生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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きっかけなど無いのが死

 私の首を狙った刃をペンダントの結界で受け止める

 そして相手の背後に怨霊を出し、レーザーを放つが最低限の動きで回避された上に左の短い方の剣で切られる

 

「だーかーらー!私は宴会に参加したいだけなんだって」

「とりあえず切ります、話はそれからです」

 

 ダメだ言葉が通じない……

 こうなったきっかけはほんとに数分前の話だ、

 

 ◇ ◆ ◇

 

 6時前、霖之助からもらった地図とにらめっこしてたら博麗神社への人里から繋がる道を発見して飛ぶのをやめて歩いていた頃だ

 

 ほんの一瞬、殺気を感じた。きっかけ?ごめんやっぱり無い!

 本能的にペンダントの結界を張った。その行動は正しかったらしく、気が付けば金属音と首で止まる刃

 結界を解除して振り返る度胸も無いから視覚共有した怨霊を出したが、それはすぐに切られてしまった

 核を回収しようとしたけど無い。華扇と同じように怨霊にトドメを刺す力があるっぽい

 

「私、なんかしたっけ?」

「妖怪の集まる場所に人に取り憑いてる怨霊が向かっている、その時点で対応しますよ。大異変に繋がりますから」

 

 ……宴会の参加者って妖怪のが多いんだ

 会話に持ってけそうだから結界を解除して振り返り、少し距離を離す

 

「名前聞いてもいい?私は『生きる怨霊』霊 黄泉。あなたは?」

「魂魄 妖夢です、冥界にある白玉楼で剣術指南役をしています」

 

 冥界…浄土の存在か……

 それなら怨霊を見たら切り殺そうとする理由も分かるかも

 

「そもそも集まっている理由って宴会でしょ?私も魔理沙から誘われたから参加しようとしてたんだけど」

 

 妖夢の外見は肌白く、顔も体も全体的に小柄な女性

 短い銀髪に黒いリボンの付いたカチューシャ、綺麗な濃い水色の目をしている

 衣服は白いシャツの上に青緑色のベストと、全く同じ色のスカート。スカートには白で人魂が刻まれている

 あとは胸に黒いリボンを着けてるくらいかな?

 

 そして右手に長い刀…剣?どっち?を持っており、左には短いのを持っている

 特に左の短刀からはやばい雰囲気がするし、多分核を破壊したのはこっちの方だろう

 残りはくっ付いてる幽霊。多分取り憑いてるのだろうけど、気になるのはそこじゃなくて幽霊が大きすぎる所。一般的なヤツより相当大きい

 

「すみません、私にはそれが本当の事か分からないので切ります」

「……は?」

 

 ◇ ◆ ◇

 

 という訳で今である。訳わかんない

 なんか、発言からして『切れば分かる』っていう風に思ってるらしい。多分そういう能力なんだろうけど、普通に切られたら私死んじゃうんだよ!

 とりあえず怨霊を博麗神社に向かわせ、霊夢か魔理沙を連れてくるように命じる

 

「行かせませんよ」

 

 反応も出来ないうちにその怨霊は切られた

 これ、続けたら普通に殺されるな……

 それなら……

 

「怨霊『六道からの脱出』」

 

 弾幕ごっこに持ち込むのみ

 妖夢を中心に半径10mの円を描くように連続して配置されては消える怨霊

 剣が届かないし位置だし、そもそも怨霊が破壊される前に行動させるスペル。これで私からの攻撃が可能に

 距離を取りながら素早くレーザーの準備を始め、相手の対応に備える

 

「弾幕戦ですか……」

 

 距離を取っても一瞬で間合いまで詰めてくる

 左のやばい方を紙一重で避け、全力で後ろに飛ぶ

 ただ、間に合わなかった

 

「そっか、長さ違うもんね」

 

 妖夢と違って、私は間合いに慣れていない

 短い方から攻撃が始まったため、二発目までに移動した距離で長い方の間合いから抜けれたと誤認していた

 結界を一瞬だけ張り、攻撃を弾くが今度は左手のやばい方で三発目

 ただ、このタイミングだとギリギリ……

 

「間に合うね」

 

 スペルのレーザーの準備が間に合った

 今の相手の体勢だと確実に命中する

 

「っ……!」

 

 命中しても倒せる確証は無い。紫のように無傷の可能性さえある

 ならば余裕が出来た今のうちにさらに距離を取り、怨霊を博麗神社に向かわせる

 

「餓王剣『餓鬼十王の報い』」

 

 怨霊を出した直後、レーザーの中から妖夢が真っ直ぐ抜け出して来た

 その体にはレーザーが命中した痕跡が無く、多分完全に防がれている

 

 レーザーから抜け出してきた妖夢は私の真上を通り過ぎて言った

 その軌道上には大量の青い鱗弾が残されており、まとまっていた全てが解放されてバラバラに襲いかかってくる

 

「私の弾は…当たる訳ないか……残念」

 

 妖夢の弾はそれぞれがバラバラな早さであるため避けにくいが、四方八方から襲いかかってくるタイプのスペルとは違って視覚を共有する必要が無いから頭を働かせやすい

 問題なく回避出来てるのは良いが、私の弾も当たっていない。避けるか切るかで全て対応されている

 

 妖夢がもう一度私の上を通り抜けていった

 つまり二回目がやってくるということだ

 

 ただ、これは余裕だ。何故ならさっき成功したから

 同じ動きを繰り返す弾幕は慣れれば楽と、紫の訓練用具で学んだ

 

「……痛っ!」

 

 ごめんやっぱ嘘、しっかり足に被弾した

 一回目の鱗弾の中で遅い弾がまだ残っており、二回目の早い弾と混じっている

 つまり一回目より密度が濃い

 服の無事を確認してから三回目に備える

 そして、三回目の移動に合わせて当てれるようにレーザーも準備する

 

 妖夢の周りから現れては攻撃し続ける怨霊達では上手く行動の制限すら出来ていない

 これ、明らかに設定が悪いよね?また修正しないと

 

 既に私の上を二回通り過ぎているから何となく次に行く場所を予測出来る

 元いた位置から私の上を通り抜けて元いた位置の逆側に移動している

 ならばそこを狙えばいい

 

「2、1……!」

 

 発射する直前に一瞬、私の本能が警告してきた

 

「大丈夫、これでいい」

 

 結界を張れば動けず、弾幕の回避に影響が出る

 だからその警告を無視し、妖夢の来るであろう場所を狙って発射する

 だが、

 

「なんで……」

 

 気付いた時には上半身と下半身が離れていた

 切断面が綺麗だったのか、すぐにくっ付いたが気を失いそうになるほどの激痛が襲ってくる

 

「っぅ……」

 

 深呼吸して誤魔化せる痛みじゃない……

 痛みに苦しんでる場合じゃない、弾を避けないと

 

「……無くなってる」

 

 さっきまで大量にあった弾全てが消えている

 そんなの、スペルが破れた時にしか起きないはずなのに

 一発も当たってないし、始まってまだ20秒もしていない

 それなら、どうして……

 

「スペルカードルールでは、あらかじめお互いに勝利時の報酬を決めておくんですよ。例えば今回なら私は『貴方がここから手を引く事』、貴方なら『見逃す事』」

「そういえばそうだったね…」

 

 完全に勘違いしてた

 

「ですので、今回は貴方も私も『弾幕ごっこを模しただけの戦い』をしてたに過ぎないんですよ」

「……つまり?」

「スペルカードルールが適応されず、不殺のルールも適応されない」

「そっかぁ……」

 

 言葉を裏返せば『今からトドメを刺す』

 まぁ、怨霊なんて人間から見ても妖怪から見ても害しか無い存在だ。事情を知らない者からすれば容赦ないのは仕方ないのかもしれない

 これも怨霊に生まれた罰なのだろう

 

 妖夢が一歩づつ詰めてくる

 それに対して恐怖より罰に対する期待が勝ってしまった

 怨霊ってそういう生き物なんだろうね、命より欲を優先する

 

「私を殺るんでしょ?なら素早く終わらしてよ、出来れば痛くないように」

「分かりました」

 

 妖夢が左の短い剣をこちらに向けてくる

 死ぬのって、きっかけとかそういうの無いんだね……

 

「ちょいまて妖夢!」

 

 声がした。聞き慣れた声が

 上を見ると、目に流星が写った

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