「本人が言ってた内容をそのまま言うよ『人を殺したら当然罪人だけど、私は罪人として裁かれなかった。私が殺した親友は、人間として扱われていない。だからこそ私は罰を受けるべきである。罰を受けないと親友は人間ではない何かのままになってしまう』だってさ」
「……ばかなの?」
なんか話が飛んでない?
人を殺したら罪人→分かる
私は裁かれなかった→かわいそうに
私が殺した親友は人間として扱われていない→???
いや、微妙に理解出来てしまう。多分正当防衛や心神喪失を認めてないんだと思う
思想強いなぁ……
なるほどね、人を殺した→罪人→裁かれるを逆から読んだんだね?
裁かれない→罪人ではない→『人を』殺していない
「……ばかなの?」
「おぅいいぞもっと言ってやれ」
本当に馬鹿なんだと思う。先ほど欲望を優先して命を差し出しかけた私より馬鹿なんだと思う
「まぁ、うん。一番気になってたのは解決したよ、予想外もいいところだったけど」
「それなら良かった」
気になる事は他にもある
「他に気になるのはやっぱ性格かなぁ、印象でいいからどんな感じだったの?」
「結構いい子だった、ってのがあたいの感想かねぇ。怨霊になって無かったら河原で転生待ちになってたイメージ、下手でも敬語は使えるってだけで印象変わるのに人の話はちゃんと聞いて自分から行動出来るし無茶も出来る。まぁいい子だったさ」
ちょっと意外……
っていうか私敬語の使い方知らない……
経験判定入って知識に加わってないのちょっともったいないんだけど
「無茶って?」
「あたいとあの子は、あの子があんたに変わる事を汚染って言ってたんだ。さすがに適応だとは思って無かったからね」
「ほうほう」
魂が怨霊に変わった事によって体に変化が起こっているなら、普通は汚染って思っちゃうよね
「怨霊がその汚染の原因だと、そう思って話していたんだけど途中で怨霊の群れにぶつかっちゃってね。あたいが怨霊に近ずき過ぎた、それを見てわざわざ助けようとしてくれたんだよ。己の気質で怨霊を妨害してね」
「……?どうやるの?」
「まぁ、それは出来ずに能力のお披露目となったのだけど…」
能力を自覚したのはそのタイミングらしい
「ところで黄泉ちゃん、そっちの生活はどうだい?」
「急に変わるね」「あんたの話はいくらでも空気が重くなってしまうからねぇ」
何も言えない……
「まぁ、分かった。けどあとで再び質問してもいい?」
「当然さ、もともとそのために来たのだろう?」
その後、ご飯を食べながら小町と雑談をしていた
たった6日間の間の話、だけども私にとってはそれが人生。いくらでも話す内容はあるのだ
◇ ◆ ◇
小町と話し終わった後、歩いて霊夢達の方へ向かった
前の私の事、だいたい分かったからちょっと満足してる
「倒れてる…これがお酒パワーか……」
宴会じゃなかったら事件を疑う光景
……やっぱり普通に興味が沸く
「お片付けだけして帰るかぁ……」
最初より人数が減ってるのを見た感じ、一部は帰っていったのだろう。妖夢や紫が見付からないし……
そこそこの数の怨霊を出し、
「空いてる皿集めて」
雑用の命令を出す
怨霊は内部に物を収納出来るようで、落とす心配が無いのはかなりいいんだよね
そうやって怨霊に手伝わせながらお皿を集めていると、見覚えのある者が目に入った
湖付近で私に道を教えてくれた人だ
「ありがとうございます、あとは終わらせます」
「あ、さっきの人。さっきはありがとう」
立ってる人なんていなかったのに、そこにいた。急に現れたような気がする
「……もしかして、お皿洗ってるの?なら手伝いたいけど」
「もうほとんど終わってるので大丈夫ですよ」
銀髪で目は茶色。もみあげから三つ編みを左右に一つづつ作っている
白いカチューシャに黄緑のリボンが左右に一つづつ
服は…どういう服?青と白を基調にした物で、見方によればエプロンみたいにも……うーん、分からん
スカートはだいたい私と同じ感じの。ただ、腰に着けたベルトによって細身なのが強調されている
顔はかなりの美人。というかそもそも美人さん多くない?
「そっか、気持ちだけでもお礼になるかと思ったけど」
「そうですか、ならば引き続きお皿を集めるのを頼んでもよろしいでしょうか?」
「分かった」
そういって集めたお皿を持ったと思ったら…消えた
瞬間移動持ち何人いるの?霊夢に紫に小町に……
って考えてたら戻ってきた
「そういえば名前聞いていい?知っとかないとアレだし…あ、私は霊 黄泉。生きる怨霊だよ」
「十六夜 咲夜です、紅魔館でメイド長として勤めております」
「紅魔館…って吸血鬼の?」
「はい」
メイド長ってのが何か知らないけど妖怪に仕えてるって凄いね…
しかも前の私でも知ってるくらいに有名な所だし
あ、消えた
「あなたの事は聞いています、てっきり先ほども仕事でうろついていたものだと思っていたのですが……」
戻ってきた…手濡れてるしもしかしてお皿もう洗ったの!?
「まぁ、明日か明後日からには活動を始めようとは思ってるよ。明日でいいかな?ちょうど11月に入るし」
今日は10月31日、月の終わりだ
「そうですか…なら、通りがかったら紅魔館を訪れてください。お茶くらいなら出しますよ」
「ありがとう、お世話になるよ」
霖之助の発言的に紅魔館は湖の近くになるんだろうね
「ところでだけど、吸血鬼って人間の血を吸うんでしょ?人里の人間襲っちゃダメなのにどうしてるの?」
どうせだし紫に聞いても教えてくれない事を聞いておこう
「簡単です、外の世界の人間を使っているのですよ」
「外の世界の人間を…どうやって?」
幻想郷に入るためには紫に連れて来られるか、幻想入りという狙ってやるには難易度の高すぎる現象を起こす必要がある
「神隠しって知ってますか?」
「うん、人が一時的に消える現象の事だよね」
「……勘違いしていますね」
「そうなの?」
前の私よ…もうちょい正しい知識を残してよ
「幻想郷内で起こるそれは本当の行方不明です。神隠しとは、外の世界の人間が幻想郷に迷い込む現象の事を言います」
「知らなかった」
自分で動かす手を止め、あとは完全に皿集めを怨霊に任せる
「余分な説明は省いて一言で言いましょう、その神隠しで迷い込んだ人間を妖怪達は食べています」
「!!」
幻想郷には数多の妖怪が存在する
人間だけを食べる妖怪が少数派なのは分かってるけど、まさかその食料を外の世界の人間だけで補っていたなんて
「これが八雲 紫のしている事です、外の世界から人間を直接攫って食料として出す。そうでもしなければお嬢様も含め、人を食べる妖怪は人里へ向かっている事でしょう」
「……なるほどね」
秩序を守るためには犠牲は必要、って話か
そしてエサとして誘拐された人間達の幽霊があの無縁塚に集まる…と
そりゃ多い訳だよ、近くにいた怨霊だけで万は回収出来たんだから
「なら、紫に感謝だね」「ええ」
そんな話をしていたら怨霊達の仕事が終わった
「終わったみたい」「ありがとうございます、では」
次の瞬間には咲夜と皿は消え、少しすると帰ってきた
「では、私はお嬢様を待たせておりますので戻ります」
「そっか、ありがとね。いろいろと」
それだけ聞いた咲夜は消えた
瞬間移動能力って羨ましいなぁ……