能力を使用し、傘役怨霊の記憶を覗く
とりあえず私が倒れたあたりからの記憶にしておこう
頭にヒビが入るような痛みが響いた
◇ ◆ ◇
スペル、ちゃんと起動してた感じなんだね
なんか私を刺した人に同情するくらいボコボコなんだけど……
3方向からスペル。霊夢に至ってはラストスペル
霊夢に弾が当たらずにすり抜けているあたり、なんか特殊な効果でも付いているんだろうね
んで、魔理沙がブレイジングスター、一回突撃して二回目で私を救出してたみたい。煙もあるし、初見で対応するのはほぼ不可能だろうね
魔理沙が行った後、霊夢と敵が話してる
大雑把に聞いた感じ霊夢が「分霊としての存在が変わって帰れないだろうから私に関する情報と交換」っていう感じで取引してる
神様だったんだね、私を刺した人
じゃあ、ここからはじっくり確認する必要があるね
◇ ◆ ◇
『では、さっさと約束を果たすとしよう』
まぁ言うだけどからパパっと終わらせたいのかな?
『少し待って』
霊夢がお祓い棒とお札を取り出し、何かを祈るようなよく分かんない動きをする
『何をしたのだ?』
『私は巫女よ、
そーいや霊夢って巫女だったね。忘れてた
『まぁいい。軽い問題だが博麗の巫女、貴様には霊 黄泉はどのくらいの年に見えるのか答えろ』
『14〜16、まぁその程度ね。体質でどの程度見た目が変わっているか分からないから、精神年齢も考えるともう少し上のようにも感じるけど……』
生粋の美少女である私の体の年齢。そういえば考えようとも思ったこと無かった
まぁ、霊夢の言う通り14〜16程度だろうけど
『9だ、9年。それが産まれてからの時間だ』
『!?』
……?何言ってんの?
こんな究極美少女が9歳な訳ないじゃん
『追魂体質の影響って事ね』
『そうだ』
魂を追い、魂に適応する体質。これが影響してない訳ないよね
『人間の肉体に魂が宿るタイミングはだいたい決まっている。それは妊娠5〜6ヶ月の胎児が母体の腹を蹴るタイミングだ』
『……なんとなく何が起きたか予想出来たわ』
私も出来ちゃった
思い出したのは追魂体質を持った私のコピー品に魂を入れる実験
わずか5分程度で急に肉体が膨張し、入れていた容器を破壊するシーン
『霊 黄泉は母体を破壊し、母親を殺して腹から生まれてきたのだ。文字通り
……グロい
関係ないけどこの神不謹慎過ぎるでしょ、何血に染ったジョーク言ってんの
『そしてその餓鬼は一瞬で今の姿に…いや。今より髪は短く、目と髪は桃色をしていたな』
『半分だけだけど、その色は確認してるわ。綺麗な色をしてたわね』
桃髪の私。ちょっと見てみたい
あと、今は髪が腰まで伸びてるから普通に短いのを想像出来ないんだけど
『当然、娘の誕生に怒りを覚える者がいた。それがこの体の人間こと、御仏 公鮮。本名は知らないが、偽名らしい』
御仏 公鮮…前の私の父親かぁ……
全く覚えてないね
『娘、霊 黄泉によって最愛の妻が殺された訳だからな。仕方ない』
『まぁ、その死に方だと出産による死亡と一緒には出来ないわよね』
ちょっと同情
『しかし奴はそんな中俺を呼び出し、契約を持ちかけた。「こいつの肉体を差し出すから妻を生き返らせてくれ」と』
『……一気に同情出来なくなったわね』
逆に凄いね、不要と判断したらすぐに捨てるどころか生贄にしようとするの
『肉体を欲していた俺は請け負いはしたのだが、産まれた子供に罪は無いと思って条件を出した。「成人するまでの12年間育てよ」と。その際に愛情が芽生えた場合は無償で蘇生するつもりまでいた』
『12歳って……平安時代の話でもしているのかしら』
『産まれた子供に罪は無い』ってのは否定したいかな
人を殺すのは罪だ。前の私に罪が無いのなら死んだ母親は人間として扱われなかったという事になる
直接罰を与えなくても、その子供には一生母親を殺したという罪は背負う必要がある
それが間接的の中でも最低限の罰になると思う
『それからヤツは娘に「神に捧げ、妻をあの世から連れ戻す素材」という意味を込めて「
『……不吉な名前とは思っていたけど、酷いわね』
素材だってさ、前の私
『ヤツはその後引越し、御仏 公鮮という偽名で生活していた。多分黄泉を生贄にした後のためだろう』
まぁ生贄にした後に夜逃げでもした時、本名がバレてるかバレてないのかだと成功する確率が大きく変わるからかだろうね
『その後の9年は特に何も無かった。御仏は黄泉の行動を厳しく制限し、監視まではせず仕事に熱中した。「金はやるから関わるな」といったスタンスだったように思える』
『あんたの理想とは真逆ね』
無駄に使わなさそうな知識が多かったのはそれでかぁ
本でも使って勉強していたのかな?
『一方、黄泉は友達と遊んだり本を借りたり。のんびりとした生活をしていた』
まぁ、前とはいえ私だしね。そんな感じだろうとは思ってたよ
『つい最近の事だ、だいたい二週間前。御仏が急に儀式用の魔法陣を描いた』
『二週間…そういえば魔理沙が服屋の店員に「二週間前に服を御仏に売った」って感じに聞いてたわね』
……もしかして霊夢達、前の私の事調べてた?
『あぁ、今黄泉が着てる服だ。俺との契約まで3年はある状態でそんな準備、他の神と契約でもしようとしてる可能性を考えたために軽くアクシデントを起こした。祟りに見せて御仏へ警告するためにだ』
まぁこの神からしたら一大事だよね。『愛情があったら奪わない』って考えてるのになんなら他の神霊に渡そうとしてる光景を見るなんて
『御仏はその日、小さな不運が大量に重なった。黄泉には友人と軽く手が出る程度の喧嘩をさせるつもりが何故か刃物が出ていたな』
祟りだと思わせるなら前の私を巻き込む必要あるのだろうけど、気にしないでしょ。今の聞いてた感じ
『……あんた、まだ黄泉が自殺した理由を少しでも考えた事がある?』
『自殺は愚者の行う事だ、愚者の行為を理解しろ?神に同レベの思考をしろと?』
私の自殺した理由…
そういえばアリスと話した時は『罰されたいから』っていう予想が出てたね
『ここからはほとんど想像よ、あの子は友人を殺した。しかし罰を受けれなかった、正当防衛だったらしいからね』
『良い事ではいか、自身にとってマイナスな出来事は起こらない方が良い』
どの口が言ってんだか
『罰というのは被害者からは合法的な報復、逆に本人から見たら数少ない贖罪の機会なのよ』
『ただの自己満足ではないか』
生まれた時から、私の頭にチラチラ写る言葉がある
どうせそんな機会無いからそんなに気にしてなかったんだけど、『絶対に、人を襲わない』って言葉だ
この言葉は最初の私が一つ前の私に向けた言葉なのだろう
今の話と繋げて分かる事は最初の私は友人を殺した事に相当なショックを受けていたのだろう
『あの子は友人を殺し、罰すらも受けさせてもらえない。相当辛かったことでしょう、2週間も引きこもるくらいにはね』
『人一人殺した程度で何を気にする事がある』
多分自殺しなけりゃもっと引きこもってたんだろうね
『おそらくあの子の自殺した理由は罰を受けるため、じゃないと罰に執着する怨霊になんかなったりしない』
『……そもそも怨霊になっていたのか』
あ、だいたい予想同じなんだ
霊夢がお祓い棒を取り出している
『以上よ、あんたが余計な事しなけりゃ黄泉も黄泉の友人も死ななかった。あんたは人を殺し、人の命を軽んじた神。となるけど?』
『まぁそうなるな』
その言葉の直後、霊夢から思わず吹き飛ばされそうになるほどの圧を感じた
『……これで契約は終わったわ、今からは敵同士よ』
『……?まだ俺の目的は達成されてないが?』
どういう事?
『私は手伝いをすると言った。その手伝いの内容は私が決めた。その内容はあんたを受け入れる神霊、建御雷への交渉よ』
『……先ほどの動きは神降ろしの儀式だったと言うことか』
そういえば話し始める前にやってたね
建御雷を自分の体に降ろし、話を聞く事で建御雷自身に判断させる
そして、建御雷とのコネクションという霊夢の決めた手伝いは完了。よって取引も終わりって事ね
『フッ、そうかそうか。残念だ』
そういって神は剣を持つ
だが──
『私こそ残念よ。あの子に9年間も時間をやってくれてありがとう、さようなら』
──知らぬ間に霊夢が背を向けて立っていた
『化け物が、反応すら出来ないとはな』
持った剣は地面に落とし、御仏の体は塵になっていく
一瞬の間に霊夢の攻撃を受け、祓われたのだろう。それによって限界を超えていた体が崩れたんだと思う
『そうだ、小娘に伝えてくれ。「見事だった」と』
『分かったわ』
傘役怨霊の記憶にはここから先、大したことは何も無かった