キングエンジン(魔改造)でキヴォトス闊歩 作:匿名ゴボウ
そう確信した私は、怒りのままにビルの側面に拳を叩き付けた。
ビルの下半分を粉々に吹き飛ばし、残った上半分が拳の風圧によって吹き飛び遠くで隊列している
あれらは恐らくアビドスへ向けた部隊ではなく、私に向けたものだ。それでなければ、あんな幾つもの大隊レベルの部隊が私を取り囲むように展開するはずがない。
そう、奴らはアビドスではなく、私を狙っている。それも捕獲目的ではなく、殺害目的で。
それをする理由。私が邪魔だから。力を有する厄介な私の存在が目の上のたんこぶであるが故に、確実に殺したいから。
では何故、そんな私に大規模な部隊を嗾けたか。相手は謂わばブラックマーケットの上層部のようなもの。私の力は私が戦えば戦うほど知り尽くせる立場の人間だ。そんな奴が、何故
…私を、私が相手に手出しできないカードを、相手が切っているから。
「先生…それは本当なんだな?」
『”うん。たった今、目の前にいるカイザー理事が勝手に吐いてくれた。
「…shit! そしてそいつはこう言ったな? それで私は動けないと」
『”…ホシノという人質が、君を動けなくさせた。すまない、これは私の落ち度だ。私のせいで…私の認識が甘かった“』
「いや、先生のせいではない。悪いのは…今私達の目の前にいる、ヴィランだ…!」
どうやら先程の八つ当たりが攻撃と見做されたらしく、遥か遠くからの攻撃が私に向けて放たれる。
着弾と同時に爆発する榴弾や、爆風で飛んでくる瓦礫や鉄筋が私にぶち当たる。
しかし、私は迂闊に動けない。相手もそれを知っていて、次々と遠距離からの攻撃を仕掛けてくる。
キングエンジンを発動。徐々に上がる身体能力を駆使して衝撃を受け流しつつ、ずっと希望を待つ。
___ドッ…ドッ…ドッ…
恐らく先生達は今、小鳥遊少女を助け出す為に動き出している筈。
それまで耐え抜けば…!
_______________
「…」
目が覚める。
身体は赤い糸のようなもので拘束されていて、何のカラクリか僅かに身動きも取れない。
私は…そうだ、成す術もなく負けてしまって捕まったのだ。
「…」
先生に励まして貰ったのに。
オールライトさんに助けて貰っていたのに。
全て私が台無しにしてしまった。
全て、私が弱いから…。
それもそうか。他人を助けられず、その上自分の身も守れない出来損ないなんて、弱いに決まっている。
弱いヤツが負けるのは、上から下に落ちるくらいに当然の結末だ。
いっそ、こんな生き恥を晒すのならば、あの時私を殺してくれれば___、
『“私がいる”』
『私が来た!』
___
弱気になるな私。
まだあの時のように、絶望を確信していないんだから。
きっとあの先生が、あのヒーローが、絶望をハッピーエンドに変えてくれるはずなのだから。
それに、私が愛した後輩達も戦っているんだ。私が、
願うな、引き寄せろ。
願望なんて不確かな幸運なんて捨てて、私自身が今の現状を変えるものを引き寄せるんだ。
「…あ…あ…!」
身動きが取れない。更に力を込める。
「は…あ…あぁ!」
身動きが取れない。更に力を込める。
「はあ…あああ!」
身動きが取れない。更に力を込める。
「はぁぁあああああああッッッ!!!」
___身動きが取れない。更に力を込める。
「はあ…っぐ! うううう!!!」
___身動きが取れない。更に___。
___ドガァァアアン!!!
「っう!?」
突然の轟音に込めていた力が思わず緩まる。
私の横を通り過ぎていく吹っ飛ばされた扉を尻目に、私は土埃の向こうから出てくる、その人物に目を丸くした。
「待たせたわ…小鳥遊ホシノ!」
ワインレッドの髪色を持つ、自称アウトローの変人…陸八魔アルが、仲間を連れてやってきた。
…あと数センチ程ズレていたら、自分にあの速度の扉がぶち当たった所だった。
_______________
『“___イト!”』
耐えろ。まだ耐えるんだ。きっと、きっと彼らがやってくれる筈なのだから。
『“___ルライト! オールライト!”』
それまで…っ? この声は、先生か?
私は爆撃の衝撃波や石から携帯端末を身体で守るようにして応答する。
「どうした!」
『“私達は今カイザーPMCの軍事基地にいる! 今アルから連絡があって、私達より一足早くホシノを助け出したらしい! だから___”』
___来たァ!
『“存分に暴れちゃって!”』
「オーケイッ!」
キングエンジン___120%!
ついでに今漸く向こうの弾薬が尽きつつあるらしく、砲撃の雨の弾幕が薄くなっている。
今までやられた分、たっぷり大好きな利子つけて返してやる。
「私が、来たァッッ!!!」
_______________
「部隊長、既に榴弾の八割を使い切りました。攻撃の続行は如何いたしますか?」
「続けろ。相手は化け物、理事が
「しかしそれでは費用が」
「費用ならば経費で降りる。いつもならそうは行かんが、今回は理事の直接の御命令。恐らく、PMCの財産を全て使うつもりであの化け物を殺るつもりなのだからな」
「了解しました。では持ち場に戻らせていただきます」
「あぁ」
しかし、理事には困ったものだ。あんな怒り狂った状態での命令では、何を考えているのかわかったものじゃ無い。
だがまぁ、せっかくこんな兵器や部下共を景気良く使えるんだ、もう少し迫力のある爆発を見ようと目の前の伝令班に伝えようとして___。
___ガォンッッッ!!!!!
猛獣の咆哮を思わせるような、風切り音。
どんな兵器でも出すことの出来ないその音を聞いて、私は思わず自分のモノアイを周囲の光景を見渡すパノラマカメラに切り替えた。
___私以外の兵器が、銃器が、部下が、戦車が、全てがスクラップと化して宙に浮いていた。
僅かに見える対象を挟んだ位置にいた部隊ですらも、同じ状況となっている。
即座にこの状況を少しでも詳しく記録を残す為に、我が身に入れ込まれたスーパースローカメラを起動させる。
そして、起動させた瞬間に映った、
私に向けて拳を振り上げるその姿は、怪物の名に劣らない圧力を___。
_________________
対オールライト級戦略部隊壊滅時、その同時刻。
アビドスへと攻め込む待機部隊が駐屯するアビドス自治区郊外。
現時点で待機
対民間人捕縛部隊___壊滅。
対デカグラマトン大隊半数___壊滅。
対建造物破壊工作部隊___壊滅。
その他戦略部隊及び戦略兵器運用部隊___壊滅。
アビドス全体に展開されていた全てのカイザー所属の戦略部隊が___僅か4.7秒で、全壊した。
その破壊の出発点は、4.7秒前にオールライトが立っていた場所。そして、その終了地点は、現時点で戦闘が起こっているアビドス砂漠・カイザーPMC軍事基地のど真ん中。
アビドスの全てを蹂躙する筈であったカイザー所属の戦略部隊は、ヒーローの怒りによって全てぶち壊されたのであった。
________________
ドゴォォォォオオンッッッ!!!
「“な、なに!?”」
突然軍事基地が爆発した!?
うわっ、爆風がもろにこっちに!
「先生! 私の後ろに行って!」
「“ホシノ! 助かる!“」
残りの生徒達も、無事シールドを構えたホシノの背後に回れたようだ。
それにしても、一体何が…。
『先生! 今、アビドス自治区に異常が発生し、稼働している監視カメラをハッキングして映像を確認したのですが…!』
「”まさか、もう攻め込まれて…!?“」
『い、いえ! そ、それが…アビドス郊外、及びオールライトさんに展開されていた部隊が…全て、壊滅しています…!』
「”なんだって!? じゃあオールライトは…まさか!“」
もうもうと立ち上った黒煙が、爆風とはまた違う暴風で振り払われた。
黒煙も炎も掻き消え、瓦礫の山から姿を現したその男…。
「HAHAHA! 私が、来たァ!!!」
「”オールライト!“」
「何故貴様がここに!? 我が部隊はどうした!」
「HAHA! あんな人数で私に勝てるとでも!? 5秒も掛からなかったぜ!」
「この化け物め! どれだけの予算を掛けたと思って…!」
しかし、あんなオールライトは初めて見る。
身体から蒸気を発して、異能の発動の証である心臓の鼓動はまるでマシンガンのような音を奏でている。
ぶっちゃけここに来た経緯とか諸々よりも、あんな音を出して心臓は大丈夫なのかが気になる。
「…く、クックク! しかし残念だったなァオールライト! お前は気付かなかったらしい。アビドス自治区の郊外に配備させてある、対アビドス自治区占領部隊の存在を!」
「なっ…!?」
ホシノが愕然とした表情をカイザー理事に向ける。
すぐさま飛び出そうとしていたが、私が肩を押さえて止めた。
何故、とこちらを見るホシノだが、真実を知る身として、私はホシノに向けて笑みとサムズアップを向けた。
向こうでは、無線で何処かに通信しようとしているカイザー理事。
しかし、どうにも通信が繋がらないようだ。
「応答しろ! な、何故…」
「HA HA HA HA HA !!!!!」
「なん…ま、まさか、貴様の仕業なのか!?」
「言っただろう? カイザー理事…
「ば、化け物め! もういい! 殺せ! 全カイザー所属の戦略部隊に告ぐ! 我々の敵を! アビドスの連中諸共砂の底に沈めて殺せ!」
っく! また戦闘か…こっちはそろそろ弾薬が尽きそうだというのに!
動き出した周囲の部隊に合わせて、生徒達が私の周りを囲む。
シッテムの箱のサポート機能を再び起動させ、私はすぐに戦況を___。
「…は?」
誰の声だったか、私は覚えていない。
それよりも驚くべき光景が周囲に広がっていたのだから。
まるで最初からそうであったかのように、最初からその状態が正常だったかのように、私達の周りを大きく囲んでいた部隊の全てが、スクラップと化して破片が周囲に浮かんでいる。
なるほど、この撃破スピードだったらここら辺以外の部隊が全滅していてもおかしく無いかも…
混乱するかと思った脳は意外と冷静に解析と予想を広げている。
しかし身体だけは意識と離れて呆然としていて、視界に映る生徒達も身動きが一切取れていない。私と同じく呆然としていて、構えていた銃を自然と下ろしていた。
スクラップが地面に落ちるころには、カイザー理事以外のオートマタは全て沈黙していた。
「な、な…」
「カイザー理事よ、当たり前な事を一つ言ってやろう」
いつの間にかカイザー理事の前に立っていたオールライトが、いつもの笑顔を見せて立っていた。
「例え貴様らがどんな策を、どんな罠を用いようとも___」
「正義は必ず勝つ」
はい。戦闘描写の殆どは呪術廻戦のナレーション風になりました、と。
不甲斐ないゴボウで申し訳ない…。
さて、早速原作との乖離点ですね。まぁめっちゃ変わってるんですが。
・便利屋によるホシおじ救助。
・先生達が戦う筈だった部隊の八割強がオールライトによって殲滅。
・戦闘の大幅な短縮により、風紀委員及びトリニティの介入無し(しかし現場には来ている為、先生との顔合わせは済んでいる)。
こんなところですかね。
正直に言うと、私は戦闘描写とかクソ苦手なのでナレーション風にして誤魔化すしか手が無いんですね。どうやったら他の作者さんのように違和感のないスピーディな戦闘描写を書けるのかわかりません。
んで、細かいところの説明もしましょう。
まず便利屋が救助に来た理由。これはシンプルにカイザーへの報復みたいなもんですね。なんか警備の手が薄い上に好き勝手ボッコボコにできるからアルちゃんが調子に乗ってホシノがいる地下実験施設にまで来ちゃった。それでホシおじがなんか雄叫びを上げてるもんだから普通に見つけちゃってかってー扉を爆破してあたかも救助目的で来たかのような雰囲気を出してました。アルちゃんかわいい。(因みに最後のシーンではアルちゃん達はちゃんといます。先生諸共脳みそ焼かれてます)
んでオールライトのキングエンジン120%ですな。100%で手加減して相手がギリギリ原型を留めてられる出力なので、それに20%の加算の上に全力全開のフルパワーで走りながら殴るもんだから、アニメとか漫画描写的には『銃の悪魔』が世界中を散歩してる時みたいになっちゃった。
そして戦闘時間の大幅な短縮により風紀委員とトリニティの演習(建前)が間に合わなかった世界線になったこの世界。結果的には間に合わなかったものの、来てくれたは来てくれたのでアビドスからのヒフミちゃんの好感度アップ。書くかは分からないけど、ファウストイベントは消させませんぜゲッヘッヘ。あとヒナちゃんの好感度も忘れずに上げます。かわいいからね仕方ないね…。
それと風紀委員とトリニティはオールライトの齎した被害を目の当たりにしています。つまり各学園(二大巨頭)に警戒される対象となりましたね。つまり強制戦闘イベントです(嘘)。
でもまぁ調べていくうちにオールライトの光属性加減に「警戒した方が…いやでも平和の象徴って言われてるくらいだし…?」みたいな感じで警戒するかしないか迷う感じになりますね。
次回、EXステージ突入でございます(予告)
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