生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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「……どうしてこうなったんだろ」

 

 確か時間は午前2時程度。丑の刻が終わるまで怖くて寝れないからとりあえずふらふらしてたら青い服を着た人数人に囲まれて…うん。今なんか白い部屋にいる

 外の世界の夜って明るいんだね。夜中出歩くのに全く怖くなかった

 なんか、私をここに運んだ人が『中学生の女の子がこんな時間に出歩いて言い訳ないだろ何かあったらどうするんだ』とか怒鳴り声で言ってきたり、名前を聞いてきたから「生きる怨霊、霊 黄泉だよ」って答えたら『Vtuberじゃねぇんだぞ本名言え』とか

 もう訳わかんない、怖いよ帰りたい

 

 あーでもここのご飯美味しいしお金払わなくていいのは凄いし、お布団ふかふかだし水がじゃー!って出てくるヤツで体洗えるのはとても良かった。幻想郷にもあったらいいんだけど

 

「せっかく3日間楽しもうと思ってたのに……」

 

 太陽が見えないから正確な時間は分からないけど、多分もう4時くらい。閉じ込められて無駄な一日になっちゃった……

 

 ◇ ◆ ◇

 

「ここは…永遠亭か……」

 

 見覚えのある天井を見て安心する魔理沙。隣には白黒帽子に箒と少し焦げたミニ八卦炉が置かれている

 

「体は…痛むけど問題なく動くな……」

 

 戦ってた場所は人里。広範囲高火力なマスタースパークはどうしてもまっすぐ発射する事は出来ず、だから上に飛んで斜めに発射する必要があった

 しかし、そこに合わせるように雷。雷は最も高い位置にある物に引き寄せられるため、魔理沙は自分に向かう事に気づき、ヒヒイロカネ製であるミニ八卦炉を避雷針代わりに使ったのだ

 まぁ、ミニ八卦炉の近くにいた魔理沙にも相当な電流が流れたはずだが…さすがのタフさである

 

「あー、ドラゴンメテオなら間に合ってたかもなぁ」

 

 帽子を被り、何事も無かったかのように立ち上がる

 そのまま障子を開けて外に出ようとした時……

 

「「あ」」

 

 声を出したのは同時だった

 薄紫の髪に赤い瞳。丈の短いコートや、赤いネクタイといった比較的現代風なファッション。そしてウサミミを生やした妖怪、鈴仙・優曇華院・イナバ

 厳密には妖怪では無いがそれはどうでもいいだろう

 

「病人は安静に……」「悪ぃな、今から私は健常者だ!」

 

 鈴仙の静止を振り切り、外に出て箒で飛び去る

 その光景に鈴仙はため息をつくことしか出来なかった

 

 ◇ ◆ ◇

 

「おい霊夢!黄泉はいるか!」

 

 まるまる一日間寝ていた魔理沙が一番に向かうのは博麗神社だろう

 やらかして関係者とバレた霊夢や、狙われている黄泉がいる。一刻も早く伝えないとマズイのだ

 

「今外出中よ」「すぐに案内しろ」「はぁ?」

 

 〜3分後〜

 

「なるほど豊布都神があの子を狙ってると。あとアンタはそれに負けたと」

「向こうが逃げたんだから私の勝ちだがな!」

 

 この3分の間に軽く説明したようだ

 

「豊布都神って国譲りの手柄を立てた建御雷(タケミカヅチ)の事よ?それがくっついた人間とやり合えたのなら誇れる事じゃない」

 

 建御雷。伊邪那岐(イザナギ)迦具土神(カグツチ)を斬った事によって出た血から生まれた神

 日本神話最強の武神とも呼ばれる存在だ

 

「正直、相手がヘマった上にしっかり名乗ってくれたから大丈夫だったものの…まぁ、どっちか無かったら死んでたな!あとあの場に剣が無かったのもデカかったな」

「剣の神が剣を持たず、相撲の神が一回張り手をしただけで負傷し、結局は雷にしか頼れなくなったなんてとんだ笑いものね」

 

 建御雷が象徴する物は4つ、剣・雷・相撲・地震(の抑制)。取り憑いてる御仏 公鮮の肉体では神の強化に耐えきれず、一回攻撃しただけで負傷したのだろう

 

「お前腐っても巫女だろ、平気で悪口言っていいのかよ」

 

 巫女の仕事とは本来は神の声を聞く仕事である。しかし、平気で自分達の悪口を言う巫女に話しかける神はいない

 

「あのねぇ、そもそも神降ろしってのは相応の器を用意して神がそれの中に入り、その力を借りる。簡単に言えばこんなものなのよ」

 

 人形や火のついた柱松。神を降ろす為の器とはいくらでもあるが、どれもその物越しに力を借りる

 

「私みたいな巫女なら自分の体を器に出来るけど、一般人がそれを非正規な方法で自分の体にやるという愚かな行為。そしてそれに惹かれる神、その上その神は体のスペックを理解出来ずに体を強化して負傷。こんなの笑わないと逆に失礼まであるわよ」

「なるほどな」

 

 器が器なら神も神という事だ

 

「そういえば、黄泉を狙ってる理由ってそれだよな?追魂体質によって肉体を最大限に強化する事」

「まぁ、有り得るわね。あの体、魂が閉じ込められる代わりに人間の体の中では最高峰の性能を持っているんだもの」

 

 元人間現怨霊の黄泉が受けてる特筆した恩恵は『空を飛べる』『傷が素早く治る』『核を貯め込める』『限界以上の霊力を放出する』だが、これが最強の武神の分霊だった場合どうなるか

 

「アレが入った場合、馬鹿みたいな身体能力に雷への耐性。まぁそれだけでもやべーな、私が一発もらった時みたいな加速がバカスカ使えるって事だろ?」

「まぁ詰むわね。罠にでもかければ簡単だけど…さっさと仕掛けておくわ。どうせここにも来るんでしょうし」

 

 そう言ってお札を取り出す霊夢。博麗の巫女が作る罠なだけあって、一発くらったら即ゲームオーバーレベルだ

 

「あとは…これでよしっと……」

 

 『しばらく休業します。立ち入り禁止』と書いた看板を立てている。こんな物があれば気になって近ずいてきそうなものだが、さすがに近ずいた方が悪い

 

「とりあえず魔理沙、今日は泊まっていきなさい。一人の時に襲撃仕掛けられたら今度こそ死、あるのみよ」

「おう、んじゃあお泊まりセット取ってくるな!」

 

 ……本当にさっきまで寝てた人間なのだろうか?

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