「気持ち悪くなってきた……」
20体同時に視覚を共有してて気が付いた。酔う
仕方ない、人を見つけたら反応するようにしよう
「!!」
1体、減った。視覚を共有して庭に出していた怨霊の視界が真っ暗になった
核の回収と破壊された原因を特定しないと
「……あれ?核が無い?」
怨霊が破壊された時、核を残し少量ながら霊力をばら撒く。それが普通だ
その核は自然の霊力と絡まり、時間をかけて復活する。それが怨霊が死なない理由であり、対抗策が少ない理由でもある
核が無いという事は相手はその数少ない対抗策を持った存在。つまりは霊夢のような巫女などの専門職である可能性が高く、私を一目で怨霊に関わっていると判断するだろう。霊夢も最初は『怨霊に取り憑かれた人間』として判断したらしいし
「まずは容姿と正確な場所の確認、そしたら閉鎖空間になってる博麗神社から脱出…あと…さとりの助けを呼ぶのはどうしよ……」
今さっきまでいた部屋にさとりが寝ている。旧地獄の主らしいし、その相手と接触した場合どうなるか分からない
ならば庭の4体とさとりに付けてた内の2体を捨て駒に使ってさとりから遠ざける。とりあえず弾はレーザーと中弾でいいかな?
◇ ◆ ◇
「…死神から怒られるのは別に……!」
友人の言ってた事を考えたのか一瞬後悔が過ぎってるようだが、急に視界にはいった黄泉の飛ばした中弾に反応して横に避けた
「人を殺す欲望を持った怨霊かしら?それなら早めに処分した方がいいわね」
怨霊の放った大量の中弾を右腕で弾き、握り潰す
「…おかしいわ」
華扇の後頭部を狙い、レーザーを発射する。それを華扇は首を傾けて回避する
発射した怨霊に向かって真っ直ぐ走ったが、進行ルートにレーザーの予備動作が見えて跳躍する。黄泉はその跳躍した先に中弾を上手く配置していたが、理不尽にも叩き落されてその先にいた怨霊も潰された
「弾幕を扱える怨霊が連携してる。ってことは近くにあるのは変な物じゃなくて危険な者のようね」
◇ ◆ ◇
マズい失敗した!多分私の存在バレた!
怨霊の視点で右腕の包帯が広がったかと思えば全滅。正直何が起こったか分からないけど、とりあえず核も含めて全滅
確実に勝てない事確定したから早めに博麗神社を脱出する。本堂に向かってたせいで無駄に長い廊下を走らないとダメだったけどもう大丈夫、相手が今いる位置が庭。普通に考えると私を探すなら一度来た参道側を通ることは無い
つまり私は神社の正面から出れば安全ということ。これが情報差によるアドバンテージだ!
「さとりのは相手が部屋に入った瞬間に怨霊を逃げさせればさとりが関与しているという疑いは減るかな?」
とりあえず博麗神社から脱出は出来そうだし、考えるのはその先。人里に向かうのが一番かな?
飛んだら見つかる可能性増えるから走るしかないし急がないと……
「確か人里から真っ直ぐ道が続いているんだっけ?」
前の黄泉の記憶から人里の道を探す。ちょうど今建物から出れた所
霊夢や紫はいないっぽいし、さとりに付けてる怨霊以外を監視に使うか
「どこに行くつもり?」
真横から聞こえた声と腕を掴まれた感覚で余裕があった思考はフリーズした
「全て説明しなさい、ひとまず生かすから」
相手を見るとさっき怨霊を潰してた人だ
「どうして、バレたの?」
先ほどの予想が通ってるとすれば、今は庭か建物の中にいることだろう。普通中途半端に引き返さない
「上を見れば分かるわ」
空を見上げると巨大な猛禽類が一羽
「鷹だ……」「鷲よ」
私と同じく、他の存在を操れる能力があったのか
「再度聞くわ。全て吐きなさい」
どの程度嘘をつくか、とりあえず怨霊を名乗ると潰されるだろう。あれ?別に私は人間として扱われるらしいしそっち名乗っても問題ないか、便利。都合いいね
「一応、質問内容だけ聞いていい?」
余計な事口走ったらアレだしね
「あなたがどこの誰であるか、霊夢の所在、あなたと怨霊の関係。もし霊夢が怨霊に取り憑かれているのなら今すぐ解きなさい、あなたを体ごと壊して潰すわ」
「物騒だね」
その発言の直後、視界が一回転しておしりに衝撃を受けた。腕は掴まれたままだし、多分投げられたのかな?
「私は霊 黄泉、一応人間だよ。以前は多分人里に住んでたんだろうけど、正直何も分からない。霊夢は本当にどこに行ったか知らないから寧ろ困って…あ!」
そうださとりの事忘れかけてた!
って言ってもどうやってこの状況から助けを乞うか
「最後まで言いなさい」
「あ、ごめん。とりあえず霊夢がどこに行ったかは知らない、怨霊は私の能力で操れるね。手駒程度の感覚」
一応、これで質問内容は終わったけど
「次、とりあえずこの子から出ていきなさい」
あー、詰んだ
必要最低限の情報だけ吐かせてから始末しようとするじゃん
説明しようにも『自分の体に入った怨霊です!』とか信じられる訳ないしなぁ。折角のかわいい容姿が壊されるのも嫌だし…逃げようもないし……
「……」
多分、この場で重要になることは相手にどれだけ私を理解させるかだ。今は人間に取り憑いた能力を持った怨霊。普通は信じれない現実をなんとかして納得させないと……
「体質が原因で体から離れられないんだけど」
一周まわって何も説明してないし理解させようともしてないじゃん!アホ?私
頼むから霊夢か紫来てよー!死にそうだよー!
「……一応、詳しく聞いておこうかしら」
…?かなり慎重な人なんだね?ラッキー
「『追魂体質』っていう非現実特異体質なんだよ、私は。磁石にくっつく鉄のように肉体に魂がくっつくのが普通だけど、私の場合は鉄を逆の極性と見てそっちからもくっつく体なんだよ」
例えが上手く出来ない…
「……まぁいいわ、何言ってるか分からないし。一旦誰か来るまで拘束しておくわ」
「助かる!事情知ってるの数人しかいないし」
とりあえず殺されないで済んで良かった……