生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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霊 黄泉

「質問に質問を返して悪いけど、あなたは自分の事を人間か怨霊。どっちだと思っているのか、先に教えて欲しいわ」

「……?私は紛れも無い怨霊だよ?だって、人間の私が死んだから今存在している訳だし」

 

(最初に会った時のより霊夢と撃ち合ってた方に近いわね。怨霊との距離は)

 

 アリスは黄泉の反応から出来る限り情報を得ようとしているようだ

 だが、そもそも何故黄泉が別人のようになったのかも不明であるためこの段階で全ての答えが判明する事はないだろう

 

「実はあなたの認識と違って、あなたは人間として扱われるべき存在なのよ」

「……?私何か間違った事言ってたかな?魂が怨霊って事は一度死んだって事だし、『生前は人間でした、死後も幽霊か人間かで言えば人間です』ってのはちょっとおかしいと思うけど。まぁ、何にも覚えてないからアレだけど……」

 

 イマイチよく分からないなぁ

 

「……まぁそうなるでしょうね」

 

 少し間が空く

 

「あなたの認識は分かったわ。話を戻して質問の答えだけど、私達の把握してる範囲で答えるわ」

 

「ありがとう。凄く助かる」

 

 それから私が今の状態になるまでの話をしてもらった

 自殺し、何らかの原因で怨霊化。地獄に行くはずだったのに肉体が来たことによって地上へ送られ、その地上で暴れて敗北した事によって今の状態

 個人的には判決から地上に送られるまでに2時間くらい間がある事が気になる。死神ってワープするらしいし

 

 ◇ ◆ ◇

 

「そういえば自己紹介してなくないか?」

 

 しばらくした後、白黒帽の人が急に言った

 

「確かにみんなの名前知らないね。呼び方があんた・お前・あなただったから」

 

「じゃあ私からだな!私は霧雨 魔理沙、普通の魔法使いだぜ」

 

 白黒帽の人、見た目通り魔法使いなのか

 

「私は博麗 霊夢、博麗の巫女よ」

「お邪魔しまし…みにゃ!」

 

 博麗の巫女と聞いてすぐに逃げようとしたら見えない壁にぶつかった

 

「あんたの扱いは人間なんだから、祓う訳ないでしょ」

「そういえばそれもそっかぁ」

 

 胸に抱いた怨霊が少し震えている。大丈夫らしいよ

 

「アリス・マーガトロイド、魔理沙と同じく魔法使いよ。正確には少し違うのだけど」

「人形師だと思っていた。そういえば霊夢がチラッと言ってたね」

 

 人形が「しゃんはーい」「ほうらーい」って感じで鳴いている。かわいい

 

「八雲 紫。こんな見た目だけど妖怪よ」

「普通に人間だと思ってた」

 

 何の妖怪なんだろう

 

「……私は何て名乗ればいいんだろ」

 

 そういえば名前を知らないのを忘れてた。そもそも私が自分に対して分かる情報が種族と能力くらいだからなぁ……

 

「霊 黄泉と名乗りなさい。私と会った時のあなたはそう名乗っていたわ」

「……かなり不吉な名前だね」

「苗字はかなり縁起いいから、プラマイゼロじゃないかしら?」

「上が神様を表していても下が死を連想させるならマイナスだろ」

「足し算引き算じゃなくて掛け算になってる気がする」

 

 まぁ、とてもいい名前だと思うよ。元の私の親には一発殴ってやりたいけど

 

「どうせだし、ついでに『生きた怨霊』とも名乗って欲しいわ。折角ちょうどいいのを思い付いたのに使わないともったいないから」

「分かった」

 

「じゃあ今から私は生きた怨霊、霊 黄泉だね」

 

 ◇ ◆ ◇

 

「くしゅん!」

 

 それから1時間ほど経過した。霊夢がお昼ご飯を出してくれ、あとは私の記憶の範囲をテストしていた感じだ

 

「次は怨霊に対しての知識ね。まず、怨霊はどういう経緯で発生する幽霊か?」

「確か通常の幽霊が何かに執着した時に通常の幽霊から変化するって感じだったと思う」

 

 紫はどっかに行って、霊夢と魔理沙は里で人探しの仕事の最中だったらしく、人里に行っている。今目の前にいるのはアリスだけだ

 そのアリスは現在、針と糸を使って服を縫ってる

 

「合ってるわね。それじゃあ黄泉、あなたは何に対して執着しているの?それの理由とともに」

 

 急に私自身に対する質問が飛んでくるから困る。今回は心当たりがあるから良かったけど

 

「罪か罰のどっちかに執着してると思う。多分罰かなぁ、言葉に少し反応してしまうし……」

 

 あとは理由…普通に考えて罰を受けたい人間なんているの?生前の黄泉、変態なの?

 

「理由は全く予想も出来ないね。死因が自殺のマゾヒストとか救いようが無いし理解出来るようにはなりたくないけど」

 

 そこ繋げるとしたら…あ!

 

「もしかしたら自殺の理由は罰されたいからとか?なんかしっくりくるけど」

「それが正しかった場合、最悪な結果で終わってるわね。罰されず、なんなら地獄から追い出されてる訳だから」

 

 人形を動かしてアリスはメモを取っている

 

「ところで、さっきから怨霊をどうやって出してるのかしら?」

「どうって?」

 

 正座して痺れた脚の上に出す

 

「幽霊には核みたいな物があるんだけど、それを回収してそれの周りに霊力をくっつけるだけだね」

「その核は今どれくらいあるの?」

 

 体の中に貯めている核を10000区切りにして数える。23個ちょっとだから大体

 

「23万ちょっとだね。これが手持ちの全戦力」

「まぁそんなもんでしょうね。次、あなたに霊力が集まってくる現象について。原因に心当たりはあるかしら?」

 

 正直全く無いなぁ…

 

「体が怨霊とものすごく相性がいいから怨霊の出した霊力ごと引き寄せられるから…とか?全く分からない」

「分かったわ。時間をかけて調べればいい話だから大丈夫よ」

 

 アリスの表情が急に変わる

 

「どうしたの?」

「修復、終わったわ」

「本当!ありがとう!」

 

 霊夢と戦った時にボロボロで穴だらけになった装束。それを今、アリスが直してくれていた

 持ってる服がそれしか無かったからさっきまで怨霊を胸や膝に置いていたが、それでも寒くはあったのだ

 

「寒くない……」

 

 ちょっとした感動を味わう

 

「そういえば私ってどんな顔してるの?」

「確かに起きてから一度もここから出てなかったわね。水面は見えないし鏡もない……」

 

 博麗神社の縁側と繋がってる部屋。起きてから数時間、ここから動いてない

 アリスがどこからか手鏡を取り出している

 

「一生使う体よ、しっかり見ておきなさい」

「ありがとう」

 

 紫…だいたい桔梗色あたりのサラサラとした髪が額を隠しており、パッツンではなく適度な切り方がされている。後ろは触って分かる話だけど腰まで続いており、かなり長い髪だと言える

 同じ色をしているはずの瞳はアメジストのように輝いており目は少し大きめ、顔の形は適度な丸みを帯びていながらも一目で丸いと思えない範囲。だいたい年齢は15程度に見える

 そんな顔を見て、

 

「かわいい……」

 

 口から漏れ出ていた

 

「……」

 

 アリスが無言だが何か言いたそうな目でこっちを見ている

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