適当な縄で縛られて2時間ほど経過していた。博麗神社から取ってきた物らしく、多分封印用のしめ縄。能力が使えないし動けないし微妙に不快感を感じ続ける
見張ってた華扇も暇だったのか、雑談に付き合ってくれている。捕まった時の怖さはどこかへ行ったように感じた
「そういえば、どうやって怨霊を壊したの?仙人ならやっぱり仙術?」
「まぁそんなところね。友人に注意された事があったしあんまり使うべきではないわ」
「何か悪い事なの?」
「その友人曰く『怨霊は罪の重さに気付くまで地獄にいる必要がある。輪廻の輪から外す事は本人の悟りによる物だけではならないのさ』とのこと」
「なら前の私はその罪の重さに気付くチャンスを奪っちゃったんだね。華扇よりよっぽど怒られる事してるじゃん」
怨霊は普通の幽霊と違って輪廻から外れる。それがどれほどの罰になるのか、計り知れない事なのかもしれない。ちょっと興奮していた、罰っていいね
「おかげさまで私の仕事が終わらなくなりましたよ」
あー、さとりの事忘れてた。
「大丈夫?急に倒れたけど…あ、あと助けてー」
「なにしてるの…」
なんか、さとりの目が横向いている
「……なんで地底の主がここにいるのかしら?」
「昨日の大脱走で徹夜してると、八雲 紫の式がやってきて騒動の犯人とその今後の話をしてきました。なので何か問題が起こる前に忠告に来たのですが…酔って倒れました」
「酔った…酒?どゆこと?」
私が起きる前に酒飲んでたの?
「この目の力ですね、心を読む力があります。それであなたを覗いていたのですが…あなたから無数の小さな声が聞こえ続け、酔いました。倒れたのは徹夜でしんどい状態でしたのでそれが原因かと」
「心読めるっていいなー。ちょっと一瞬でいいから私の読んでみてよ」
「…まぁいいでしょう」
目がこっちに向いた
私かわいい!私かわいい!私かわいい!
「……」
「凄い、本当に読めてるんだ!」
目がすぐにそっぽ向いた。至高なる存在の輝きは眩しすぎたのだろう
「……少し話を戻すわ。紫が教えたって事は事実かしら?」
「ええ、ただでさえ面倒くさい書類仕事が24万人分程度増えたのでそれを処理していると彼女の式が湧いて来ました。内容は霊 黄泉に関する現在式神自身が所有している情報のみ。ストレスをぶつけるついでに警告に向かいました」
「…あれ?何かされたっけ?」
脅迫は正直しゃーないとして……
「…そうですか、寝起きで催眠術とスペル宣言で脅かしたつもりできたが『何もされてない』ですか。次の機会が楽しみです」
「!!」
いやだって…あの後それっぽい言い訳してたし……
というかアレでストレスをぶつけたのか…寛容すぎない?仕事した事無いから何も分かんないけど
「紫の目的は…まぁ、多分今の状況でしょうね」
「ですね」
「どういうこと?」
あ、私とさとりが話せてる状況か
「私が直接あなたの人柄を知っていると、少なくともあなたが幻想郷が地底に攻め入る理由にならないと思わせる事が出来ますから」
私が地底に凸って怨霊暴れさせるだけで大パニックだしね
「でも、それなら紫が直接会って心を読ませた方が信頼できない?私に怨霊の管理の仕事寄越したのは紫だし、命令を出すのは紫だよ?」
なんらかの罰の形にされると断れる自信が無いし
「まぁ考えられる理由はいくつかあるわね。単純に心を読まれるのが嫌だったり、紫の心を読むことであなたに直接会わないという選択をさせない。あとはあなたを囮に何かをするか……」
「警戒は必要になりそうですね」
そういえば……
「紫ってそんなに凄いの?何も知らないんだけど」
「「……」」
あれ?もしかして常識レベルの内容を聞いちゃった?
「スキマ妖怪、幻想郷の賢者よ」「はぁ!?」
前の黄泉ですら知ってる存在だと!?なんで隠してた?じゃなくて……
「混乱してますね、滑稽だわ」
その目を向けないでぇ!
なんか昨日の親切に裏がありそうで怖くなってきた…
「あれ?つまりさっき、紫の名前出してたら華扇に今も縛られる事なんて無かったのでは?」
「そうね」
そういえばそろそろ解放してくれないかなぁ
「まぁ前の私が死んで今の私がいるのも紫のおかげだし、それくらいいいか……」
紫がどこまで考えて私を助けたのか知らないけど、文句は言えないね
……いや、やっぱり文句は言うか
「……私は仕事に戻ります。忠告の事、忘れないでください」「ごめん忘れた」「……」
普通に呆れられてるな
「地上は私の管轄外なので構いませんが、地底の怨霊に関わらないで下さい。あなたは妖怪ではないため、不可侵条約で守られた存在では無い事を忘れないでください」
「まぁ、多分問題ないよ」
気を付ければ何とでもなる範囲の事だね
……あっそうだ
「そういえばさっき酔った理由が私の中の怨霊の声が原因って言ってたけど、どんな感じの内容だったの?」
核だけの状態の意識というものはとても気になる
「……地獄でも想像出来ないようなほどの苦痛を味わってましたよ」
「へぇ、いいね」
そうしてさとりは帰って行った。前の私のせいで増えた仕事を溶かすんだろうけど、どんくらいあるんだろ