「おい黄泉!大丈夫か!」
「…う……ん?」
知らぬ間に閉じていた目を開くと、目の前には魔理沙の顔があった
頭がかなり痛く、服にはたくさんの砂利が付いていた
「……寝ちゃってた?」
「心配したんだからな、全く…」
そーいや何時間分かの記憶を一気に覗いたんだった、そりゃ気も失うよね
魔理沙に隠れて見えずらかったけど、霊夢もいる。さっきの話を聞いた後だから分かるけど、やれやれと言っているような顔にはすこし心配が写っているようにも見える
「あ、そーいえば」
忘れていたお土産。中身は無事でよかった
「椛鯛って言うらしいよ、縁起いいんだって」
「鯛って事は海の魚か、珍しいな!後で食おうぜー」
「一通り片ずいた後だし、宴会でもいいんじゃない?」
反応も良さげで良かった
「それなら、肴にはお酒でしょう?」
聞き慣れた声が聞こえた
そーいえば迎えに来るって言ってたね
「相変わらずどっから持ってきてんだその樽」
「紫、何の用?」
「ちょっと黄泉に見せたい物があるからよ、あなた達も来る?」
驚かせるって言ってたね、期待大
紫がスキマを開き、案内する
「危険な場所だけど、あなた達は前に行った事あるし大丈夫でしょう」
「危険なんだ」
霊夢と魔理沙が先に入り、私も入る
◇ ◆ ◇
「ここは…どこ?」
目の前には人里の一般的な家より二回りほど大きなサイズの建物があり、近くにはそこそこ大きな水場…湯気が出てる?
ゴツゴツとした石が地面を覆い、腐った卵のような匂いが広がっている
「間欠泉センターね…もしかして紫、あんたまさか……」
紫が霊夢にウインクしている。何か伝わってるんだろうけど、分かんないや
間欠泉センターって確か前の私がアリスに拾われた所だよね?
「そのまさかよ。黄泉、あなたにはこれからここに住んでもらいます」
「………………????」
…?……?
「その驚いた顔、ずっと楽しみにしてたわ」
◇ ◆ ◇
「まぁ、落ち着いたようだしとりあえず説明するわ」
「う、うん……」
いろいろ貰ってたけど、まさか住居をくれるとは思ってなかった……
正直まだ混乱してる
「先勝手に入っとくぜー」「えっと…どうぞ?」
霊夢と魔理沙は先に入っていった。霊夢は残りそうと思ってたのに
「理由はいくつかあるけど、何個聞きたい?」
「えっと…大きいヤツだけでお願い」
何個って…逆に何個あるの
「住居を用意した大きな理由は2つよ、1つ目は管理が楽だから。あなたが野宿や引越しを繰り返すようじゃ私があなたの様子を見るのが難しくなるでしょう?」
「まぁ、確かに」
要は監視ね
「2つ目はこれから本当に長い付き合いになるからよ。あなたの体の性質上、人間を遥かに超えた寿命を持つ。なんなら無限かもしれない」
追魂体質は魂に適応する体質、寿命の無い怨霊なら無限に老いる事なく生き続けるだろう
「あなたとの関係はなるべく悪くしたくない、なんならあなたの事はずっと娘のように甘やかそうと思っているの。立場は雇用者と労働者でもね」
「……それ、本人に言うこと?」
……反応が難しいな
そういえば、朝私を迎えに来た時に母親って言って迎えに来ていたね
紫は本当にその気でいてもおかしくは無い…か……
「嬉しいけど、とりあえずママ呼びはしないよ?紫」
「あら?早速反抗期かしら?」
別に嫌でも無いし、拒否る理由なんてないよね
一生働いてもらうためってのは分かるけど、私からしたらメリットしかないし
関係ないけど、反抗期舐めすぎじゃない?
「まぁ、次よ。間欠泉センターにした理由を並べるわ」
「いくつかは予想出来るけどね」
「1。怨霊が最も出てきやすい場所だから」
「まぁ、そうだよね」
「2。有毒ガスなどが噴出してるために人間も妖怪も近付かない。人里の外で5指に入る程度には安全よ」
「ストップ、私も有毒ガスの影響受けちゃう」
「怨霊性だからあなたには全く影響は無いわ」
……今屋内にいる二人はどうなの?それ
「3。ここは守矢神社の敷地だから守矢の庇護も受けれる事」
「守矢神社…あ、ロープウェイの……って許可もらってるの?」
「安心しなさい、怨霊関係でトラブル起こした事ある所だから快く受け入れて貰えたわ」
逆に安心出来ないんだけど……
「4。ここ、温泉が沸くわ」
「おおー!すごい!最高!温泉わーい!」
他の理由が無くても何も問題無くなった
「その反応だと、これ以上の説明は必要かしら?」
「いらないね!」
人里に温泉無いし、当然前の私に温泉の記憶はないけど知ってる。神だ
「理由も聞き終わったし、あとは内装確認だね!」
◇ ◆ ◇
「思ったより遅かったな、もう探索し尽くしたぞ」
「あんたがはしゃいで走り回ったからでしょ」
軽く内装の確認をした
1階と地下の二つの階があり、1階にはリビングらしき広い所と寝室、キッチンみたいな必要なものが細々とあってあと小部屋が複数。少し長い廊下の先に行くと温泉が沸いてる所に繋がっていた
外だが、照明器具が付いているため明るい
地下はほとんど物置、あとなんか寝室がもう一つあった
「お布団あるの、めちゃくちゃありがたい……」
「気に入ってもらえたようで何よりよ」
ふかふかしてて気持ちいぃ……
「すぅ…」
「おい黄泉、せめて風呂入ってから寝よーぜ」
「ハッ!」
永遠亭で寝たはずなのに…疲れてるのかな?
「じゃあ、どうせだし……」
◇ ◆ ◇
「温かい……」
「黄泉お前、そこほぼ源泉だぞ」
「そういえば温度感覚バグってたわね……」
「それを言ったらあの仙人も怨霊を握り潰していたのでは無くて?」
「華仙は…まぁ仙人だから当然でしょ」
「仙人って凄いよねー、あの時本当に命の危機を感じたんだもん」
「というか、私とさとり以外お前にトドメを刺す力があるの運悪すぎだろ」
「あれ?紫も…そりゃあるよね、うん。アリスもなんかありそうだし」
「さぁ、どうでしょう?」
「あんたはやらないだけで万物の破壊が出来るでしょうが」
「『出来る』事と『やる』事は同じだよ。実際にやった瞬間から出来る事になる、理論上出来る事は同じく実際にやって出来る事に変わる。やらないだけで出来る事ってのは出来ないも同然だよ?」
「急に深いな……」
「……まぁ一理あるわね。第二次月面戦争の際にやらなかった時点で、出来ないも同然という事になるけど」
「お前がやってたら月と全面戦争だろ…そーいや、霊夢。お前もあん時降参せずに無想天生使えば依姫に勝ててただろ」
「あの時使ってたらあんた達が死んでたでしょ…あ、やらないだけで出来る事ってそういう……」
なんか知らない話が広がってる……