生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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交渉

『あなたの波長はとても不安定です。性格を表す波長は長ければ長いほど落ち着きがあり、短ければ短いほど忙しない』

『不安定か…自分ではかなり安定してると思ってたけど』

 

『あなたの場合は短い波長の次は長い波長。長い波長の次は短い波長と、常に切り替わり続けています』

『波長自体が忙しないじゃん』

 

『この波長タイプの特徴は人間関係に対する物もあり、色んな人の波長に合わせる事が出来るから好かれやすい。または好意的に捉えられやすい一方で相手に合わせる都合上、自分から行くのは苦手になりやすいのよね』

 

 性格診断の結果はこんな感じだった気がする

 不安定らしいけど好かれやすいなんてただ単純に嬉しいね!

 

「そーいやあの診断、魔理沙はどうだったの?」

「自分でも意外なんだが普通だってよ、なんなら気性に関しては安定してるらしいしぜ?」

「……不安定なイメージは無いけど波長は短めだと思ったた…正直意外……」

「だろ?」

 

 行動と性格が一致する訳ではないのかな?

 

 ◇ ◆ ◇

 

「とりあえず雨止ませてくれないかしら?寒いしお札が濡れて効果が弱まるのだけど」

「悪いが無理だ、俺には『雷を落とす』までの動作しか操る事が出来ない」

 

 時は遡り、魔理沙が離れた後の時間だ

 

「……あんた、もしかして本当に落とす事しか出来ないの?」

「……?そうだが?」

 

 今まで身体強化だと思ってたのが素の身体能力であった事に気が付く霊夢。御仏の体が脆弱だったのがどれほどの救いだったのかが分かる瞬間であった

 

「まぁいいわ、分霊ってのは神霊本体のコピー品。神霊から切り取る訳でもなく、本当にただのコピーだから容姿や性格、性能までもが本体と同じ。まぁ、分霊であるあんたに話す内容ではないわね」

「常識だ」

 

 おそらく、豊布都の『望み』に対する説明の前提情報

 

「ただ、あんたはただの分霊ではない。本体とは別の存在になってしまった分霊よ」

「ほう?どうしてそう言える?」

 

「最初に違和感を持ったのは性格。本来の建御雷(タケミカズチ)の性格は勇猛で激しく、正々堂々としながらもプライドの高い性格。あんたとはまるで違うのよ」

 

 魔理沙に対して初見殺しで奇襲を仕掛けたり、黄泉に対して反応する間もなく胸をグサリと。霊夢の挙げた性格には当てはまってるようには見えない

 

「伝承が間違っていただけであろう?」

「神の形とは、信仰によって委ねられる。仮に伝承が間違っていたとしても、本体はその性格になってるはずだから間違いないわ」

 

 伝承につられて性格が変化するなら、霊夢の情報は間違いではなくなる

 

「なるほど、まぁ認める。俺は建御雷とは違う存在に変異してしまった。それで?博麗神社の巫女、お前の言う俺の望みとはなんだ」

「簡単な話よ、元に戻る事。それがあんたの願いよ」

 

 分霊は分霊のまま本体に帰っていく。しかし分霊が変異して別の存在になった場合は違う、本体の元へ帰れないのだ

 

「では俺がそれを望んでいるという根拠も聞こうか」

「無いわ。勘よ」

「……」

「でも、もし思ってなかったとしてもいずれあんたは帰りたくなる時が来るかもしれない。その時のための取引よ」

 

「私の提示する条件はあんたの持つ黄泉の情報全て。対価は私が生きている間、一度だけあんたが本体に帰るための手助けをする。以上よ」

 

 仮に豊布都が今その対価を必要としなくても取引に応じる可能性を引き上げるためのものである

 

「面白い、その話乗った」

「意外にあっさりね」「正直帰れるなら帰りたいからな」

 

 おそらく最初の方で交渉に乗る事は決めていたのだろうが、威厳やらプライドやらが邪魔をしたのだろう

 

「では、さっさと約束を果たそうとしよう」

 

 ◇ ◆ ◇

 

「ただいまー」「そっちの方は片付いたか?」

 

 魔理沙の箒に乗って四、五十分。博麗神社に帰ってきた

 魔理沙いわく、行きしはブレイジングスターであっという間だったらしい

 

「おかえり、まぁ円満に終わったわ。欲しい情報も回収出来たし……」

 

 道中魔理沙から聞いた話だ。私を刺した犯人はかなりお強い神霊だったそうで、目的は追魂体質

 倒すのには成功したらしく、後処理を霊夢に任せて魔理沙は私を永遠亭に連れて行ってくれたらしい

 

「ちょっと私席を外すぜ。素材としてかなり価値上がってるしさっさと回収しねーと」

 

 スフィーマニウムだっけ?雷避けに利用したらしい

 神の(いかづち)を受けた金属。そりゃ価値高いよね

 

「欲しい情報ってどんなのだったの?」

「あんたが知るべき情報では無いわ」

 

 追魂体質が目的な相手なら絶対に私が絡んでそうなのに教えてくれないか……

 

「それはそうとして問題なく動けてそうだけど、刺された所どう?大丈夫?」

「大丈夫っぽいよ、知らないうちに痛みも消えてたし…それより魔理沙が……」

 

 完全回復した私と違って魔理沙は骨が数本折れている

 魔理沙は『怪我なんか負担かけなきゃ治んねーって』と言ってるが、骨折って負担かけていい物だっけ?

 

「いってぇ!」

 

 向こうで魔理沙の悲鳴が聞こえた。霊夢も若干呆れた顔をしている

 

「ちょっと様子見ておくわ。あんたは休んでて」

「はーい」

 

 霊夢は魔理沙を追いかけていった

 

 

「……やっぱり外の世界よりこっちかなぁ」

 

 3日ぶりの帰還だが、かなり長い期間離れていた気がする。多分まだ生まれて5日目だからだろうね

 外の世界といえば椛鯛はどうなったんだろ

 

「階段に転がってるか霊夢が回収したか……」

 

 鳥居をくぐり、参道の階段を確認するとあった。触り心地の悪いトロ箱に血が付いてるし一部エグれているが、中は無事のようだ

 

「あ、そういえば」

 

 ふと思い出して空を見る。降っていた雨はとっくに止んでおり、夕日が綺麗だ

 そんな中空には場違いな存在が

 

 『こっちきて』、そう命じる

 最初に傘として、その後視界として利用した怨霊。運良く残っており、霊夢の聞き出した情報も多分残っているだろう

 どうせ霊夢は教えてくれないし、私に関する情報なら知っておきたい

 

「んじゃあ、記憶覗かせてもらうね」




 ちなみに建御雷は国譲りの際の力比べで腕相撲みたいな事をしようとお互いに手を握るとき、手を剣に変形して怯んだ所を殴った野郎です
 さすが最強の武神ですね
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