生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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旧地獄の管理人

 …昨日の記憶が無い…具体的には夜だけ……

 確かなんか霊夢がご飯出してくれたのは覚えてる。内容と味の記憶は全くないな

 

「……あ」

 

 思い出した!確か霊夢が「小異変解決を祝ってー!」みたいな事言ってたんだ

 ということは魔理沙のやってたジェスチャー、多分晩酌を現してた感じだったのかな?

 

「それであってると思いますよ」

「誰!?」

 

 左から声が聞こえ、寝転がってた体を起こして右を見る。誰もいない……

 

「普通、聞こえた方向を確認出来てる状態で間違えませんよ」

 

 あ、ほんとじゃん

 

「……おはよう?」

 

 み…じゃなくて左にいたのは何故かものすごく見覚えのある桃色の髪、瞳はそれから少し赤く濃くなったような色をしている小柄な女性。目下に薄く隈ができている

 服は水色とも青緑色とも言えないあたりで、袖や首元から白い…なんて言えばいいんだろ?白い部分が出てる感じ、二重に着てるのかな?

 胸は服の構造的に分かりにくい。少なくともゼロの私よりはかなり大きく、多分霊夢くらい?

 やっぱり一番気になるのはまぁコードみたいなのでくっついてる目だよね。ずっとこっち見てる

 

「この目はあまり気にしないでください。私の自慢ではありますが」

 

 あ、本当に目だったんだ

 多分妖怪だろうけど、何の妖怪だろ?三つ目だし入道とか?

 

「私は霊 黄泉、生きる怨霊だよ。そっちは?」

「古明地 さとり。旧地獄の主、あなたに合わせた立場で言うのならば怨霊の管理者です」

 

 管理者って事は…マズい!逃げないと

 

「博麗神社で博麗の庇護下にある者を襲う訳ないのに…想起『恐怖催眠術』」

 

 赤い光が通ったかと思うと、急に昨日自己紹介していた時の光景が浮かぶ。あの時も霊夢の肩書きから逃げようとしたんだっけ

 じゃないじゃない!スペル宣言!逃げないと、弾幕が来る!

 

「…やっぱり、昨日目覚める前の記憶は出てこないわね」

 

 すぐに外に逃げようとしたが、既に茨で塞がれていた

 

「仕方ない……」

 

 逃げれないなら立ち向かうか、隙を作るべきだろう

 勝てる見込みは一切無いが、自身の体内にある核を数十個出して霊力を流す

 

「…私にあなたを害する意思はありません」

「へ?」

 

 怨霊が展開した瞬間、さとりがそう言った

 

「じゃあ、わざわざ怨霊の私に会いに来た理由とスペル宣言をした理由は何?」

 

 会話になりそうなので外に抜ける障子ではなく、さとりの顔を見る

 よく見ると顔色が少し悪いように見えるけど、どうしたんだろう

 

「忠告・事情の確認で、宣言した理由は催眠術を起動するためです」

「へぇ、相手に何も言わずに催眠術をかけることは害する事に含まれないんだ」

 

 赤い光かな?多分思い出させるタイプのヤツ

 

「気分が悪くなりましたか?」「全く」「でしょうね」

 

 そういう事じゃないんだけどなぁ

 

「まずは忠告です」

「どうせ脅しでしょ?聞かない方が得なの分かってるから耳塞ぐよ?」

「ここで弾幕ごっこしますか?」「そういえば拒否権無いんだった」

 

 忠告から入るあたり、まじで聞かせたい内容なんだろうね。すっごく聞きたくない

 ……というか、さとり。なんか焦ってない?事情の確認が後にある状態で脅しに入るって事は馬鹿かミスかのどっちかだし

 

「…全てあなたのせいよ……」

「何が?」

 

 「コホン」っと誤魔化すためであろう咳をしている

 

「地底と幻想郷の不可侵条約はご存知ですか?」

「聞いた事あるよ」

 

 昨日アリスが紫にサラッと言ってた事だけど、多分それだと思う

 

「それならば話が早いのですが、地底はその条約の一部に『怨霊の管理・幽閉』が含まれています。それがつけられた理由は分かりますか?」

「地上に怨霊への対抗手段を持った存在が少ないから」

「その通りです…」

 

 さとりの顔色がさらに悪くなってきている

 

「つまり、怨霊は不可侵条約を継続させるのに必要な抑止力となっている訳です」

「なんか違いそうだけど…まぁいいか、それで?」

 

 普通に無駄な争いをしたくないだけだと思うけどなぁ

 

「そんな中現れたのがあなたです。あなたはこの状況を簡単に壊せる力を持っている」

 

 まぁ、私が地底の怨霊への対策をしてしまえば幻想郷が攻め入らない理由が1つ潰れるのは事実だろうね

 

「だからこその忠告です。今後、地底の怨霊を操るような事があれば私はあなたに危害を加えるでしょう」

 

 不可侵条約とやらは?

 

「あれは妖怪同士の物なので人間とも幽霊とも言えるあなたは……」

 

 『バタンッ』と音がした。目の前でさとりが倒れている

 

「さとり?大丈夫?さとり?」

 

 脅しの最中に倒れる人とかいるんだ…ダサいし心配になる……

 

「ひとまず……」

 

 昨日の夜、誰かがかけてくれてたであろう毛布をさとりにかける。霊夢か紫呼ばないと……

 

「ちょっと見張っててね」

 

 4体の怨霊を出してそのまま外に出る。まぁ、見張りなんか用意しなくても問題ないだろうけど

 外に出てみたけど、とりあえず時間は9時くらい?太陽見た感じ

 

「あ、そうだ。行ってらっしゃい」

 

 怨霊を20体出し、視界を共有する

 庭に5体、中に15体。私は本堂の方へ向かう。博麗神社の構造は知らないけど、どうせ本堂なんて奥にあるだろうし

 

 ◇ ◆ ◇

 

「あら?今日は霊夢いないのかしら?」

 

 右腕に包帯を巻き、頭には小さなお団子型にした白い布を2つ。少し濃い桃色の髪と目を持ち、左腕には千切れた鎖が着けられている

 中華服のようにも見える服の胸元にピンクの薔薇のような花飾りも特徴的だ

 彼女は茨木華扇。博麗神社によくやってくる仙人だ

 

「嫌な臭いがするわ……」

 

 『念の為』と呟きながら神社の庭に入っていく。玄関から入る者などいないため、パッと見非常識でもここでは常識だ

 

「なんで怨霊が…霊夢、また変な物持ち込んだのね……」

 

 黄泉の出した怨霊に向かって歩き、握りつぶした

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