疑似科学部の名声は日に日に高まっていた。
SNSでは「ミレニアムの疑似科学部が、最近のエネルギー革命の発端らしい」「名前だけ聞くとめっちゃ怪しみ」「いや、でも結局大発明してるんだから本物なんじゃね?」といった話題が大量に飛び交い、学内外の注目度はうなぎのぼりであった。
「うんうん、いいですねいいですね!SNSでは私たちの話題が席巻しています。ようやく世間の保守派たちが、疑似科学部という『真実』に気付いたようですね!」
ミライはこれまでの発明によるあぶく銭を使って部室に設置した、どこぞの自動車メーカーみたいな名前のソファに寝そべりながらSNSにてエゴサを行いつつ、そんなガンギマった陰謀論者のような独り言を虚空に吐き出した。
「しかし、私たち疑似科学部の業(カルマ)を全人類に広めるにはまだ足りません。次は何をしましょうかね…」
姿勢が良くなかったのか、ソファの上でグルグル回転しながらもミライはスマホを弄り続ける。何か面白いネタはないかとトレンドをチェックしていたところ、ひときわ目立つ炎上案件を見つけた。
「……マコモ湯?」
ミライは画面をスクロールしながら眉をひそめた。
マコモ湯とは、風呂に入れることで健康や美容によいとされる商品らしい。だが、最近SNS上で大炎上している理由は、その利用方法にであった。
マコモ湯を使った人々の中には、お湯を変えずに使い続けている者もおり、その結果、風呂の衛生状態が悪化。これがSNSに投稿され、「怪しげかつ不衛生な代物だ」として槍玉に挙げられ、嘲笑と批判の的になっていた。
「うーん、こういうのは結構よくありますよね…」
炎上する商品には共通点がある。効果が曖昧であること、科学的根拠が薄弱なこと、そして使い方を誤った一部のユーザーが問題を拡大させること。今回のマコモ湯もまさにその典型だった。
そんな話をPCをカタカタと打っていた後輩に振ると、意外にも彼女の反応は強いものだった。
「……これは、よくないです。」
「んえ?」
聞き覚えのある声から聞き覚えのない言葉が聞こえましたね、とミライは声がした方向に顔を向けると、いつもはミライの三歩後ろを歩くかのようなレベルで自己主張が控えめな後輩が、珍しくむっとした表情を浮かべていた。
「マコモ湯の炎上理由が、お湯を変えずに使っている人たちのせいだなんて……。お風呂は本来、清潔で快適な場所であるべきです。たとえどんな入浴剤を使っていようと、お湯は1日1回変えるのがベターなんです。それを怠っておいて、商品だけを責めるなんておかしいです!」
まあ確かにその通りですね、とミライは心の中で思いつつも、マコモ湯に反応した後輩の様子を確認するため、会話をつなげる意図も込めて質問を問いかける。
「確かにお湯を長期間変えないのは不衛生ですね。しかし後輩ちゃんはマコモ湯を知っているんですか?」
「いえ、このマコモ湯はよく知りません。ただ、自分はお風呂が大大大好きでよく入るのでこんな使い方は正しくないと思っただけですね… そうだ、お風呂と言えば実はこの前自分の所の寮母さんに感謝されたんです!疑似科学部の発明によってボイラー用の燃料供給がかなり安定したと!」
ふんすふんす、そんな擬音が聞こえるかのようなレベルで興奮して少し脱線した話を始めた後輩に対し、ミライはその話を聞きつつも、お風呂といったら温泉もいいですね…これまでの稼ぎを使って疑似科学部で湯治にでも行きましょうか、みたいなことを考え始めた矢先。
シュイ―ン!シュイ―ン!
SNSのDMに新しいメッセージが来たことを告げる、水素でも放出されたかのような気の抜けたSE音が部室に鳴り響いた。。
「おや、DMですね。しかもこの音は、認証アカウントからのDMが届いた音ですか。見てみましょう。」
そうしてDMを開くと、飛び込んできたのは「百鬼夜行連合学院 観光文化産業広報支援部公式アカウント」と銘打った堅苦しいアカウント名と、最近闘争型に進化したSNSのDMに相応しくない、慇懃な文章だった。
『疑似科学部
部長 ミライ様
拝啓
貴部ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
百鬼夜行連合学院の陰陽部副部長兼、観光文化産業広報支援部戦略リーダーの桑上カホと申します。突然のご連絡をご容赦くださいませ。
さて、お初となりますが、この度隆盛極まる貴部に対し、百鬼夜行連合学院として正式に依頼したい事項があり、ご連絡させていただきました。
詳細につきましては、貴部に直接伺い、説明させていただきたく存じます。
つきましては、一度ご説明の機会をいただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具』
ミライは目を丸くした。
「おっと、なんかすごい肩書の人から来ましたね…」
そんな軽口を叩きつつも、機に敏いミライは「百鬼夜行連合学院として正式に」という一文に目を付け、丁寧な文章には丁寧な返答が好印象ですかね、と考えながら承諾と日時提示の返信を超高速で打ち始めた。
◯
一週間後。
調度品が整えられた疑似科学部の一角に、白と橙を基調としつつもなぜか横乳がまろび出た和服を着こなした、桑上カホが訪れていた。
「疑似科学部の皆様、お忙しい中時間を取っていただきありがとうございます。改めてとなりますが、私は百鬼夜行連合学院の陰陽部副部長兼、観光文化産業広報支援部戦略リーダーの桑上カホと申します。この度は陰陽部部長の天地ニヤに代わり、百鬼夜行連合学院として正式に依頼をお願いさせていただきます。」
「こちら、お土産の百鬼夜行産和菓子です。ぜひお納めください。」
そんな常識人らしい丁寧な挨拶と菓子折り渡しから入ったカホに対し、ミライはわざわざ遠方より来訪いただきありがとうございます、と丁寧に返答しつつ、思考を巡らせる。
(陰陽部の副部長かつ部長である天地ニヤの名前を出して依頼するということは、事実上百鬼夜行の特命全権大使ということですね。更に兼部で観光文化産業後方支援部という部のリーダーということは、観光で有名な百鬼夜行における経済面でのトップということ。この依頼はビッグビジネスに繋がる気配しかしません!逃すわけにはいきませんねぇ…)
そんな邪な思いをミライが抱いているとは露知らず、カホは依頼について話し始めた。
「疑似科学部の皆様は、最近SNSで話題となっている『マコモ湯』をご存じでしょうか?」
カホからの問いに対し、ミライと後輩はそろって「知っています」と口裏合わせたかのようにハモった返答をした。
「やはり、ご存じでしたか。実はですね、今回貴部の活躍と実績を見込んで依頼させていただきたいのが、この『マコモ湯』に関することなのです――」
そうしてカホからまず語られたのは、マコモのマコモと百鬼夜行についてであった。
マコモ――正式には「真菰」は、百鬼夜行中心部の外堀をはじめ学園内のいたるところに群生している、極めてポピュラーな植物であること。
ただしマコモは単なる植物ではなく、陰陽部が関わる重要な祭祀や儀式、さらには百鬼夜行の大きな祭りでも使用するため、観光資源としても利用される存在で、百鬼夜行では極めて神聖なものとされていること。
しかし、今回の炎上によって「マコモ=不潔」という間違ったイメージがSNSを通じて拡散してしまったことで、マコモが群生する百鬼夜行そのものに対してもあまり良くない印象がSNS上で形成され始めていること。
これらを一気に話した上で、気持ちを再度引き締めるかのようにカホは続けた。
「ニヤ様は、この状況が続くことは、百鬼夜行への観光客減少や観光収入の減少につながる可能性が大きく、看過できない由々しき事態だと考えています。ついては、百鬼夜行に関する虚偽の悪評が流布することを打破するため、最近エネルギー革命を巻き起こしてキヴォトス全土で一躍有名になった疑似科学部のお力添えをいただきたい次第です。百鬼夜行としても出来ることは最大限協力しますので、何卒よろしくお願い申し上げます。」
そこまで聞いたミライは腕を組んで上を向き、考え込みながら呟いた。
「なるほど…」
「つまり、マコモを使った何かすごい発明をして、マコモと百鬼夜行のイメージを取り戻す必要がある、ということですね」
正直、これまでの依頼とは毛色が違いますねこれ。
しかし、疑似科学部が名を上げたことで、大きな学校からこうした相談が舞い込むようになったのは全くもって悪い話ではないとミライは考えた。
だが、ミライが思考をまとめて回答するよりも先に、後輩が強い意欲を示した。
「……ぜひ、やらせてください!」
「お、おお?」
珍しく前のめりな後輩を見て、ミライは目を瞬かせた。
「衛生に関わるデマ情報が拡散することで、本来良いものが被害を受けることは間違っています。例えば、マコモを使った水を綺麗にできるような商品がこの世に出回れば、多くの人の役に立ち、デマの解消につながるはずです!」
「この前ミライ部長の命を受けて確立した水素技術をマコモの原料抽出で活用すれば、水の浄化は十分可能だと思います!」
「……なるほど、一理どころか十理ありますね」
後輩の意気込みに感心しつつ、ミライは彼女の言葉の中に、商機の糸口を見出し始めていた。加えて、さっき後輩と話していた際に考えていた湯治のことが頭をもたげる。
「そうですね、そこに糸口があるかもしれません。カホさん、少し話は変わるのですが、百鬼夜行では温泉施設や温泉地が観光名物でしたよね?その温泉について、何か懸念事項等はありませんか?」
急にそんな話題が出たため、カホは少し面食らいながらも正直に回答することにした。
「温泉地、ですか?それはまさしく百鬼夜行の名物です!毎年他の学区から多くの観光客が訪れています。ただし、主要な温泉地は開発されきっているので、オーバーツーリズム気味になっているのが懸念事項ですね…」
そこまで聞いたミライは、後輩の「水を綺麗にできる」、カホの「温泉が名物、ただしオーバーツーリズム気味」という言葉を脳内で反芻させた。
「あ。」
そこで、脳内で光を放っていた点と点が線として繋がった。
「水を綺麗に……ですね。ということは、元々のマコモ湯が『ちゃんとした効果』を発揮できて清潔を生み出せるものなら、極めて大きな効果を期待できるのでは?」
「えっ?」
突然の発想に鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべるカホを尻目に、ミライは持論を展開し続ける。
「つまり、マコモを原料にした『水を浄化する商品』か『水を別の効果がある水』にする商品を開発すれば、マコモのイメージアップにもつながりますし、何よりビジネスとしても儲かるということです。これこそ一石二鳥!」
何時もの如くミライは自分の考えに酔いしれ、立ち上がると高らかに宣言した。
「いいですか、これまで世間に出回っていたマコモ湯は、十分な効果を発揮できていない未完成品に過ぎなかったのです!けれど、川辺に生えている神聖なマコモであれば、水を浄化し、かつ人体にも良い効果があるに違いありません! 私たち疑似科学部こそが、これまで誰も見つけられなかったマコモの真の力を解き明かしましょう!」
「そしてそれは、必ずや私たちと百鬼夜行に大きな利益を齎すことでしょう!!」
その宣言を最後まで聞いた後輩は、いつものごとく自分の想像を大きく超えてくるミライに感動し、目を輝かせた。
「ミライ部長は流石です…! 多くの人に、より清潔で快適な生活を届ける素晴らしい発想です!」
同じく宣言を最後まで聞いたカホは、ミライの演説に呑まれたのか、言葉を失いつつも百鬼夜行のメリットについて考え始めていた。
「…おっしゃる通り、ミライさんが述べた商品を販売できれば、マコモのイメージも改善し百鬼夜行は大きな利益を得ることができるでしょう」
「ふふっ、私も決心がつきました。疑似科学部の皆様、それではマコモに関する新製品の開発研究をお願いしてもよろしいでしょうか。開発に関わる費用は私たち百鬼夜行が全額持ちますので、商品が完成した暁にはぜひ私たちの流通ルートにて販売させてください!」
カホとミライ、そして後輩の3人は、誰が言うでもなく固く握手を交わした。
こうして、百鬼夜行からの資金提供を受けた疑似科学部は、マコモを使用した新たな発明に向けて動き出したのだった。
◯
四日後。
「完成しました!」とモモトークからメッセージを受けたミライは、正式にミレニアムの部室へとカホを招待し、2人揃って期待と好奇心を胸にその扉を開けた。部室の中央に置かれた机の上には、ミシンサイズの機械が1台と、何かが入った袋が3つちょこんと並べられており、その向こうで後輩ちゃんがやり遂げたような満足げな表情を浮かべていた。
それを見たミライは、後輩ちゃんにかかれば一週間切りは余裕でしたか、と慣れ切った感想を抱きつつ、完成品を確認することにした。
「後輩ちゃん、完成したと聞きましたよ、素早い対応ありがとうございました。早速ですが完成品はどうですか?」
ミライが問いかけると、後輩ちゃんはまるで待ち構えていたかのように顔を輝かせ、大きく頷いた。
「はい、ミライ部長の御想像通りの物質とそれを生成するための機械を完成させることができました!あと、今回の製造機械は卓上におけるレベルで小型化しました!」
そう言って、後輩ちゃんは机の上の袋に手をかけ、一つひとつ丁寧に説明を始める。
「まず、一つ目は『マコモパウダー』です!」
彼女が袋の一つを開くと、さらさらとした淡い黄緑色の粉末が顔を覗かせた。
「これは、どんな水でもこのパウダーを入れることで飲料水レベルまで浄化することができます。この機械の上から粉末にしたマコモを投入して、真ん中についてるダイヤルを右に回すとパウダーが完成します。パウダー1kgで1,000t相当の飲料水を生成可能です!」
これは凄いことなのでは、と説明を聞いたカホは目を丸くした一方、いつもながら凄いみたいですね、とそろそろ麻痺してきたミライは興味深そうに袋の中を覗き込んで質問する。
「要するに、水をどこでも飲めるようになるということですね。携帯もしやすそうですし、キャンプや災害時にも使えそうで商品としては良さそうです!」
「はい!試しに、そこにあるバケツの水で試してみてください!」
ミライが一つまみのパウダーをバケツの濁った水へと投入すると、一瞬で透明な水へと変わった。カホが恐る恐るコップにすくい、口をつける。
「……普通に美味しい水ですね。クセもないし、すごい!」
これはバカ売れ間違いなし、と心の中で皮算用を始めたミライをよそに、後輩の説明は続く。
「続いて、二つ目は『スーパーマコモパウダー』です!」
後輩が次の袋を開くと、先ほどよりも少し粒子が細かく、黄土色の粉末が現れる。
「これは、どんな水でも温泉水に変換できます。パウダー1kgで100tの温泉水が生成可能です。泉質はアルカリ性単純温泉ですが、肌の保湿や疲労回復効果が高いことが確認されています!」
それを聞いた瞬間、カホがガバっと席から身を乗り出した。
「お、温泉ですか!? えっ、まさかこれは本当に?」
「もちろんです! 実際にミレニアムの実験センターに持ち込んで効果を試しました。温泉に変わった水に浸かった人の98%が『肌がすべすべになった』と報告し、94%が『体が温まりやすくなった』と答えています!」
こちらについてはミライよりも、観光文化産業後方支援部という観光及び産業のプロフェッショナルであるカホの方が強く反応した。
「おや、これもいい商売になりそうですね」
「(人工温泉をどこにでも作れるのは、大きな利益になりそうじゃないですか!毎度ですが後輩ちゃんはやりますね!)」
「いえいえミライさん、商売になるなんてレベルではないです!これさえあれば、立地条件を無視してどこにでも人工温泉施設を建設できるということですよ!」
「(…これがあれば、チセちゃんも喜びそうですね…ただでさえ可愛いチセちゃんが、さらに可愛くなってしまう、最高です!!!!)」
カホとミライは、それぞれの打算と欲望が詰まった真剣な眼差しでスーパーマコモパウダーを手に取る。後輩はそんな光景に大満足の表情を浮かべつつも、テンションを上げながら最後の説明に突入した。
「最後に、三つ目は『ウルトラマコモパウダー』です!」
後輩が最後の袋を掲げ、ミライとカホに向き直る。その袋には銀色のきめ細かな粉末がはちきれんばかりに詰められていた。
「これは、どんな水でも不純物が『全くない』水に変換するパウダーです。いわゆる理論純水(電気抵抗率18.24MΩ・cm、完全絶縁体)を生成します。1kgで10tの理論純水が作れます!」
「理論純水?」
ミライはなんぞそれ、といった風な怪訝な表情を一瞬浮かべるも、まあ後輩ちゃんが作ったものなのだから凄いのでしょう、と袋を手に取って好ましげに眺め、勝手に納得しておいた。理解を放棄したとも言う。
「はい! しかも、このパウダーで作られた理論純水は未知の力によって完全にコーティングされており、容器に入れても一切の不純物が混入しません!」
「未知の力……?」
カホが疑問を投げかけると、後輩ちゃんは頷きながら少し考える素振りを見せた。
「現時点では未知の力について正確な原理は分かっていませんが、その特性を『神秘』という仮称で研究事項にまとめました。今後の研究で詳細な解明を進めます!」
神秘という突拍子もない言葉に、ミライとカホはしばし無言になったが、ミライの立ち直りは早かった。
「流石、後輩ちゃんですね!
神秘に関してはこれからどのような効果を生むかはわかりませんが、それを差し置いても、この商品は然るべき場所に持っていけば高値で売れそうです。想定以上の圧倒的な仕事ぶりですよ!」
ミライがにやりと笑い、カホは未知に触れて感心したように息を吐いた。
「これは…私の手には余る商品かもしれません。水の方もそうですし、特に温泉の方は百鬼夜行には河和シズコさんという辣腕経営者がいるので、相談してみます。いずれにせよ、素晴らしい発明による商品だと思いますので、ニヤ様に確認を取った上で購入や宣伝を進めさせていただきます!」
「是非ともお願いします。百鬼夜行で大々的に購入し使用してもらえば、それだけで大きな宣伝になるので。」
そんなことを話しながら、そう言えば今回の要望は発明だけでなく風評被害の払拭もありましたね、とふと思い出したミライは、これもビジネスになるのではとひらめいた。
「そうだ、もしこの商品を正式に百鬼夜行で購入し使用する場合、こちらで大々的にSNSやメディアを駆使して宣伝や、宣伝のためのコンサルもしましょうか?」
「最近発明が多くて、それを宣伝するためのノウハウも当部には蓄積されてきているのですよね。どうでしょう、有料とはなりますが、効率的な宣伝についてコンサルできますよ!この機会ですし格安にしておりますので。」
商売根性溢れるミライの言葉に対し、宣伝が生む効果の大きさを想像したカホは、それも検討事項に加えさせていただきます!と宣言すると、ミライと後輩に感謝を述べた。
「本当に素晴らしい商品をありがとうございます!時は金なり、と言いますし、早速百鬼夜行に戻って話を取りまとめてきますので、まずは『マコモパウダー』と『スーパーマコモパウダー』をいただくことは可能ですか?」
「勿論です、検証も必要でしょうから、5袋ずつお渡ししますよ」
「カホさん、自分からもお願いとなりますが、ぜひ導入をお願いします!清潔な水は百鬼夜行にて必ずお役に立つと思うので!」
ミライから袋を受け取ったカホは、後輩の強い依頼にうなずきつつも、それでは百鬼夜行に戻ります!と丁寧にお辞儀をし、速足で部室から出て行く。
そんなカホを見送りながら、後輩に改めて感謝の意を伝えた。
「後輩ちゃん、今回も本当にありがとうございます。せっかく作ってくれたものですから、大いにビジネスに活用しますよ!」
「いえいえ、自分はいつもミライ部長の理論をなぞっているだけです。過分な言葉をいただき、ありがとうございます!」
このやり取りも恒例化してきましたね、とミライは思いつつ、楽しそうにクスッと笑った。
(さてはて、残りのなんか凄いであろう『ウルトラマコモパウダー』はどうしましょうかね。ミレニアムの実習センターに持っていけば誰か教えてくれるでしょうか。まあ、それは後日考えましょうか。)
そんなことを考えつつも、その日はマコモパウダーで精製した飲料水で淹れた紅茶と、カホが手土産に持参した和菓子を食べながらミライと後輩で歓談していたら日が暮れたので、解散となった。