「結局スマートフォンって何なんだろ……」
時間は1時半。お昼を食べようと思って、ご飯を食べれるお店を探した。とりあえず周りの人を見て行動するのが確実だと思って、特に人が並んでる店を探して最後尾へ
店の名前は確か…サイ……忘れた
席に案内されて、お店の人が一言。「注文はそちらのQRコードをスマートフォンで読み取って、そちらからお願いします」だってさ
……知らない単語が2つも出てきた
その店は諦めて適当に歩いてるのが今
多分どこ行っても多分同じパターンだろうし、諦めて食料品を直接売ってる店を探すのが正解だろう
……それで合ってるよね?
◇ ◆ ◇
私は今、猛烈に悩んでいる
まぁお昼ご飯の話なんだけどよく黒い何かと分からない袋に包まれたおにぎりにするか、これまたよく分からない箱に入れられた…ご飯とかおかずとかがまとめて入ったすごいの。外の世界のお弁当らしい
幻想郷のお弁当といえば基本的におにぎりで、多分栄養と携帯性がいいからだと思う。外の世界のお弁当と似たようなのも無くはないが、基本的には花見や宴会。あとはおせち料理などで1品ずつ詰めて使われる
ご飯やおかずが同居してるこのお弁当はそんな理由でとにかく凄いのだ
「紫が安くなるって言ってたし、おにぎりでいいか」
食料品は夕方安くなる。おにぎりとお弁当で比べると、おにぎりのが長持ちしそうだしお弁当の方が安くなりそう
「あとは…具材……」
これまた気になる物が多い。シーチキンマヨネーズ?とかいう未知の塊のような物が特に気になる
確かシーが海、チキンが鳥だから普通に繋げて海鳥なんだろうね。あとはマヨネーズ…どういう物なのか予想もつかない。生き物の名前だったりするのかな?
まぁいっか、これも経験だし買ってみよう。150程度だから予算に余裕はあるし
あと、円なんだね。銭じゃなくて…なんと1000倍の差だよびっくりだね
その後、店の人に買い方を聞いて買ってから外に出て食べたが、味が濃くてあまり美味しくは感じなかった。包んでいたヤツはパリパリしてて美味しかったけど……
そんな事はどうでもいいとして、気付いてしまった事がある。もともと3日間ここの付近に居ようと思ってたんだけど、外の世界に来た理由である霊力の排出
私から排出された霊力を薄っすら感じる事ができる程度には出てしまっているのだ
耐性ありそうな霊夢に干渉してしまう怨霊由来の霊力が、こんな人が多い所に溜まってはいけない
だから移動しなきゃいけないらしい、やること無かったからいいけど
「とりあえず移動は夕方からかなぁ」
食料品が安くなるらしいし、軽く買い込んでおくのがいいだろう
……そういえば霊夢や魔理沙に外の世界に出るの伝えるの忘れてたな。お土産も考えておくかぁ
◇ ◆ ◇
「まぁ、とりあえず御仏の家を調べる所からだな」
周りの家に比べて一回り大きな家。昨日も一応裏ではあるが来ていた場所である御仏の家に魔理沙はやってきた
先日は霊夢が中に入ったが、その時の収穫はほぼ無い。何らかの儀式の準備と、それが地獄に関わるという程度だ
黄泉と同一人物であろう御仏の娘が自殺し、御仏本人が行方不明であるため、生贄として扱われる予定だった娘が居なくなったことで神霊からの怒りを買い、神霊に喰われたのだろうと思われる。というのが今のところ分かってる事だ
「まぁ、探すとしたら御仏の書斎からだな」
簡単な話、日記などの記録が残っていれば内容次第で神霊の情報がある程度分かる。
そうして魔理沙は御仏の家に音もなく窓から入る。慣れてるのだろうか
「……」
余裕な顔をしていた魔理沙の顔が固まる
(誰かいるな…足音は聞こえねーが……)
御仏が行方不明になったという事はまだ知られていない話だ。捜索に来る人はいないはずであるため、可能性として有り得るのは2つある
御仏の娘が黄泉とは関係なく、その娘が帰ってきたパターン
それと、御仏を喰った神霊が証拠隠滅にやってきたパターン
当然、後者の可能性は高い
魔理沙はミニ八卦炉を構えて少しずつ進む
最初にいた部屋を出た瞬間、
「少し質問がある。答えろ」
無理はない、だって今出ようとした部屋から聞こえたのだから
「……せっかく3日間も時間があったのに、乗り換えはしなかったんだな。そいつから」
魔理沙が見たのは黒い髪で黒い目。駄を履き、深い緑色の服に身を包んだ男性。人里ではものすごく一般的な見た目であり、生前黄泉のような目立った特長もない
御仏 公鮮の皮を被った神霊だ
「御仏 鬼灯、本来俺が使うはずだった体の名前だ。霊 黄泉でもいい。そいつを知らないか?」
「さぁな、そもそもこの件に私が関わってるのは御仏がそいつを行方不明だから探して欲しいっていう依頼をわざわざ霧雨魔法店に出したからだぜ?」
サラッと予測で終わっていた鬼灯=黄泉が勝手に認められた
「まぁいい、地上であろうが地獄であろうがあの体だけは探し出す。あれは焼却さえされて無ければ何も問題ないのだからな」
「お前、追魂体質を…あ、やっちまったぁ……」
「知ってるんだな」
目付きが鋭くなった神霊が一歩ずつ近ずいてくる
下駄を履いているはずなのに全く足音がしない
「ちなみにお前、名前を聞いてもいいか?」
魔法使いは戦いに準備が他より多く必要であり、尚且つ近距離戦は苦手だ
少しでも情報と準備の時間を稼ぐために質問をしたようだ
「……名前はいくらでもあるが『
「なんだ、クソやべーヤツじゃねーか。しかも神霊じゃなくてイザナギか産んだ八百万の神だし」
「知っていたか」「身近に詳しいヤツが多くてな」
一歩ずつ近付く豊布都(呼び方固定)を前に魔理沙は一歩ずつ下がってゆく
「……では」「!!」
雷のような爆音が鳴り響き、胸と背中と後頭部に強い痛みを感じる
魔理沙は何も理解が出来なかった
狭い室内にいたはずが気が付けば大通りの壁に背を付けていた。背中には何枚もの服が絡まっており、それがクッションとなっていた事は分かる
少し遅れて理解したのはまっすぐ飛ばされたという事
「そういえば、裏は服屋だったな…おかげで助かったぜ」
周囲の人間がザワザワしながら寄ってくる
「チッ、仕方ねぇ。全員ここから離れろ!悪霊だ!」
大通りに面している服屋からバチバチとしたオーラを放っている存在を見た人々は悲鳴を上げながら逃げ惑う
魔理沙が悪霊と言ったのは幻想郷にとって一番問題になりにくいからだろう
一目散に逃げてゆく人々と違い、豊布都は左脚を引きずりながら右腕を押さえている
「軟弱者めが……」
おそらく、御仏 公鮮に対して言っているのだろう
その様子を見ながら魔理沙は立ち上がる
「その程度だったら私は…余裕だぜ……」
スカートの中から6つの缶が零れ、それらから緑の中弾が発射される
豊布都は左腕で防ぐが、防ぎきれずによろめく
魔理沙はそれを見ながら箒に乗り、ミニ八卦炉を構える
「見てろよ!私の必殺技!」
空模様が一気に悪くなり、明るかった空が真っ暗になる
「恋符──」
夕立レベルの雨が急に降り始める
「──マスター……!!」
発射する直前に魔理沙は気付いた
そして、ミニ八卦炉を上に投げた
「よく分かったな、感心だ」
豊布都の発言の直後、魔理沙に巨大な雷が落ちた
「──スパーク!!」
手を離れ、上手く制御の効かなくなったマスタースパークを制御する
「…逃げ…たか……」
極太のレーザーが消えた後、ぼんやりとした視界を動かして確認する
そして、その場で魔理沙は倒れ込んだ