「傑。あのさ。美穂のこと、本当に好きなの?」
五条は夏油に問う。
「美穂はさ、私と少し似てるんだよね」
「どこが」
「日向で素直に笑えないところ」
「は?」
どこがだよ。なんでだよ。
この時、ようやく。五条は、夏油の抱える闇に気づいたのだった。
そうなると、動くのが早い五条である。早速美穂を探した。
美穂は何やら悩んでいるようだった。
「美穂」
「ヒャ!?」
「傑って何考えてんだよ」
「夏油先生と話したんですか?」
「まあね」
「夏油先生って私より危うい感じですよね」
「傑は、美穂には悩みとか話すの」
その言葉に、美穂は考えたようだった。
そして、ポツポツと喋る。
「少しだけですけど。それで意気投合して。私と恋愛観似てるんですよあの人。愛し合うまでには絶対行かないけど、背中合わせにちょっと寄りかかる場所は欲しい的な」
「何だよ、それ」
「とんびに掻っ攫われてるって事です」
「とんびって美穂? 言うね」
「美穂! 八岐大蛇系アイドル、相当やべーぞ! 夏油先生だけじゃなくて、ちっちゃい女の子とかにも手を出したり貢がせてるらしい!」
「は?」
「ちょ、何言ってるのよ!」
「やべーって! マジやべーって!! これはもう先生にまかせよ!? ちょうど五条先生もいるし! こういうのは大人だって」
「馬鹿、一方的に正論で追い詰めたって傷つくだけでしょ! 傷つくだけだもん! 私だってあの呪詛師やろーはやべーな、とは思ってるんだけど、仕方ないでしょ、夏油先生はあのクズの腕の中でしか安らげないんだから」
「は?」
「ぐっ」
殺気がして、美穂の首が唐突に締まる。
「どういう事? 美穂。夏油様、悪い奴に騙されてんの?」
「夏油様が、そんなに追い詰められてたなんて……」
ミミナナに美穂は追い詰められる。
「全部、話してもらおうか」
美穂はその圧に逆らえなかった。
僕は美穂を庇う気になれなかった。
こんなの普通に美穂が付き合う方が100倍マシじゃん。
夏油先生は、困った顔で正座をしていた。
夏油先生には美々子と菜々子がひっついており、私の出る幕がない。
というか私は捕まっている。できれば夏油先生を庇いたいんだけど。
真もハラハラしているし、硝子先生はすごい顔で夏油先生の検査してったし。
五条先生はそれはもう必死に自分を落ち着けようとしている。
「喋っちゃったんですか? 美穂」
「無理やり聞き出したんだ。傑。お前も大人だ。俺も小煩いことは言いたくない。だが、呪詛師との内通はダメだ。お前は特級術師なのだから」
「彼は非術師ですよ」
「そうなのか?」
「えっ でも明らかに幻惑術式っぽいの使ってましたよね」
「それは」
「それは?」
「催眠術師なんだ」
こいつぁやべーぜ!!!