生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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追魂体質

「めんどくさい要素が絡まっているからそこから説明するわ」

「一応聞くけど、どこ情報かしら?」

「さっき閻魔様に呼び出されてね」

 

 「コホン!」っと軽く場を整えている

 

「まず1つ、この子の特異体質。心当たりはあるかしら?」

「それならあるな。怨霊に狙われていた事と私は直接見てないが、空を飛んでいた事。あとはあれか?霊力が集まるヤツじゃねーか?」

 

 感覚がバグって忘れられがちだが、普通の人間は空を飛べない。常識だ

 

「2つ目が正解よ。他2つの原因は正直まだ分かって無いからなんとも言えないわ」

「空を飛べる体質と生きた怨霊とやらに関係があるとは思えないのだけど?」

 

 まぁどう見ても関係ない話だ

 

「この子の体質、『追魂体質』が原因よ。この体質はこの子が初らしいからさっき名付けたばかりよ」

 

 3人とも名前から内容を想像する。魂に追いかけられやすい体質や逆に幽体離脱しやすい体質だと考えるが、空を飛ぶ事と上手く噛み合わない

 

「どんなのかって言うと、その名の通り肉体が魂を追いかける体質。たまにある物理法則に左右されないタイプの体質よ」

「それでも、肉体がある事には変わらないでしょ。怨霊にはならないはずだけど?」

 

 前回のアリスと同じ内容で返す

 

「あるじゃない、最も怨霊になりやすい環境に行く方法が」

「……あ」

 

 その体質が死後にも働くとは、普通考えないのだから忘れてても仕方ないだろう

 

「亡くなったんだな。そして体がついてくる前に怨霊になっちまったと」

「納得したわ」

 

 ほとんどの場合で幽霊が怨霊になるのは地獄で罰されてる最中だ。苦痛から欲や執着心が殺意や生命への渇望に呼応して変化する事が多い

 

「……『生きた』って部分について聞いてもいいかしら。それに、閻魔大王が人間だと地獄から出した理由も」

 

 死んだ人間の魂に死体がくっついてきて、それを閻魔が『生きている』と判断した。普通に考えるとおかしな話である

 

「それの答えが2つ目ね。この子、首を吊って自殺したのだけども仮死状態で魂が地獄へ行ったのよ。それのせいで離れた肉体は物理法則をガン無視して移動、そして魂にたどり着いた時に仮死状態から復活したのよ」

 

 言葉にするとややこしい状況だ

 

「要は体が死ぬ前に魂だけ賽の河原へ行って、体が追いかけたから首にかかっていた縄が解けたって感じかしら?」

「そんな感じね」

 

 物理法則をスルーしている前提なので、光景を想像するのが少し難しくなっているとは思う

 

「まぁ、それで肉体は生きている扱いされたのよ。他にも理由はあるらしいけど、閻魔様が地獄から出した一番の理由はそこね。体は人間、魂は怨霊。そんなややこしい中、閻魔様が白黒はっきりさせた訳よ。だからこの子は『生きた怨霊』なのよ」

「へぇ、自分でした判決なのにあんたに頼ったのね」

 

 霊夢が少し話を飛ばして映姫を皮肉る

 幻想郷の賢者である紫をわざわざ呼び出して説明するという事は何か起こった時の保険である可能性が高い。今回のような事が起こる可能性を考慮した上での話だったのだろう

 

「それほどグレーな状態だったんでしょ、怨霊である事には変わりないのだから」

 

 今回の場合、正解は無い解いだと言える。生きてるか死んでるか、どちらを選んでも変わらないだろう

 それを判断するのが彼女の仕事なのだから同情はしないが、それはそうとして黄泉は人間だ。閻魔大王がそう判断したのだから

 

「なぁ、話を戻していいか?コイツが人間なら、紫の言ってた保護が必要になる訳だが……」

「忘れてたわ……」

 

 霊夢が頭を抱える。シンプルに博麗神社に人を置きたくないからである

 

「……?」

 

 その時、黄泉が目を覚ました

 

 ◇ ◆ ◇

 

 寒い…どこで寝てるんだろ……

 頭痛が酷い。何があったんだっけ…

 確か…なんか…眩しかったような気がする………

 他は…何も思い出せない……

 

「……?」

 

 ここはどこかの家の縁側かな?庭が見えるし

 周りには知らない人が4人、どういう状況?

 

「罰…」

 

 頭に浮かんできた言葉が自然に口から出ていた。何の罰なのだろう?私は何をしたの?分からないよ

 

「「「「……」」」」

 

 全員揃ってこっちを見ないで欲しいけど…何も言えない。なんて言えばいいか分からないし

 

「自分の名前は言えるかしら?」

 

 金髪で青とも紫とも言いきれない服を着た人が聞いてきた。さすがに名前くらい……

 思い出せない……

 

「ごめん、分からない」

 

 無言の空間が生まれる。困った

 

「くしゅんっ!」

 

 肌寒いと思って服を見ると破れまくっている。他には白い装束のあちこちに血が染み込んで赤くなっている

 怨霊を生成してそれに抱きつく。あったかい

 

「そういえば、たしかアンタも魔法使いになってから温度の感覚が変わったって言ってたわよね?」

「冬が寒くない程度よ。あそこまで劇的ではないわ」

 

 よく分からないけど、逆に言えば私は怨霊じゃなかった頃があるって事かな?

 

「何も思い出せないんだけど、私に何があったの?」

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