生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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雷と金属

「ありがとう紫、環境は良かったけど暇だったんだよ!」

 

 三日目、紫が助けに来てくれた。引き取るのになんか母親ってことになってたけどまぁいいか

 

「霊力はだいたい抜けたようね。先帰るか、なんかお土産でも買って帰るかどう?」

「もちろん後者で!」

 

 外の世界の物、結局あんまり見てないんだよね。大きな店とその周辺の道くらい?

 なんか人無し車が列を作って止まってたかと思ったら急に走り出すし、外の世界にはよく分からないシステムがあるんだなぁってなったね

 

「どうせだし先に海見に行くのをおすすめするわ」

「海…待って、前の私の知識から捻り出す」

 

 前の私。裕福な家庭に生まれたのか知らないけど、役に立たなさそうな色んな知識がいっぱいあるんだよね

 多分色んな本読んでたんだと思う

 

「あ、思い出した。すごく広い塩水だっけ?」

「そうね。その水の中で確立する生態系は幻想郷では体験出来ないし、どうかなと」

「じゃあどうせならお願い!」

 

 塩って摂取しすぎると体から水が抜けて危ないのに、なんで生きていけるんだろ

 

「そういえば、幻想郷の中の塩。岩塩って有限だよね?幻想郷がいつからあるか知らないけど、問題無く摂取出来てるのってなんでなの?」

 

 塩は生きるために必要な物だ。岩塩の他にも動物の血肉などからも摂取出来るが、人里の人間全員が何一つ不足してないのも今思うと不自然な感じがする

 漬物とか、めちゃくちゃ塩入ってるし…

 

「妖怪が生まれる理由と似ているわね」

「妖怪が生まれるのってなんでだっけ?」

 

 怨霊についての話の時に聞いた気が…どうだっけ

 

「暗い森で聞こえる鳥の声や川の魚の影。ただその程度のものを人間が勘違いし、それを妖怪という恐怖の対象に当てはめるのよ。そこに『いる』と思い込めば妖怪はいる、逆に忘れ去られれば存在が消えてしまうのよ」

 

 要は人間が生み出してるのか

 

「じゃあ、紫はどういう勘違いから生まれたの?」

 

 紫は確かスキマ妖怪。普通は隙間があっても『そういう妖怪がいる』とは考えにくい

 

「私が固有妖怪である原因ね、例えば『戸棚の下に何かある』という事が分かった場合どうなるでしょう?」

「それが転がった物か虫か気になるね」

「絞れても、結局は見ないと分からないでしょう?」

「なるほど」

 

 つまり紫は隙間にある正体不明な存在って事か。それなら忘れ去られる事も無いっと

 

「スキマ妖怪が1人しかいないのは具体的性も無いし、語られることも無い。その事象に対する象徴が私なのよ」

「ほへぇー。ちょっとそこはよく分かんないや」

 

 そんな感じの話をしているとスキマが開く

 

「この先が海よ、ついでにお土産もそこで買っていきましょうか」

「いっえーい」

 

 ◇ ◆ ◇

 

「そういやあいつの使った雷、撃つ前に天候が変わったんだよな。肉体を強化してた時はそんな動き無かったのに何が違うんだ?」

 

 ミニ八卦炉を使って逸らした雷と、魔理沙を吹っ飛ばした身体強化による加速。どちらも同じ能力がもとになっている

 

「神の力ってのはちょっと面倒くさい制約があるってね。元は信者から信じられた力、だからそもそも出来ることが自分で拡張出来ないのよ」「つまり?」

「自然が絡むと自然として普通な動きしか出来ない」

「……なるほどな」

 

 雷自体は雪が降っていても発生する。なんなら何も降っていなくても発生自体はする

 雷を操るのならば雲があるだけで雷を発生させる事は出来るのだが、そこで邪魔をするのが神霊の特性

 雷は基本的に雨が降っていないと見れない。だからこそ神霊による雷も雨が降っていないと起こせない

 

「それじゃあ、身体強化に関してはなんだ?」

「自然現象じゃなくて概念的な力を使ったのでしょうね、例えば『疾風迅雷』みたいな能力と紐付けれる概念とか」

「それなら対策は無理そうだなぁ」

 

 概念を利用する上に自己完結してる力、妨害は難しいとかいうレベルでは無いだろう

 

「逆に言えば雷の方はあるのね。対策」

「まぁ、一回成功したからな。再現は余裕だな」

 

 そういって大量の金属片を取り出す魔理沙

 

「また変なマジックアイテムかしら?」

「その素材だな、スフィーマニウムっていうんだけどそ性質が面白いから錬金術師とかに好んで使うヤツが多い金属だな」

 

 そういって金属片を上に投げる

 投げられた金属片は空中で静止し、落ちてこない

 

「まぁ、こんな感じだ。引力の影響を受けにくい性質があって、これを利用すると浮遊するマジックアイテムが簡単に作れるんだよ」

 

 かなり便利な素材なようだ

 

「まぁだいたい分かったわ、それで何を作るつもりなの?」

「まぁ見とけって」

 

 ◇ ◆ ◇

 

 数十分後

 

「まぁ、これで準備はだいたい終わったな」

「あとは待つ…いや、もう待つ必要は無くなったわね」

 

 博麗神社の参道を歩き、階段を登ってくる人影が見えた

 

「休業日と書いてあったが営業してる上にサービスが付いてくるとはな」

 

 御仏 公鮮の姿をした神霊、豊布都。の右手に持っている(つるぎ)には赤い紙切れが付着しており、おそらくはトラップに使った霊夢のお札だろう

 

「営業しておろうと今ここにお前の求めている商品はねーぜ。さっさと帰りな」

 

 商品(黄泉)

 

「どこにあるか、知ってるなら聞いておくのが普通だろう?」

 

 鞘から剣を抜き出し、魔理沙に向ける

 

「という訳で霊夢、私をご指名のようだ。緊急時は頼んだぜ?」

 

 魔理沙は2対1ではなく、1対1でやりたいらしい

 

「あんた、前回負けたでしょ」

「何言ってんだ?どう考えても逃げた方が負けだろ。それに…」

 

 魔理沙の周囲に4つの魔法陣が生成される

 

「それに。準備万端な魔法使いは、そこら辺の大妖怪より強力だぜ?」

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