生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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好感度

 あの後食材が無かったから紫が持って来てくれた食材で食卓を囲み、解散した

 明かりを消し、新しいお布団にくるまっているのだがなかなか寝付けない。さっきは一瞬だったのに

 

「寂しい……」

 

 今まで、博麗神社には霊夢がいた。同じ建物に安心出来る人がいたのだ

 もう10月も終わる。新月が照らす夜など存在せず、星の輝きだけでは室内には届かない

 

「怖い……」

 

 誰かがいる安心感というのは、どれだけ私の心を支えてくれていたのだろうか

 暗闇への恐怖とは、根源的な恐怖の一つ。打ち勝つには慣れかきっかけが必要だ

 まだ生まれて5か6日の私にはそのきっかけは無かった

 正直、今だけでいいから誰かそばにいて欲しい

 仮に紫が実際にいたとしたら恐らく本当にママ呼びしてるだろう

 一人暮らしは誰かの好意に甘えるのが難しい。この生活、慣れるまでが大変そうだね……

 

「とりあえず、今日は寝ないと…明日は山菜採りに行きたいし……」

 

 寝るには、余計な事を考えないのが大切だ

 つまり深呼吸、今からこの事だけを考え続ける

 

「すぅ…はぁ…すぅ…はぁ…すぅ……」

 

 頭が空っぽになり、気が付けば眠りに落ちていた

 

 ◇ ◆ ◇

 

「紫様、私はどうしてこんな事を?」

「生後間も無い娘の子守りよ?」

「なんか違くないですか?」

 

 おそらく境界の能力による亜空間のような場所で、紫と一緒に黄泉を監視している者がいた

 八雲 藍。紫の式神であり、見た目は紫と似た服を来た目も髪も尻尾も金色の九尾

 耳の形に合った帽子(?)には水色のひらひらが付いてるのが特徴的だ

 

「そもそも、どうしてあのような事を言ったのですか?本人は嬉しそうでしたけど」

「あら?あなたも甘やかされたいの?」

「そういう意味ではありません」

 

 『娘のように甘やかす』という発言についてだろう

 紫の事だからどの程度考えているのか知りたいらしい

 

「まぁ、関係を良好で保つのは言ってたわよね?」

「はい。雇用被雇用の関係では長続きしない可能性がありますからね」

 

 仕事のトラブルで人間関係に影響が出るというのはよくある話だ

 

「私にとって、あの子は人間側か妖怪側。どっちにいて欲しいと思う?」

「当然妖怪側ですね。ですが、霊 黄泉なら両立出来る立場ではありませんか?」

「そうね、それでも妖怪側に着かない可能性もある。あの子に大きく関わった者は私を含めて6人、そのうち4人は人間側よ」

 

 霊夢・魔理沙・アリス・さとり・華扇・紫の6人だ

 

「アリス・マーガトロイドは両立している立場では?」

「どちらかと言えば人間側よ。そして、大事なのはそこではない。選択が必要になった時、あの子はどういう基準で着く方を決めると思う?」

「親しい存在…まぁ、信頼ですね……十分あるじゃないですか?」

 

 黄泉は紫を十分に信頼している、客観的に見たらそうなるくらいには

 

「残念ながら、私にはマイナスポイントがあるのよ。外の世界に行く前の件や立場上、上司である点」

「なるほど」

「わざわざ言ったのはそのマイナスポイントを打ち消すためよ」

「納得しまし…『言ったのは』?」

「あら?単純にかわいいしいい子、あと実際に私が誕生に関わってる。甘やかさない理由はないでしょう?」

「アッ…ハイ……」

 

 藍の聞いた『どうしてあんな事を言ったのか』は本当に言った理由ではなく、そういう対応をする事への質問だ

 その答えがしょーもなくてなんとも言えなくなっている

 

『寂しい……』

 

 監視中の布団にくるまっている黄泉の声だ

 

「少し用事が出来たわ」「行かないで下さい」

 

『怖い……』

 

「まだ一人暮らしは早かったようね、一緒に…」

「子供の成長のチャンスですよ」

 

『とりあえず、今日は寝ないと…明日は山菜採りに行きたいし……』

 

「一人暮らし、問題無さそうですね」

「……抱き枕でも渡しておくわ」

「その程度に留めて下さい」

 

 ◇ ◆ ◇

 

「おーい黄泉ー、起きてるかー?」

 

 扉が開く音と同時に聞こえてきた

 陽光が入り、眩しい朝がやってきた

 

「おはよう魔理沙…」

 

 寝室に凸ってきた魔理沙に瞼を擦りながら挨拶する

 紫からもらった鍵、スペアなんか作った記憶無いんだけど…なんでいるの?

 

「どうしたの?」

「いやぁ、普通に心配でな。なんか手伝おうと」

「そっか…助かるよ、ありがとう」

 

 昨日の夜の事もあってか、人の温もりという物を感じる

 

「そうだ。今日山菜を積みに行くんだけど、細かい見分け方とか教えてくれない?あと毒抜きの方法とか」

「いいぜ、なんなら得意分野だ」

 

 ◇ ◆ ◇

 

「これでだいたい一週間くらいは持つだろ」

「ありがとう、めっちゃ助かった」

 

 前の私の知識にもある程度はあったのだが、本で読むのと実際に行くのとではやはり勝手が違う

 

「あと、こっちのキノコ。どれが食べれるヤツか分からなくて……」

 

 さすがに山菜とキノコは分ける。見た目からしてやばそうなのは採ってないけど、知らない内に手がかぶれてたから毒キノコが混ざってるのは確定なんだよね

 

「どれどれ…お、普通にレア物もあるじゃねーか」

 

 手袋を着けて仕分けする魔理沙。迷いが無いあたり、本当に詳しいんだろうね

 私から見たらどれも茶色のキノコ、ほとんど違いを感じれない

 

「これは食用、こっちは食わずに出汁にした方がいいヤツ、残りは毒だな」

 

 だいたい3:1:6程度の分かれ方。食用思ったより多いね

 

「毒のヤツ、もらっていいか?魔法の素材になるからな」

「もちろん大丈夫だよ。持ってても腐るだけだし……」

「キノコは腐らねーぞ?」「だね」

 

 ◇ ◆ ◇

 

 料理練習ついでにお昼を食べた後だった

 

「んじゃ、そろそろ帰るわ」

「分かった、ありがとね」

 

 箒に股がった魔理沙に手を振ろうとすると、

 

「そーいや、今晩宴会あるから来いよ?お前の紹介もあるし」

「宴会…そういえば昨日言ってたね」

 

 紫が樽を博麗神社に置いてって行った光景を思い出す

 

「怨霊探しの仕事が楽になりそうだし、もちろん参加する!名刺とか作った方がいいかな?」

「いらねーよそんなん。とりあえず、6時頃に博麗神社な」

「はーい」

 

 そう言い残して魔理沙は去っていった

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