生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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無縁塚

 紫のスキマから出ると、彼岸花の咲き乱れる地に着いた

 彼岸花って事は普通に賽の河原なのかな?

 

「ここは?」

「再思の道。自殺しようとする外の世界の人間がやってくる場所よ」

 

 周りに死体は転がってないけど……

 妖精や幽霊、亡霊がいっぱいいる。幽霊には怨霊も混ざってるし、回収した方がいいのかな?外の世界の人間だけど

 

「……彼岸花、綺麗だね。この不吉でありながらの美しさが」

 

 毒があるらしいから触れないようにしないと

 

「目的地はこの先よ。あと、怨霊は回収しておいて欲しいわ」

「はーい」

 

 ここに連れて来られた事、何か理由がありそう

 

「あれ?スキマを使えば直で到着するんじゃないの?」

 

 ワープ出来るならするに越したことはない。まぁ、過程に意味があるタイプならまた別だけど

 

「目的地の説明が必要なようね。名前は無縁塚、弔う者のいない人。つまりは外の世界の人間の行く墓場よ」

「スキマ使わない事と何の関係が?」

 

 無縁塚、前の私の知識に名前だけある。概要が無い!

 

「まぁ聞いてなさい。博麗の大結界は現実と非現実を分ける結界、現実の存在である外の世界の人間の魂がそこに集まったせいで空間の比率が現実に傾き、博麗の大結界は不安定な状態になってるのよ」

「だから『境界を操る程度の能力』で干渉しちゃマズイのか……」

 

 不安定な所にぶっ飛んだ力を持ってきたら壊れちゃうよね

 

「……なんでそんな明らかに危険な所に連れてくるの?」

 

 最悪の場合、外の世界に飛ばされる可能性もあると予想出来る場所だ。確実に理由があるはず

 

「怨霊の回収のためよ。結界っていうのは1箇所が壊れると一気に全体が壊れやすくなる。無縁塚付近の結界の不安定さの原因である外の世界の人間の魂、その一部の怨霊がいなくなるとある程度マシにはなるので、お願いするわ」

「なるほどね」

 

 どのみち不安定な事には変わらないんだろうけどね……

 

 しばらく進むと彼岸花が無くなり、代わりに両手で持てる程度のサイズの石がたくさん転がった場所についた

 

「ここが無縁塚?」

 

 明らかにさっきと雰囲気の違う空間。まぁ間違ってないだろう

 早く怨霊の回収だけしておこう

 

「そうよ、ここは外の世界に飛ばされやすい以外に幽霊の溜まり場なせいで冥界とも繋がりやすくなってるの。早めに回収を終わらせてちょうだい、次の説明をするから」

「分かった」

 

 『こっちに来て』と怨霊達を呼び寄せる。一定の範囲に入ると回収出来るから、集まるのを待つだけだ

 それにしても数が多いな……再思の道と合わせると2、3万くらいの怨霊がいる

 

「次ってなに?」「もう少ししてからよ」「はーい」

 

 わざわざ焦らす理由は何だろ

 怨霊の核と一緒に霊力が流れ込んでくる。ムズムズ、ゾクゾクとした擬音語では表せないような感覚。あまり気持ちのいいものではない

 

 10分程度が経過した。だいたい回収が終わった

 

「今、あなたの中には核と霊力が大量に入っている。そうでしょう?」

 

 急に何言ってんだ

 

「そうだけど?」

「私の知ってる事を教えましょう。魂が怨霊に変異した事により、追魂体質によってあなたの脳は機能を停止し、その機能は魂に移った」

 

 さっき言ってた事だね。いや待って、すでに何か情報を掴んでいるの?

 

「追魂体質の性質の1つは適応。あなたに起こってる事象のほとんどが追魂体質による物だと思われるわ」

「空を飛べるのも体質が原因だしね」

 

「例えば髪の色。生前のあなたは桃髪、今は紫。DNAに刻まれた情報に対して体質の特異性のが優先された結果、生前は桃髪だった」

「なるほどね」

 

 今が紫なのは魂が怨霊に変質したからだろうし、まぁ納得ではある

 

「そして、体の機能もそう。一番に挙がるのは核の貯蔵機能、これは能力に適応した物でしょうね」

「一昨日、どれだけ調べたの?私の知らない事が普通に流れてるんだけど」

 

 てか、そもそもなんで急に説明し始めたの?

 

「ほぼ全て知ってるわ」

「……へぇ」

 

 まぁそうなるか

 

「続きよ、脳が機能していたあなたの体は能力に適応ようとしていた。しかしその最中に能力を初使用、それにより中途半端な状態で機能が適応されてしまい、核だけでなく霊力も吸収してしまった」

「いい事じゃん、霊力無いと何も出来ないし」

 

 怨霊を展開するにも弾幕を張るにも霊力が必要。あるだけ得とも言える

 

「あなたは水を100Lも一気飲みして無事でいられるの?」「なるほど、過剰だったって事ね」

 

 そういえば25万体分の霊力だったね

 

「その過剰な霊力に対しても追魂体質は反応した。ここの理由は不明、まぁ魂に霊力がまとわりついたからだと思うわ」「全て知ってるんじゃなかったの?」「ほぼよ」

 

 さっきの発言が小さく聞こえる……

 

「その結果、体内から霊力を排出する機能が強化された。今もあなたから出続けているわよ?かなりの量」

「体臭みたいな感じ?嫌だなぁ」

 

 いや待って、そんな爆弾を不安定なとこ(無縁塚)に連れてくるのはおかしくない?

 逆に安定するのか?

 

「霊夢の不調の原因は考えた事ある?」

「というかそもそも不調な事すら知らなかったんだけど」

 

 さっきのショックくらい?

 まぁ、それはいいとして話の流れから考えると

 

「その感じだと、私の出す霊力のせいなんだろうね。怨霊由来の霊力」

「ご名答」

 

 紫の目付きが少し変わった。警戒はしてるけど何を考えているか、予想が出来ないから困る

 

「続いて問題です。数日前霊夢に敗北した怨霊がいて、その怨霊が毒をばら蒔いている。客観的に見てそれは故意的な物かどうか、どう見られるでしょうか?」

「……もしかしてここに連れてきたのって」

 

 ここは幻想郷ではトップクラスに危険な場所。紫は自身の能力で身を守る事が出来るのだろうからここにしたんだと思う

 大量の怨霊を操り、博麗の巫女を知らないうちに殺しかけていた私は紫にとって危険な存在であり、処分すべき存在なのだろう

 

「怨霊が幻想郷にいていいはずが無いのは当然でしょう?」

「閻魔様は前の私を人間って言ったんでしょ?」

 

 空中に大量のスキマが生まれる。完全に戦闘態勢だ

 

「ところで、紫は私に記憶が残ってると思ってるの?さっきの問題を聞いた感じ」

「まぁそうね、演技でなんとでもなる話でしょう?」

「もし本当にそうなら名優になれるね」

 

 紫は能力で簡単にワープするし、逃げ切るのは不可能。そもそも無縁塚から離れようとするとかなりの妨害されるだろう

 ならば正面から…無理だね。罰で取り憑かせるのも禁止、ならどうするか

 

「スペルの数はどうするの?私は2枚(・・)だけど」

 

 紫が驚いた顔をしている。そりゃそうだよね、私は1枚しかスペルを作ってないんだから

 戦ってる間に考えないとだけど、ハッタリにはなるでしょ

 

「……それなら私は1枚で行かせてもらうわ」

「紫が有利な場所選んでる時点で全然ハンデになってないよ?」

 

 スペルには時間制限がある。弾幕ごっこの敗北条件の一つはスペルが無くなることだから、今回は通常弾幕だけで来るって事か

 それなら使わざるを得ない状況にするしかないけど……

 

「負けたら追い出されちゃうんだよね?」

「そうね、あなたという脅威を幻想郷から無くしたいもの」

 

 あれ?よくよく考えればなんで罰で仕事まで指定してあんなに利用する気満々だったのに追い出すんだ?

 取り憑かせるのを禁止にして、周りに放つ霊力はどうせ時間が解決する話だろうに

 聞いても教えてくれなさそうだけど

 

「んじゃあ、始めるね」

 

 そう言いながら自分の周りに怨霊を4体。周囲に200程度配置し、一斉に多種多様な弾幕をばら撒く

 勝利条件はスペルを使わせ、そこから耐久する事。だからスペルを使わせるためのスペルを考える、有言実行しないとね

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