジンありき)を表してみようと思いますので、是非皆さん応援のほどよろしくお願いします。

 ※日間23位を確認しました。ありがとうございますマジで
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